機能性ディスペプシアの鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2019年 12月23日

更新日:2025年  2月 5日

本日は機能性ディスペプシアについて解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 機能性ディスペプシアとは
  • 機能性ディスペプシアの症状
  • 機能性ディスペプシアの改善方法にかかる費用
  • 機能性ディスペプシアのまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

機能性ディスペプシアとは胃やお腹の痛み

​機能性ディスペプシアとは、胃もたれやお腹(みぞおち)の痛みや不快感が続いているにもかかわらず、内視鏡で胃の粘膜などを見ても器質的な変化は見られない病気です。

胃の消化作用や収縮運動、さらに感じ方など、胃の働き(機能)が鈍くなったことが症状の原因ではないかいわれています。

ディスペプシアという言葉は耳慣れないですが、「ディスペプシア」とは、胃の痛みやもたれなどの不快な腹部の症状を指す医学用語です。すなわち「機能性ディスペプシア」は症状の原因となる明らかな目に見える異常がないのに、慢性的にみぞおちの痛みや胃もたれなどのディスペプシア症状を呈する病気を指します。

 

機能性胃腸症、非潰瘍性胃腸症、神経性胃炎、胃下垂、慢性胃炎、上腹部愁訴、胃アトニーなど、いろいろな呼ばれ方がされますが、ひっくるめてこれらを機能性ディスペプシアといいます。

機能性ディスペプシアの症状はみぞおちの痛み

みぞおちの痛み、みぞおちの灼熱感、胃もたれ、早期満腹感のうち1つ以上の症状が慢性的にあり、胃カメラ、ピロリ菌の他、血液、エコーなどを調べて異常が見られない場合に機能性ディスペプシアと判断します。

 

自律神経のバランスが乱れることで、胃の働きがおかしくなることが原因と考えられています。

国際的な判断基準として6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間はきついと感じる食後のもたれ感、早期飽満感、みぞおちの痛み及びお腹の灼熱感のうち、1つ以上の症状があるにもかかわらず、その原因となりそうな器質的疾患が確認されていない場合とされています。

 

機能性ディスペプシアは、器質的な病気を除外するため血液を調べたり、上部消化管内視鏡、腹部エコーなどを行ったりします。さらに必要に応じて,便潜血を調べたり、腹部X 線や腹部CTなどを行ったりする必要があります。症状が現れたら、まず第一に病院にいく必要があります。

機能性ディスペプシアの原因は大きく8つに分類される

機能性ディスペプシアの原因は複雑で、1つだけの原因でなるわけではありません。下記に記載した項目が1つ、あるいはいくつか組み合わさって症状が起こると考えられています。

このうち、とくに重要なのは1~4です。しかし、その他の因子も互いに影響し合い、病態を複雑にしています。症状の原因は非常に個人差があると考えられています。

1.胃・十二指腸運動が障害されている
胃の主な働きは、食べ物をいったん胃に貯え、次いで食べ物を胃液と胃のぜん動運動によって消化し、小腸へと送りだすことです。何らかの原因で正常に胃が働かなくなると胃排出と胃適応性弛緩がスムーズに機能しなくなります。

 

胃排出とは食べた物を胃から十二指腸へ送ることであり、胃適応性弛緩とは食事のときに胃が拡張して食べ物を貯留する力のことです。胃排出は早過ぎても遅過ぎても症状と関連する可能性があり、胃適応性弛緩の障害は通常の食事量が食べきれずに、すぐにお腹がいっぱいになることと関連しています。

 

2.胃・十二指腸の知覚過敏が生じている
健常者より軽い胃の拡張刺激で症状が出現します。胃に食べ物が入ってくること、胃酸が分泌されるなどの刺激に対して、痛みを感じやすくなっているため、すぐにお腹がいっぱいになったり、胃が痛み、また胃が焼けるように感じるなどの症状があります。十二指腸での胃酸や脂肪に対して知覚過敏となって症状が出ることがあります。

 

3.心理的要因
脳と腸管は相互に密接に関連しており、これを脳腸相関と呼びます。不安・抑うつ症状や生育期の虐待歴などを背景に、胃や腸の運動や感覚に変化が起こることがあります。

 

4.胃酸が原因

胃から分泌された酸が、胃や十二指腸の粘膜を刺激して、胃や十二指腸の運動や知覚に影響を与えることがあります。

 

5.ヘリコバクター・ピロリ感染が原因
ピロリ菌は胃の中に住みつき、胃・十二指腸潰瘍の原因となる菌です。

 

6.遺伝的要因
元々の胃の形態などによるもので、生まれつきなりやすい人がいます。

 

7.サルモネラ感染など感染性胃腸炎にかかった人
一度かかると、機能性ディスペプシアにかかりやすくなる可能性があります。

 

8.生活習慣の乱れ
アルコール、喫煙、不眠などの生活習慣の乱れが原因となることがあります。

機能性ディスペプシアの改善方法

機能性ディスペプシアの原因は多岐にわたるので、それぞれの原因に合った改善方法が必要になります。気持ちの落ち込みや抑うつ状態、不安や焦りなどを改善することで症状が軽減されたり、普段の食生活を見直すことによって症状が軽くなることもあります。

 

辛いものや油の多い食事は控える、消化にいいものをゆっくり噛んで食べる、アルコールを控える、適度に運動をする、など日常生活を見直すところから始めてみましょう。

病院で改善を行う場合、消化管運動機能改善薬と酸分泌抑制薬の二種類が初めに使われることが多く、場合によって抗不安薬、抗うつ薬が加えられます。

 

これらで改善が見られない場合、「漢方薬」を用いるのも選択肢の一つです。食後の胃もたれがある場合には、六君子湯という漢方薬が効く場合が多いです。

機能性ディスペプシアに効果的なツボ

雲門

膻中

中脘

・足三里

・労宮

雲門

雲門は肺経という肺に関係するツボが集まった経絡に属しているツボです。雲門は機能性ディスペプシアで嘔吐反射が強い時におすすめのツボです。刺激をすることで気持ち悪さを和らげてくれます。

 

歯磨きなどで嘔吐反射が起きやすい方は、歯ブラシを舌に触れさせないようにすることをお勧めします。

膻中

壇中は胃痛や胸やけ、不安感などに使われるツボです。気虚や気滞に効果を発揮しするのです。気虚は元気やエネルギーが不足している状態、気滞はストレスが身体に溜まって悪影響を及ぼしている状態のことです。

 

息苦しさ、動悸にもお勧めです。

中脘

中脘は胃経に関係するツボの中でも重要とされているツボで、胃の真ん中にあたるツボという意味があります。

 

中脘の効能には、消化機能の向上、胃腸の調整、腹部の張り、水分代謝の促進などの効果があります。

ツボの位置と押し方

雲門

雲門は、鎖骨の下側を肩方向になぞっていくと当たるくぼみにあります。左右の鎖骨の下から肩の関節へ向けて触っていくと指が止まるへこみを探しましょう。

 

ゆっくり親指を使って押します。

膻中

膻中は胸の中心です。 体の中央をはしる縦ラインと左右の乳首を結ぶラインが交わる場所です。押すと少し痛みがあります。

 

押すときは左右の手の中指を重ねて置きましょう。静かにゆっくり押します。

中脘

中脘は、みぞおちとおへその中間にあります。臍から指4本上に上がった場所です。

 

押すときは軽めに押しましょう。胃の調子が悪いときに軽く押すことをお勧めします。

胃の弱い人への周波数アプローチ
カウンセリングから施術

〈カウンセリングとアプローチ方法〉

まず体を見ていきます。

横に倒して腰の筋肉を見て、首を上に向けます。左右に動かしたところ、この方は左に突っかかりがありました。首を倒して再度確認します。

 

このとき、筋肉が動いているかということや可動性がどうかということよりも、脳が腰を守ろうとしているのかどうかを微妙な筋肉の緊張から確認することが大事です。痛みがあるかどうかも見ていきますが、脳がどこを守ろうとしているかということが1番のポイントなのです。

 

股関節や脈も見ていきます。お腹の硬さも見ます。交感神経が緊張すると腹筋に力が入ります。これは内臓を守ろうとするためです。内臓は弱いため丁寧に探っていきましょう。硬いところがあったらそこが悪いかどうか見極めます。

 

悪いところを見つけたときは、手を合わせて集中します。これは自分の精神エネルギーを体に与え、本人が持っている自己回復能力を刺激するという施術方法です。自分の精神エネルギーを与えて相手の神経エネルギーを刺激し、体の物理的なところが変化するというアプローチが周波数アプローチなのです。

 

この方は左卵巣、左腰、左股関節が悪いことがわかりました。また、胃のあたりの不快感もあったため胃に対するアプローチも行っていきます。1ヶ所15〜30秒かけて周波数を与えることで対象が緩みます。この緩みを確認することが大事です。

 

〈脳へのアプローチ〉

脳の側頭葉からアプローチをしていきます。頭を持ち上げて後頭部と前頭部から狙って当てていくと脳の中がぶるぶる揺れる感覚があります。頭が揺れているわけではないのですが、中が揺れている印象があると思います。これがエネルギーを使った施術の感覚です。

 

〈鼻へのアプローチ〉

咽頭扁桃といいBスポットのアプローチを行います。鼻の奥も脳と同じように揺れる感覚があると思います。この揺れる感覚が出るまでアプローチを行なっていきます。

施術後

体を倒して確認します。この時点で左腰の違和感は3割ほどとれたと言っていただけました。

 

まだ左仙腸関節の緊張が確認できたため、ここに手を当てて変化させていきます。女性特有の生理痛の可能性もあるため合わせて胃のアプローチも行います。また、機能性ディスペプシアの可能性もあるため背面の脊髄のアプローチも一緒にやっていきます。

 

再度体を倒すと腰の違和感が取れたと言っていただきました。この方の場合、仙腸関節と胃の違和感が左腰の違和感の原因であったため、変化によって違和感が取れたのです。

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