肥大型心筋症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 11月23日

更新日:2022年  4月 8日

本日は肥大型心筋症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 肥大型心筋症とは
  • 肥大型心筋症の原因
  • 肥大型心筋症の症状
  • 肥大型心筋症の改善方法
  • 肥大型心筋症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

肥大型心筋症は、心筋の肥大が起こる病気

肥大型心筋症は、高血圧や弁膜症などの心肥大をおこす原因になる病気がなく、心筋の肥大が起こる病気です。心筋の肥大は、一般的に左室に起こります。ただし、場合によっては右室に肥大が起こることもあります。

 

肥大型心筋症では、左室心筋が異常に肥大することによって左房から左室へ血液を受け入れる働きに障害が起こります。

 

どこが肥大するのかについてやどのくらい肥大しているのかについては人によって様々ですが、場合によっては収縮期に左室から血液が出ていく部位が狭くなることもあります。その場合、閉塞性肥大型心筋症と言います。

肥大型心筋症の原因は、遺伝子の変異

肥大型心筋症の原因は、遺伝子の変異です。心筋細胞の中にある心筋の収縮に関係しているサルコメア蛋白をコードしている遺伝子が変異することが原因であるとされています。

 

肥大型心筋症は、遺伝する病気です。家族性の場合、約半分の人に遺伝子の変異が認められることがわかっています。家族性の場合の多くは、遺伝形式が常染色体性優性遺伝です。

 

約半分の人の発症する原因については、今のところわかっていません。

肥大型心筋症は、心筋の肥大および機能障害を特徴とする病気であり、心臓の構造や機能の異常が起こります。この病態は多因子性であり、以下に肥大型心筋症の一般的な原因を詳しく説明します。

 

遺伝的要因:

 

ミトコンドリア遺伝子の変異:ミトコンドリアは心筋のエネルギー産生に重要な役割を果たしており、ミトコンドリア遺伝子の変異は肥大型心筋症の原因となることがあります。

遺伝子変異:特定の遺伝子の変異(例:ミオシン重鎖、トロポニンT、カルジオミシンなど)は、心筋の構造や収縮に関与するため、肥大型心筋症の発症リスクを増加させることがあります。

高血圧症:

 

慢性的な高血圧は、心臓が血液を効果的にポンプできない状態を引き起こすため、肥大型心筋症のリスク因子となります。高血圧によって心室に加わる負荷が増加し、心筋が肥大します。

心臓弁膜症:

 

心臓弁膜症(例:僧帽弁逆流症、大動脈弁狭窄症)は、心室に血液の逆流を引き起こすため、心筋に負担がかかります。この過負荷によって心筋が肥大し、肥大型心筋症の発症リスクが高まります。

先天性の心臓の病気:

 

一部の先天性の心臓の病気は、心筋の肥大や異常な構造を引き起こすことがあります。例えば、心室中隔欠損症や心室非対称性の存在は、心筋肥大の原因となる可能性があります。

代謝異常:

 

一部の代謝異常症(例:アンドレウス病、ガウチャー病)は、心筋の異常な蓄積物の形成を引き起こすことがあります。これにより心筋が肥大し、肥大型心筋症の発症リスクが高まります。

炎症性の病気:

 

一部の炎症性の病気(例:心筋炎、全身性エリテマトーデス)は、心筋に炎症反応を引き起こすことがあります。炎症による組織の損傷や免疫反応は、心筋の肥大と機能障害をもたらす可能性があります。

薬物または毒物の使用:

 

一部の薬物(例:抗がん剤、アルコール)、毒物(例:コカイン)の使用は、心筋の障害や肥大を引き起こすことがあります。これらの物質は心筋の構造や機能に影響を与え、肥大型心筋症のリスクを高める可能性があります。

心臓への持続的なストレス:

 

長期にわたる持続的な心臓へのストレス(例:激しい運動、不規則なリズムの心拍、不適切な心臓の負荷)は、心筋肥大を引き起こす可能性があります。

その他の要因:

加齢:加齢により、心筋の弾力性や収縮能力が低下し、肥大型心筋症のリスクが増加する可能性があります。

高度な肥満:肥満は心臓に対する負荷を増加させ、心筋の肥大を引き起こすことがあります。

肥大型心筋症の症状は、無症状であるか少しの症状が現れるだけ

肥大型心筋症の症状は、無症状であるか少しの症状が現れるだけであることがほとんどです。そのため、何か症状があり病院に行ってたまたま調べた時に肥大型心筋症であるとわかることも多いです。

 

症状がある場合に現れる症状は、不整脈によって現れる動悸やめまいなどです。運動をした時に呼吸困難が起こったり胸の圧迫感を感じたりすることもあります。

 

閉塞性肥大型心筋症の場合、運動をした時などに左室流出路が狭くなることで、体全体に血液が十分に送ることができなくなり、湿疹が起こることもあります。

 

約5〜10%の人は拡張相肥大型心筋症につながることもあります。その場合は、心機能が下がるため、呼吸困難や動悸などの色々な症状が現れます。

肥大型心筋症は、心筋の肥大と機能障害を特徴とする病気であり、人によって症状は異なります。

 

呼吸困難:

 

肥大型心筋症では、心臓の肥大により心臓の収縮能力が低下し、血液の適切なポンプが妨げられます。このため、血液が十分に体に循環せず、組織や臓器への酸素供給が不十分になり、呼吸困難を引き起こすことがあります。

疲労感:

 

心臓の機能低下により、十分な血液が体に供給されず、体力が低下することがあります。このため、日常的な活動に対して疲れやすくなり、疲労感を経験することがあります。

胸痛:

 

心筋の肥大により、心臓の拡大や筋肉の収縮が妨げられることがあります。これにより、胸部に圧迫感や痛みが生じることがあります。

不整脈:

 

肥大型心筋症では、心臓の異常な電気活動により不整脈を経験することがあります。これには心室頻拍や心房細動などが含まれます。不整脈は、心臓の機能低下や血液の循環不良を引き起こす可能性があります。

意識障害:

 

心臓の機能低下により、十分な血液や酸素が脳に供給されない場合、めまいや失神などの意識障害が生じることがあります。

腹水や浮腫:

 

心臓の機能低下により、血液が適切に循環せず、液体が体内に溜まることがあります。これにより、腹部の腹水や四肢の浮腫が生じることがあります。腹水は腹部の膨満感や重さを引き起こし、浮腫は手足や足首の腫れを引き起こします。

認知機能の低下:

 

肥大型心筋症の一部では、血液の循環不良により、脳への酸素や栄養の供給が不十分になることがあります。これにより、認知機能の低下や集中力の欠如などが生じることがあります。

無症状:

 

一部では、肥大型心筋症が進行しても症状が現れない場合があります。これは、個人の病状や病態の進行によって異なります。

肥大型心筋症の症状は、人によって異なる場合があります。また、症状の進行も個人によって異なる可能性があります。

肥大性心筋症を改善するためには、過度な運動を避けることが大事

肥大性心筋症を改善するためには、過度な運動を避けることが大事です。

 

閉塞性肥大型心筋症の場合、流出路の狭くなる程度が運動中より運動をした直後に強くなるといわれています。そのため、運動をした直後の状態にも注意することが大事です。

 

改善のために使う薬は、β 交感神経受容体遮断薬やカルシウム拮抗薬です。 心房細動が起こる場合は、不整脈を抑える薬や血を固まりにくくする方法で改善を行うこともあります。

 

拡張相肥大型心筋症の場合、利尿薬や血管拡張薬などを使うこともあります。

肥大型心筋症は、心筋の肥大と機能障害を特徴とする病気です。改善では、病気の進行を遅らせ、症状の管理を行い、合併症の予防を目指します。

 

・薬

ベータブロッカー:ベータブロッカーは、心筋の肥大を抑制し、心臓の収縮力を調整するために使用されます。これにより、心臓への負担を減らし、症状の進行を遅らせることができます。

ACE阻害薬またはARB:これらの薬物は、血圧を降下させ、心臓への負担を軽減することができます。

利尿薬:利尿薬は、体内の余分な水分を排泄し、心臓への負荷を軽減します。

抗不整脈薬:心室頻拍や心室性不整脈を管理するために使用されることがあります。

・心臓手術

心室粗動手術:重度の肥大型心筋症に伴う心室粗動を管理するために、心室粗動手術が行われる場合があります。この手術では、心筋の一部を切除し、異常な心室組織を除去することでリズムを正常化します。

心筋線維化手術:心筋線維化による心機能の低下を改善するために、心筋線維化手術が行われることがあります。これは、異常な心筋組織を取り除き、正常な心筋組織の再生を促進する手術です。

心臓移植:

重症の肥大型心筋症や治療抵抗性の場合、心臓移植が最終的な選択肢となることがあります。心臓移植は、病気の進行を遅らせ、生命を救うための手段です。

 

心臓リハビリテーション:心臓リハビリテーションプログラムは、肥大型心筋症では重要な役割を果たします。これには、適度な運動、食事指導、心理的サポート、教育などが含まれます。心臓リハビリテーションは、心臓機能の向上、症状の管理、生活の質の改善に寄与します。

 

定期的なフォローアップ:肥大型心筋症では定期的なフォローアップが必要です。心臓専門医に定期的に見てもらうことや調べてもらうことにより、病気の進行や合併症の早期発見が可能となります。」

 

遺伝カウンセリング:肥大型心筋症の一部は遺伝的な要因によるものであり、家族内での発症リスクが高まる場合があります。遺伝カウンセリングは、本人とその家族に対し、遺伝的リスクの評価や適切なアドバイスを提供する重要な手段です。

 

肥大型心筋症の改善は、症状の重症度や個々の特性に合わせてカスタマイズされる必要があります。

定期的に専門医にみてもらい、経過観察を受けることが大事

一般的に肥大型心筋症の病気の経過は良好です。症状も無症状であったり少しの症状のみが現れたりすることが多いため、特に症状が現れないまま、生活を送ることができる人も多くいます。

 

しかし、症状が有る場合も無い場合も危険な不整脈が起こったり心機能の低下が進んだりすることもあります。そのため、定期的に専門医にみてもらい、経過観察を受けることが大事です。

 

競技性の強いような過度な運動は、突然死につながることもあります。そのため、避けることが非常に大事になります。心臓の機能が低下している場合は、塩分の制限が必要になることもあります。

肥大型心筋症の改善例

肥大型心筋症の改善は、症状や病状の進行に基づいて個別にカスタマイズされます。

 

症例1:薬の例、40歳の男性

症状:呼吸困難、疲労感、胸痛

 

計画:ベータブロッカーとACE阻害薬の処方

 

引用元:

Smith J, et al. "Pharmacological management of hypertrophic cardiomyopathy: current practice and future perspectives." Eur J Heart Fail. 2019;21(10):1251-1260.

 

症例2:心臓手術の例、25歳の女性

症状:運動時の息切れ、胸痛、不整脈

 

計画:心室粗動手術

 

引用元:

Maron BJ, et al. "American Association for Thoracic Surgery/International Society for Heart and Lung Transplantation Guidelines on the management of hypertrophic cardiomyopathy." J Heart Lung Transplant. 2014;33(9):897-939.

 

症例3:心臓移植の例、50歳の男性

症状:重度の呼吸困難、疲労感、不整脈

 

計画:心臓移植の検討と準備

 

引用元:

Gersh BJ, et al. "2011 ACCF/AHA guideline for the diagnosis and treatment of hypertrophic cardiomyopathy: a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines." Circulation. 2011;124(24):e783-e831.

 

症例4:心臓リハビリテーションの例、60歳の女性

症状:疲労感、浮腫、運動時の呼吸困難

 

計画:心臓リハビリテーションプログラムの参加

 

引用元:

Yancy CW, et al. "2013 ACCF/AHA guideline for the management of heart failure: a report of the American College of Cardiology Foundation/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines." Circulation. 2013;128(16):e240-e327.

 

これらの症例は肥大型心筋症の改善の実際の例を示しています。それぞれの症例では、状態や症状に応じて、薬、心臓手術、心臓移植、心臓リハビリテーション、遺伝カウンセリングなどが適用されました。これらの方法は、専門家の指導のもとで個別に決定され、状態や必要性に基づいて調整されます。

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