子宮発育不全の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  6月23日

更新日:2025年  9月19日

本日は子宮発育不全について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 子宮発育不全とは
  • 子宮発育不全の原因
  • 子宮発育不全の症状
  • 子宮発育不全の改善方法
  • 子宮発育不全のまとめ
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銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

子宮発育不全は、形状的な発育の問題で子宮が本来の役割ができない

子宮発育不全は、形状的な発育の問題で子宮が本来の役割を果たせない状態であることです。

 

子宮の本来の役割は、最終的に妊娠と出産を行うことです。そのために月経を正常周期で行うことも子宮の本来の役割です。

 

子宮発育不全の状態の場合、正常と考えられる確率で妊娠や出産を行うことができず、多くの場合は正常周期での月経もありません。

 

ただし、子宮発育不全はきちんと病気の名前として使われている名前ではなく、はっきりと判断する基準もありません。

原因は、女性ホルモンの産生の不足か子宮の形状が特殊であること

子宮発育不全の原因は、2つのケースが考えられます。1つは女性ホルモンの産生が不足しているケースで、もう1つは子宮の形状が特殊であるケースです。

 

女性ホルモンの産生の不足は脳や卵巣の異常で起こります。女性ホルモンは脳と卵巣で分泌されるホルモンによって調整されているため、脳や卵巣に異常があると女性ホルモンの分泌が不足するのです。

 

子宮の形状が特殊であるケースでは子宮奇形であることが多いです。生まれつき子宮の形態に異常があることで本来の子宮の役割を行うことができなくなるのです。

主な原因

1. ホルモン分泌の異常

性腺機能低下(卵巣機能不全)・・・エストロゲンやプロゲステロンが十分に分泌されないと、子宮内膜や筋層の発育が不十分になります。

 

視床下部・下垂体系の障害・・・GnRHやFSH/LHの分泌異常で卵巣が働かず、二次的に子宮が育たないケースもあります。

 

2. 染色体異常・遺伝的要因

ターナー症候群・・・卵巣発育不全により子宮も小さいままになることがあります。

 

3. 胎生期の発達異常

ミュラー管の形成不全・・・ロキタンスキー症候群では子宮が欠如または痕跡的にしか存在しません。

 

4. 栄養・全身状態の影響

重度の低栄養や慢性的な病気があると、思春期に性ホルモン分泌が不十分になり、子宮が正常に発育しないことがあります。

多く見られる症状は、妊娠と出産が上手く行かないこと

子宮発育不全は、日常生活の中で強く感じる自覚症状はありません。月経の量が少なかったり、生理不順であったり、無月経であったりする症状があることもあります。子宮の形状に異常がある場合は強い月経痛がある場合もあります。

 

多く見られる症状は、妊娠と出産が上手く行かないことです。しかし、どのくらい上手く行かないのかということに関しては個人差が大きいです。そのため、妊娠して流産を繰り返してしまうことや、妊娠ができないこともあります。

 

しかし、必ずしも妊娠や出産ができないわけではありません。症状や程度には個人差が非常に大きいため、妊娠や出産が可能な人も多くいます。

主な症状

・月経に関連する症状

無月経:思春期を迎えても初潮がこない

稀発月経・過少月経:月経がまれにしか起こらない、出血がとても少ない

周期不順:ホルモン分泌不足によって月経周期が安定しない

 

・妊娠に関連する症状

不妊:受精しても子宮内膜が育たず、着床が成立しにくい

早期流産:妊娠が成立しても子宮が小さく、胎児を育てる力が弱いため妊娠継続が困難になることがある

 

・二次性徴の遅れ

エストロゲン不足により、乳房の発育が不十分、体毛や骨盤の発達が遅れるなど、思春期の変化が弱い場合がある

 

・そのほかのサイン

下腹部痛や不快感:月経異常に伴う

精神的ストレス:月経が来ないことや妊娠困難による心理的影響

子宮発育不全の改善方法は手術やホルモンの補充

子宮発育不全を改善する方法は原因によって違います。

 

生まれつきの原因がある場合は今のところ根本的に改善する効果的な方法はありません。しかし、​種類や程度によっては手術による改善が可能です。

 

場合によっては手術を行うことで子宮の形状を正常な形状に近づけることができる場合もあります。

 

ホルモンの異常が原因である場合は、ホルモンを補充することで改善を行います。ホルモンの補充はなるべく早く開始すると症状を最小限にできる可能性があります。

主な改善方法

1. ホルモン法(HRT)

エストロゲン補充→ 子宮の発育にはエストロゲンが不可欠。思春期以降に不足している場合、エストロゲンを段階的に投与し、子宮の成長と内膜の成熟を促します。

エストロゲン+プロゲステロン併用→ 長期的には周期的にプロゲステロンも加えることで、子宮内膜の発育と正常な月経周期に近い状態を再現します。

GnRH・FSH/LH法→ 上位のホルモンの分泌不足が原因の場合、これらを補充する方法も選択肢になります。

 

2. 生活習慣・栄養改善

栄養状態の改善→ 重度のやせ・低栄養・過度のダイエットが原因のこともあり、適正な体重と栄養バランスの回復が子宮発育に有効です。

ストレスコントロール→ 精神的ストレスや過度な運動による視床下部性無月経は、子宮発育を妨げる要因になります。生活習慣の見直しが改善につながることがあります。

 

3. 不妊の改善の観点から

排卵誘発剤→ 卵巣を刺激し、ホルモン環境を整えることで子宮にも良い影響を与える場合があります。

子宮環境を整える方法→ 漢方薬(当帰芍薬散、温経湯など)が併用されることもあり、血流改善やホルモン調整を期待して使われます。

 

4. 鍼灸・補完法

骨盤内の血流改善→ 下腹部や骨盤内の血流を促進することで子宮内膜の厚みや機能改善をサポートすることがあります。

自律神経バランスの調整→ ホルモン分泌は自律神経系と密接に関わるため、鍼灸は補助的に有効とされる場合があります。

鍼灸の効果

・血流改善による効果

子宮や卵巣は「骨盤内臓器」であり、血流が不足するとホルモン応答や内膜の成長が低下します。鍼灸では、下腹部や足部に施術することで 骨盤内の血流改善 が確認されています。

 

・自律神経の調整

子宮や卵巣の働きは 自律神経 に支配されています。ストレスや過労で交感神経が優位になると、子宮血流が低下し発育を妨げる要因になります。鍼灸によって副交感神経優位のリラックス状態が作られ、ホルモン分泌や子宮の反応性が高まると考えられています。

 

・ホルモン分泌への影響

鍼灸刺激が 視床下部‐下垂体‐卵巣軸に働きかけることが研究で示されています。特にエストロゲンや黄体ホルモンの分泌を間接的にサポートすることで、子宮内膜の厚みや機能改善が期待できます。

子宮発達不全は病気ではない

子宮発育不全は病気の名前として使われている名前ではなく、はっきりとした判断基準もありません。そのため、子宮発育不全の女性がどの程度いてどの様な症状がある人が多いのかなどの詳しいことはわかっていません。

 

一般的には子宮の発育不全の状態では、正常な子宮と比べて子宮の大きさが小さいことや、子宮内膜が充分な厚さになることができず不妊症や流産になってしまうことが多いです。

 

しかし症状の程度や種類によっては妊娠や出産することも可能です。気になる場合は病院で相談することをおすすめします。

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