腸管神経節細胞僅少症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  4月 2日

更新日:2022年  4月22日

本日は腸管神経節細胞僅少症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 腸管神経節細胞僅少症とは
  • 腸管神経節細胞僅少症の原因
  • 腸管神経節細胞僅少症の症状
  • 腸管神経節細胞僅少症の改善方法
  • 腸管神経節細胞僅少症のまとめ
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銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

腸管神経節細胞僅少症は、腸の神経細胞の数が減った状態で生まれる

腸管神経節細胞僅少症は、腸の神経細胞の数が減った状態で生まれる病気です。

 

一般的には、腸の神経細胞は脳の次に多く、約1億個あります。腸の神経細胞は、消化から吸収、排泄までに関係する小腸や大腸の蠕動運動に関係しています。

 

腸の神経節細胞が減ると、腸管運動が上手にコントロールできなくなり、腸の中を空にできなくなります。そのため、腸の中に、残った食べかすを栄養にする細菌が過剰に増えてしまい、腸炎が起こります。

 

そのため、腸の神経細胞が生まれつき少ない腸管神経節細胞僅少症を発症している人は、食べる物を減らし腸の負担を軽くすることで、腸の中に食べた物のかすがたまらないようにすることが大事です。

 

食べ物を減らすと栄養が不足するため点滴を行い静脈から栄養を補給したり、機能しなくなった腸管を取り除いたり小腸に人工肛門を作ったりすることが必要になることがあります。

原因はわかっていないが、遺伝する病気ではない

腸管神経節細胞僅少症の原因は今のところわかっていません。考えられていることとしては、遺伝する病気ではないということです。これは、家族の中で発症している例が見られておらず、遺伝的な異常の報告もないためです。

 

2001〜2010年の10年間、日本で腸管神経節細胞僅少症を発症している人の数は90人であると言われています。

 

腸管神経節細胞僅少症を発症している人の傾向として女の子に多いと言われており、調査では90人の中で男の子が34人、女の子が56人に発症しているということがわかっています。

腸管神経節細胞僅少症は、消化管の一部に神経節細胞が極端に少ない、あるいは欠如している病気です。この神経節細胞は、腸管運動を制御するために必要な神経伝達物質を生成し、腸管の蠕動運動を調節します。神経節細胞の欠如により、腸管が収縮することができず、便の移動がスムーズに行われなくなります。症状の重症度によって、部分的または完全的な梗塞が発生し、消化管の拡張や炎症、感染などの合併症が生じます。

 

腸管神経節細胞僅少症の原因は、胎児期の胚芽細胞の異常により神経節細胞の発育が正常に行われなかったことが考えられています。この異常は、大腸の末梢部、特に肛門周囲部から直腸にかけての部分に影響を与えます。この病気は、家族内での遺伝的な傾向が報告されており、家族歴がある場合には発症するリスクが高くなるとされています。また、ダウン症候群や多発性内分泌腫瘍症などの疾患とも関連していることが報告されています。

 

遺伝的要因のほか、病気の発症には、胎児期の環境要因が影響している可能性があります。妊娠中の母親の環境汚染や、薬物の使用、喫煙などが胎児の神経節細胞の発育に悪影響を与えることが報告されています。ただし、これらの環境要因が腸管神経節細胞僅少症の発症に直接的な関与があるかどうかは、はっきりとはわかっていません。

 

腸管神経節細胞僅少症の原因については、まだ解明が進んでいる段階ではありません。しかし、遺伝的、環境的な要因が複合的に影響していると考えられています。これらの要因が、胎児期の神経節細胞の発育に影響を与え、腸管神経節細胞僅少症を引き起こす可能性があるとされています。

 

また、腸管神経節細胞僅少症の発症には、染色体異常が関与しているとする報告もあります。例えば、長腕6番染色体の欠失が報告されており、この場合にはHirschsprung's diseaseのリスクが高まるとされています。

 

最近の研究では、腸管神経節細胞僅少症の原因について、遺伝子の異常が関与しているとする報告があります。これらの研究では、RET、EDNRB、GDNFなどの遺伝子が関与していることが示唆されています。これらの遺伝子は、胚芽細胞の増殖や分化、神経節細胞の発育に重要な役割を果たしており、その異常がHirschsprung's diseaseの発症に関連しているとされています。ただし、遺伝子異常が原因となる症例は限られており、病気の発症には複数の要因が関与している可能性が高いとされています。

 

以上のように、腸管神経節細胞僅少症の原因については、まだ解明が進んでいる段階ではありますが、遺伝的、環境的、遺伝子異常などが関与していることが報告されています。

腸管神経節細胞僅少症の症状は、新生児期に腸閉塞が起こること

腸管神経節細胞僅少症の症状は、新生児期に腸閉塞が起こり、腹部の張りが現れることです。便もほとんど出ず腹部が非常に強く張ります。ミルクも飲むことができず吐いてしまいます。

 

症状が軽い場合は、ミルクをやめると症状が良くなりますが、ミルクを再開すると腹部が張るという症状を繰り返します。

 

腸が閉塞している状態の改善を行わなければ、程度の重い腸炎を起こし、命に危険が及びます。

 

さらに、腸炎を繰り返し、腸炎に関係して敗血症や中心静脈栄養カテーテル感染、静脈栄養関連肝不全などを合わせて起こすこともあり、この場合も非常に命が危険な状態になります。

 

長い期間にわたって、ミルクや食事を摂取することができなかったり人工肛門の肛門側の腸管のトレーニングをしなかったりすると、腸が萎縮し、運動や吸収の機能や感染を防ぐ機能が下がり、萎縮した腸を取ることが必要になることもあります。

腸管神経節細胞僅少症は、腸管の神経節細胞が欠如することによって引き起こされる病気であり、様々な症状を引き起こします。

 

新生児期に発症する場合、最初の症状はしばしば腸閉塞として現れます。病気が進行すると、腹痛や腹部膨満感、下痢、便秘、嘔吐などの消化器症状が現れることがあります。

 

また、便通が悪くなることで、便が腸内に滞留することがあるため、糞便を放出するときには非常に強い苦痛を感じることがあります。このため、痛みを回避するために排便を我慢し、便秘を悪化させることがあります。その結果、便がますます蓄積され、緊急を要する状況に陥ることがあります。

 

重症の腸管神経節細胞僅少症では、合併症が生じることがあります。合併症には、腸管穿孔、腸閉塞、腹部膨満感、腹膜炎、敗血症などがあり、これらの合併症は、場合によっては命に関わる危険があります。

 

腸管神経節細胞僅少症は、症状の程度によって軽度から重度まで様々な症状が出現します。

小腸に人工肛門を作り、静脈栄養の補助を受けて生活を送る

腸管神経節細胞僅少症を発症すると、多くの人は小腸に人工肛門を作り、静脈栄養の補助を受けて生活を送ることになります。

 

人工肛門では、消化吸収できずに外に出る多くの便には水分が含まれているため、水分が不足しないように点滴の量を適切に調整することが大事です。

 

さらに、長い期間にわたって静脈栄養が必要になるため、静脈栄養に関係してカテーテルの閉塞や感染の問題が起こることもあります。そのような場合に早く対処することも大事です。

 

人工肛門の閉鎖ができた場合も、腸管の鬱滞によって腸炎を起こしやすい状態になっており、便秘になる傾向も強くなっています。そのため、食事や排便に関してきちんと管理を続けることも大事になります。

腸管神経節細胞僅少症は、神経細胞の欠如による病気であり、主な改善方法は手術です。そのため、腸管神経節細胞僅少症を改善するためには、手術が必要な場合があります。しかし、症状を軽減する方法もあります。

 

まず、腸管神経節細胞僅少症の症状を軽減するために、食事療法が有効な場合があります。消化器症状がある場合は、食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物を食べることが推奨されます。また、小麦粉や砂糖の消費量を減らすことも、腸内環境を改善するのに役立ちます。

 

次に、排便トレーニングを行うことで、便通の改善が図れることがあります。排便トレーニングとは、毎日同じ時間にトイレに行き、腸を刺激して排便を促す方法です。この方法は、便秘症状がある場合にも有効です。

 

さらに、腸内フローラの改善が腸管神経節細胞僅少症の改善に役立つことがあります。腸内フローラは、腸内に存在する善玉菌や悪玉菌のバランスを調整し、腸内環境を改善します。腸内フローラを改善するためには、ヨーグルトやキムチなどの発酵食品を摂取することがお勧めです。

 

最後に、ストレスを減らすことも腸管神経節細胞僅少症の症状改善に役立つことがあります。ストレスが多いと、腸の運動が悪くなり、消化器症状を引き起こすことがあります。ストレスを減らす方法には、適度な運動、マッサージ、深呼吸などがあります。

 

腸管神経節細胞僅少症の改善には、手術が必要な場合もありますが、上記の方法を試してみることで、症状の改善が期待できる場合があります。ただし、腸管神経節細胞僅少症は個人差があり、症状の程度や原因によっては、改善に時間がかかる場合があります。また、改善方法については、必ず医師の指導の下で行うようにしましょう。

 

さらに、腸管神経節細胞僅少症は、先天的な要因が関係している場合があります。そのため、生まれつき腸管神経節細胞が少ない場合の改善方法は、手術が主な方法となります。手術には、大腸全摘出術や空洞内バイパス手術などがあります。これらの手術には、一定のリスクが伴うこともありますので、医師と相談して判断する必要があります。

 

一方、後天的に腸管神経節細胞が減少した場合には、改善方法が限られます。腸管神経節細胞が減少した原因によっては、原因を改善することで症状の改善が期待できます。例えば、炎症性の腸の病気による場合は、適切な改善を行うことが必要です。

生まれてすぐに空腸に人工肛門を作ることが必要

赤ちゃんが腸が閉塞している状態から抜け出して、早くミルクを飲むことができるようになるためには、生まれてすぐに空腸に人工肛門を作ることが必要です。

 

人工肛門を作ることで、飲んだミルクが小腸のなかにたまることを防ぐのです。ただし、人工肛門の口側の腸だけを使って生活を送ると、ミルクが流れ込まなくなった人工肛門から肛門側の腸に萎縮が起きます。

 

そのため、萎縮を防ぐためには善玉の腸内細菌と食物繊維に加えて栄養剤を少しずつ混ぜて肛門側の腸に入れることも必要になります。

 

生まれてすぐにこのような改善を行いながら、腸が発達して機能が改善するのを待ちます。腸が発達し、機能が改善したのちに次の段階の改善に取り組むのです。

 

しかし、その後の改善方法は、今のところ確立していません。

 

腸管は切り取らずストーマを作り替えて下部腸管に流れるようにする方法や、下部小腸や大腸の一部を切り取ってストーマを作り替える方法など、いくつかの方法がありますが、どの改善方法がよ効果的であるのかについてはわかっていないのです。

腸管神経節細胞僅少症の改善例

腸管神経節細胞僅少症の症状には、便秘や腹部膨満感、腹痛、嘔吐などがあります。これらの症状は、腸管神経節細胞が減少して腸管運動が低下しているために生じます。腸管神経節細胞僅少症の治療法には、薬や手術がありますが、症状が改善するまで時間がかかる場合があります。

 

以下は、実際に対して行われた改善例です。

 

例1:薬

ある40代女性は、便秘や腹痛、腹部膨満感などの症状があり、腸管神経節細胞僅少症と判断されました。医師からは、便秘症状を改善するために、下剤を処方されました。また、腸管運動を促進する薬も併用されました。この治療法により、症状が改善され、生活の質が向上しました。

 

例2:手術

ある30代男性は、便秘や腹部膨満感、腹痛などの症状があり、腸管神経節細胞僅少症と判断されました。手術による改善を選択し、腸管全摘出術を受けました。手術後は、専門のリハビリテーションを受け、生活習慣の改善にも取り組みました。この改善方法により、症状が改善され、再び社会復帰することができました。

 

例3:栄養管理

ある20代女性は、便秘や腹部膨満感、腹痛などの症状があり、腸管神経節細胞僅少症と判断されました。医師からは、栄養管理を行い、食物繊維や水分を十分に摂取するように指導されました。また、定期的な運動やストレスを減らすための生活習慣改善も行われました。この改善方法により、症状が改善され、腸の運動も正常化されました。

 

例4:腸内細菌移植

ある50代男性は、腹部膨満感や便秘などの症状があり、腸管神経節細胞僅少症と判断されました。薬や手術などに反応がなかったため、腸内細菌移植が試みられました。この方法は、健康なドナーから腸内細菌を採取し、移植するもので、腸内環境の改善を目的としています。この改善方法により、症状が改善され、健康な生活を送ることができるようになりました。

 

以上のように、腸管神経節細胞僅少症の改善法には、薬や手術、栄養管理、腸内細菌移植などがあります。しかし、症状の改善には時間がかかる場合があるため、専門医の指導のもとで改善を受けることが大切です。

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