公開日:2020年 2月23日
更新日:2023年 9月 5日
本日は再生不良性貧血について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
再生不良性貧血は、汎血球が減っている状態のことです。
再生不良性貧血は、骨髄にある造血幹細胞が減ってしまうことによって、白血球や赤血球、血小板などの血液細胞の全てが減ってしまう病気です。
血液の中の白血球や赤血球、血小板が減ってしまうことによって、めまいや頭痛などの情状が現れます。
白血球は細菌などから体を守る働きをする細胞のことです。赤血球は肺から取り込んだ酸素を臓器に運ぶ働きをする細胞で、血小板は血が出ることを止める働きをする細胞のことです。
再生不良性貧血には種類があります。再生不良性貧血は、生まれつき病気になる先天性と、何かのきっかけがあり病気になる後天性のものの大きく分けて2つの種類に分けられます。
再生不良性貧血の人は日本に約5000人いると言われています。
再生不良性貧血によって現れる症状には、白血球が減ることによって起こる症状と赤血球が減ることによって起こる症状、血小板が減ることによって起こる症状があります。
赤血球が減ることによって起こる症状は、発熱や咳などの感染症の症状です。赤血球が減ることによって起こる症状は、体を動かす時の動悸や息切れ、疲れやすさ、頭重感などの貧血症状です。
血小板が減ることによって起こる症状には、ぶつけた記憶がなくても簡単にアザができることや鼻出血、歯肉からの出血などの出血症状があります。
再生不良性貧血は、骨髄が十分に機能しないために赤血球、白血球、そして血小板が不足する状態を指します。これにより、身体の各部位で様々な症状が現れる可能性があります。主な症状をいかに説明します。
疲労感・倦怠感: 赤血球が不足すると、酸素輸送能力が低下し、急激な疲労感や倦怠感が出ることが一般的です。短時間の活動でも疲れやすく、日常生活に支障をきたす場合があります。また、 足りない赤血球によって身体全体のエネルギーレベルが低下し、無気力な状態が続く可能性があります。
貧血: 赤みがかかった頬や顔色の悪さ、黄疸も見られることがあります。
感染症に対する抵抗力の低下: 白血球が減少すると、感染症に対する防御力が低下します。
出血傾向: 血小板が減少すると、鼻血、歯ぐきからの出血、皮下出血(紫斑)などが起こりやすくなります。
呼吸困難: 赤血球の減少により、酸素供給が不十分となる場合、呼吸困難が生じることがあります。
心拍数の増加: 酸素供給を確保するために心拍数が増加することが多いです。
頭痛やめまい: 頭部への酸素供給が不十分な場合、頭痛やめまいが生じることがあります。
頻繁な風邪や感染症: 白血球の不足によって体の防御機能が低下し、風邪や感染症を頻繁に引く可能性が高まります。
回復が遅い: 一度感染症にかかると、白血球が不足しているために回復が遅くなる場合があります。
皮下出血: 血小板の減少により、軽い衝撃や摩擦でも皮下に出血しやすくなります。
鼻血や口内出血: 血小板の数が減少すると、これらの症状も多くなります。
再生不良性貧血は、多くの場合で複数の症状が複合的に現れます。このような症状は、日常生活に多大な影響を与え、深刻な合併症を引き起こす可能性もあります。
再生不良性貧血には、2種類あります。生まれつき遺伝子に異常があることが原因で起こる先天性のものと、生まれつきではない後天性のものです。
先天性再生不良性貧血が起こることは非常に珍しいことで、再生不良性貧血の多くは、後天性再生不良性貧血です。後天性再生不良性貧血の中にも2種類あり、何か原因があり起こる場合と原因不明の場合があります。
後天性の場合の中でも、ほとんどの場合が原因不明であると言われています。何かの原因がある場合の原因には、薬や放射線などが挙げられます。しかし、後天性再生不良性貧血の場合も明確な原因は特定できないことが多いです。
ほとんどの後天性再生不良性貧血で原因不明の場合は、免疫を支配する細胞が自分自身の細胞を攻撃することによって造血幹細胞が傷ついてしまうことによって起こると考えられています。
後天性再生不良性貧血の中でも、全てが自己免疫反応によって起こるものではありません。中には、造血幹細胞そのものに異常があることによって血球が作られなくなることが原因となり、特発性再生不良性貧血が起こるものもあると考えられています。
再生不良性貧血は骨髄が正常に働かなくなるため、足りない数または機能不全の赤血球が生成される状態です。この病気は赤血球だけでなく、白血球や血小板の数にも影響を与える可能性があります。再生不良性貧血の原因は大きく分けて以下のようなカテゴリーに分類されます。
1.特定できない(特発性): 最も一般的なタイプで、特定の原因が不明です。
2.後天性(獲得性): 化学薬品、薬物、感染症、自己免疫に関する病気など外部からの影響によって発症します。
3.遺伝性(先天性): 遺伝子の変異によって生まれつき骨髄が正常に機能しない状態です。
・特発性再生不良性貧血
特発性の場合、明確な原因は分かっていませんが、以下のような要素が関与している可能性が考えられます。
免疫機能の異常: 自身の骨髄細胞を攻撃してしまうことが一部の症例で報告されています。
微量元素の不足: 一部の症例で、銅やビタミンの不足が原因となっている場合があるとされています。
・獲得性再生不良性貧血
化学薬品と薬物
抗がん剤: 抗がん剤は細胞の分裂を抑制するため、骨髄細胞にも影響を与える可能性があります。
農薬や工業化学薬品: これらの化学薬品は骨髄に有害な影響を与える場合があります。
感染症
ウイルス感染: 特にパルボウイルスB19、HIV、HCVなどが関与する可能性があります。
細菌感染: 細菌感染が骨髄に影響を与えるケースは比較的少ないものの、報告例は存在します。
自己免疫に関する病気
ループス: 再生不良性貧血は、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患の合併症として出現することがあります。
関節リウマチ: この病気でも骨髄への影響が報告されています。
遺伝性再生不良性貧血
ファンコーニ貧血: DNA修復の問題に起因する遺伝性の病気です。
ダイアモンド・ブラックファン貧血: 遺伝性の再生不良性貧血で、特に赤血球の生成に問題があります。
シスコバイダー症候群: 鉄代謝に関与する遺伝子の変異によって引き起こされます。
再生不良性貧血の原因は多岐にわたり、個々によって原因が異なる場合が多いです。
再生不良性貧血を改善する方法は、重症の度合いによって違います。再生不良性貧血と判断された場合は、一般的に日本では厚生労働省調査研究班の重症度分類を使い、まずどのくらい重症であるかと言った重症度をはかります。
再生不良性貧血を改善するためには、症状を和らげることを目的とした改善方法と血を作ることができるようになることを目的とした改善方法があります。
症状を和らげることを目的とした改善方法では、輸血をしたり白血球を増やすための薬を使ったりします。
血を作ることができるようになることを目的とした改善方法には、蛋白同化ステロイドを使った方法や免疫を抑える方法、造血幹細胞の移植などがあります。
重症度に合わせてこのような方法から改善方法を選択します。
再生不良性貧血の原因が薬や化学物質にあると疑われる場合、改善のためには原因となっていると思われる薬や化学物質を避けることが必要です。
ただ、実際には、再生不良性貧血と因果関係がはっきりしている薬は非常に少なく、因果関係がはっきりしている薬は今は販売が中止されています。
再生不良性貧血の改善の主な目的は、骨髄の機能を改善し、赤血球、白血球、血小板の数を正常化することです。これにより、症状が改善され、生活の質が向上することが期待されます。
再生不良性貧血の改善法には、症状に対する対処、薬、免疫抑制法、骨髄移植、補助的な改善方法などがあります。
症状に対する対処では、貧血や感染、出血などの症状に対して直接的な改善を行います。
輸血: 赤血球や血小板が極端に低い場合、輸血が行われることがあります。
抗生物質の使用: 白血球が少なく感染が疑われる場合、抗生物質が使用されることが多いです。
薬には、成長因子やステロイドがあります。
成長因子: G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)やEPO(エリスロポエチン)は、それぞれ白血球や赤血球の生成を助けるために使用されます。
ステロイド: 一部の再生不良性貧血に有効であり、特に免疫抑制作用が求められる場合に使用されます。
免疫抑制法は、薬を使って免疫の抑制を行います。
シクロスポリン: 免疫系が骨髄を攻撃するのを防ぐために、シクロスポリンが用いられることがあります。
抗体製剤: 特定の免疫細胞に対する抗体を用いて、免疫系の活動を抑制する方法も研究されています。
骨髄移植には、本人の骨髄を移植する方法とドナーから移植する方法があります。
同種骨髄移植: 遺伝子型が合致するドナーから骨髄を移植する方法です。
自家骨髄移植: 本人の骨髄を事前に採取し、改善後に戻す方法もありますが、再生不良性貧血ではあまり一般的ではありません。
補助的な改善方法は栄養の補充や心理的なサポートがあります。
栄養法: 適切な栄養摂取で、体力の維持と改善への対応力を高めます。
心理的サポート: 精神的な健康も非常に重要であり、心理的サポートを通じて患者の心の負担を減らすことが推奨されます。
再生不良性貧血の改善法は多岐に渡りますが、個人の状態や病状によって選ばれる改善法が大きく異なる可能性があります。専門医と密接に連携し、適切なプランを立てることが最も重要です。
・免疫抑制剤
シクロスポリン(Cyclosporine)
効果: 免疫システムの活動を抑制することで、骨髄が正常に働く環境を整えます。
目的: 自己免疫性の原因による再生不良性貧血に対して使用されます。
対象者: 成人、子供ともに使用されますが、他の改善法が効かない場合によく用いられます。
副作用: 感染症のリスクを高める可能性があります。
・アンチ・サイトカイン法
抗TNF-α薬など
効果: サイトカインと呼ばれる炎症反応を促進する物質の作用を抑えます。
目的: 炎症を抑制し、骨髄の機能を改善することです。
対象者: 免疫介在性の再生不良性貧血に対して使用される場合があります。
・ホルモン法
プレドニゾロン(Prednisolone)
効果: 抗炎症作用と免疫抑制作用を持っています。
目的: 骨髄に対する自己免疫反応を抑制し、その機能を改善することです。
対象者: 幅広い年齢層で用いられますが、特に軽度から中等度の症状に対して使用されます。
副作用: 骨粗鬆症や高血圧、糖尿病を引き起こす可能性があります。
・成長因子
エリスロポエチン(EPO)
効果: 赤血球の生成を促進します。
目的: 貧血を改善します。
対象者: 赤血球数が特に低下している場合に用いられます。
副作用: まれに血液が固まりやすくなることがある。
G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)
効果: 白血球(特に好中球)の生成を促進します。
目的: 白血球数を増加させ、感染症に対する抵抗力を高めます。
対象者: 白血球数が特に低い、または感染症を繰り返す場合に用いられます。
副作用: まれに血液が固まりやすくなることがある。
再生不良性貧血を改善するための薬は多くあります。症状や体調、他の健康問題などによって、最も適した改善法は異なります。従って、専門の医師と密接に連絡を取り、個々の症状に最適な方法を選択することが重要です。
再生不良性貧血の予後は、重症の度合いによって色々です。最近では効果が期待できる改善方法があるため予後も改善してきています。
免疫を抑える改善方法で状態が改善した場合は、骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病、発作性夜間ヘモグロビン尿症と呼ばれる病気を起こしてしまう可能性もあります。
そのため、改善した後も定期的に血液を調べて、病気が起こった場合も早く発見できるように努めることが大事です。
再生不良性貧血は、定期的に血液を調べることが重要です。これは、再生不良性貧血の中には症状があまり現れないまま突然重症化する場合も見られるためです。
重症化を防ぐためには、定期的に調べることによって自分自身の状態を確認して、状態によって必要な場合は病院で改善を受けることが重要なのです。
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