公開日:2022年 11月 3日
更新日:2024年 2月28日
本日は本態性振戦について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
本態性振戦の原因は、今のところわかっていません。
本態性振戦の症状によって現れる震えは、精神的な緊張によって強くなるということがわかっています。
そのため、興奮したり筋肉を動かしたりするときに働く神経である交感神経が本態性振戦の発症と関係していると考えられています。
本態性振戦は、主に手、頭、声、あるいは体の他の部分に影響を及ぼす神経系の障害です。この振戦は、特に動作時や姿勢を保持しているときに顕著になります。本態性振戦の正確な原因は不明であり、遺伝的要因が関与していると考えられていますが、完全な理解には至っていません。
・遺伝的要因
本態性振戦はしばしば家族内で見られ、遺伝的な要素が強いことが示唆されています。この状態は、自己優性遺伝のパターンを示すことが多く、親が本態性振戦を持っている場合、子供にも症状が現れる確率は50%程度とされています。しかし、遺伝子の特定には至っておらず、複数の遺伝子が関与している可能性があります。
・神経生物学的要因
本態性振戦の患者における脳の構造的、機能的な変化に関する研究も行われています。特に、大脳皮質、小脳、脳幹、視床など、運動制御に関与する脳の領域が影響を受ける可能性があります。これらの領域の異常は、運動調節の失調として振戦を引き起こすと考えられています。
・環境要因
環境要因が本態性振戦の発症や進行に直接的な影響を与えるかどうかは明確ではありませんが、一部の研究では、特定の環境毒素や薬物が症状を悪化させる可能性が指摘されています。しかし、これらの要因が原因であると断定的に言える証拠は限られています。
・その他の要因
加齢も本態性振戦の一因として関与することがあります。振戦は年齢とともに発症することが多く、また症状の重さが増すこともあります。しかし、加齢だけが原因であるわけではなく、若年者にも発症することがあります。
本態性振戦の症状は、震えです。震えは、主に手が1秒間に4~12回の速さで、リズミカルに起こります。症状の特徴は、何かの姿勢を取ったときや動作をするときに症状が現れることです。
症状が現れることが1番多い部位は、手や指です。しかし、頭や足、顔面、声などに起こることもあります。
症状が現れることの多いシチュエーションは、新聞を読む、箸を持つ、コップを持つ、字を書くなどであると言われています。緊張した時に声が震えたり、頭が横や縦に揺れたりするという症状もよく見られます。
震えが現れることによって日常生活を送る上で問題が起こったり、精神的に苦痛感じたりすることも非常に多いです。
本態性振戦は、最も一般的な運動障害の一つで、特に手、頭、声、そして時には脚や体幹に影響を及ぼす震えが特徴です。この障害は動作時や姿勢を保持しているときに顕著になることが一般的で、自発的な運動や特定の姿勢をとったときに振戦が発生します。以下に、本態性振戦の主な症状を詳しく説明します。
・手の振戦
本態性振戦で最も一般的に見られる症状です。書く、飲む、食事をする、細かい作業をするなどの動作時に振戦が悪化することがあります。両手が影響を受けることが一般的ですが、振戦の程度は手によって異なる場合があります。
・頭の振戦
「はい」「いいえ」と頷くような動きや、横に振る動きの形で現れることがあります。頭の振戦は声の振戦と共に現れることがあります。
・声の振戦
声が震えたり、揺れたりするように聞こえる症状です。話すときに特に顕著になり、声の質が変化することがあります。
・顔、脚、体幹の振戦
これらの部位に振戦が現れることは比較的まれですが、本態性振戦の症状として発生することがあります。
・その他の症状
緊張や疲労、カフェインの摂取、極度の温度変化などが振戦を悪化させることがあります。一部の人々では、バランスの問題も報告されていますが、これは本態性振戦の直接的な結果ではなく、年齢に関連する変化や他の健康状態によるものかもしれません。
本態性振戦は進行性の障害であり、時間の経過とともに徐々に悪化することが一般的です。
本態性振戦は、特に改善を行わなくても急に悪くなることはありません。改善に取り組むかどうかは、現れている症状にどの程度困っているのかということから判断します。
日常生活で特に困ることがない場合は急いで改善を行わなくても良いです。日常生活を送っていて困る場面が決まっている場合は、ピンポイントで症状を抑える改善方法もあります。その場合は、ベータ遮断薬を使います。
ベータ遮断薬で効果が見られない場合や喘息などでベータ遮断薬を使うことができない場合は、抗不安薬や抗てんかん薬を使うこともあります。
他にも、ボツリヌス毒素注射を行って筋肉を麻痺させて震えを抑える方法もあります。
薬などを使った改善方法で効果が見られない場合は、脳内に電極を植え込み電気刺激を与える方法や、頭蓋骨に小さな穴を開け熱凝固針を刺し脳内の視床の一部を凝固する方法などが検討されます。
本態性振戦は、現在完全に改善する方法はないものの、症状を軽減するためのさまざまな改善オプションがあります。改善の主な目的は、振戦の重さを減少させ、患者の日常生活の質を向上させることです。改善方法は個々の症状の重さや全体的な健康状態に基づいて選択されます。
・薬
本態性振戦の改善には、以下のような薬物がよく用いられます。
β遮断薬:プロプラノロールが最も一般的に使用されるβ遮断薬です。この薬は心拍数を減少させ、振戦を軽減します。副作用には疲労感、手足の冷え、性的機能障害が含まれる場合があります。
抗てんかん薬:プリミドンは、本態性振戦の改善に効果的な抗てんかん薬です。副作用にはめまい、歩行困難、吐き気が含まれる場合があります。
ベンゾジアゼピン系薬剤:アルプラゾラムやクロナゼパムなどの薬は、短期間の使用に限り振戦を軽減することがあります。依存性や眠気などの副作用があるため、慎重に使用されます。
・外科的方法
薬が効果的でない場合や重度の症状に対しては、外科的な方法が検討されることがあります。
深部脳刺激:脳の特定の部位に電極を埋め込み、電気信号で振戦に関与する脳領域を刺激する手術です。効果的な改善法であり、多くの人において振戦の大幅な軽減が見られますが、手術にはリスクも伴います。
・ライフスタイルの変更と補助的な方法
ストレス管理:ヨガ、瞑想、リラクゼーション技法など、ストレスを軽減する方法が振戦の管理に役立つことがあります。
物理的な方法:物理的な方法は、筋力を向上させ、振戦による影響を軽減するのに役立ちます。
避けるべき刺激物:カフェインや刺激物質の摂取を避けることで、一部の人々において振戦が軽減することがあります。
本態性振戦の改善において、一部のケースではβ遮断薬、抗てんかん薬、ベンゾジアゼピン系薬剤以外の薬も試されることがあります。その一例がガバペンチンとトピラマートです。これらの薬は主に神経障害性疼痛やてんかんの改善に用いられますが、一部では本態性振戦の症状管理にも効果的であることが報告されています。
・ガバペンチン
効果: ガバペンチンは、特に手の振戦に対して効果を示すことがあります。神経伝達物質の活動を調整することで振戦を減少させると考えられています。
副作用: 眠気、めまい、体重増加、疲労感などが報告されています。また、足の腫れや視覚障害が生じることもあります。
・トピラマート
効果: トピラマートも本態性振戦の改善に用いられることがあり、ガバペンチンと同様に神経系の活動を調整することで振戦を軽減します。
副作用: 食欲不振、体重減少、味覚の変化、記憶障害や集中力の低下などの認知機能の障害、疲労感、めまいなどがあります。重大な副作用として、腎結石や緑内障のリスクが高まる可能性があるため、使用には注意が必要です。
これらの薬剤は本態性振戦の第一選択薬ではありませんが、標準的な改善方法では効果が不十分である場合や副作用により他の薬剤が使用できない場合に考慮されることがあります。また、これらの薬剤を使用する際は、副作用に注意し、医師の指示に従って用量を調整することが重要です。
震えを悪化させる可能性があることに、腕や脚を不自然な姿勢にすることやカフェインの摂取などがあります。このように症状が悪化する可能性のあることはできるだけ避けることが大事です。
ストレスや疲れも症状を強くする要因になります。十分な睡眠と休養をとり、リラックスして毎日を過ごしましょう。
震えを気にしすぎるとストレスになてしまうため、症状を隠そうとしないことも大事です。周りの人も症状に対して指摘しないように心がけましょう。
飲酒をすることで症状が軽くなることも多いです。しかし、飲酒をすることで震えを抑えることが習慣になってしまうと、アルコール中毒につながる可能性があります。症状を改善することを目的に飲酒をしないようにしましょう。
・労宮
・大陵
・光明
労宮は、自律神経の興奮状態を抑えて気持ちをリラックスさせる効果があります。ストレスによって起こる便秘などにもオススメです。緊張している時にもリラックスさせる効果があります。
他にも更年期症状にも効果的です。上半身が熱いのに、下半身が冷えているという症状を和らげてくれます。
大陵は自律神経を調節する効果があります。ストレスによってイライラしたり動悸がしたりする時にもオススメのツボです。特に大陵は脳の緊張が強く出る場合や緊張で眠れなくなる場合に効果的です。
他にも、腹痛や嘔吐に効果的であると言われているツボです。
光明は、胆のうに関係するツボです。東洋医学では胆が丈夫であることは、決断力がつくことであると考えられてきました。大きな決断で緊張している時や物怖じせずにふるまいたい時などに押すことがオススメなのです。
緊張することで不眠の症状が出る時にも効果を発揮します。
労宮は、手のひらの中央にあるツボで、手を握ったときに中指の先端が手のひらに当たる場所にあります。
押すときは深呼吸しながら押しましょう。強めに押して離すときはゆっくり離すと良いでしょう。
大陵は、手首の真ん中にあるツボです。手首を曲げると浮き出てくる二本の腱の間にあります。
大陵は押した時に痛みを感じることも多いです。お灸をすることもオススメです。
光明は、足の外側のくるぶしから10cmくらいの場所にあります。
押し方は、親指を使って押しましょう。3秒くらいかけてゆっくり押してゆっくり離しましょう。
11時から21時
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