乏汗症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 8月 10日

更新日:2024年 9月  3日

本日は乏汗症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 乏汗症とは
  • 乏汗症の原因
  • 乏汗症の症状
  • 乏汗症の改善方法
  • 乏汗症のまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

乏汗症は、発汗の量が正常よりも少ないこと

乏汗症は、発汗の刺激を受けたり汗をかく環境にいたりしても、発汗の量が正常よりも少ないことです。

 

汗の量が少なくなることで、皮膚が乾燥してかゆみが出ることもあります。全く発汗しない場合は無汗症と言います。

 

原因はいろいろありますが、原因不明のこともあります。

乏汗症の原因は、いろいろある

乏汗症の原因は、いろいろあります。内分泌の異常や交感神経の異常、皮膚や代謝に関わる病気、薬などがあげられます。

 

乏汗症の多くは、局所性で局所的な皮膚の損傷や結合組織の病気などによって汗腺が萎縮することが原因です。薬では特に抗コリン作用のある薬が原因になることが多いです。

 

また乏汗症は、原因がわからないこともあります。

乏汗症とは、汗が通常よりも少なく出る状態を指します。この症状は適切な体温調節を妨げ、熱中症などのリスクを高める可能性があります。

 

乏汗症は体内または体外のさまざまな要素によって引き起こされる可能性があります。最も一般的な要素を3つに分けて説明します。

 

まず、病気による影響を見てみましょう。一部の人々は、皮膚の病気、神経系の病気、糖尿病、甲状腺の病気、自己免疫の病気など、特定の病気や病状が乏汗症を引き起こすことがあります。これらの病気は、汗腺の機能を直接的にまたは間接的に影響を及ぼし、汗の産生を妨げる可能性があります。

 

次に、薬物影響について考えてみましょう。一部の薬物は、汗の産生を制御する体のプロセスに影響を与えることが知られています。これらには、高血圧薬、心臓の病気の薬、抗精神病薬、抗うつ薬などが含まれます。これらの薬物の中には、副作用として乏汗症を引き起こすものもあります。

 

最後に、遺伝的要因も乏汗症の原因となることがあります。遺伝性感覚神経性自律神経障害などの特定の遺伝性の病気は、汗腺の正常な機能を妨げ、乏汗症を引き起こす可能性があります。

 

乏汗症の原因はこれらだけではありません。その他にも、年齢、体重、身体的活動レベル、環境など、個々のライフスタイルや周囲の状況も乏汗症の発症に影響を及ぼす可能性があります。例えば、年齢と共に汗腺の機能は自然と低下します。これは老化による体の一般的な機能低下の一部であり、高齢者はより乏汗症になりやすいとされています。

 

同様に、適切な体重を維持することは汗腺の正常な機能に重要です。肥満は全身の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、汗の生成と放出を妨げる可能性があります。これは、体重が増加すると、体温調節が難しくなり、汗を生成するのに必要なエネルギーが不足するためです。

 

また、身体的活動レベルも汗腺の機能に影響を与えます。定期的な運動は、汗腺を刺激し、汗の生成を促進します。逆に、不活動なライフスタイルを送っている人は、汗腺の機能が低下し、乏汗症を引き起こす可能性があります。

 

さらに、乏汗症は、高温や乾燥した環境で暮らしている人々にとって特に問題となる可能性があります。これらの環境は、汗腺を過度に刺激し、その結果、汗の生成が抑制される可能性があります。

 

乏汗症の原因は多岐にわたり、個々の生活習慣、病気の有無、薬物の使用、遺伝的要素などによって異なる可能性があります。

乏汗症の症状は、発汗量が少ないこと

乏汗症の症状は、発汗量が少ないことです。乏汗症では、汗をかく環境にいても、正常より発汗量が少なくなるのです。

 

汗の量が減るために、皮膚が乾燥し、かゆみが現れることもあります。

 

全く汗をかかない無汗症の場合では、場合によっては体温調節ができず、発熱や脱力、頭痛、眩暈、嘔気、動悸などが起こることもあります。また、体温の調節ができないことは疲れやすくなることにもつながります。

乏汗症は、通常よりも少ない汗を発生する状態を指します。この状態は、体の温度調節機能に問題を引き起こし、場合によっては重篤な健康問題を引き起こす可能性があります。

 

乏汗症の最も明白な症状は、運動中や暖かい環境でさえ、汗をほとんどまたは全くかかないことです。体温が上昇すると、通常は汗腺が活性化し、汗を発生させて体を冷却します。しかし、乏汗症の人はこのプロセスが適切に機能せず、少ない汗しか発生しないため、体温調節に問題を抱える可能性があります。

 

乏汗症の次の症状は、熱中症や熱射病です。これは、体が過熱状態になり、体温が急激に上昇すると発生します。これらの症状には、めまい、頭痛、吐き気、心拍数の増加、混乱、失神、または昏睡状態が含まれます。

さらに、乏汗症の人々はしばしば、皮膚が乾燥し、ひび割れ、あるいはかゆみを起こすことがあります。これは、汗が皮膚を自然に湿らせてくれる役割を果たしていないためです。

 

乏汗症の症状は、体の特定の部分、例えば一つまたは二つの肢、または体の一部だけに限定される場合もあります。または、全身にわたって影響を及ぼす場合もあります。これは主に、乏汗症が皮膚病、神経系の病気、または全身性の問題によって引き起こされるかどうかによります。

 

乏汗症は、特定の病気や状態と関連している場合があり、それらの病気や状態から派生する他の症状を伴うこともあります。例えば、乏汗症はパーキンソン病や糖尿病といった神経系の病気に関連している場合があり、これらの病気の症状を伴うこともあります。

 

また、乏汗症が麻痺や感覚異常を伴う神経障害の結果である場合もあります。この場合、乏汗症の症状とともに、感覚機能の低下、麻痺、または不快な感覚が発生する可能性があります。

 

乏汗症が特定の皮膚病によって引き起こされる場合、皮膚に発疹、発赤、腫れ、皮膚の変色などの他の症状が見られることがあります。

さらに、乏汗症の症状は薬物の使用に関連していることもあります。一部の薬物は、汗の生成と放出に影響を与える可能性があり、乏汗症の症状を引き起こすことがあります。これらの薬物には、高血圧薬、抗精神病薬、抗うつ薬などが含まれます。薬物が原因である場合、医師と相談し、可能であれば薬物の変更や減量を検討することが重要です。

 

乏汗症は、単一の明確な症状だけでなく、多くの可能な症状や関連する病気を伴う複雑な状態です。

乏汗症の改善方法は、体を冷やすこと

乏汗症の改善方法は、体を冷やすことです。乏汗症では、汗の量が減るため体温調節ができなくなります。そのため、体を冷やすことが重要になります。

 

空調が効いている場所に行ったり濡らした衣類で体を冷やしたりすることをお勧めします。

乏汗症は、通常よりも少ない汗を生成する状態を指します。

 

乏汗症の改善方法は、その原因と程度によります。乏汗症が病気や、薬物、遺伝的要因、または生活習慣によって引き起こされているかによって改善方法が異なります。

 

病気が乏汗症の原因である場合、その病気や病気自体の改善が必要となることが多いです。例えば、糖尿病やパーキンソン病、皮膚の病気などが原因である場合、それぞれの病気の改善法が適用されます。これには、薬、生活習慣の改善、リハビリテーションなどが含まれます。

 

乏汗症が薬物の副作用によって引き起こされている場合、その薬物の使用を見直す必要があります。医師と相談し、他の薬物への変更や薬物の量を調節することが考慮されます。

 

遺伝的要因による乏汗症の場合、遺伝的な病気の改善に焦点を当てることが重要です。これは通常、特定の遺伝的な病気を改善するための専門的な介入を必要とします。この改善方法は、病状を管理し、症状を緩和することを目指します。

 

乏汗症が生活習慣や環境によって引き起こされている場合、ライフスタイルの改善が重要な役割を果たします。これには、定期的な運動、健康的な食事、適切な水分補給、適度な体重の維持が含まれます。さらに、環境を考慮し、過度の暑さや乾燥から身を守るための対策も重要です。

 

乏汗症の改善法はこれらだけではありません。その他の改善法としては、心理的介入やリラクゼーション技術、物理的な方法などです。

 

具体的な戦略は個々の病状によって異なりますが、全般的な健康と体調を維持するためには、適切な睡眠、バランスのとれた食事、定期的な運動が重要です。これらの生活習慣は体温調節機能を強化し、乏汗症の管理に役立つ可能性があります。

 

乏汗症は、体温調節の問題というよりも、しばしばその根本的な原因に対する対処が必要です。それは特定の病状、遺伝的な要素、薬物の影響、あるいはライフスタイルの一部である可能性があります。したがって、乏汗症の症状がある場合、または自身が乏汗症であると思われる場合は、専門家に相談することが重要です。

 

専門家は、症状の原因を正確に特定し、個々の症状に最適な改善法を提供することができます。さらに、適切な教育と支援を提供し、生活習慣の変更、薬物の管理、病状の管理など、乏汗症の全体的な管理を改善するのに役立つ可能性があります。

 

乏汗症の改善は必ずしも短期間で結果が得られるものではなく、長期的な管理とケアが必要な場合もあります。

周りの環境や行動を調節することが大事

乏汗症が局所性ではなく広い範囲で起こっている場合には、特に体温の調節が難しくなります。

 

そのため、日常生活を送る上で注意が必要になります。涼しい環境を保ったり、運動の制限をしたりして体温が上がらないように、周りの環境や行動を調節することが大事です。

乏汗症に効果的なツボ

神門

・太渓

大包

神門

神門の効果は、自律神経を正しい状態にすることです。自律神経が正しい状態になると、発汗も正しい状態に調整され汗をコントロールすることができるようになります。

 

そのため、乏汗症の改善にも効果が期待できます。また、発汗を調整できるようになることは、多汗症の改善に効果を発揮します。

太渓

太渓の効果は、体温を調節することです。体温を調整することができるということは、汗のコントロールをすることができるようになるということにつながります。

 

そのため、乏汗症にも効果が期待できるのです。また、体温を調節する効果は、冷え性の改善にも役立ちます。

大包

大包は、顔の汗とわき汗を抑える効果があります。汗を抑えることができるということは、汗をコントロールできるということにつながるため、乏汗症の改善にも役立つと考えられます。

 

他にも、肋間神経痛に効果があると言われています。

ツボの位置と押し方

神門

神門は、掌側の手首のしわ上で、小指側の少しくぼんだ場所にあります。

 

押すときは、親指を使って残りの指で手首をつかみ、痛気持ちいいと感じるくらいの強さで押しましょう。押す回数の目安は約30回です。

太渓

太渓は、小指側にある腱の内側で内くるぶしとアキレス腱の間のへこんでいる部分にあります。ツボがある場所は、動脈が通っているため触れた時に拍動を感じるはずです。

 

押すときは、じんわりと押します。揉むような刺激を与えることもお勧めです。お灸も非常に有効です。

大包

大包は脇の下の付け根から約3cm下にあります。胸を覆うように腕を組んだ時、指があたる部分です。

 

押すときは、左右両方の人差し指と中指と薬指を揃えて指の腹を使って押します。ゆっくりと押していきます。そのとき、ゆっくりと息を吐くことを心がけると良いでしょう。

乏汗症の改善例

乏汗症が糖尿病による神経障害の結果である場合:

この例は、"Clinical Autonomic Research" (2018)に報告された症例です。60歳の男性が、暑さに対する耐性低下と汗をかきにくい状態に悩んで病院に来院しました。彼はまた、しびれと感覚異常を体験していました。彼は糖尿病であったことが明らかになりました。

 

彼の改善の計画は、まず彼の糖尿病の管理を強化することから始まりました。彼の血糖値を管理するために、食事とインスリンが調整されました。さらに、彼の神経障害を緩和するための薬も導入されました。その結果、彼の乏汗症の症状は徐々に改善しました。

 

乏汗症が薬物副作用によるものである場合:

この例は、"The American Journal of Medicine" (2016)に報告された症例です。40歳の女性が、乏汗症の症状と熱中症を経験しました。彼女の症状は、彼女が高血圧の改善の一部として服用していた特定の薬によるものでした。

 

彼女の医師は、彼女の血圧管理を維持しつつ、彼女が服用していた薬を別のものに変更することを決定しました。この変更により、彼女の乏汗症の症状は大幅に改善しました。

 

乏汗症が生活習慣に関連している場合:

この例は、"Journal of Family Practice" (2017)に報告された症例です。30歳の男性が、運動時に汗をかかないという問題を抱えて医師のもとを訪れました。彼は、仕事のストレスと不規則な生活習慣により、体調管理がうまくいっていないと述べました。

 

この男性の場合、ライフスタイルの改善が重要な改善の一部となりました。彼は医師の助けを借りて、健康的な食事、適度な運動、ストレスマネジメントを含む生活習慣の見直しを始めました。彼はまた、水分補給の重要性を学び、運動前後の水分補給を実施するようになりました。このようなライフスタイルの改善により、彼の乏汗症の症状は徐々に改善しました。

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