公開日:2022年 2月23日
更新日:2025年 1月12日
本日は胃食道逆流症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
胃食道逆流症の原因は、食道の儒動運動に問題が起きていることです。正常な場合は、逆流した胃酸は食道の蠕動運動によってすぐに胃に戻されます。しかし、胃食道逆流症の場合、胃酸が食道にたまってしまうことがあるのです。
油っぽいものを食べる機会や飲酒をすることが多かったり、過食、ストレス過多など、胃液をたくさん分泌する生活習慣を持っている場合、逆流性食道炎になりやすいです。
非びらん性胃食道逆流症は、食道の粘膜が通常より過敏になっているため、胃酸が少し逆流しただけでも敏感に反応してしまうことによって、症状が現れることもあります。
・下部食道括約筋の機能不全
LESの圧力低下によりLESが十分に閉じることができず、胃の内容物が食道に逆流します。加齢や肥満、妊娠などによって圧力の低下が起こります。一時的なLES弛緩によって逆流を促すこともあります。これは炭酸飲料やアルコールの摂取、胃の過膨張などで起こります。
・胃内圧の上昇
一度に大量の食事の摂取、きつい衣服やベルトの着用、猫背、肥満などによって胃内の圧力が上昇し逆流が起こりやすくなります。
・横隔膜ヘルニア
横隔膜の一部が弱くなることで、胃の一部が横隔膜を通じて胸腔内に入り込む状態になると、横隔膜がLESをサポートする役割を果たせなくなり、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
・胃酸分泌の過剰
胃酸が過剰に分泌されることで、逆流時の食道への刺激が強くなり、症状が悪化します。
胃食道逆流症の主な症状は、胸やけや呑酸です。他にも、胸の痛みや胃もたれなど様々な不快な症状が現れます。
胃酸が逆流することによって、喉や気管支に炎症が起き、喉の違和感や咳や気管支炎などの症状が現れることもあります。
・胸やけ
胸骨の後ろや喉にかけて焼けるような熱い感覚が生じます。
・呑酸
酸っぱい液体や苦い胃液が喉や口に戻ってくる感覚が起こります。
・吐き気や嘔吐
胃酸の逆流によって気分が悪くなり、嘔吐を伴うことがあります。消化不良感や食後の胃もたれを訴える場合もあります。
・胸部の痛み
胸の中央部や喉にかけて痛みを感じます。胸やけや呑酸を伴うことが多いです。
・嚥下困難
食べ物や飲み物が喉を通りにくい感覚や詰まり感が生じます。
・喉の異物感
喉に何かが詰まっているような感覚がおこります。
他にも慢性的な咳や喘鳴、喘息症状、声のかすれや、喉の痛みや咽頭炎、口臭、歯の損傷などが起こることもあります。
胃食道逆流症の改善方法は、胃酸の分泌を抑える薬を使うことです。よく使われる薬は、プロトンポンプ阻害薬です。
他にも、カリウムイオン競合型アシッドブロッカーや制酸薬、アルギン酸塩などの酸を中和したり粘膜を保護する薬、消化管運動改善薬や漢方薬が使われることもあります。
自覚症状があまりない場合や食道炎が軽い場合は、気をつけて日常生活を過ごすことによって、特に不快な症状が現れることがない人もいます。そのような場合は薬による改善は必要ありません。生活する上での注意が重要になります。
食道炎の症状が強い場合は、症状が改善しても薬を続けることもあります。
さらに、症状が出た時や症状が出そうな時に薬を飲むことで、不快な症状なく日常生活を送れる場合もあります。胃食道逆流症では、医師と相談の上、自分に合った改善方法を決めて改善に取り組むことが大事なのです。
・生活習慣の改善
過食を避け、少量ずつ頻回の食事に切り替えたり、夕食は就寝の2~3時間前までに済ませたりすることが大事です。また、胃酸分泌を刺激する食品や逆流を促進する食品は避けましょう。食後の行動にも注意が必要です。すぐに横になる、前かがみになる姿勢は避けましょう。
・睡眠時の工夫
就寝時に枕やクッションを使用して、上半身を15~20度高くすると良いです。
・体重管理
肥満の改善、禁煙する、飲酒を控えることが大事です。
・姿勢の改善
猫背や前かがみの姿勢を避け背筋を伸ばしたり、締め付けが強いベルトや衣類は避けましょう。
・プロトンポンプ阻害薬(PPI)
例:オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾールなど。
胃酸分泌を強力に抑える作用があります。
・ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)
例:ラニチジン、ファモチジンなど。
胃酸の分泌を抑える作用があります。
・制酸薬
例:アルミニウム系、マグネシウム系制酸薬。
逆流した胃酸を中和して、症状を緩和する薬です。
・消化管運動促進薬
例:メトクロプラミド、ドンペリドンなど。
胃の排出を促進し、逆流を抑える働きがあります。
薬物や生活習慣改善で改善しない重症例では、手術が検討されることがあります。手術には腹腔鏡下噴門形成術や内視鏡手術などがあります。
胃食道逆流症は、生活習慣を改善するだけで、不快な症状が和らぐこともあります。最も悪いことは、暴飲暴食すること、早食いすること、食べた後にすぐに寝ることです。
飲酒は適度にし、食べすぎないように気をつけてゆっくり食べ、食べた後は休憩をしましょう。
さらに、肥満は胃食道逆流症を発症する非常に大きなリスクになります。肥満の場合、食生活を改善し、適度に運動をする習慣をつけることが大事です。
胃酸の分泌を高める食べ物や行為にも注意が必要です。
揚げものなど油の多い食べ物、脂肪の多い食べ物、甘い食べ物、酸っぱい食べ物や刺激物、コーヒーや紅茶、アルコールやタバコなどは胃酸の分泌が高くなるため気をつけるように心がけましょう。
・中脘
・気舎
・内関
中脘は、胃腸の働きを活発にする効果があります。そのため、消化器官全般の不調に対して使われることが多いです。
消化機能を高める効果や胃腸の調整をするため、胃食道逆流症の症状の改善に対しても効果が期待できます。特に腹部の張りや胃もたれ、消化不振など有効です。
気舎に刺激をすることは、胃にたまっているガスを外に出してゲップが出やすくする効果があります。そのため、腹部の針が強い時などにおすすめのツボです。さらに込み上げてくる吐き気がある時にも効果的です。
気舎は、自律神経にも働きます。ストレスによって胃痛や胸焼けが起こる時にも有効なツボなのです。
内関は、内臓を調節するとされているツボです。乗り物酔いや二日酔い、つわりや胃の不快感などに効果を発揮します。
内関は、ストレスや緊張感などの精神的なことによって現れる症状に有効で、頭痛や不眠、動悸、不安感などにも効果的です。
中脘の場所は、上腹部の正中線上で、臍とみぞおちを結ぶ中央です。
押すときは、強く押しすぎないように注意しましょう。ゆっくり息を吐きながら5秒間ほど押すことをお勧めします。
気舎の場所は、鎖骨の内側のくぼみの上です。
押すときは、少し弱めの力で押します。指先を使って、3〜5秒間ほど押しましょう。
内関の場所は、手首の関節から指3本分肘の方に進んだ場所です。探すときは、手を握って探します。握った時に出る2本の腱と腱の間を探しましょう。
内関を押すときの力加減は、心地よいくらいがお勧めです。