老年期うつ病の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  8月 3日

更新日:2022年  8月18

本日は老年期うつ病について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 老年期うつ病とは
  • 老年期うつ病の原因
  • 老年期うつ病の症状
  • 老年期うつ病の改善方法
  • 老年期うつ病のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

老年期うつ病は、高齢者に発生するうつ病

老年期うつ病は、高齢者に発生するうつ病です。うつ病は、2週間以上抑うつが続いたり、興味や喜びがなくなったり、体重が減ったり、不眠や過眠などが現れたりする精神的な病気です。

 

老年期うつ病は、若い年齢の人に発生するうつ病と比べると、不安や心気症状の頻度が高いとされています。

 

高齢者が心気症状を訴えた時、うつ病が見逃されやすいとも言われています。

老年期うつ病の主な原因は高齢になることで起こる出来事への反応

老年期うつ病の主な原因は、年齢を重ねることで起こる出来事への反応です。高齢になると、配偶者や近親者の死や経済状況、社会的に孤立することなどによって、自分自身も死を意識する状況になります。

 

高齢者は、死を意識する状況を作りやすく、修正することも難しくなるために、慢性的なストレスや緊張を常に抱えてしまいやすいのです。

 

さらに、高齢者は感情的な問題を身体的な問題として解釈する傾向が強いです。そのため、感情的な問題があってもなかなか精神的に改善を行うことができず老年期うつ病につながってしまいやすいのです。

老年期うつ病は、高齢者に見られるうつ病の一形態で、様々な生物学的、心理的、社会的要因によって引き起こされる複雑な状態です。老年期にうつ病が発症する原因は多岐にわたりますが、以下に主な要因を詳しく説明します。

 

生物学的要因

神経化学的変化: 老年期には、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの脳内の神経伝達物質のバランスが変化することがあり、これがうつ病の原因になることがあります。

脳の構造的変化: MRIなどの画像により、うつ病の高齢者の脳には特定の構造的変化が見られることがあります。特に、前頭葉や海馬の縮小が関連しているとされています。

遺伝的素因: うつ病を発症する家族歴がある人は、うつ病になりやすい傾向があります。

 

心理的・社会的要因

生活の変化: 退職、配偶者や親しい人との死別、身体的能力の低下など、老年期には人生の大きな変化が起こります。これらの変化は、孤独感、孤立、自己価値の低下を引き起こし、うつ病を誘発することがあります。

社会的孤立: 社会的なつながりの喪失は、高齢者のうつ病の大きなリスク要因です。

ストレス: 長期間にわたるストレスや不安は、高齢者におけるうつ病の発症に寄与します。

 

身体的健康との関連

慢性的な痛みや病気: 心臓病、脳卒中、糖尿病、パーキンソン病などの慢性疾患は、うつ病のリスクを高めます。

薬物の副作用: 高血圧や心臓の病気などのために使用される一部の薬物は、うつ病の副作用を持つことがあります。

栄養不良: 特にビタミンB12や葉酸の不足は、うつ病と関連しています。

 

睡眠障害

高齢者に見られる睡眠障害も、うつ病のリスクを高める要因となります。

老年期うつ病の症状は、倦怠感や痛み、しびれ、体重の減少など

老年期うつ病の症状は、倦怠感や痛み、しびれ、体重の減少などです。不安や焦燥が目立ちやすくなったりもの忘れが増えたりするようにもなります。

 

老年期うつ病では、体に現れる症状や物忘れなどの認知機能の低下などが目立つことによって、抑うつ気分が目立たないという特徴があります。

 

一般的なうつ病では、抑うつが続いたり、興味や喜びがなくなったりする症状が主に見られますが、老人期うつ病ではそのような症状が目立たず、なかなかうつ病であると気が付かないこともあります。

老年期うつ病は、高齢者に見られるうつ病の症状で、若年層のうつ病とは異なる特徴を持つことがあります。老年期うつ病の症状は多岐にわたり、心理的、身体的、認知的な変化を含むことがあります。以下に主な症状を詳しく説明します。

 

心理的な症状

悲しみや絶望感: 継続的な悲しみ、絶望感、無価値感が見られることがあります。

喪失感: 配偶者や友人の死別、身体機能の低下などによる喪失感が強く感じられます。

興味や喜びの喪失: 以前は楽しんでいた活動への関心が薄れ、何をしても楽しめなくなります。

罪悪感: 過去の出来事や行動に対する過度の罪悪感や自己責任感を持つことがあります。

 

身体的な症状

エネルギーの減少: 恒常的な疲労感や活動レベルの低下が見られます。

睡眠障害: 睡眠過多または不眠症のどちらか、あるいはその両方を経験することがあります。

食欲の変化: 食欲不振や過食、それに伴う体重の減少や増加が見られることがあります。

身体的不快感: 不定愁訴として、頭痛、胃腸の不調、慢性的な痛みなどが症状として現れることがあります。

 

認知的な症状

集中力の低下: 仕事や日常活動に集中することが困難になります。

意思決定能力の低下: 意思決定が遅くなったり、決断を下すことが難しくなります。

記憶障害: 短期記憶の損失が見られることがあり、これは認知症と間違って判断されることもあります。

 

社会的な症状

社会的引きこもり: 社会的な活動や人との交流から遠ざかりがちになります。

役割の変化に対する適応困難: 退職や配偶者の死など、生活の大きな変化に適応するのが難しいです。

老人期うつ病の主な改善方法は薬

老人期うつ病の主な改善方法は薬です。改善方法は、若い年齢に発生するうつ病とほとんど変わりません。

 

ただし、年齢が上がると自殺のリスクも増加する傾向があるため、老人期うつ病では自殺リスクの評価を行うことが大事になります。

 

薬では、高齢になると向精神薬の副作用が起きやすいと言われています。慢性的な病気によって薬を使っていることも多いため、併用する薬の数が多いことも多く、他の薬との相互作用を考えてから薬を使うことが大事になります。

 

薬でなかなか改善が見られない場合は、精神的な面からアプローチを行います。

老年期うつ病の改善方法は、個々の症状の重さ、身体の健康状態、および他の同時に存在する病気に応じて、様々なアプローチを組み合わせて行われます。以下に主な改善方法を紹介します。

 

抗うつ薬: セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、三環系抗うつ薬など、さまざまな抗うつ薬が老年期うつ病の治療に使用されます。高齢者では薬剤の副作用に特に注意が必要です。

その他の薬物: 必要に応じて、気分安定剤や抗精神病薬が併用されることもあります。

 

心理的方法

認知行動法: 負の思考パターンを特定し、それらをより現実的なものに置き換えることを目指します。高齢者でも効果的です。

対人関係法: 社会的な役割の変化や人間関係の問題に焦点を当て、うつ病の症状を改善します。

 

生活習慣の変更

定期的な運動: 軽度から中等度の運動は、うつ病の症状を軽減する効果があるとされています。

栄養バランスの取れた食事: 健康的な食事が全体的な健康状態と気分を改善します。

十分な睡眠: 良好な睡眠習慣を維持することは、うつ病の管理において重要です。

 

社会的サポート

サポートグループ: 同じような状況にある他の高齢者との交流は、孤独感を減少させ、うつ病の改善に役立ちます。

家族法: 家族がプロセスに関与することで、サポートシステムを強化します。

 

適応支援

環境の改善: 生活環境を改善し、日常活動を容易にするための調整が役立つことがあります。

 

老年期うつ病の改善では、ひとりひとりの状況に合わせてカスタマイズされた改善の計画が必要です。特に、既存の身体的な病気や、使用中の他の薬剤との相互作用に注意しながら改善を行う必要があります。

老年期うつ病の改善には、特に高齢者に適した薬物が用いられます。年齢による身体の変化や、他の病気への配慮、薬物相互作用の可能性などを考慮して、薬での改善が行われます。以下に、老年期うつ病の改善でよく使われる薬剤の種類とその特徴を説明します。

 

セロトニン再取り込み阻害剤

特徴: SSRIは、セロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内のセロトニン濃度を高め、うつ病の症状を改善します。副作用が比較的少なく、高齢者にもよく使われます。

例: セルトラリン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム

 

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤

特徴: SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの両方の再取り込みを阻害し、これらの神経伝達物質の脳内濃度を高めます。SSRIに効果がない場合に検討されることがあります。

例: ベンラファキシン、ドゥロキセチン

 

三環系抗うつ薬

特徴: 三環系抗うつ薬は古くからある抗うつ薬で、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害します。効果的ですが、副作用が強いため、高齢者には慎重に使用されます。

例: アミトリプチリン、ノルトリプチリン

 

他の抗うつ薬

ミルタザピン: ノルアドレナリンと特異的セロトニンの抗うつ薬。食欲促進や睡眠の改善に効果があり、体重減少や不眠を伴う高齢者のうつ病に適しています。

ブプロピオン: ドーパミンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、他の抗うつ薬とは異なる作用機序を持ちます。性的副作用が少ないという利点がありますが、発作を誘発するリスクがあるため、発作閾値が低い高齢者には注意が必要です。

 

注意点

副作用: 高齢者は薬物の副作用に対して敏感であることが多く、腎機能や肝機能の低下による薬物の代謝能力の低下を考慮する必要があります。SSRIやSNRIでも、消化不良、不眠、性的機能障害などの副作用が見られることがあります。

老人期うつ病と慢性的な身体合併症

老人期うつ病の多くのケースでは、慢性的な身体合併症も発症しています。

 

高血圧や糖尿病などの慢性的な病気とうつ病には相互関係があります。高血圧や糖尿病がうつ病のリスクにもなり得るのです。さらに、うつ病によって高血圧や糖尿病の予後が悪くなる可能性もあります。

 

慢性的な身体合併症がある場合は、そのための薬も使っていることが多いため、老人期うつ病を改善するために薬を使うときにも注意が必要になります。

老年期うつ病に効果的なツボ

膻中

鳩尾

・神庭

・百会

・湧泉

膻中

膻中は、緊張や不安などを和らげる効果があります。落ち込んだ時など気持ちが落ちた時におすすめのツボなのです。そのため、老人期うつ病で現れる症状の改善にも効果が期待できます。

 

気持ちを落ち着かせるだけではなく、胸の痛みや息苦しさなどにも効果を発揮するため、老人期うつ病によって体に不調を感じる時にもおすすめです。

鳩尾

鳩尾は、精神的な疲れを和らげる効果があります。イライラした時や緊張が続く時に使われるツボです。

 

精神的な気持ちによって、食欲不振や不眠などが現れている時にも効果が期待できるツボのため、老人期うつ病で食欲がなく体重が減少している時にもおすすめです。

神庭

神庭の神は精神という意味を持ち、神庭の庭は庭という意味を持っています。神庭は、精神や情緒を安定させる効果のあるツボなのです。

 

また、神庭は若返りのツボと呼ばれることもあります。これは、神庭を刺激することで自律神経のバランスが整い、不眠症やめまい、発毛の促進などの効果が期待できるためです。

ツボの位置と押し方

膻中

膻中の場所は、左右それぞれの乳頭の間です。

 

膻中は指で押すと非常に強い痛みを感じます。そのため、お風呂に入った時などにボディソープなどをつけて上下に滑らせて触ることもおすすめです。壇中を押すときは、軽く押すことが大事なのです。

鳩尾

鳩尾は、みぞおちにあるツボです。肋骨が交わる骨から約2cm下に下がった場所にあります。

 

押すときは、深呼吸をしながら押すことをおすすめします。最初に、仰向けになり、その状態のまま深呼吸をし、息を吐く時にツボを押し、息を吸う時に離しましょう。

神庭

神庭は、眉間の中心の延長線上で、髪の生え際より1cmほど上に上がった場所にあります。

 

押すときは、強い力で押さないように気をつけて、優しく押していきましょう。

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