糖尿病神経障害の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  10月 1日

更新日:2022年  10月15日

本日は糖尿病神経障害について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 糖尿病神経障害とは
  • 糖尿病神経障害の原因
  • 糖尿病神経障害の症状
  • 糖尿病神経障害の改善方法
  • 糖尿病神経障害のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

糖尿病神経障害は、糖尿病によって起きる神経障害のこと

糖尿病神経障害は、糖尿病によって起きる神経障害のことです。糖尿病神経障害の中には2つのタイプがあります。いくつかの神経に同時に機能不全が起きる多発神経障害と1本の神経だけに傷がつく単神経障害です。

 

多発神経障害の方が発症が多くみられます。症状は、軽い自覚症状だけのこともあれば命に関わるほど重大なこともあります。

 

糖尿病神経障害は、糖尿病に起こり得るいろいろな合併症の中でも多く発症が見られる合併症です。

原因は、神経細胞の変化や動脈硬化による神経細胞の血流不足など

糖尿病神経障害の原因は、高血糖によって発症する神経細胞の変化や動脈硬化からくる神経細胞の血流不足や栄養不足などであるといわれています。

 

糖尿病を発症し長い期間高血糖が続くことで、神経の周りの血管が傷んだり、神経そのものの性質が変わり、神経の働きを悪くさせることによって神経障害が起きるのです。

糖尿病神経障害の原因

糖尿病神経障害は、糖尿病の中で最も一般的な合併症の一つであり、病気の進行とともに多くの人が経験します。この障害は主に糖尿病の末梢神経に影響を与えるもので、足や手の神経が最も影響を受けやすい部位です。では、なぜ糖尿病ではこのような神経障害を発症するのでしょうか?

 

1. 高血糖とその影響

糖尿病の主な特徴は、血糖値の異常な上昇、すなわち高血糖です。長期間にわたる高血糖は、体内の多くの組織や細胞に悪影響を及ぼす可能性があります。神経細胞も例外ではありません。

 

神経細胞の栄養供給の障害:高血糖は、神経を支える毛細血管の機能を低下させる可能性があります。これにより、神経細胞への栄養供給や酸素供給が不足し、神経細胞の損傷や死を引き起こすことが考えられます。

 

糖化終産物の蓄積:高血糖状態が続くと、糖分子が体内のタンパク質と結合し、糖化終産物が形成されることが知られています。これらの糖化終産物は、神経細胞やその周囲の組織に悪影響を与える可能性があります。

 

2. 神経の酸化ストレス

高血糖は、体内での酸化ストレスの増加を引き起こす可能性があります。これは、活性酸素やフリーラジカルと呼ばれる化学物質の生成が促進され、細胞や組織の損傷が進行することを意味します。神経細胞は、これらの酸化的なダメージに特に敏感であり、この酸化ストレスが神経障害の原因となると考えられています。

 

3. 免疫系の反応

糖尿病では、免疫系が異常に活性化されることが報告されています。これにより、自身の神経細胞を攻撃する可能性が考えられ、糖尿病神経障害の発症に関与しているとの説も提唱されています。

 

4. 代謝因子の変化

高血糖は、神経細胞の代謝にも影響を与える可能性があります。例えば、神経細胞のエネルギー産生に関与するミトコンドリアの機能障害や、細胞内のさまざまなシグナル伝達経路の変化が報告されています。

症状は、多発神経障害か単神経障害かによって違う

糖尿病神経障害の症状は、多発神経障害か単神経障害かによって違います。

 

多発神経障害の場合は、足の裏で砂利を踏んでいるような感覚を感じたり、足の裏に薄皮が張っているような感覚を感じたりします。さらに、下痢や便秘、胃もたれや頻尿、失禁、勃起障害や発汗異常などのいろいろな症状も現れます。

 

単神経障害の場合は、単一神経麻痺が現れます。麻痺は急に現れ、外眼筋麻痺や顔面神経麻痺が見られることが多いです。

糖尿病神経障害の症状

 

糖尿病神経障害は、糖尿病の合併症の中でも特に頻繁に見られるものであり、多くの糖尿病発症者が何らかの形でこれに苦しむ可能性があります。この神経障害は、神経の伝導機能が損なわれることからさまざまな症状を引き起こします。

 

1. 感覚異常

 

最も一般的に報告される症状の一つが感覚の異常です。

 

しびれ: 手足の先端部、特に足の指の周辺にしびれを感じることがよくあります。

 

痛み: 刺すような痛みや焼けつくような痛み、深い鈍痛といったさまざまなタイプの痛みを感じることがあります。

 

感覚の喪失: 病状が進行すると、感覚が徐々に鈍くなり、温度や触感を感じにくくなることもあります。

 

2. 運動機能の障害

 

重度の神経障害が進行すると、筋肉の力が弱くなることがあります。特に、足の筋肉が最も影響を受けやすく、歩行困難やバランスの喪失を引き起こすことがあります。

 

3. 自律神経障害

 

糖尿病神経障害は、末梢神経だけでなく、自律神経にも影響を与えることが知られています。これにより以下のような症状が現れることがあります。

 

消化器症状: 吐き気、嘔吐、下痢や便秘といった消化器系の問題。

 

心拍数の変動: 不整脈や心拍数の増加。

 

性機能障害: 勃起障害や性的な感覚の低下。

 

発汗異常: 過度な発汗や逆に発汗の減少。

 

4. その他の症状

 

温度感知の障害: 熱いものや冷たいものを正しく感じられない。

 

関節の変形: 神経障害が関節や筋肉に影響を及ぼし、特に足の関節が変形することがあります。

 

足の皮膚の変化: 皮膚が乾燥し、ひび割れや潰瘍を生じやすくなる。

糖尿病神経障害を改善するには、良好な血糖コントロールを保つ

糖尿病神経障害を改善するためには、良好な血糖コントロールを保つことが大事です。症状を改善するためには、薬を使います。自覚症状や神経機能の悪化を抑えるためにアルドース還元酵素阻害薬が使われています。

 

症状が慢性化すると改善を一定期間行なっても病気が改善しないことも多いため、心理的にサポートをすることも非常に大事です。

 

糖尿病神経障害の症状は人によって違います。そのため、個人に合わせた改善方法を行うことが重要になります。

糖尿病神経障害は、長期間にわたる高血糖の影響を受けて神経が損傷することにより発生します。そのため、治療の主な目的は血糖値を正常範囲に保つことに加え、痛みやその他の症状を管理することです。

 

1. 血糖値の管理

血糖コントロール: 糖尿病神経障害の発症や進行を防ぐ最も基本的な方法は、血糖値を正常範囲に保つことです。食事、運動、インスリンや経口抗糖尿病薬を適切に組み合わせることで、血糖の管理が行われます。

 

2. 痛みの管理

抗うつ薬: トリクリック抗うつ薬(例: アミトリプチリン)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(例: ドゥロキセチン)が神経性の痛みの管理に用いられることがあります。

抗てんかん薬: ガバペンチンやプレガバリンといった抗てんかん薬が、神経痛の改善に有効であることが知られています。

鎮痛薬: 一般的な鎮痛薬(例: 非ステロイド性抗炎症薬)が軽度の痛みに対して有効であることがあります。

 

3. トピカル

カプサイシンクリーム: これは辛味成分であるカプサイシンを含み、痛みを伝える神経の活動を減少させる効果があります。

 

4. その他

TENS(経皮的電気神経刺激): 電気的な刺激が痛み伝達を阻害することにより、痛みの軽減を試みる方法です。

アルファ・リポ酸: 抗酸化作用を持ち、神経痛の緩和に役立つとされるサプリメントです。

 

5. 生活習慣の改善

適切な足のケア: 糖尿病神経障害では足の感覚が鈍くなることがあり、小さな傷や潰瘍に気付かないままとなることがよくあります。日常的に足をチェックし、適切な靴を履くこと、そして定期的に足を医師に見てもらうことが大事です。

禁煙: 喫煙は血流を悪化させるため、糖尿病発症者にとってさらなる神経障害のリスクを増加させます。

 

6. リハビリテーション

筋力の低下や運動障害が生じる場合、リハビリなどを通じて機能の回復や維持を試みることができます。

糖尿病神経障害は糖尿病の発症者の中で最も一般的な合併症の一つであり、特に足に影響を及ぼすことが多いです。足の感覚の低下は、小さな傷や感染、潰瘍に気付かないリスクを増加させ、最終的には足の切断を招く可能性もあります。したがって、これらの合併症を予防することは極めて重要です。

 

以下、予防のためのアプローチと注意点を、いくつかの引用元を交えながら詳しく解説します。

 

1. 継続的な血糖値の管理

最も重要なことは、血糖値の管理です。血糖値が正常範囲を維持されることで、神経障害のリスクが大幅に低減されます。

 

[American Diabetes Association]

 

2. 定期的に足を調べる

足を日常的に調べるすることは、問題の早期発見につながります。また、年に1回以上の足の専門的に調べることも推奨されています。

 [Mayo Clinic]

 

3. 適切な足のケア

乾燥や亀裂を防ぐために、足を清潔に保ち、保湿クリームを使用することが推奨されます。また、足にできた小さな傷や切り傷は、感染を防ぐために速やかに適切に改善する必要があります。

 

 [American Podiatric Medical Association]

 

4. 適切な靴を履く

足に合ったサイズの靴を履くこと、また適切なインソールを使用することで、足のトラブルを予防できます。

 

[Diabetes UK]

 

5. 禁煙

喫煙は血流を低下させるため、神経や血管の健康に悪影響を及ぼします。禁煙は、糖尿病神経障害の進行を遅らせる助けとなるでしょう。

 

6. アルコール摂取の制限

過度なアルコール摂取は神経障害のリスクを増加させる可能性があるため、適度な摂取が求められます。

糖尿病神経障害を発症している人

糖尿病神経障害を発症している人は、網膜症や腎症を発症したり発症している合併症の症状が悪化したりする可能性があります。そのため、定期的に病院に行き、糖尿病神経障害以外の糖尿病の合併症について調べることも大事です。

 

また、神経障害が進むと自覚がなく、低血糖を起こしやすくなることもあります。低血糖になった場合の対処法について医師に確認しておくことも必要です。

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