錯乱性覚醒の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 2月23日

更新日:2022年 3月24日

本日は錯乱性覚醒について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 錯乱性覚醒とは
  • 錯乱性覚醒の原因
  • 錯乱性覚醒の症状
  • 錯乱性覚醒の改善方法
  • 錯乱性覚醒のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

錯乱性覚醒は、覚醒障害の一つ

錯乱性覚醒は、覚醒障害の一つで、深い睡眠であるノンレム睡眠から目覚めたときに発症します。発症することが多いのは小児期の子供です。

 

症状の特徴は、起きた時混乱した状態になり周りを見渡すことです。睡眠中、前半に現れることが多く、完全に覚醒させることは難しいです。

 

発症する年代は、就学前の幼児に多いです。発症する頻度は、一般的に3歳で高くなります。

錯乱性覚醒の原因は、詳しくはわかっていない

錯乱性覚醒の原因は、詳しくはわかっていません。今のところ、子供が錯乱性覚醒を発症することが多いことから、脳の睡眠覚醒を調節する働きが未発達であることによって起こっていると考えられています。

 

錯乱性覚醒を引き起こすきっかけとしては、発熱や睡眠不足、頭痛、睡眠リズムの問題などが言われています。

主な原因

1. 深いノンレム睡眠中に起こされる

私たちの睡眠には90分周期のリズムがあり、深い睡眠は主に就寝後1〜2時間以内に多く現れます。この時期に突然起こされると、脳の覚醒系の一部が目覚めきらず、混乱したままの状態になります。

 例:睡眠中に強く揺さぶられて起こされた、睡眠リズムがズレていて深い睡眠のまま朝を迎えた、睡眠薬の影響で深い眠りから抜け出しにくい

 

2. 睡眠不足や質の低下

睡眠時間が慢性的に不足すると、脳は「深い眠り」を優先して確保しようとします。その結果、目覚めのタイミングが深い眠りに重なりやすくなり、錯乱性覚醒が起こる確率が高まるのです。

例:寝る直前までスマホやPC、就寝時間が不規則、ストレスで寝付きが悪い、子どもの夜泣きなどで何度も起きる

 

3. 自律神経の乱れ

脳の覚醒を司るのは視床下部や脳幹の覚醒中枢で、これらは自律神経の働きと連動しています。ストレス過多・自律神経のアンバランスがあると、脳の切り替えがうまくいかず、半覚醒のような状態が続いてしまいます。

 

4. 睡眠環境や起こし方の影響

暗い部屋で目覚ましが鳴るだけ、無理やり揺さぶられて起きる、朝の光を浴びていないなどの環境では、脳が急に刺激を受けて混乱しやすく、覚醒反応に時間がかかって錯乱状態が続くことがあります。

 

5. 子どもや高齢者に多い生理的な傾向

子どもや高齢者は、脳の覚醒に関わる神経系の活動が不安定な傾向があります。そのため、健常であっても錯乱性覚醒が起こりやすいといえます。

錯乱性覚醒の症状は、寝ぼけの状態で外の状況を理解できないこと

錯乱性覚醒の症状は、寝ぼけている状態になり外の状況を理解できなくなり、混乱した行動をすることです。特徴的な症状としては、布団の上で混乱し周りを見渡すという行動があります。

 

症状は、ノンレム睡眠の時に現れることが多く、症状は数分から1時間ほど続きます。その後、再び眠ります。無理に覚醒させると暴れることがあるため注意が必要です。

 

朝起きた時には、睡眠時に覚醒し混乱したということは覚えていません。

主な症状

 1. 目は開いているのに、意識がぼんやり

呼びかけに対して反応が遅い、あるいはまったく返事がない

言動がちぐはぐで、まるで夢の中にいるよう

自分の名前や周囲の状況を把握できないことがある

 

 2. 意味不明な言動をする

つじつまの合わないことを話す

着替えや行動が正しくできない

時間や場所の認識がない

時には暴れたり、無意識に立ち上がって歩き回ることも

 

 3. 興奮や怒りっぽさが出る

起こされると急に怒鳴ったり、暴言を吐いたりする

無理に目を覚まさせようとすると反発が強くなる

小さな子どもでは泣きわめく・叩くなどの行動が見られることも

 

4. 数分〜30分程度で自然におさまる

錯乱状態は数分〜長くても30分以内に自然に消失するのが特徴です

その後、本人は「何も覚えていない」ことも多い

寝ぼけているだけではと思われがちですが、脳の一部だけが覚醒していない「神経的な現象」です。精神疾患の初期症状ではなく、ほとんどが睡眠の質やタイミングに関係する一過性の現象です。

 

夜驚症や夢遊病と勘違いされることも多いですが、錯乱性覚醒は「目が開いていて、反応もある」点が違います。

年齢が上がるにつれて自然に改善する

錯乱性覚醒障害のほとんどは、成長する過程で、年齢が上がるにつれて自然に改善します。そのため、睡眠時間を十分にとり、規則正しい睡眠リズムを整えることで、症状が現れることを防ぎながら様子を見ます。

 

 場合によっては睡眠時遊行症の症状につながることもあります。その場合は、睡眠するときの周りの環境を安全に整え、衝突物などがないようにすることが大事です。

 

 安定した睡眠時間を確保することができない場合や危険な症状が見られる場合には、改善のために薬を使うこともあります。

主な改善方法

・深い睡眠中に起こされない環境をつくる

錯乱性覚醒は、ノンレム睡眠の最中に無理やり起こされたときに起こりやすいです。起床タイミングを「浅い眠りの時」に合わせることで、脳がスムーズに覚醒します。

 

睡眠の質を高めて“覚醒しやすい脳”に整える

睡眠の質が悪いと、脳は「深い眠り」を強く確保しようとし、覚醒タイミングとのズレが生じやすくなります。寝る90分前に入浴で体温リズムを整える、寝る前のスマホ・カフェインを避ける、寝室を20〜23℃、照明はできるだけ暗く静かになどが効果的です。

 

自律神経の切り替え力を高める

錯乱性覚醒が起こる背景には、脳の睡眠〜覚醒スイッチの切り替えがうまく働いていないことがあります。鍼灸は、この“切り替え”を司る自律神経を整える効果が研究でも示されています。

 

起床時に“脳をやさしく目覚めさせる”習慣

錯乱性覚醒の方には、「いきなり強い刺激を与えず、段階的に起きること」が大切です。アラームは小さな音量→徐々に大きくなるタイプを使用する、起きたらまずカーテンを開けて自然光を浴びる、その場で深呼吸を3〜5回して交感神経をオンにするなどが有効です。

 

睡眠前後の脳疲労をためない

「脳の疲れすぎ」も、覚醒トラブルの原因になります。特にストレス・画面の見すぎ・情報過多は、前頭葉や視床下部に負荷をかけるため要注意です。

錯乱性覚醒の判断

錯乱性覚醒を判断する場合は、ベッドの上で混乱して周りを見渡すという特徴があります。

 

合わせて、睡眠から不完全な覚醒が繰り返し起きること、症状が起きている時介入しても反応がないこと、症状について部分的に忘れていたり完全に忘れていたりすること、他の睡眠障害や心と体の病気や薬の影響がないことなどに当てはまる場合に判断されます。

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