公開日:2019年 12月23日
更新日:2021年 5月 15日
本日は毛囊炎について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
毛囊炎の原因となる細菌は、主に黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌です。また、両方が同時に感染する感染することもあります。最近では、抗菌薬に耐性があるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が原因のことも多いです。
ブドウ球菌は常に皮膚にいる皮膚の常在菌です。しかし、毛穴が傷ついたり、皮膚が汗などで湿ってしまったりした時、中に入り込んで炎症を起こしてしまいます。
そのため、毛穴を傷つけてしまうことが起こりやすい髭剃りやムダ毛処理の後に毛囊炎が起こりやすいのです。また、ステロイド外用薬を使用しているときにも、毛囊炎が起こることがあります。
他にも、真菌であるカンジダが感染して起こるカンジダ性毛包炎が見られることや、緑膿菌や、その他の菌が原因となって起こっていることもあります。緑膿菌が原因の毛囊炎は、塩素によっての水の処理が完全にできていない状態のお風呂の浴槽やジャグジーに入ったことが要因で発生することが多いです。
1. 細菌感染
最も一般的な原因は細菌感染です。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus):最も一般的な原因菌です。皮膚の表面に存在し、毛包に侵入すると炎症を引き起こします。
偽膜性細菌(Pseudomonas aeruginosa):温水浴槽やプールで感染することがあり、「ホットタブ毛嚢炎」と呼ばれます。
2. 真菌感染
カンジダ菌や皮膚糸状菌(真菌の一種)が原因となっての発症は、免疫力が低下している場合や長期間の抗生物質使用後に見られることが多いです。
3. ウイルス感染
単純ヘルペスウイルス(HSV)が原因で毛嚢炎を引き起こすことがあります。特に免疫力が低下している人に見られます。
4. 物理的刺激
摩擦や圧迫:タイトな衣服、リュックサック、帽子などの長時間の着用による摩擦や圧迫が原因で毛包が炎症を起こすことがあります。
剃毛:カミソリでの剃毛が原因で毛包が損傷し、細菌が侵入しやすくなります。
5. 毛穴の詰まり
皮脂の過剰分泌:皮脂腺が過剰に皮脂を分泌すると、毛穴が詰まりやすくなり、炎症が起こります。
角質の蓄積:皮膚の角質が過剰に蓄積すると、毛穴が詰まりやすくなります。
6. 免疫力の低下
免疫力が低下すると、細菌や真菌に対する抵抗力が弱まり、毛嚢炎を発症しやすくなります。
糖尿病:血糖値の管理が不十分な場合、細菌感染に対する抵抗力が低下します。
HIV/AIDS:免疫力が著しく低下し、さまざまな感染症にかかりやすくなります。
免疫抑制薬の使用:移植手術後や自己免疫疾患の治療で使用される免疫抑制薬により、免疫力が低下します。
7. 特定の環境要因
温湿度の高い環境:汗をかきやすい環境では、皮膚が湿った状態が続き、細菌が繁殖しやすくなります。
不適切な衛生管理:皮膚の清潔が保たれていない場合、細菌が増殖しやすくなります。
8. アレルギー反応
特定の化粧品、スキンケア製品、洗剤などに対するアレルギー反応が原因で毛嚢が炎症を起こすことがあります。
9. ホルモンの変化
ホルモンの変化が原因で皮脂の分泌が増加し、毛穴が詰まりやすくなることがあります。思春期や妊娠中、ホルモンの改善を受けている場合などが該当します。
10. その他の要因
栄養不足:ビタミンやミネラルの不足が皮膚の健康に影響を与え、感染しやすくなることがあります。
遺伝的要因:家族に毛嚢炎を起こしやすい人がいる場合、その傾向が遺伝することがあります。
毛囊炎は、毛包に一致した赤いぶつぶつや真ん中に膿疱と呼ばれる膿を持ったぶつぶつを発症します。そのぶつぶつの周りは赤みを持っています。かゆみはないことが多いですが、押したときに痛みが生じることあります。
たまに生じるかゆみと微かな痛み以外は症状はありません。毛囊炎は毛穴があるところには体のどこにでもできます。中でも、特に顔面や胸、脇のような脂漏部位や首の後ろ、太もも、お尻のような擦れやすいところにできる傾向が強いです。
毛囊炎のぶつぶつは1個だけできることもありますが、広範囲に広がって数個~数十個集まってできることもあります。ぶつぶつは、皮膚の表面や内部に膿がたまり、小さな赤や白の吹き出物のようにできます。
ぶつぶつの見た目はニキビとよく似ています。そのため、最初にぶつぶつの存在に気がついた時、ニキビの薬を塗る人も多いですが、ニキビの薬を塗っても改善しないときは毛嚢炎が疑われます。
1. 発赤と腫れ
発赤:炎症を起こした部位の皮膚が赤くなります。
腫れ:毛包周囲が腫れて、触れると硬く感じることがあります。
2. 痛みと圧痛
痛み:軽い痛みや不快感があります。痛みは炎症が進行するにつれて増すことがあります。
圧痛:押すと痛みを感じることがあります。
3. 膿疱の形成
膿疱:毛包の周囲に小さな膿疱が形成されます。膿疱は黄色や白色の頭を持ち、周囲が赤く腫れています。
破裂:膿疱が破裂すると、膿が出て、痛みが軽減することがあります。
4. かゆみ
かゆみ:初期段階ではかゆみを感じることがあります。炎症が進行すると、かゆみは痛みに変わることがあります。
5. 触感の変化
硬結:炎症部位が硬く感じられることがあります。触るとしこりのような感触があります。
6. 多発性
多発性の発疹:毛嚢炎は一つの毛包にとどまらず、複数の毛包に同時に発生することがあります。特に免疫力が低下している場合や皮膚が汚れている場合に見られます。
7. 膿の排出
膿の排出:膿疱が破裂して膿が排出されると、その部分にかさぶたが形成されます。適切なケアをしないと二次感染を引き起こすことがあります。
8. 瘢痕の形成
瘢痕:重度の毛嚢炎や繰り返し発生する毛嚢炎では、皮膚が改善する際に瘢痕が形成されることがあります。
9. 全身症状
発熱:重度の感染や広範囲の炎症がある場合、発熱を伴うことがあります。
倦怠感:全身の倦怠感や体調不良を感じることがあります。
10. その他の症状
リンパ節の腫れ:感染が進行すると、近くのリンパ節が腫れることがあります。
皮膚の乾燥やかさつき:炎症がおさまった後、皮膚が乾燥してかさつくことがあります。
毛囊炎は、数が少ないときは放っておいても自然に改善することも多いです。そのため、特に改善に対して特別なことをする必要はありません。
もし、痛みがあったり広範囲にわたっていたり数が多かったりする場合は、皮膚科に相談してください。抗菌薬の内服や外用を行なって改善します。その際、1つの抗菌薬では効果が見られない場合もあります。
そのような場合は、薬剤感受性を調べ、その結果から効果の期待できる抗菌薬の種類に変更する可能性もあります。真菌によるカンジダ性毛包炎の場合は、抗真菌剤の外用薬を使用して改善を試みます。
症状が続く場合は、培養して調べます。原因となっている菌の特定をするためです。毛囊炎の原因となっている菌の特定ができると、薬剤感受性を調べることができます。すると、その結果によって適正な抗菌薬がわかります。
毛囊炎の改善にかかる期間は、一般的に改善に取り組み始めて1~2週間です。そのくらいで症状が改善することが多いです。病院に通う頻度としては、1週間に1回程度です。
1. 家庭療法
洗浄:毎日やさしく洗浄し、清潔に保ちます。抗菌石鹸を使用すると効果的です。
手洗い:手をこまめに洗い、触れる前に必ず手を洗います。
温湿布の使用:温かい湿布や温かいタオルを当てると、血行が良くなり、膿が排出しやすくなります。1日数回、1回あたり15〜20分程度行います。
保湿剤の使用:乾燥を防ぐために、適度な保湿を心がけます。非コメドジェニック保湿剤を使用すると良いです。
市販の抗菌クリーム:軽度の毛嚢炎には、市販の抗菌クリームや軟膏を使用することができます。商品にはバシトラシンやポリミキシンBを含むものがあります。
2. 生活習慣の改善
ゆったりとした衣服:タイトな衣服は避け、通気性の良い、ゆったりとした衣服を選びます。摩擦を減らすことで炎症を防ぎます。
適切なヒゲ剃り:剃毛の際には清潔なカミソリを使用し、シェービングクリームをたっぷり使うことで、毛包へのダメージを最小限に抑えます。また、剃毛後にはアフターシェーブローションを使用し、皮膚を保護します。
3. 病院での改善方法
局所抗生物質:クリンダマイシンやエリスロマイシンなどの局所抗生物質が処方されることがあります。
経口抗生物質:感染が広がっている場合や重症化している場合には、経口抗生物質が処方されることがあります。代表的なものにセファレキシンやドキシサイクリンがあります。
抗真菌薬の使用:真菌感染が原因の場合、抗真菌薬が処方されることがあります。外用薬や内服薬の形で使用されます。
抗ウイルス薬の使用:ヘルペスウイルスが原因の場合、アシクロビルなどの抗ウイルス薬が処方されることがあります。
切開排膿:大きな膿疱が形成されている場合、医師によって切開して膿を排出する処置が行われることがあります。これにより、痛みが軽減し、改善が促進されます。
4. 予防策の実施
健康的な生活習慣:バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、免疫力を高めます。
ストレス管理:ストレスを軽減し、リラックスする時間を持つことも重要です。
湿度管理:室内の湿度を適切に保つことで、皮膚の乾燥を防ぎます。
衛生的な生活環境:家の中を清潔に保ち、細菌や真菌の繁殖を防ぎます。
毛囊炎は、肌のバリア機能が弱ってしまい、細菌が入ることによって起こります。髭剃りやムダ毛処理の後や脱毛中、ステロイド薬の服用中になってしまうことも多いです。
ぶつぶつがたまにできる程度であればそんなに気にすることはありませんが、次々に広範囲でたくさんできる場合、毛囊炎になる原因が生活の中にないかどうかを考えてみてください。
日常生活の中にも思いあたるような原因がなく、ぶつぶつが広範囲にできたり数多くできたり長く続いたりする場合は皮膚科専門医に相談してください。
・合谷
・足三里
・曲池
合谷は、あらゆる肌トラブルに効果を発揮すると言われているツボです。 肌荒れや吹き出物の改善などに使われます。そのため、毛嚢炎にも効果が期待できます。
さらに、合谷は顔のむくみの解消にも役立つツボです。
足三里は陽明胃経という経絡上にあるツボです。足三里の効果は、倦怠感の改善、胃の働きの促進、脚の疲れの改善、冷えやむくみの改善、リラックス効果、うつの症状を和らげることなどです。
江戸時代には旅をするときや健康の管理のために三里の灸が流行ったと言われています。毛嚢炎による炎症が下半身のおしりや足にできた時は足三里がおすすめです。
曲池は、肌トラブルに効果を発揮するツボです。ニキビや吹き出物、湿疹や痒みなどに効果的です。
曲池は、毛嚢炎で腰から上の上半身に炎症が起きた場合におすすめのツボです。
合谷は、手の甲の側にあるツボです。親指と人差し指の骨が交わる手前で人差し指側にあります。
押すときは少し痛いくらいの力加減がおすすめです。
足三里は膝蓋骨のすぐ下にある外側のくぼみから約5cm下で、前脛骨筋の上にあるツボです。
両方の親指を重ねて押しましょう。押すだけではなくお灸もおすすめです。それぞれ朝昼晩と1日3回、30回以上もぐさをすえてみましょう。
曲池は、肘を直角に曲げたときにできる横じわの線の上で、腕の外側の先端にあるツボです。
押すときはゆっくり押してゆっくり離しましょう。お灸もオススメのツボです。足三里と同じようにもぐさをすえることも効果的です。
11時から21時
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11時~21時迄 | ◯ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
年末年始