肩関節不安定症の鍼灸【原因・定義・症状】

☆本記事の内容

• 肩関節不安定症とは
• 肩関節不安定症の原因
• 肩関節不安定症の症状
• 肩関節不安定症の改善方法
• 肩関節不安定症のまとめ

目次

• 肩関節不安定症は、肩関節が安定しなくなった状態
• 肩関節不安定症の原因には、組織的な問題と機能的な問題がある
• 肩関節不安定症の症状は、肩を上げたり回したりした時肩が抜ける
• 肩関節不安定症の改善方法は、安静、痛み止めや湿布、鍼灸など
• 肩関節不安定症のストレッチ
• 肩関節不安定症に効果的なツボ

肩関節不安定症は、肩関節が安定しない状態のことです。肩関節不安定症では、肩を上げたり回した時に肩が抜ける感覚があります。

肩関節不安定症には、腱板や関節唇、骨、軟骨などが故障したり障害が起きたりすることが原因で起こる組織的な問題のものと腱板や筋肉、関節などの機能面が低下することが原因で起こる機能的な問題のものがあります。

肩関節不安定症は、肩関節が正常な位置から繰り返し外れるか、外れる恐れがある状態を指します。この症状にはいくつかの原因があり、以下に主なものを挙げます。

外傷性の脱臼:スポーツや事故による外傷が原因で、肩関節が脱臼することがあります。初回の脱臼後、関節周囲の靱帯や腱が損傷しやすくなり、繰り返し脱臼するリスクが高まります。

先天性の関節のゆるみ:先天的に関節がゆるい場合、肩関節が不安定になることがあります。

靭帯や腱の損傷:肩関節を支える靱帯や腱が損傷すると、関節の安定性が低下します。特に、関節唇の損傷や回旋筋腱板の損傷が関連することがあります。

繰り返しの運動:特定のスポーツ（例えば野球のピッチャーや水泳）など、肩関節に繰り返しストレスを与える運動が、関節の不安定性を引き起こすことがあります。

筋肉の不均衡:肩の筋肉群の間に力の不均衡がある場合、肩関節の安定性に影響を及ぼすことがあります。

手術後の合併症:肩関節の手術後に、手術部位の合併症や回復不全により肩関節が不安定になることがあります。

肩関節不安定症は、肩関節が正常な位置から繰り返し外れるか、外れる恐れがある状態を指し、以下のような症状が現れることがあります。

脱臼または亜脱臼の感覚:肩関節が完全にまたは部分的に関節から外れる感覚。これにより、肩の動きが制限されることがあります。

肩の痛み:肩関節が不安定になると、痛みを伴うことがあります。特に、脱臼する際やその後に痛みが生じることが多いです。

肩の弱さ:肩の筋力が低下し、特定の動作をする際に力が入りにくくなることがあります。

肩の不安定感:肩が「外れそうになる」や「ぐらつく」といった感覚があることがあります。

動きの制限:肩関節の不安定性により、肩の動きが制限されることがあります。

クリック音や違和感:肩を動かす際にクリック音がする、または違和感を感じることがあります。

肩関節不安定症の症状は、脱臼の頻度や程度、損傷の状態によって異なります。この状態は、外傷性のものと非外傷性のものに分けられます。

肩関節不安定症の改善方法は、安静にすること、痛み止めや湿布を使うこと、鍼灸などです。

回復してきたら筋力強化やストレッチなどリハビリテーションも行います。スポーツをしている場合は一定の期間練習する量を少なくし、肩関節を安静にすることが大事です。

肩関節不安定症の改善法は、不安定性の原因、症状の重さ、活動レベルや全体的な健康状態に応じて異なります。以下に、一般的なオプションを紹介します。

物理的な方法:専門家による指導のもとで行う筋力トレーニングやストレッチが、肩関節の安定性を高めるために重要です。特に、回旋筋腱板や肩甲骨を安定させる筋肉を強化するエクササイズが効果的です。

活動の修正:肩関節に負担をかける活動やスポーツを避けることで、症状の悪化を防ぎます。

非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）:痛みや炎症を和らげるために、イブプロフェンやナプロキセンなどのNSAIDsが処方されることがあります。

肩のサポート:肩の安定性を高めるために、サポート用の装具やブレースを使用することがあります。

外科手術:物理的な方法や薬などで改善が見られない場合や、反復する脱臼がある場合には、外科手術が検討されます。手術では、損傷した靱帯や関節唇を修復し、肩の安定性を回復させます。

リハビリテーション:手術後には、リハビリテーションが必要です。これにより、肩の筋力と運動範囲を徐々に回復させます。

肩関節不安定症の改善に使用される薬は、主に痛みの管理と炎症の軽減を目的としています。以下に、肩関節不安定症で使用される可能性のある薬の種類とその効果について説明します。

・非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）

効果: 痛みと炎症を和らげます。

例: イブプロフェン、ナプロキセンなど。

注意点: 長期使用は胃腸障害や腎機能障害などの副作用を引き起こす可能性があるため、用法用量を守ることが重要です。

・鎮痛剤

効果: 軽度から中等度の痛みを和らげます。

例: アセトアミノフェン（パラセタモール）など。

注意点: アセトアミノフェンは肝臓に影響を与える可能性があるため、過剰摂取に注意が必要です。

・筋弛緩剤

効果: 筋肉の緊張を和らげることがあります。

注意点: 筋弛緩剤は眠気やめまいなどの副作用を引き起こす可能性があるため、使用時は慎重に。

これらの薬剤は、肩関節不安定症に伴う痛みや炎症を管理するための対処として使用されます。薬はあくまで補助的な役割を果たし、根本的な改善には物理的な方法や必要に応じて外科手術が含まれます。

肩関節不安定症では、ストレッチを行うことも改善に役立つことがあります。

方法は、テーブルなどにタオルを広げた状態にし、正面で椅子に座り、タオルの上に手を置き、タオルをテーブルの上を滑らせるように前方へ滑らせます。

前方にタオルを滑らせている時には、息を吐きながら動きます。ストレッチを行う場合、大事なことは無理をしないことです。無理をすると逆効果になってしまうため、痛みが出ない範囲でゆっくりと行いましょう。

・肩井

・肩髃

・天宗

肩井は、肩こりや首こり、四十肩、五十肩や頭痛などに効果を発揮するツボです。肩井は、肩を上げる筋肉と深く関係しているツボのため、肩関節不安定症の改善にも役立つことが期待できます。

他にも、歯の痛みや神経に関する症状にも効果を発揮すると言われています。

肩髃は、四十肩や五十肩などの肩関節の周りの症状に対して効果を発揮するツボです。肩関節不安定症も肩関節に関わる症状であるため、肩髃を刺激することで効果を感じることができます。

肩関節の周りだけではなく、首こりなど首の周りの症状にも有効です。

天宗は、背中から腕にかけてだるさや痛みがある場合の肩こりを改善したい時によく使われるツボです。筋肉を和らげる効果があると言われているツボで、肩の周りにあるため、肩関節不安定症にも効果的です。

他にも、胸の痛みや動悸、乳汁分泌不全、高血圧、中耳炎などに対して使われることもあります。

肩井の場所は、肩の頂点で、両方の乳頭から直線上にあります。

押すときは、中指を中心とした3本の指を使います。皮膚に垂直になるように指を当てるイメージで押しましょう。

肩髃の場所は、腕を水平に上げた時、肩関節にできるくぼみのうち前側にできるくぼみです。

押すときは、痛気持ち良いと感じるくらいの強さで約5秒間キープしましょう。

天宗の場所は、肩甲骨の真ん中のくぼんでいる場所です。

自分で押しにくい場所にあるため、押すときは誰かに押してもらうことをお勧めします。うつぶせに寝て、肩甲骨に両手をついてもらい、親指を使って押してもらいましょう。