血栓症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  10月 1日

更新日:2021年  10月11日

本日は血栓症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 血栓症とは
  • 血栓症の原因
  • 血栓症の症状
  • 血栓症の改善方法
  • 血栓症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

血栓症は、血液の中に血栓ができ血管を塞ぐ

血栓症は、いろいろな理由によって血液の中に血栓ができ、血栓が血管を塞ぐことによって臓器障害が起きる病気です。

 

臓器障害は血栓が血管を塞ぐことによって末梢の循環不全が起きることによって起きたり、血流によって血栓が流され血栓ができた位置ではない部分で血管を塞ぐことによって起きたりします。

血栓症の原因は、血液の中に塊ができること

血栓症の原因は、血液の中に塊ができることです。血液の中の塊は血流と血液と血管のどこかに異常が起こることによって起こります。

 

血流に異常が起こる時には血液が滞ってしまうことで血栓ができると考えられています。

 

血流が停滞してしまうことで血栓ができやすい部分は下肢です。長い時間ののフライトやバスや新幹線での移動やデスクワーク、手術をした後などの長い時間の安静などによって血流が滞り血栓につながるのです。

 

血液に異常が起きる時には血液が固まりやすかったり溶けにくかったりする性質になることで血栓ができると考えられています。高脂血症や糖尿病などの慢性疾患によって起こりやすいと言われています。

 

ピルなどの女性ホルモン剤も血液を固めやすい性質にするため、血栓を作ってしまうことがあります。

 

血管に異常が起こる時には動脈硬化によって血管が固く弾力がなくなることで血流が衰え血栓ができると考えられています。

血栓症は、血液中の凝固因子や血管内壁の異常により、血液が正常な流れを阻害し、血管内に血栓が形成される病気です。血栓症の原因は多岐にわたり、以下に詳細に解説します。

 

ヴァージャノー現象(Virchow's Triad):

 

ヴァージャノー現象は、血栓症の発症に関与する3つの要素を指します。

血液の凝固傾向の増加: 血液中の凝固因子の異常や凝固促進物質の増加により、血液の凝固傾向が高まります。

血流の乱れ: 血液の流れが滞る場所や渦巻きが生じる場所では、血栓が形成されやすくなります。血流の乱れは、血管の狭窄、弁膜症、心不全などが原因となることがあります。

血管内壁の損傷: 血管内壁が損傷されると、血液中の血小板や凝固因子が血管壁に接着し、血栓形成が促進されます。血管内壁の損傷は、外傷、炎症、血管内挿管などが原因となることがあります。

遺伝的要因:

 

血栓症は遺伝的要因によっても引き起こされる場合があります。特定の遺伝子変異(例: ファクターVレーデン変異、プロトロンビン変異)は、血液凝固過程に影響を与え、血栓症のリスクを増加させることが知られています。

外傷や手術:

 

外傷や手術は、血栓症のリスクを増加させる可能性があります。外傷や手術によって血管内壁が損傷されると、血液凝固が促進され、血栓形成のリスクが高まります。

妊娠と出産:

 

妊娠中および出産後は、女性の体内でホルモンや血液の変化が起こります。これにより、血液凝固因子の活性が増加し、血栓症のリスクが上昇する可能性があります。特に帝王切開や長時間の安静など、出産時の手術やリスク要因がある場合は、血栓症の発症リスクが高まることが知られています。

創傷や骨折:

 

大きな創傷や骨折は、血液の凝固を促進する因子が放出されることで血栓症のリスクを高めることがあります。創傷や骨折が起こると、血管内壁が損傷され、血小板と凝固因子がその部位に集まり、血栓形成が促進されます。

高齢化:

 

年齢が上がると、血管壁や血液中の凝固因子の変化が生じ、血栓症のリスクが高まる傾向があります。加えて、高齢者は慢性疾患や運動制限により、血流の乱れが起こりやすくなることも要因となります。

免疫系の異常:

 

免疫系の異常は、炎症反応や血管内皮機能の変化を引き起こす可能性があり、血栓症の発症リスクを増加させることがあります。特定の自己免疫の病気や炎症性の腸の病気などの病気は、免疫系の異常を引き起こす可能性があります。

喫煙や肥満:

 

喫煙や肥満は、血管内壁の損傷や炎症を引き起こす可能性があり、血栓症のリスクを増加させる要因となります。

以上が、血栓症の一般的な原因要素の詳細な解説です。血栓症の予防や早期判断のためには、リスク要因への注意と適切な管理が重要です。専門家の指導の下で、個々のリスク要因や状況に応じた対策を講じることが重要です。また、適切な血栓症予防策や生活習慣の改善も重要な役割を果たします。

 

引用元:

 

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血栓症の原因要素は多岐にわたり、それぞれにおいて異なる場合があります。

血栓症はいろいろな臓器に障害を引き起こす

血栓症はいろいろな臓器に障害を引き起こします。どのような障害を引き起こすのかについては血栓のできた場所によって異なります。血栓症には2つの種類があります。

 

1つ目は動脈で起こる動脈血栓症です。動脈血栓症は、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こします。2つ目は、静脈で起こる静脈血栓症です。静脈血栓症は、深部静脈血栓症や肺塞栓症を引き起こします。

 

下肢の血管に血栓ができた場合は、ふくらはぎや太ももに痛みや腫れ、赤みが起きたり、突っ張りや脚のだるさを感じることが多いです。

血栓症は、血液中の凝固因子や血管内壁の異常により、血液が正常な流れを阻害し、血管内に血栓が形成される病気です。血栓症の症状は、形成された血栓の場所や大きさによって異なります。以下に、血栓症の一般的な症状とその詳細な解説を紹介します。

 

深部静脈血栓症(DVT)の症状:

 

脚の痛みと腫れ: DVTは通常、下肢の深部静脈(主にふくらはぎや太もも)に血栓が形成される状態です。このため、感じる痛みや不快感があり、脚が腫れることがあります。

ふくらはぎの熱感: 血栓が形成されると、ふくらはぎの部位が触れたり圧迫されることで熱感を感じることがあります。

色素沈着や皮膚の光沢: DVTによる血流障害や炎症反応により、脚の色素沈着や皮膚の光沢が生じることがあります。

肺血栓塞栓症(PE)の症状:

 

突然の呼吸困難: PEは肺動脈やその枝に血栓が詰まる状態であり、突然の呼吸困難が特徴的な症状です。患者は息切れや胸部の圧迫感を感じることがあります。

胸部痛: PEによる血流障害や肺動脈の圧力上昇により、胸部に鋭い痛みや圧迫感が生じることがあります。痛みは通常、深呼吸や咳嗽時に悪化します。

咳や喀血: PEによる肺血管の破壊や炎症反応により、咳や喀血(血痰)が生じることがあります。

脳血栓症(Cerebral Thrombosis)の症状:

 

急性の頭痛: 脳血栓症による血流障害や脳内の圧力上昇により、急激な頭痛が生じることがあります。痛みはしばしば突然発生し、激しい性質を持ちます。

突然の片麻痺または麻痺: 脳血栓により、血液の供給が阻害された脳の特定の領域に酸素や栄養素が不足し、麻痺が生じることがあります。麻痺は通常、一側の身体の一部(手、腕、足など)に現れます。

言語障害: 脳血栓が脳の言語センターに影響を与えると、言語の理解や表現に問題が生じることがあります。言葉の意味を理解できなかったり自分の思考を適切に伝えることができなかったりします。

顔の片側の麻痺またはしびれ: 脳血栓が脳の運動センターに影響を与えると、顔の片側に麻痺やしびれが生じることがあります。顔の筋肉が動かない、または感覚が鈍くなることがあります。

これらは一般的な血栓症の症状の一部ですが、症状は個人によって異なる場合があります。また、血栓症の症状は他の病気と類似していることもあります。

 

引用元:

 

Hunt BJ. "Bleeding and Thrombosis in Critical Care." N Engl J Med. 2014;370(9):847-859.

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血栓症の改善方法は、薬

血栓症の改善方法は、薬です。薬によって血栓を溶かし、血栓ができないようにすることで改善を行うのです。血栓を溶かすためには血栓溶解薬、血液を固まりにくくするためには抗凝固薬を使います。

 

薬を使うことで血液はサラサラになります。そのため、生活をしていて出血してしまった時には出血しすぎないように注意が必要です。薬で改善を行なっても血栓を溶かすことができない時には手術を行うこともあります。

 

血栓ができていることがわかったら他の臓器に移動しないようにすることが非常に大切です。そのため、できるだけ早く病院で改善を行いましょう。

血栓症は、血液中の凝固因子や血管内壁の異常により血栓が形成される病気であり、改善は、早期の判断と適切な管理が重要です。

 

抗凝固法:

 

血液凝固を抑制し、新たな血栓の形成や既存の血栓の拡大を防ぐために使用されます。主な抗凝固薬としては、ワルファリン、ヘパリン、直接経口抗凝固薬(DOACs)があります。これらの薬物は、凝固因子の活性化や凝固過程の阻害により、血栓の形成を防止します。

血栓溶解:

 

既存の血栓を溶解するために使用されます。主な血栓溶解薬は組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)です。tPAは血栓内の線維素を分解し、血栓を解消する作用を持ちます。血栓溶解療法は特定の状況で使用されることがあり、脳卒中や肺血栓塞栓症などの重篤な血栓症に対して有効です。

血栓除去:

 

血栓除去法は、血栓を物理的に除去するために使用されます。主な方法としては、血栓摘出術やカテーテルによる血栓除去があります。これらの手法は、血管内に挿入されたデバイスを使用して血栓を取り除くことで、血液の正常な流れを回復させます。

外科的処置:

 

重篤な血栓症の場合、外科的処置が必要な場合があります。例えば、深部静脈血栓症(DVT)の場合、血栓を取り除く手術や血栓をバイパスする手術(静脈フィルター挿入など)が行われることがあります。

防措置:

 

血栓症の予防は、再発や合併症のリスクを低減するために重要です。以下に、血栓症の予防策について詳しく解説します。

 

抗凝固法: 高リスクの場合や手術後には、抗凝固法が予防的に行われることがあります。これには、ワルファリンやヘパリンなどの薬物が使用されます。また、直接経口抗凝固薬(DOACs)も予防法として選択肢となります。

 

圧迫ストッキング: 圧迫ストッキングは、下肢の血流を改善し、深部静脈血栓症(DVT)のリスクを低減するために使用されます。これは、長時間の静座や安静状態での血液の滞留を防ぐために重要です。

 

運動と活動の促進: 長時間の静座や安静状態は血液の循環を悪化させることがあります。適度な運動や活動を行うことで、血液の循環が改善し、血栓症のリスクを低減することができます。

 

リスク要因の管理: 血栓症のリスク要因を持つ場合には、それぞれのリスク要因を管理することが重要です。例えば、喫煙や肥満の改善、高血圧や糖尿病の適切な管理、遺伝的要因への適切な対策などが含まれます。

 

抗血栓薬の適切な使用: 血栓症のリスクが高い場合は、抗血栓薬の使用が推奨される場合があります。これは、血栓症の再発リスクを低減するために重要です。

 

血栓症の予防策は、個々の状態やリスク要因に基づいてカスタマイズされる必要があります。

 

引用元:

 

Kearon C, et al. "Antithrombotic Therapy for VTE Disease: CHEST Guideline and Expert Panel Report." Chest. 2016;149(2):315-352.

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血栓を作りにくくするために

血栓症は日常生活を送る上で誰にでも起こることがある病気です。血栓を作りにくくして血栓症の予防を行いましょう。

 

血栓を作りにくくするために1番大切なことは下肢を積極的に動かすことです。下肢を動かすことで血液の停滞を防ぐのです。デスクワークや長い時間の移動などをする時には、足首を動かしたり下肢のマッサージをしたりすることをお勧めします。

 

こまめに水分を摂ることや糖尿病や高脂血症などの生活習慣病がある場合は病気の改善を行う中で食生活の改善や適度な運動などを行い血栓症の予防を行うことも大切です。

中見出し

血栓症は個々の状態や病態に基づいて行われるため、専門家の指導と適切な評価が不可欠です。以下に、血栓症の実際の改善の例を紹介します。

 

例1: 深部静脈血栓症(DVT)55歳の男性

長時間の飛行機移動後、右下肢の痛みと腫れが現れた。調べた結果、右下肢のふくらはぎの深部静脈に血栓が形成されていることが確認された。

改善:

抗凝固法が開始され、ヘパリンという注射薬が使用された。これにより血栓の進行を防ぎ、体内での凝固を抑制する。凝固因子の働きを遅くし、血栓の再発を防ぐ効果があるワルファリンという抗凝固薬が処方され、数か月間服用した。

圧迫ストッキングの使用: 下肢の血流改善とDVTの再発予防のために、圧迫ストッキングの着用が推奨された。

フォローアップ:

改善の効果と副作用の監視のため、定期的に医師に見てもらい血液を調べた。

例2: 肺血栓塞栓症(PE)65歳の女性

突然の呼吸困難と胸部痛が現れ、喀血も起こっている。

肺血栓塞栓症の疑いがあり、調べた結果、肺動脈に血栓が詰まっていることが確認された。

改善:

肺血栓塞栓症は重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、緊急の改善が必要です。ヘパリンという抗凝固薬が静脈内投与され、血栓の進行を防ぎ、体内での凝固を抑制し、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)が使われました。tPAは血栓を溶解するための薬物です。酸素濃度を高めて呼吸困難を軽減します。

-フォローアップ:

改善後の経過観察と合併症の監視のために、定期的に医師に見てもらい、血液を調べた。

 

例3: 心房細動に伴う血栓症 70歳の男性

心房細動があり、抗凝固法を受けているが、血栓塞栓症の症状が現れた。

血栓塞栓症の疑いがあり、肺CTスキャンにより肺血栓が確認された。

改善:

ワルファリンの投与量が調整され、抗凝固効果が増強されました。INR(International Normalized Ratio)のモニタリングが行われ、目標の範囲に達するように調整されます。心房細動の制御が目標とされ、適切な抗不整脈薬やリズムコントロールが行われた。

フォローアップ:

改善の効果と副作用のモニタリングのため、定期的に医師に見てもらいと血液を調べた。必要に合わせてプランの変更を行なった。

 

これらは血栓症の改善の例の一部であり、個別の状況や病態に基づいて改善法は決定されます。

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