公開日:2022年 8月 1日
更新日:2025年 8月 4日
本日は副腎皮質酵素欠損症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
副腎皮質酵素欠損症は、生まれつきステロイドホルモンを作る過程に関わっている酵素やコレステロールを送る蛋白がかけていることによって起こる病気です。
ほとんどの場合は生まれてから1ヶ月以内に発症しますが、酵素障害の程度が軽い場合は幼児期から思春期に発症することもあります。幼児期から思春期に発症する副腎皮質酵素欠損症は遅発型副腎皮質酵素欠損症と言われます。
副腎皮質酵素欠損症の中には7つの病気が含まれています。その中で特にコルチゾールができないことによって、下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌されることで副腎が過形成するものを先天性副腎過形成症と呼びます。
副腎皮質酵素欠損症の原因は、遺伝子の異常です。原因となる遺伝子は病気によって違います。遺伝する病気で、遺伝形式は劣性遺伝です。劣性遺伝は、病気を起こす原因をもっている遺伝子を2つ持つと病気を発症します。
副腎皮質酵素欠損症の発症に男性と女性の差はありません。
21-ヒドロキシラーゼ(CYP21A2)・・・CYP21A2遺伝子の変異(90%以上)
11β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)・・・CYP11B1
17α-ヒドロキシラーゼ(CYP17A1)・・・ CYP17A1
3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素・・・ HSD3B2
最も多いタイプは、21-ヒドロキシラーゼ欠損症(CYP21A2)で副腎皮質酵素欠損症の約90%以上を占める最も頻度の高いタイプです。
この酵素が欠損しているとコルチゾールが作れない、アルドステロンが不足する、副腎刺激ホルモンが過剰になり副腎が過形成を起こすなどが起こります。アンドロゲン過剰となり、外性器の異常や多毛症なども現れます。
副腎皮質酵素欠損症では、非常に色々な症状が見られます。主な症状は、低血糖や食欲不振、疲労感や低血圧、循環障害、皮膚への黒色の色素沈着などです。電解質異常によって、低ナトリウム血症や高カリウム血症もみられます。
欠けている酵素の種類によって色々な外性器の異常もみられます。性ステロイド過剰によって女児外性器の男性化が見られたり、性ステロイド不足によって男児に尿道下裂や停留精巣、女性型の外性器が見られたりすることもあります。
新生児期から改善に取り組んでいない場合は、男女ともに思春期早発症がみられることもあります。
〈新生児・乳児期の症状〉
◉ 塩喪失型
副腎皮質ホルモンのうち、アルドステロンとコルチゾールの両方が著しく不足するタイプです。重症型で、命に関わる状態になります。
主な症状は、生後1〜2週目に重篤な脱水とショック症状、嘔吐、哺乳不良、体重減少、顔色不良、無気力、元気がない、電解質異常、低ナトリウム血症、高カリウム血症、低血糖発作、女児では外性器の男性化、陰核肥大、陰唇癒合、判別困難な外陰部です。
◉ 単純男性化型
アルドステロンはある程度作られるますが、アンドロゲンが過剰に分泌されることで性分化に異常を来す型です。
主な症状は、女児の外性器の男性化、男児の場合乳児期に陰茎肥大や精巣の大きさの異常、小児期からの早期思春期徴候、低身長です。
〈非古典型〉
思春期〜成人にかけて、軽度の酵素活性低下によって症状が徐々に出るタイプです。女性の主な症状は、月経不順、無月経、多毛、ニキビ、不妊症、男性化傾向です。男性の主な症状は、思春期早発、ニキビ、多毛、精巣サイズの異常です。
重症型では、慢性的な低血糖・ストレス耐性の低下が見られます。自律神経バランスの乱れによる、不安感、疲れやすさ、イライラが現れます。性同一性や外見に関する悩みも起こります。
副腎皮質酵素欠損症の改善方法は、副腎で作られないために体に足りていないステロイドホルモンを服用することです。薬の量は、定期的に病院で体の状態を調べて決められます。
先天性副腎過形成症の場合は、普段は足りていない糖質コルチコイドをヒドロコルチゾンとして服用します。鉱質コルチコイドが足りていない場合は、フルドロコルチゾンを服用します。
発熱や嘔吐や下痢がみられた場合や手術を受けるなどの身体的なストレスが強い場合は、普段飲んでいる量では足りないため、増やして飲むことが必要になります。
さらに、強い頭痛や腹痛、意識がもうろうとするなどの急性副腎不全の疑いのある症状がある場合は、点滴を行います。点滴によって、ヒドロコルチゾンを静脈内投与したり、電解質異常を正常にしたりすることが必要になるのです。
・ホルモン補充
副腎皮質ホルモンのうち コルチゾールとアルドステロン不足によって症状が起こります。よって、それらを薬で補うことが第一選択です。
① 糖質コルチコイド補充
使用する薬は、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾンです。
② 鉱質コルチコイド補充
使用する薬は、フルドロコルチゾンです。乳児期では食塩補充を併用することもあります
③ 性分化異常への対応
女児で外性器の男性化がある場合、必要に応じて外科的形成術を行います。思春期以降は、心理的サポートも重要です。
・発作時、ストレス時の対応
感染症や手術など体にストレスがかかると急性副腎不全を起こしやすいため、ストレスドーズが必要です。
発熱や外傷時:通常の2〜3倍のヒドロコルチゾンを一時的に増量
嘔吐などで内服不能時:自己注射(ヒドロコルチゾン筋注)を準備
家族や学校への「緊急時対応カード」の携帯
・成長とホルモンのバランス調整
長期のステロイドは骨成長や代謝に影響するため、定期的な骨年齢測定と血中ホルモン値チェックが必要です。
・非古典型への対応
症状が軽く、月経不順や多毛が主な場合は、低用量糖質コルチコイド、経口避妊薬、抗アンドロゲン薬などを使います。
副腎皮質酵素欠損症では、しっかりと薬を服用して副腎不全を防ぐことが非常に重要です。
風邪やインフルエンザなどの病気で発熱したり、胃腸炎などで嘔吐や下痢が起こったりした時や、全身麻酔で手術を受ける時などには、服用する量を増やすことが必要になります。
そのような場合は、きちんと医師に相談をすることが大事です。