公開日:2021年 10月 2日
更新日:2021年 12月 2日
本日は原発性硬化性胆管炎について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
原発性硬化性胆管炎は、胆管に障害が起き、胆管が狭くなり、胆汁の流れが悪くなり、肝臓の働きも悪くなる病気です。
原発性硬化性胆管炎では、肝臓の中と外の比較的太い胆管に障害が起きます。血液を調べても特徴的な自己抗体はないため、血液所見だけで判断することは難しいです。
原発性硬化性胆管炎は合併症を起こすこともあります。主に起きる可能性のある合併症は潰瘍性大腸炎やクローン病などです。若い人の方が合併症を起こすことが多いと言われています。
原発性硬化性胆管炎を発症する頻度は女性より男性の方が少し多い傾向にあります。発症する年齢のピークは2つあり20歳代と60歳代ですが、10歳代の子供が発症するケースも珍しくはありません。
原発性硬化性胆管炎の原因は今のところ分かっていません。仮説としていろいろなことが言われていますが、はっきりとしたことは明らかになっていないのです。
原発性硬化性胆管炎は遺伝で発症することはありません。しかし、発症にある程度遺伝が関係するということはわかっています。
原発性硬化性胆管炎は、肝臓の胆管に影響を及ぼす進行性の病気です。この病気では、胆管の壁が炎症を起こし、硬化し、狭窄します。これにより、胆汁の流れが妨げられ、肝臓への損傷と最終的には肝硬変を引き起こします。しかし、PSCの具体的な原因は未だに完全には理解されていません。
免疫系と遺伝的要因
一部の研究者は、PSCが自己免疫の病気であると考えています。自己免疫の病気では、身体の免疫系が誤って正常な細胞を攻撃し、炎症を引き起こします。これが胆管の損傷と炎症を引き起こす可能性があります。さらに、PSCは一部の家系で多発することから、遺伝的要因も関与していると考えられています。
環境要因と感染症
一部の研究では、PSCの発症には環境要因も関与している可能性が指摘されています。例えば、喫煙、アルコール消費、あるいは特定の感染症がPSCのリスクを増加させる可能性があります。しかしながら、これらのリスク要因とPSCとの間の直接的な関係を確立するための研究はまだ不十分です。
腸内微生物相
また、腸内の細菌叢がPSCの発症に関与している可能性も研究されています。PSCでは、腸内微生物相の組成が健康な人と比較して異なることが示されています。これらの細菌が免疫反応を誘導し、胆管への炎症を引き起こす可能性があります。
まとめ
PSCの原因は多因子性であり、免疫系の異常、遺伝的要因、環境要因、そして腸内微生物相の変化などが関与していると考えられています。ただし、これらの要因がどのように相互作用し、胆管の炎症と硬化を引き起こすかについてはまだ完全には解明されていません。このため、PSCの原因を詳しく理解するためにはさらなる研究が必要となります。
原発性硬化性胆管炎の症状は、黄疸や皮膚のかゆみです。これらは、胆管が狭くなり胆汁の流れが悪くなることによって起こります。細菌が感染すると、胆管炎などの症状も起こります。
最初の段階では、黄疸やかゆみが起きることが多いです。しかし、特に症状がない時に体を調べてたまたま見つかることもあります。原発性硬化性胆管炎であると判断された後も特に症状がないこともあります。
判断されないまま放置した場合や改善の効果が見られない場合は、肝臓の機能が少しずつ下がっていき、肝硬変に進んでいきます。
そうなると、食道や胃の静脈瘤や腹水、黄疸、 肝性脳症などが起こり、肝不全へ進み、命に危険が及ぶこともあります。
原発性硬化性胆管炎は肝臓の胆管に影響を及ぼし、その壁を硬化させ、炎症を引き起こします。これが胆汁の流れを妨げ、長期的には肝硬変や肝癌を引き起こす可能性があります。しかし、PSCの進行は人により異なり、症状も人により大きく異なります。
無症状期間
多くの場合は初期段階では症状を感じません。病気は肝臓を調べたり他の腸の病気、特に潰瘍性大腸炎の判断の一環として偶然に発見されることがあります。
疲労
疲労はPSCの初期の一般的な症状であり、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。疲労の原因は完全には理解されていませんが、慢性の病気のストレス、肝臓の機能低下、または他の健康問題が寄与している可能性があります。
黄疸
胆汁の流れが妨げられると、胆汁成分の一つであるビリルビンが血液中に蓄積します。これにより皮膚や眼の白い部分が黄色くなる症状、黄疸が生じます。
かゆみ
胆汁が肝臓から適切に排出されないと、特定の物質が血液中に蓄積し、皮膚のかゆみを引き起こすことがあります。かゆみは時には非常に強く、生活の質を著しく低下させることがあります。
上腹部痛
一部では上腹部または右上腹部の痛みを経験することがあります。これは胆汁の流れの障害によるもので、痛みは通常は緩慢に進行します。
進行した病期の症状
PSCが進行すると、肝硬変が発生し、肝臓の機能が低下します。これにより、下記のようなさらなる症状が現れる可能性があります。
食欲不振と体重減少:消化不良や全身の疲労感が食欲を低下させ、体重減少を引き起こすことがあります。
液体の蓄積:肝臓が正常に機能しないと、腹部や足に液体が溜まることがあります。これはそれぞれ腹水と下肢浮腫と呼ばれます。
出血とブルーズ:肝臓がダメージを受けると、血液の凝固に必要な物質の生産が低下します。これにより、出血しやすくなったり、皮膚に簡単に打撲痕が出来たりします。
PSCはまた、肝臓の癌(肝細胞癌)や胆管の癌(胆管癌)のリスクも高めます。これらの病気は進行が早く、しばしば重篤な症状を引き起こします。
症状は個人により異なり、病気の進行に伴って時間とともに変化します。したがって、新たな症状が現れたり、既存の症状が悪化したりした場合は、必ず医師に相談してください。
原発性硬化性胆管炎の改善方法は、ウルソデオキシコール酸を使うことです。ウルソデオキシコール酸を使うことでALPやγGTPの値が下がることが期待できます。値があまり下がらない場合は、ベザフィブラートを追加することもあります。
ただし、これらの薬が原発性硬化性胆管炎の進みを防いでいるかどうかのデーターは十分ではありません。原発性硬化性胆管炎の改善については今後まだまだ研究が必要なのです。
胆管の強い狭窄がある場合は、内視鏡によって胆管を拡張することで改善を行います。症状が進んで肝不全の状態になると、改善する方法は肝移植のみです。
原発性硬化性胆管炎は改善が難しい病気であり、現時点では根本的な改善方法がないことが実情です。そのため、改善の主な目的は症状の管理、合併症の予防、そして生活の質の向上です。
症状の管理
PSCに関連する症状に対する改善方法は多岐にわたります。例えば、肝臓から胆汁が十分に排出されないために起こるかゆみは、胆汁酸を結合して排出する薬剤(例:コレスチラミン)で管理されることがあります。また、PSCが進行し、肝臓の機能が低下すると出血傾向が見られることがあり、その場合はビタミンKの補給が必要となることがあります。
胆管の拡張
胆管が狭窄し、胆汁の流れが妨げられると、内視鏡的逆行性胆管造影(ERCP)という処置を用いて胆管を拡張することがあります。この処置により、一時的にでも胆汁の流れが改善し、症状が軽減されることがあります。しかし、この方法は合併症のリスクもあり、全ての人に対して適応されるわけではありません。
免疫抑制
PSCは自己免疫的な要素を持つ可能性があり、そのため免疫抑制薬が試みられることもあります。しかし、これらの薬剤がPSCの進行を阻止または遅らせることが確実に示されたわけではありません。
肝移植
最終的に、PSCが肝臓の機能を大きく損ねた場合、肝移植が必要となることがあります。肝移植は大きな手術であり、重篤な合併症を引き起こす可能性がありますが、多くの場合は生命を維持し、生活の質を改善するための最善の選択肢となることがあります。この手術の成功は高く、多くの場合手術後に正常な生活を送ることができます。
ライフスタイルの改善とサポート
PSCでは、健康的なライフスタイルを維持することも病状の管理に必要であると言われています。これには、バランスの良い食事、定期的な運動、アルコールの避ける、十分な休息をとるなどが含まれます。また、ストレスや不安を軽減するためには、カウンセリングや支援グループを利用することも有益です。
PSCの改善方法は個人それぞれ個別に適応され、多職種の専門家チームによって管理されます。医師、看護師、栄養士、心理カウンセラーなどがチームとなって、本人とその家族をサポートします。
しかし、すべての人が同じ方法で効果を得られるわけではありません。したがって、PSCの改善には試行錯誤が必要であり、適応する方法を見つけるためには時間がかかることがあります。
原発性硬化性胆管炎では、血液などを定期的に調べて医師と相談しながら薬を使って改善を行うことが大事です。
珍しい病気でまだわかっていないことも多いため、できれば原発性硬化性胆管炎に詳しい医師に相談に行くことをお勧めします。
定期的に専門の医師を尋ねることが難しい場合も一度は相談に行き、現状や今後の見通し、改善方法など気になることを相談することで、より改善に前向きに取り組むことができる可能性があります。
原発性硬化性胆管炎はどのように改善が行われるかをご紹介します。
事例1:一般的な方法
40歳の男性
持続的な疲労と軽度のかゆみに悩まされ病院に行きました。彼はPSCと判断されました。まず、肝臓からの胆汁の排出を促す薬(ウルソデオキシコール酸)を処方され、疲労感とかゆみの症状が軽減されました。
事例2:進行したPSC
55歳の女性
進行したPSCを持っており、疼痛と黄疸が顕著でした。彼女は胆管の拡張を受け、胆汁の流れが改善されました。しかし、彼女のPSCは進行し続け、最終的に肝移植の適応となりました。手術後、彼女の生活の質は大幅に改善し、再び活動的な生活を送ることができました。
事例3:PSCと炎症性の腸の病気の併存
30歳の男性
PSCとともに炎症性の腸の病気を持っていました。彼の場合、薬での改善が行われました。IBDの活動を抑えるための免疫抑制薬と、PSCの症状を和らげる胆汁酸製剤が併用されました。また、彼の食事にも注意が払われ、PSCとIBDの両方に有益な食品が推奨されました。
以上の事例からわかるように、PSCの改善方法は多岐にわたります。PSCの改善には「ワンサイズフィットオール」のアプローチは存在しないため、改善は個々の具体的な症状、病状の進行度、同時に存在する他の健康問題、そして生活スタイルによって異なります。
事例4:若年者のPSC
10歳の少女
PSCと判断され、肝臓への影響を最小限に抑えるために早期から改善が開始されました。彼女はウルソデオキシコール酸を始め、その後ビタミン補給を併用しました。また、彼女の家族全員が彼女の病状を理解し、健康的な食生活と適度な運動を維持することで、彼女の全般的な健康状態を維持するのを支えました。
事例5:年配者のPSC
72歳の男性
長年にわたりPSCを発症しており病状は比較的安定していたが、年齢とともに一部の症状が増加しました。彼のチームは彼の健康状態全般を考慮に入れ、一部の症状を管理するために痛み止めとかゆみ止めを追加しました。また、彼は定期的な心臓スクリーニングを受け、PSCによる他の健康リスクを評価しました。
これらの事例は、PSCの改善方法が個々に対応して適応することを示しています。PSCに対する改善方法は、症状の軽減、生活の質の向上、そして最終的には肝臓の健康を維持することを目指しています。
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