公開日:2022年 10月23日
更新日:2022年 10月24日
本日は卵巣過剰刺激症候群について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
卵巣過剰刺激症候群の原因は、排卵誘発剤です。排卵誘発剤は、不妊などを改善するために使われている薬で、卵巣を成熟させて排卵を促し、卵巣からの排卵を誘発する作用があります。
この排卵誘発剤によって卵巣への強い刺激があると、過度に卵巣が大きくなります。すると、全身の血管にも変化が起き、血管の中の液体成分が血管の外に漏れて卵巣過剰刺激症候群を発症すると言われています。
卵巣過剰刺激症候群は、多嚢胞性卵巣症候群を発症していたり、卵巣過剰刺激症候群を発症した経験があったりすることでも発症しやすくなります。
卵巣過剰刺激症候群は、不妊を改善するための一環として行われる卵巣刺激プロトコルに反応して発生する、比較的稀な重篤な副作用です。特に、体外受精やその他の生殖補助技術において、排卵誘発剤を使用して卵巣を刺激する際に起こります。
排卵誘発剤の使用: 卵巣過剰刺激症候群の最も一般的な原因は、不妊の改善で使用される排卵誘発剤に対する卵巣の過剰反応です。ヒト絨毛性ゴナドトロピン、経鼻的または注射可能なゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト、フォリクル刺激ホルモンなどがこれに含まれます。
個人の感受性: 特定の女性は卵巣過剰刺激症候群を発症するリスクが高く、特に低体重、若年層、多嚢胞性卵巣症候群を持つ女性や、以前に卵巣過剰刺激症候群を経験した女性がこれに該当します。
高レベルのhCG: 体外受精において、受精卵を子宮に戻す前に、高レベルのhCGを使用して卵巣を刺激することがあります。このhCGが卵巣過剰刺激症候群の発症に関与しています。
複数の卵胞の成熟: 排卵誘発によって卵巣が複数の卵胞を成熟させると、それぞれの卵胞から液体が漏れ出し、腹腔内に蓄積することがあります。
排卵誘発剤によって刺激された卵巣は、血管透過性を高める物質を過剰に放出します。これにより、血液中の液体成分が血管壁を通過し、腹腔内や胸腔内に液体が蓄積します。結果として、腹部の膨満感、胸の圧迫感、重度の場合は腎機能障害や血栓症などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
卵巣過剰刺激症候群の症状は、卵巣が大きくなると同時に腹水がたまり、腹部の不快感やはり、腹痛や吐き気、下痢などが起きることです。卵巣過剰刺激症候群の多くは症状は軽いです。
しかし症状が進むと、全身の血管が障害を受けるため、全身のむくみや体重の増加など、腹部だけではなく全身に症状が現れます。場合によっては、腎機能障害や呼吸障害、尿の出にくさや息苦しさ、呼吸困難などの症状が現れることもあります。
卵巣過剰刺激症候群は、血栓症につながることもあり、両下肢に痛みやむくみが現れることもあります。
卵巣過剰刺激症候群は、不妊の改善中に使用される排卵誘発薬に対する卵巣の過剰反応によって引き起こされる状態です。重症度には幅があり、軽度から重度までさまざまな症状が現れる可能性があります。
・軽度の症状
腹部の膨満感や不快感: 卵巣が腫れて腹部が膨らみ、重だるさを感じることがあります。
下腹部の痛み: 軽度から中程度の痛みがあり、通常は自己管理が可能です。
吐き気、時に嘔吐: 消化不良のような症状が出ることがあります。
下痢: 腸の動きが活発になることで、下痢を引き起こすことがあります。
・中等度の症状
急激な体重増加: 数日のうちに急激に体重が増加することがあります。
腹部の痛みが増加: 痛みが悪化し、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
腹部の膨満感が増大: 腹部が非常に張り、不快感が増すことがあります。
・重度の症状
腹水: 腹腔内に大量の液体が溜まり、腹部が著しく膨張します。
胸水: 胸腔内に液体が溜まり、呼吸困難を引き起こすことがあります。
呼吸困難: 液体の蓄積による圧迫や、血液中の電解質バランスの乱れが原因で呼吸が困難になることがあります。
血栓症: 血液が固まりやすくなり、血栓が形成されるリスクが高まります。これは非常に危険な状態で、即時の介入が必要です。
・その他
排尿量の減少: 腎機能が影響を受け、尿の量が減少することがあります。
電解質の不均衡: 体内の液体バランスの変化により、電解質のレベルが異常になることがあります。
卵巣過剰刺激症候群は非常に急速に進行することがあり、特に重度の場合は生命を脅かす可能性があります。
卵巣過剰刺激症候群の改善方法は、安静にすることです。安静にし、きちんと水分補給を行い、痛みがあるときは痛み止めを使うことで改善していくことが多いです。
しかし、症状が進むこともあります。症状が進むと、体重の変化やお腹周りの変化、尿の変化などが見られることがあるため注意して観察しておきましょう。
症状が重い場合は、症状に合わせて補液を行ったり昇圧剤や血液製剤を使ったり、酸素投与を行ったりします。
卵巣過剰刺激症候群の改善は、症状の重さと状態に応じて異なります。基本的には、症状を管理し、合併症の発生を防ぐことに焦点を当てた方法が中心となります。
・軽度から中等度の場合
軽度から中等度の場合は、主に自宅での管理が可能ですが、以下の方法が推奨されます。
十分な休息: 活動を制限し、安静にして体を休めることが重要です。
水分補給: 脱水を防ぐため、十分な水分を摂取するようにします。ただし、過剰な水分摂取は電解質バランスの乱れを引き起こす可能性があるため、医師の指示に従うことが重要です。
軽度の痛み管理: 非ステロイド性抗炎症薬などの鎮痛剤を用いて、痛みを管理します。
体重と尿量のモニタリング: 体液のバランスを確認するために、体重と尿量の日々の記録を保つことが推奨されます。
・重度の場合
重度の場合は病院での改善が必要であり、以下の方法が考慮されます。
入院: 状態を密に監視し、必要に応じて改善を行います。
静脈内液体補給: 脱水症状の管理と血液循環の維持のために、静脈内に液体を補給します。
腹水や胸水の排液: 大量の腹水や胸水が蓄積した場合、これを排出する処置が必要になることがあります。
血栓予防: 重度の場合は血栓のリスクを高めるため、抗凝固薬を使用して血栓形成を予防することがあります。
電解質バランスの管理: 静脈内液体補給と並行して、血中の電解質バランスを正常に保つための改善が行われます。
呼吸サポート: 呼吸困難を経験している場合は、呼吸サポートが必要になることがあります。
卵巣過剰刺激症候群においては、特に重度の場合、症状の進行を防ぎ、生命を脅かす合併症の発生を避けるために迅速な介入が必要です。
卵巣過剰刺激症候群の改善に使用される薬は、症状の緩和、合併症の予防、および快適性の向上を目的としています。卵巣過剰刺激症候群の改善で主に使われる薬物には以下のようなものがありますが、主に症状を管理し、体液のバランスを正常化することに焦点を当てています。
1. 鎮痛剤
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): イブプロフェン(Advil, Motrin)などの薬が、腹部の痛みや不快感を緩和するために使用されることがあります。
副作用: 胃腸の不調、腎機能への影響など。
2. 静脈内液体補給
塩化ナトリウム溶液: 脱水症状を防ぎ、血液の循環を改善するために使用されます。
3. 抗凝固薬
低分子量ヘパリン: 血栓形成のリスクを減少させるために投与されることがあります。
副作用: 出血リスクの増加。
4. ドーパミンアゴニスト
カベルゴリン: 重症化を予防するために使用されることがある、比較的新しい治療法です。血管透過性を減少させ、液体の腹腔への漏出を抑える効果があります。
副作用: 吐き気、頭痛、めまいなど。
5. アルブミン
静脈内アルブミン: 重度の場合において、血管内への液体漏出を減少させ、血液量を維持する目的で使用されることがあります。
副作用: アレルギー反応のリスク。
症状と全体的な健康状態を考慮して、適切な方法を選択する必要があります。これらの薬物は、特に重度の場合、医師の監督の下で使用されるべきです。
不妊の改善を行なっていると、合併症を発症することがあります。卵巣過剰刺激症候群だけではなく、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病なども不妊の改善によって起こる合併症です。
また、頸管縫縮術や帝王切開術、産後の異常出血などが起こる可能性も高くなります。不妊を改善するときは毎日自分の体の変化などをより確認することが大事になのです。
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