アレキサンダー病の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 8月23日

更新日:2025年 6月14

本日はアレキサンダー病について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • アレキサンダー病とは
  • アレキサンダー病の原因
  • アレキサンダー病の症状
  • アレキサンダー病の改善方法
  • アレキサンダー病のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

アレキサンダー病は遺伝子異常が原因で起こる病気

アレキサンダー病は遺伝子異常が原因で起こる病気です。1949年にAlexanderWSによって報告されたため、アレキサンダー病という病名になりました。

 

アレキサンダー病は、大脳優位型と延髄・脊髄優位型、中間型の3つの種類に分けられます。種類によって発症する時期や現れる症状が異なります。

アレキサンダー病の原因は、遺伝子の異常

アレキサンダー病の原因は、遺伝子の異常です。遺伝子の中でもGFAP遺伝子という遺伝子が異常を起こすことによって発症します。

 

GFAP遺伝子に変異が起きると異常なGFAPが作られ、異常なGFAPがアストロサイトの機能に障害を起こし、アレキサンダー病を発症すると言われています。

 

しかし、アレキサンダー病の原因についてはいまだに分かっていないことも多く、詳しいメカニズムなどについて解明されていないこともたくさんあります。

 

アレキサンダー病は、両親のどちらかに症状がある場合、子供に遺伝する確率は約50%です。

 

しかし、ほとんどの大脳優位型のアレキサンダー病や半数の延髄・脊髄優位型のアレキサンダー病は、両親ともにGFAP遺伝子異常を持っていないということがわかっています。

 

遺伝子に突然変異が起こり変異遺伝子になりアレキサンダー病を発症している場合も多いのです。

アレキサンダー病の根本的な原因は、GFAP遺伝子の変異です。GFAPは、アストロサイトの構造を支える中間径フィラメントタンパク質であり、神経系の安定性・支持に重要な役割を担っています。このGFAP遺伝子に点突然変異などの異常があると、GFAPタンパク質が異常に蓄積します。

 

変異によって作られた異常なGFAPタンパク質は、他のタンパク質とともに凝集し、ロゼンタール線維と呼ばれる異常構造体を形成します。このロゼンタール線維がアストロサイト内に蓄積することで、細胞機能が破綻し、結果として神経の働きに障害をもたらします。

 

アストロサイトは。神経細胞への栄養供給、神経伝達物質の回収、血液脳関門の維持、神経炎症の制御などの機能を持っています。これらの機能がロゼンタール線維の蓄積によって障害されるため、脳や脊髄に神経変性が起こり、運動障害や知能低下などの症状が出現します。

 

遺伝形式は常染色体優性遺伝ですが、実際多くの場合は両親に遺伝子異常がない孤発例です。

アレキサンダー病は種類によって症状が違う

アレキサンダー病では、様々な症状が現れます。アレキサンダー病は大きく分けて、大脳優位型と延髄・脊髄優位型、中間型の3つに分類され、種類によっても症状が違います。

 

大脳優位型の症状の特徴は、けいれんや頭囲拡大、精神運動発達の遅れです。他にも、嚥下機能や運動機能に障害が起こったり、尿が出にくくなったり立ちくらみや睡眠時無呼吸などが起こったりすることも多いです。

 

延髄・脊髄優位型の主な症状は、嚥下機能と運動機能、自律神経に障害が起きることです。嘔吐を繰り返したり、しゃっくりが起こることも多いです。

 

中間型の主な症状は、嚥下機能や運動機能、自律神経に障害が起きることです。延髄・脊髄優位型より症状の進行が早いとされています。精神の遅滞や成績の低下が現れる人も多いです。

 

アレキサンダー病は、どの種類でも現れる症状や症状の程度に個人差があります。

主な症状

・乳児型アレキサンダー病

0~2歳頃に発症します。主な症状は、頭囲が急激に大きくなる巨頭症、発達の遅れてんかん様発作、嘔吐、哺乳不良呼吸障害筋緊張低下などです。

 

 

・小児型アレキサンダー病

2歳~12歳頃に発症します。主な症状は、歩行障害や運動失調構音障害、嚥下困難反復性の嘔吐認知機能の低下などです。

 

 

・成人型アレキサンダー病

10代後半〜40歳以降まで発症時期は幅広いです。主な症状は、痙性対麻痺歩行障害、バランス障害言語障害認知障害難聴や視覚異常睡眠障害や疲労感です。

アレキサンダー病の改善方法は、確立されていない

アレキサンダー病の改善方法は、今のところ確立されていません。

 

けいれん発作がある場合は抗てんかん薬を使ったり、手足につっぱりがある場合には抗痙縮薬を使ったりして対処を行います。

 

栄養管理をしたり症状を和らげるために薬を使ったりと症状に合わせて対処を行うのです。

アレキサンダー病は根本的な改善方法が確立していない進行性の神経変性の病気です。しかし、現在では以下のような対処法やサポート的アプローチが行われており、症状の進行を緩やかにしたり、生活の質を高めることが可能です。

 

アレキサンダー病は GFAP遺伝子の異常に起因するため、現時点では遺伝子の改善が唯一の根本的対策候補です。マウスモデルを用いたアンチセンスオリゴヌクレオチド療法などが開発中ですが、人への実用化は未定です。

 

主な症状に対する具体的な対応法は、抗てんかん薬や脳室-腹腔シャント術、装具や杖の使用、嚥下訓練、発声や発語の訓練、生活リズム調整、呼吸や循環サポートも含めたリハビリ介入などです。症状に応じた対応を行います。

鍼灸はアレキサンダー病の根本的な改善ではないものの補助的な効果が期待できます。

 

研究では、鍼灸刺激がアストロサイトのカルシウム波動を調整する作用が報告されており、中枢神経の過敏化を抑える可能性が示唆されています。延髄近くの症状による呼吸調節障害や嚥下障害に対し、督脈や脳幹関連の経絡への刺鍼で呼吸リズムを整える補助になることがあります。

 

痙性麻痺や筋硬直に伴う痛みや疲労感に対し、鍼灸は筋緊張緩和、局所循環の改善に効果的です。また、不安や不眠、食欲不振など、二次的な不調に対し、鍼灸は副作用なく穏やかにサポートできます。

生活しやすい状態を作ることが大切

アレキサンダー病では運動機能に障害が現れることが多くあります。現れる障害は、力が入らないことやつっぱり、バランスの取りにくさなど人によって様々です。

 

日常生活を送りやすくするためには、症状に合わせた適切なリハビリテーション、や補助具を使うことが大切です。

 

嚥下障害が現れることもあります。その場合は、誤嚥性肺炎を防ぐために食事でも工夫が必要になります。

 

アレキサンダー病で現れる症状には個人差が大きいです。そのため、その人に合わせて生活しやすい状態を作ることが大切なのです。

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