トゥレット症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 6月 3日

更新日:2024年 6月23日

本日はトゥレット症候群について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • トゥレット症候群とは
  • トゥレット症候群の原因
  • トゥレット症候群の症状
  • トゥレット症候群の改善方法
  • トゥレット症候群のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

トゥレット症候群は、チック障害の中でも1番程度の重たいもの

トゥレット症候群は、チック障害の中でも1番程度の重たいもののことをいいます。主な症状は、チック症の症状と同じです。

 

トゥレット症候群は一般的に6歳から18歳の間に発症します。長い期間にわたって症状が悪くなったり軽くなったりします。場合によっては数週間や数ヶ月、症状がないこともあります。

 

トゥレット症候群は、ほとんどの場合大人になると段々と症状が軽くなります。しかし、場合によっては大人になっても症状が軽くならない場合もあります。

 

トゥレット症候群の原因ははっきりとはわかっていない

トゥレット症候群の原因ははっきりとはわかっていません。現在、トゥレット症候群に関係していると考えられていることは、遺伝です。

 

研究では、トゥレット症候群に関わる可能性のある遺伝子には、非常に多くの種類があるということ、突然変異で起こったものであるということなどがわかってきています。

 

他にも最近の研究では、大脳基底核と大脳皮質をつなぐ神経回路の問題や、ドーパミンやセロトニンなどに起こるトラブルなどが関係しているとも言われています。

 

ストレスや過労、寝不足などは症状が原因で悪くなっていく要因になるため注意が必要です。

1. 遺伝的要因

・家族歴

家族歴:トゥレット症候群は家族内で発症することが多く、遺伝的要因が強く関与していることが示唆されています。親や兄弟姉妹にトゥレット症候群や他のチック障害がある場合、発症リスクが高まります。

・特定の遺伝子

遺伝子の多様性:複数の遺伝子がトゥレット症候群の発症に関与していると考えられています。特定の遺伝子変異が神経伝達物質の調節に影響を与え、チックの症状を引き起こすことがあります。

 

2. 神経生物学的要因

・脳の構造と機能

基底核の異常:基底核は運動制御に重要な役割を果たしており、トゥレット症候群では基底核の機能異常が見られることがあります。これにより、運動チックや音声チックが発生します。

前頭皮質と大脳辺縁系の関与:前頭皮質と大脳辺縁系の相互作用がトゥレット症候群の症状に影響を与えていると考えられています。

・神経伝達物質

ドーパミン:ドーパミンの異常な活動がトゥレット症候群の発症に関与しているとされています。ドーパミンは運動や行動の制御に重要な役割を果たします。

セロトニンとノルアドレナリン:セロトニンやノルアドレナリンの不均衡も、トゥレット症候群の症状に関与している可能性があります。

 

3. 環境要因

・妊娠中および出生時の影響

妊娠中のストレスや感染症:母親が妊娠中にストレスを経験したり、感染症にかかったりすると、胎児の脳の発達に影響を与える可能性があります。

出産時のトラブル:低酸素状態や早産など、出産時のトラブルがトゥレット症候群のリスクを増加させることがあります。

・成長過程での影響

ストレスやトラウマ:幼少期に経験したストレスやトラウマが、トゥレット症候群の発症や症状の悪化に寄与する可能性があります。

 

4. 免疫系の異常

自己免疫反応:感染症後に自己免疫反応が引き起こされ、脳の特定部位に影響を与えることがあります。これがトゥレット症候群の発症に関連している可能性があります。

トゥレット症候群の症状は周りとの関係にも影響が出る

トゥレット症候群の症状はチック症と同じです。運動チックで現れる動きは非常に様々で、まばたきや顔をしかめる、首振りや肩をすくめる、腕振りや体のねじり、ジャンプ、人や物に触る、などです。

 

音声チックで現れる症状には、咳払いや叫び声をあげる、卑猥な言葉や不謹慎なことを言う、言葉を何度も繰り返してしまうなどがあります。

 

症状は、自分ではコントロールすることが難しいです。そのため、苦しい思いをすることも多くあり、時には周りの人も嫌な気分にさせてしまいます。日常生活を送る上で、周りとの関係に影響が出てしまうことも多いのです。

 

トゥレット症候群は、強迫性障害、注意欠陥多動性障害、学習障害、睡眠障害、気分障害などと合わせて起こすことも多いです。

1. 運動チック

運動チックは、突然で反復的な体の動きです。これらの動きは無意識に起こり、制御が難しいです。

・単純運動チック

瞬き:頻繁なまばたき

顔のしかめ:顔の筋肉の急な収縮

肩すくめ:肩を上げる動作

頭のふり:頭を振る動作

・複雑運動チック

跳ねる:体全体を使って跳ねる

回転する:体を回転させる動作

物を触る:特定の物を繰り返し触る

自傷行為:自分自身を叩く、噛むなどの行動

 

2. 音声チック

音声チックは、突然で反復的な声や音を発する症状です。

・単純音声チック

咳払い:意図的ではない咳払いの音

くしゃみのような音:短い音

鼻をすする音:鼻をすする音

喉を鳴らす:喉を鳴らす音

・複雑音声チック

言葉を繰り返す:同じ言葉やフレーズを繰り返す(エコラリア)

他人の言葉を繰り返す:他人の言葉を繰り返す(エコラリア)

不適切な言葉を発する:社会的に不適切な言葉や冒涜的な言葉を発する(コプロラリア)

 

3. その他の関連症状

トゥレット症候群では、チック以外の症状も経験することがあります。これらの症状は、トゥレット症候群と共に見られることが多いです。

・強迫性障害

強迫観念:繰り返し考える不安や恐れ

強迫行為:不安を和らげるために行う繰り返しの行動

・注意欠陥・多動性障害

不注意:集中力を維持するのが難しい

多動性:じっとしていられない、落ち着きのなさ

衝動性:思いつきで行動する、待つことができない

・学習障害

読み書きの困難:読解力や書字力の遅れ

計算の困難:数学的な問題解決が苦手

・情緒的問題

不安:過度の不安感やパニック発作

うつ:抑うつ状態や興味の喪失

 

4. 症状の変動とトリガー

・症状の変動

増悪と緩解:チック症状は時間とともに強くなったり弱くなったりする。特定の時期に悪化することもあれば、自然に改善することもあります。

年齢による変化:幼少期から青年期にかけて症状が変化することがあります。多くの場合、青年期を過ぎると症状が軽減することが多いです。

・トリガー

ストレス:ストレスや不安がチック症状を悪化させることがあります。

興奮や疲労:興奮したり疲れたりすると、チックが増えることがあります。

集中:集中しているときはチックが減ることがありますが、集中が切れるとチックが増えることがあります。

トゥレット症候群を改善方法の基本は、心理教育と環境の調整

トゥレット症候群を改善するための方法の基本は、心理教育と環境の調整です。

 

心理教育と環境の調整は症状の程度に関わらず行う方法です。自分自身で正しく症状を理解することや周りの人に障害を正しく理解してもらうことを目的として行います。

 

周りの人にもきちんと理解をしてもらい、社会に適応して生活を送ることができるようにするのです。

症状が強い場合や二次障害が現れて生活に支障がある場合は、症状を和らげるために薬を使うこともあります。それでも改善が見られない場合、ハビット・リバーサルという方法を行ったり、手術を行ったりすることもあります。

 

薬は、症状や合わせて起こしている症状に合わせて使います。ハビット・リバーサルという方法は、自分の症状を意識してチックをしたくなった時反対の動作をするような訓練を行う方法です。

 

手術としては、大脳基底核に電極を埋め込んで継続して刺激し、脳活動に変化を起こす方法です。

1. 薬物

トゥレット症候群の症状を管理するために、いくつかの薬物が使用されます。薬は、チックの頻度と重症度を軽減するのに役立ちます。

 

・抗精神病薬

代表的な薬剤:リスペリドン、アリピプラゾール、ハロペリドール

効果:ドーパミン受容体を遮断し、チックの重症度を軽減

副作用:体重増加、倦怠感、震え、筋肉の硬直など

・α2アドレナリン受容体作動薬

代表的な薬剤:クロニジン、グアンファシン

効果:ノルアドレナリンの作用を調整し、チックや衝動性を軽減

副作用:眠気、低血圧、口渇など

・抗うつ薬

代表的な薬剤:フルオキセチン、セルトラリン

効果:セロトニンの再取り込みを阻害し、強迫症状や不安を軽減

副作用:吐き気、頭痛、不眠など

・抗不安薬

代表的な薬剤:ベンゾジアゼピン系薬剤(例:クロナゼパム)

効果:不安を軽減し、チック症状の悪化を防ぐ

副作用:眠気、依存性、記憶障害など

 

2. 行動

行動は、チック症状の管理に効果的なアプローチです。特に、CBTは多くの場合に有効です。

 

・ハビットリバーサルトレーニング(HRT)

目的:チックを抑えるための代替行動を学ぶ

方法:チックを引き起こす前兆を認識させ、代替行動を実行する訓練を行います。例えば、首を振るチックがある場合、首を固定する動作を学びます。

・曝露反応妨害療法(ERP)

目的:チックを引き起こす衝動に耐える能力を高める

方法:チックを抑える練習をし、その後チックを引き起こす状況に曝露されることで、耐える時間を徐々に延ばします。

 

3. 心理的支援

心理的支援は、トゥレット症候群本人とその家族にとって重要です。

 

・カウンセリング

目的:家族が症状に対処するための心理的サポートを提供する

方法:定期的なカウンセリングセッションを通じて、患者のストレスや不安を軽減し、対処方法を教えます。

・支援グループ

目的:同じ症状を持つ人々との交流と情報共有

方法:地域の支援グループやオンラインフォーラムに参加することで、同じ経験を持つ人々と交流し、サポートを得ることができます。

 

4. 教育的支援

学校での支援は、トゥレット症候群の子供たちが学業を成功させるために重要です。

 

・個別教育計画(IEP)

目的:特別な支援が必要な生徒に対して、個別の教育計画を作成する

方法:学校のカウンセラーや教師と協力して、トゥレット症候群の生徒に適した学習環境を提供します。

・クラス内の適応

目的:学習環境を調整し、トゥレット症候群の症状に対応する

方法:例えば、テスト中にチックが発生した場合の対応方法や、チックが他の生徒に与える影響を最小限にするための教室配置を工夫します。

 

5. 生活習慣の改善

健康的な生活習慣は、トゥレット症候群の症状を管理するのに役立ちます。

 

・規則正しい生活

目的:ストレスを軽減し、全体的な健康を維持する

方法:規則正しい睡眠、バランスの取れた食事、定期的な運動を心がけることが重要です。

・ストレス管理

目的:ストレスがチック症状を悪化させるのを防ぐ

方法:リラクゼーション技法(ヨガ、瞑想、深呼吸)を取り入れることで、ストレスを軽減します。

トゥレット症候群は正しい知識を広めていくことが必要な病気

以前、チックの症状には心の問題が関係していると考えられていました。家庭環境や成長過程がチックの症状の原因であると言われていました。

 

しかし、1960年代にハロペリドールという薬が発見されトゥレット症候群の人に使うとチックが軽くなるということがわかりました。ハロペリドールはドーパミンの受容体をブロックする働きをする薬です。

 

そのため、チックは心の問題によって起こる病気ではないということがわかったのです。チックの原因は、神経の異常なのです。

 

しかし、現在でもチックの原因について間違えた考え方をしている人もいます。神経の異常が問題であるとわかった今でも、親の育て方が問題であるなどの見方をする人もいるのです。

 

トゥレット症候群はまだまだ正しい知識を広めていくことが必要な病気なのです。

チックは、突発的で反復的な運動や音声であり、以下のように分類されます。

運動チック:顔、手、腕、体の他の部分の動き(例:まばたき、顔のしかめ、肩をすくめる)。

音声チック:声を出す動き(例:咳払い、鼻をすする、叫ぶ、特定の言葉を繰り返す)。

 

1. 神経伝達物質の異常

神経伝達物質は、神経細胞間で信号を伝える化学物質です。チックの発生には、特に以下の神経伝達物質が関与しています。

・ドーパミン

役割:運動の調節、行動、感情の制御に関与。

異常:チック症状を持つ人々では、ドーパミンの過剰活動や受容体の異常が見られることが多い。これは、基底核と前頭皮質の間の回路におけるドーパミンの調節が不適切になるためと考えられています。

・セロトニン

役割:気分の調節、行動の制御、睡眠、食欲に関与。

異常:セロトニンの不均衡が、チックや関連する強迫性障害(OCD)の症状に影響を与える可能性があります。

・ノルアドレナリン

役割:注意、警戒、ストレス反応の制御に関与。

異常:ノルアドレナリンの異常な活動が、チックの発生や悪化に関連している可能性があります。

 

2. 脳の構造的および機能的異常

・基底核

役割:運動の開始と制御、習慣的な行動の調節に関与。

異常:トゥレット症候群を持つ人々では、基底核の構造的および機能的異常が報告されています。特に、尾状核と被殻の異常がチックの発生に関連していると考えられています。

・前頭皮質

役割:計画、判断、感情の制御に関与。

異常:前頭皮質の活動が不安定になると、行動の抑制が難しくなり、チックが増える可能性があります。

・大脳辺縁系

役割:感情の制御、学習、記憶に関与。

異常:大脳辺縁系の機能異常が、不安やストレスを引き起こし、それがチック症状の悪化に繋がることがあります。

 

3. 遺伝的要因

家族歴:トゥレット症候群やチック障害は、家族内で発症することが多く、遺伝的要因が強く関与しています。

遺伝子:特定の遺伝子変異がチックの発生に関与していることが示唆されています。これらの遺伝子は、神経伝達物質の調節や脳の発達に影響を与えます。

 

4. 環境要因

・ストレス

役割:ストレスや不安は、チック症状を悪化させることが多いです。神経系の反応として、ストレスが神経伝達物質のバランスを乱す可能性があります。

・感染症

役割:特定の感染症(例えば、連鎖球菌感染症)が自己免疫反応を引き起こし、脳の特定部位に影響を与えることがあります。これがチックの発生に関連していることが示唆されています。

おすすめ記事

営業時間

11時から21時

営業日
 

11時~21時迄

休業日

年末年始

お問合せ
080-1802-9798