公開日:2019年 12月23日
更新日:2023年 8月 1日
本日は正中神経障害について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
腕や指の運動や感覚を支配する正中神経に障害が起こることによって、運動障害や感覚障害が起こっている状態のことを正中神経麻痺といいます。
正中神経は、親指と人差し指、中指、薬指の一部にかけて、手の中での手のひら側の感覚を支配する神経です。
正中神経は手の部分においての運動も支配しています。手の動作で手首を曲げたりする場合も正中神経が重要なのです。
さらに、正中神経は親指の付け根の部分にある母指球筋といわれる筋肉も支配しています。親指と小指とをあわせる動作なども正中神経があるからできる動作です。
このように正中神経は、指先を曲げたりする運動に対しても重要な働きをしているのです。
正中神経は腕の上の部分から指先まで、いくつも枝分かれをしてを走っている神経です。障害を受ける部分によって正中神経障害で現れる症状は違います。
正中神経は外から受ける傷をきっかけによる骨折や手根管症候群、神経炎やガングリオンなどによって障害を受けることになります。
手の動作に関しては様々な多くの筋肉によって支配されていますが、正中神経はその手の動作を支配する神経の中でも重要な位置にあります。
さらに指先の感覚に対しても関わっています。そのため、正中神経麻痺が起きると細かい手の運動の機能に激しい障害を受けてしまうことになります。
正中神経障害は、主に手首のカーパルトンネルという領域で正中神経が圧迫される状態で、その結果、特定の症状が発生します。以下、この病状の症状について詳しく解説します。
1. しびれ
最も初期に感じられる症状の一つが、手のしびれです。特に親指、人差し指、中指、薬指の一部で感じられることが多いです。初めは軽いものであっても、状態が進行するとしびれが強まります。
2. 痛み
圧迫された神経が炎症を起こすと、手首や手のひら、指に痛みを感じることがあります。この痛みは夜間に悪化することが多く、寝る際に不快感を引き起こすことがあります。
3. 弱さ
手の筋肉が正中神経からの信号を受け取れなくなると、握力の低下や一般的な手の弱さが生じることがあります。物を掴んで持ち上げることが困難になったり、細かい作業がしにくくなる場合があります。
4. 夜間の症状の増加
多くの場合夜間に症状が悪化すると報告があることがわかっています。寝ている間に手首を曲げたり、不自然な角度で保持したりすると、正中神経に対する圧迫が増加する可能性があるからです。
5. 落ち感
物を握ろうとすると、突然指が弱くなり物が落ちる感覚が生じることがあります。これは正中神経からの信号伝達の障害によるものです。
6. 温度感覚の変化
正中神経障害が進行すると、手の温度感覚に異常を感じることがある。冷たいものと温かいものの区別がつきにくくなる場合があります。
7. 進行に伴う症状
病状が進行すると、上記の症状が慢性化し、改善しないと永続的な神経の損傷や筋肉の萎縮を引き起こす可能性があります。
8. 伝播症状
一部では、手首や腕、肘、さらには肩にまで痛みやしびれが伝播することを報告しています。
正中神経麻痺を改善する方法は、正中神経麻痺を起こしてしまった原因によって変わります。保存的な方法や手術など改善のための方法を適切に選択して、手の機能の改善に取り組むことが大切です。
正中神経麻痺の症状の現れ方は、障害が起きる部位によって色々あります。
正中神経障害は手の正中神経が圧迫される障害で、特に手首のカーパルトンネルと呼ばれる部位で起こります。正中神経障害の原因について説明します。
1. 解剖学的な要因
正中神経は、手のひら側で手首のカーパルトンネルを通ります。このトンネルは、骨と強い靭帯で形成されており、中には正中神経の他にも tendons などが通っています。トンネル内でのスペースが減少すると、正中神経への圧迫が生じる可能性があります。
2. 慢性的な病気
一部の慢性的な健康状態が正中神経障害のリスクを高めることがある。
糖尿病: 神経へのダメージが生じやすくなるため、正中神経障害のリスクが増加します。
甲状腺機能低下症: 手首周りの組織が腫れる可能性があり、神経を圧迫します。
3. 急性の怪我
手首の骨折や脱臼などの急性の怪我も正中神経障害の原因となることがあります。
4. 職業的な要因
特定の作業が手首への過度なストレスを引き起こす職業は、この症候群のリスクを高める可能性があります。
反復動作: 肉体労働やデータ入力など、手首の反復動作が求められる作業。
振動: 工具を使用する作業など、手首に振動が伝わる作業。
冷たい環境: 食品加工業など、冷たい環境での作業。
5. 妊娠
妊娠中に体内の水分バランスの変化が手首周りの組織の腫れを引き起こし、正中神経を圧迫することがある。
6. ライフスタイルと体重
肥満は正中神経障害のリスクを高める可能性があります。不適切な体重管理や運動不足が関与することもあります。
7. 関連の病気
リウマチなどの関節炎もカーパルトンネル内の圧迫を引き起こすことがある。
8. 遺伝的な要因
一部の人々は、カーパルトンネルが他の人よりも狭い遺伝的な傾向があるかもしれません。これは家族歴として現れることがあります。
外傷や腫瘍などが原因で正中神経麻痺を発症している場合、手術を行い正中神経麻痺を改善します。絞扼性神経障害が疑われる場合は、神経への圧迫をなくすことを目的にした手術をして改善を試みることもあります。
また、母指球筋の萎縮が強くみられる場合は、母指対立再建術が行われることが多いです。
正中神経麻痺を改善するためには手術だけでなく、保存的な方法を試みる場合もあります。
この方法は、具体的にシーネ固定を利用して局所を安静にさせたり、ステロイド剤を注射したり、ビタミンB12を内服したりする方法です。
これらの方法でも症状に改善がみられない場合は、神経剥離術や腱移行術などの手術を障害が起きている部位に対して検討することもあります。
正中神経障害は、手首のカーパルトンネル内で正中神経が圧迫される状態で、多岐にわたる改善法が存在します。症状の程度や原因によって、最適な改善法が異なります。
1. 保存的な方法
保存的な方法は、手術を行わずに症状の改善を図る方法です。
a. 装具の使用
手首の装具(スプリント)は、手首を中立の位置で保持するために使用されます。これにより、正中神経に対する圧迫を減少させることができます。
b. 薬
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が炎症と痛みの緩和に使われることがあります。重度の場合、ステロイドの局所注射が効果的であることがあります。
c. 物理的な方法
手や手首のストレッチングや強化運動が、症状の軽減に役立つことがあります。
d. 生活習慣の改善
職場でのエルゴノミクスの改善や、反復的な手首の動作を避けるよう努めることも重要です。
2. 手術
保存的な方法が効果を示さない場合や症状が進行している場合には手術が選択されることがあります。
a. 開放手術
カーパルトンネルの屋根を形成している靱帯を切断することで、神経への圧迫を解除します。これにより、神経の機能が回復する可能性があります。
b. 内視鏡手術
開放手術よりも小さい切開を使用し、内視鏡を挿入して靱帯を切断します。回復期間が短く、傷跡も少ないとされています。
3. 代替法
いくつかの代替法も効果的であると報告されています。
a. アクパンクチャー
一部では、アクパンクチャーが痛みやしびれの軽減に効果を示すことがあります。
b. マッサージ
指圧やマッサージが血流の改善と緊張の緩和に役立つことがあります。
4. 予後とフォローアップ
正中神経障害の改善後は、定期的な医師とのフォローアップが重要です。再発の予防や機能の回復を確実にするために、長期的なリハビリテーションや生活習慣の継続的な改善が求められることがあります。
手術の方法と効果について詳しく説明します。
・手術の方法
1. 開放手術 (Open Surgery)
手順: 手首の正中神経を圧迫している横隔膜を切開する手術です。皮膚と靱帯を切開し、正中神経を取り囲む組織を除去または分離します。
回復: 通常数週間から数ヶ月かかります。
利点: 正中神経の視覚化が容易で、より確実に圧迫を除去できます。
欠点: より大きな切開が必要で、回復が遅いことがあります。
2. 内視鏡手術 (Endoscopic Surgery)
手順: 小さな切開から内視鏡を挿入し、横隔膜を切開する方法です。内視鏡を使用することで、靱帯を正確に切断し、正中神経の圧迫を解除します。
回復: 開放手術よりも回復が速いとされています。
利点: 傷跡が小さく、美容上の利点や回復が速いなどの利点があります。
欠点: 技術的により難しい場合があり、経験豊富な外科医が必要です。
・手術の効果
痛みの軽減: 多くの場合が手術後、痛みやしびれが大幅に減少または消失すると報告しています。
握力の改善: 手の筋肉が回復すると、握力や手の機能が改善することが多いです。
再発の予防: 適切に行われた手術は、正中神経障害の再発を予防する効果があります。
慢性化の予防: 進行している場合、早期の手術は慢性的な神経損傷の予防に役立つことがあります。
・考慮すべき点
リスク: 手術には感染、出血、神経損傷などのリスクがあります。
選択: どの手術法を選択するかは、個別の状況、外科医の経験と専門知識に基づいて検討されるべきです。
正中神経障害の改善方法としては、一般的に保存的な方法と手術の2つに分けて考えられます。
基本的に、正中神経障害の改善にかかる費用は保険が適応されるものから自費のものまで幅広いです。
保存的な方法は、肩から小指にかけての上肢の痛みやしびれなどの症状が強い場合に行います。
この時、日常生活を送る上で安静を基本にし、痛みなどの炎症を抑えるための湿布や内服薬の服用をし、症状の経過をみていきます。症状によってステロイド注射をして症状を軽くすることもあります。
リハビリテーションを行うこともあります。症状によっては湿布などの消炎鎮痛剤を使用することもあります。
リハビリテーションには、マッサージやストレッチ、筋力トレーニングなどの手技干渉波やマイクロ波を使った方法の2種類あります。
正中神経障害を改善するためには、まず整形外科などの専門機関に相談してください。そこで、必要であれば当日レントゲンやMRIなどを行うことになります。
どのような改善方法を行うかについては、症状の程度や症状に伴って起こる症状によって判断することになります。
正中神経障害は親指から薬指半分の指と手のひらの感覚を支配している正中神経に障害が起きる病気です。
正中神経障害を改善する方法は、一般的には保存法と手術の2種類に分けられます。症状の改善が難しく、日常生活に支障をきたす、日常生活を送る上で困ったことがあるなどの場合、専門機関に相談することがお勧めです。