公開日:2019年 12月23日
更新日:2021年 5月 15日
本日は線維筋痛症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
線維筋痛症は、検査をしても特徴的な原因が見つからないにもかかわらず、全身に強い痛みやこわばり、睡眠障害、うつ状態などが生じる病気です。
確実な原因は未だ解明されていませんが、脳の痛み信号を感じる機能に障害が起きて生じると考えられています。
脳には痛みの信号を伝える機能とその信号を抑える機能が備わっており、通常それらが上手く調整されています。
車のアクセルとブレーキをイメージしてください。なんらかの理由で脳の機能に問題が起こり、ブレーキが効かない状態、またはアクセルを踏み過ぎた状態になると、通常痛みを感じない程の弱い衝撃にも過敏になり、強い痛みを感じてしまいます。
線維筋痛症で痛みやこわばりなどの症状が見られる部位を調べても、異常は見られないのは、脳の機能障害が痛みの原因であるためです。
脳は、身体の「中枢神経系」とゆう大きなグループに所属し、中枢神経系は大脳、脳幹、小脳、脊髄で構成されています。そのうち大脳、脳幹、小脳をひとまとめに脳と言います。
すなわち線維筋痛症は、中枢神経系の機能障害で起こる病気とも言えます。
線維筋痛症の主要となる症状は強い痛みです。この疾患は痛みの部位が流動的で、全身がまんべんなく痛いこともあれば、身体の一部であったりします。
そして、痛み以外の症状で疲労感や倦怠感、こわばり、睡眠障害、うつ状態などを中心に、様々な症状が現れます。
こうした症状が互いに悪影響を及ぼし合って進行し慢性化しやすい疾患になります。この状態が続けば続く程、日常生活に支障をきたします。
症状の定義は、身体のあちこちに痛みが3ヶ月以上の長期にわたり出没し、強いこわばり、そして激しい倦怠感や不眠、頭痛、うつ状態など多彩な症状を伴ってくると、線維筋痛症の可能性が高いと言えます。
しかし、異常が見られないため判断が遅れることがしばしばあります。
線維筋痛症の原因と考えられているのは脳の機能障害です。脳の機能障害は、心理的・社会的なストレスや外傷がきっかけとなって発症する事が多いと考えられています。
しかし、ストレスを受けた人すべてが線維筋痛症を発症する訳ではないので、未だよくわかっていないことが多いです。現在さまざまな議論・研究が行われています。
線維筋痛症の有病率は、厚生労働省研究班による2003年の住民調査で人口の約1.7%の方々が線維筋痛症であると発表されています。
関節リウマチがわが国で約0.7%(最大でも1.0%)なのに比べて、線維筋痛症は多い頻度であり、約200万人もかかっている人がいることになります。欧米では一般人口の2%前後です。決してまれな病気ではありません。
線維筋痛症がどうして起こるかは、現状ではっきりは解っていません。
今現段階で考えられているのが、痛みが痛みのある局所に原因があるのではなく、脳に痛みを伝える神経システムに問題が生じたためといわれています。
健康な人の場合、多少の刺激では痛みを脳が感知しません。刺激が脳に伝わっても、脳から痛み刺激を抑える反応が起こるためです。
しかし、線維筋痛症では、あたかもアクセルが踏み込まれ、ブレーキがきかない車にたとえることができます。痛みの神経が暴走した状態にあるため多少の刺激でも痛みを感じてしまうのです。
一体なぜブレーキがきかない状態になるか、これまでまったく不明でしたが、最近日本人による研究により、脳内で痛みの神経に炎症(脳内神経炎症)が発生しているためであることが解ってきました。
改善には、薬と薬以外があります。
薬:リリカ(神経障害性疼痛に有効)、サインバルタ(抗うつ薬に分類される)、トリプタノール(アミトリプチリン)、弱オピオイド系のトラマール、トラムセット(トラマドール)、ノルスパンテープ(ブプレノルフィン)などその他として、ノイロトロピン(ワクシニアウィルス接種家兎炎症皮膚抽出液)、カロナール(アセトアミノフェン)などが使用されます。
一般的な鎮痛薬であるロキソニン(ロキソプロフェン)、ボルタレンや副腎皮質ステロイドホルモンは有効ではありません。
これら薬が病状に応じて、単独もしくは2種類や3種類併用で使用されます。しかし、薬で痛みの完全な消失は困難なゆえ、痛みを一定レベルに和らげるのみである認識が必要です。
薬でないもの:運動と精神・心理の改善方法があります。欧米では積極的に行われている運動として、段階的有酸素運動、レジスタンス運動、瞑想運動(ヨガ、太極拳、気功)などがあります。
わが国では医療制度の違いと、線維筋痛症に特化した指導者がいないことから、実施することが困難です。
自分で行えるものとして、ヨガや温熱、和音の改善方法などがあります。精神・心理の改善方法として認知行動も有効であるとされています。そしてわが国では痛みに対する鍼灸が行われています。
早期改善で症状が改善する可能性が高いとされていますが、費用の助成がないため、慢性化すると高額な費用がのしかかってくる場合があります。
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