ギャンブル依存症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  3月23日

更新日:2025年  7月 4

本日はギャンブル依存症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • ギャンブル依存症とは
  • ギャンブル依存症の原因と症状
  • ギャンブル依存症になりやすい人
  • ギャンブル依存症の改善方法
  • ギャンブル依存症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

ギャンブル等依存症は、精神的な病気の1つ

ギャンブル等依存症は、精神的な病気の1つです。

 

ギャンブルなどにのめりこみ、自分で自分自身のことをコントロールすることができなくなります。そして、日常生活や社会生活に影響が出て、一般的な日常生活や社会生活を送る上で支障が出てきます。

 

日常生活や社会生活を送る上で現れる支障はいろいろあります。ギャンブルによって、返すことのできないほどの借金をしたり貧困に陥ったりというような経済的な問題が起こることも多いです。

 

他にも、うつ病を発症するというような健康的な問題や、家庭がうまくいかなくなるというような家庭での問題、虐待や自殺、犯罪などの社会的な問題が起きることもあります。

 

ギャンブル依存症などの依存症は、病気です。しかし改善しない病気ではなく、適切な改善を行うことと周りの支援によって改善することができる病気です。

 

ただし、改善するためには、本人が病気であることを自覚することが大事です。そのまま放っておくと症状が悪化したり借金の問題などの問題も大きくなっていってしまうため、病気を自覚し改善に取り組むことが大事です。

薬物やアルコール依存症とギャンブル依存症のメカニズムは似ている

ギャンブル依存症の原因は、今のところ、生物学的要因と遺伝的要因、環境要因が組み合わさることで発症すると考えられています。

 

薬物やアルコール依存症とギャンブル依存症のメカニズムは似ているとも言われており、脳の中の報酬系という脳の中の高揚感を感じる部位の神経回路が亢進することが発症に関係していると考えられています。

 

パチンコやスロットのような電子ゲーム機の場合、機械そのものにも依存させる要因があります。

 

もう少しで当たる場面を見ると、脳の中の高揚感を感じる報酬系の部位の働きが活発になります。そのため、ギャンブルを続けたいと思ってしまうのです。

 

パチンコ台やスロット台では、画像や音響の中にも、脳の中の報酬系を活発にする仕組みが含まれています。そのため、何度も繰り返すようになるのです。

 

初めは報酬系の反応によって何度もギャンブルを繰り返すようになります。その後、ギャンブル依存症になってしまうと、やめたいと思ってもやめられなくなるのです。

ギャンブル依存症の症状は、ギャンブルにのめり込むことや興奮を求めてかける金額が増えていくこと、ギャンブルについての嘘をついたり借金したりすること、ギャンブルをしていないと落ち着くことができないことなどです。

 

ギャンブルを減らそうとしたりやめようとしたりしてもできなくなり、ギャンブルで負けても負けた分のお金をギャンブルで取り返そうとするようにもなります。

 

そのため、ギャンブルによって返すことのできないほどの借金をしたり貧困に陥ったりというような経済的な問題が起こります。

 

家庭がうまくいかなくなくなったり、お金を欲して犯罪を犯してしまったりすることもあります。

主な症状

〈精神・心理面の症状〉

ギャンブルへの強い衝動・・・やめたいのに、無性にやりたくなる欲求に襲われる

我慢するとイライラ、落ち着かない・・・ギャンブルをしないと禁断症状のような不安・焦燥感が出る

ギャンブルで気分転換しようとする・・・ストレスや不安、うつをまぎらわせるためにギャンブルに走る

現実感の麻痺・・・ギャンブル中は現実を忘れられる感覚に依存していく

 

行動面の症状〉

長時間ギャンブルを続ける・・・数時間のつもりが1日中ギャンブルしてしまうこともある

賭け金のエスカレート・・・徐々に賭け金を増やさないと満足できなくなる

負けを取り戻す行動・・・損失を取り戻そうとしてさらにのめりこむ

嘘をつく・・・家族や職場に対してギャンブルを隠す嘘が増える

借金や金銭トラブ・・・消費者金融、クレカ現金化、家族の財布に手を出すなど深刻化する

 

 

〈身体面、健康への影響〉

睡眠障害・・・夜通しギャンブル、不眠や昼夜逆転になる

自律神経の乱れ・・・緊張や不安、興奮状態が続き、動悸、胃腸不調や頭痛などが出る

アルコール、薬物依存の併発・・・気分を落ち着けるために飲酒や安定剤に依存することも

自殺念慮・・・借金や人生の行き詰まりから、希死念慮や自傷行為に至る場合もある

ギャンブルをする人はギャンブル依存症になる可能性がある

ギャンブルをする人は、誰でもギャンブル依存症になる可能性があります。特に、若い男性やストレスへの対処が上手にできない人、ギャンブルが身近にある環境の人などがギャンブル依存症を発症しやすいと言われています。

 

性格面では、我慢強い人や甘え下手な人に発症することが多いとも言われています。このような人は、借金などの問題を隠して自分一人で解決しようとするため、悪化していくのです。

ギャンブル依存症チェック

1. ギャンブルのことをいつも考えてしまう

2. 興奮やスリルを得るために、賭ける金額が次第に増えてきた

3. ギャンブルをやめたり減らそうとしたが、うまくいかなかった

4. ギャンブルをしていないとイライラしたり落ち着かなくなる

5. 負けを取り戻すために、翌日またギャンブルをしてしまったことがある

6. ギャンブルで失ったお金を取り返そうとして、さらに深くハマったことがある

7. ギャンブルのことを家族や友人に隠そうとしたことがある

8. ギャンブルによって、家庭・仕事・学業・人間関係に悪影響が出たことがある

9. ギャンブル資金のために、借金をしたり、他人のお金を使ったことがある

10. ギャンブルで得た「一時の勝利」が忘れられず、またあの感覚を求めてしまう

 

〈判定の目安〉

0~2個: 依存の傾向は少ないですが、予防意識を持つことが大切です。

3~4個: 軽度の依存傾向が疑われます。注意して生活習慣を見直しましょう。

5~6個: 中等度の依存の可能性があります。専門家への相談を検討してください。

7個以上: ギャンブル依存症の可能性が高いです。できるだけ早めに改善、支援を受けることが推奨されます。

偏っている考え方を見直すことが大事

ギャンブル依存症を改善するためには、考え方の偏りを見直したり、日常生活を変えたり、効果的な対処方法を身につけたりすることです。

 

ギャンブル依存症を発症すると、ギャンブルに関係する考え方に偏りが現れます。負け続けたとしても最終的には勝てるという考え方や迷信のような行動で運をコントロールできるという考え方が見られるのです。

 

さらに、負けた時のこと覚えていなくても勝った時のことをよく覚えていることも多いです。

 

ギャンブル依存症を改善するためには、まず偏っている考え方を見直すことが大事なのです。

 

本人がギャンブル依存症という病気であるということを自覚することも大事です。自分が病気である自覚がなければ改善は難しいため、自分が病気であると自覚しきちんと改善に取り組むことが必要なのです。

 

ギャンブラーズ・アノニマスというギャンブル依存症の人達の自助グループもあります。GAミーティングに参加することも改善のために効果的です。

主な改善方法

①まず「依存症だ」と気づくことが第一歩

ギャンブル依存の怖さは、本人に自覚がないまま進行することです。思い込みを捨て、「脳がギャンブルを求めてしまう状態」にあることを理解しましょう。

 

②精神科・依存症外来に行く

依存症は、脳内ドーパミン系の過剰な活性化や前頭前野機能の低下が背景にあります。医学的には「物質依存と同じ脳機能障害」と位置づけられています。精神科で「依存症専門外来」または「行動嗜癖」を扱う医師に相談しましょう。必要に応じて薬も検討します。

 

③同じ悩みを持つ人とつながる

孤独なままでは克服は困難です。自助グループに参加することで、「自分だけではない」と実感でき、再発防止にも効果的です。GAという匿名自助グループが全国にあり、Zoomやオンラインミーティングも可能です。

 

④お金・時間・誘惑から自分を隔離する

ギャンブルに走りやすい環境を見直し、「衝動の予防」が最優先です。現金を持ち歩かない、カードを家族に預ける、一人でパチンコ屋やカジノ近くに行かない、暇や孤独を減らすなどギャンブル衝動が出やすいトリガーを特定し、それを回避する工夫が重要です。

 

⑤脳と心を落ち着ける習慣を持つ

ギャンブルは、ストレス・怒り・孤独・不安の逃げ場になりやすいものです。瞑想・呼吸法、鍼灸やヨガ、日記を書く、ウォーキングや軽い運動などがオススメです。

 

⑥ギャンブル以外に生きがいを見つける

依存症からの回復は、やめることだけが目的ではなく、新しい自分の軸をつくることです。ボランティア、資格取得、スポーツ、手芸など人の役に立つことで、自己肯定感が回復してきます。お金を増やすではなく人生を豊かにする体験をしましょう。

 

⑦一人で抱えず支援を受ける

依存症は共依存や家族の孤立とも関係します。本人だけでなく、家族にもサポートが必要です。家族も専門機関に相談することで巻き込まれ疲れを防ぎましょう。

鍼灸の効果

①脳の報酬系の過活動を鎮める

ギャンブル依存は、勝敗のスリルによってドーパミンが大量に分泌され、脳が快感を覚えてしまう状態です。脳の報酬系と扁桃体が過敏になっています。鍼灸は、耳鍼や頭部鍼によって、ドーパミン系の暴走を抑制する可能性が研究でも示されています。

 

②衝動性やイライラを抑え、自制力を高める

ギャンブル依存では、やめたいのに、気づいたら手が動いているというような衝動性が強くなります。これは、脳の前頭前野機能が弱っているからです。鍼灸は、この衝動を穏やかにするのに役立ちます。

 

③不安・焦燥・孤独感など感情の波を落ち着かせる

多くの人は、孤独や不安から逃れるためにギャンブルをしてしまうという心理的背景を持っています。鍼灸は無気力や焦燥感、罪悪感、抑うつ気分、他人に対する過剰な警戒や引け目の改善に効果的です。

 

④不眠や過覚醒の改善

ギャンブル依存の人には、頭がさえて眠れない、眠っても夢でギャンブルをするなどの睡眠障害もよく見られます。これは、交感神経が興奮しっぱなしで、脳が休めない状態だからです。鍼灸は睡眠ホルモン分泌の促進、夜間の脳血流調整、リラックス時に働く副交感神経の活性化などを通じて、自然な眠りに導くサポートをします。

 

⑤自分自身への感覚を取り戻す

ギャンブル依存の方の多くは、自分の体の感覚が鈍い、今ここにいる感覚がないという解離のような状態にあることがあります。鍼灸は、身体に触れ、刺激を与えることで、呼吸の深さ、身体の温度や筋肉の張り、皮膚感覚の目覚めなどを通じて、今自分の体と心がここにあるという実感を取り戻す手助けになります。

 

⑥再発しにくい脳の回路をつくる補助

鍼灸は、飲まない、賭けないようにするという直接的制御ではなく、やらなくても落ち着いていられる、ストレスがあっても他の方法で解消できるという新しい脳の回路を支える補助的な介入になります。

問題があっても止めることができない場合、依存症であると考える

ギャンブル依存症では、何かの問題が起きていてもほどほどにできずやめられない状態になります。

 

起きる可能性のある問題は非常にいろいろあり、家族とのケンカが増えたり生活リズムが乱れたり、体調を崩したり、お金を使いすぎたりなど日常生活を送る上で大きなものばかりです。

 

アルコール依存症や薬物依存症なども同じく、問題が起こっていてもやめることができなくなります。自分が依存症ではないと思っていても、このような問題があっても止めることができない場合は、依存症であると考える必要があります。

 

依存症についてを考えた時、本人や家族が苦痛を感じていたり生活を送る上で困る問題があるかどうかが大事です。本人や家族が苦痛を感じていたり困る問題が起こっている場合は、改善が必要な状態であると考えましょう。

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