公開日:2021年 9月 2日
更新日:2024年 1月11日
本日は尿素サイクル異常症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
尿素サイクル異常症の原因は、遺伝です。遺伝によって、尿素合成経路の代謝系に異常があり尿素サイクルが働かなくなることで症状が現れるのです。
尿素サイクルは、主に肝臓で体の中でできる有毒なアンモニアを無毒な尿素に変えていく経路のことです。尿素合成経路の代謝系に異常があると、アンモニアを尿素に変えることができなくなるのです。
食生活の乱れや日常生活が不規則であることが原因になることはありません。
尿素サイクル異常症は、尿素サイクルの酵素活性の欠損または不足によって引き起こされる一群の遺伝性代謝異常です。この状態は、体内でアンモニアが尿素に変換されるプロセスが正常に機能しないために生じます。主な原因は以下の通りです。
遺伝的変異:尿素サイクル異常症は、尿素サイクルに関与する酵素の遺伝子に変異がある場合に起こります。これらの酵素は、アンモニアを尿素に変換するプロセスで重要な役割を果たしています。
酵素の欠損:尿素サイクル異常症にはいくつかのタイプがあり、それぞれ異なる酵素が影響を受けます。
主なタイプは、カルバモイルリン酸合成酵素欠損症(CPS1 deficiency)、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(OTC deficiency)、アルギノスクシン酸合成酵素欠損症(ASS deficiency)、アルギノスクシン酸リアーゼ欠損症(ASL deficiency)、アルギナーゼ欠損症(Arginase deficiency)です。
アンモニアの蓄積:尿素サイクルの酵素のいずれかが欠損または不足していると、アンモニアの代謝が妨げられ、体内にアンモニアが蓄積します。アンモニアは神経毒であり、高レベルになると脳に重大な損傷を与える可能性があります。
遺伝形式:多くの尿素サイクル異常症は常染色体劣性遺伝のパターンに従いますが、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(OTC deficiency)はX連鎖劣性遺伝です。これは、特定の遺伝子の変異が子供に伝わる方法によって異なります。
尿素サイクル異常症の判断は、血液や尿中のアンモニアレベル、アミノ酸の分析、遺伝子の調べによって行われます。
尿素サイクル異常症の症状は、非常に様々です。特に特徴的な症状はなく、元気がないことや哺乳力の低下、多呼吸、吐き気や嘔吐、意識障害、痙攣など色々な症状が現れます。
長い間高アンモニア血症が続いたり繰り返したりした場合、中枢神経障害が起き、発達障害や行動異常、精神障害が起きることもあります。
アルギニノコハク酸尿症の場合髪の毛のねじれが見られることが多く、アルギニン血症やHHH症候群の場合小児期から両側麻痺が進むことが多いです。
尿素サイクル異常症は、体内でアンモニアが尿素に変換されるプロセスに影響を与える遺伝性の代謝異常です。この疾患群にはいくつかの異なるタイプがありますが、それらに共通する主な症状は以下の通りです。
高アンモニア血症:尿素サイクル異常症の最も重要な特徴であり、アンモニアの蓄積によるものです。高アンモニア血症は、神経系に影響を与え、昏睡や死に至る可能性があります。
神経系に関連する症状:嘔吐、頭痛、興奮状態、攻撃性、異常行動。進行すると、意識混濁、昏睡、けいれんが起こる可能性があります。
摂食困難と体重減少:特に乳幼児期に摂食困難や食欲不振が見られることがあります。これにより、体重増加の遅れや発育不全が生じることがあります。
呼吸困難:体がアンモニアを排除しようとする際に、呼吸が速くなることがあります(過換気症候群)。
筋緊張の低下または高まり:筋緊張の異常が見られることがあります。
肝機能障害:尿素サイクル異常症には肝臓が関与するため、肝機能障害が起こることがあります。
心理的、行動的な問題:特に長期的な影響として、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害、学習障害などが見られることがあります。
尿素サイクル異常症の症状は、個人差が大きく、タイプや重症度によっても異なります。
尿素サイクル異常症の主な改善方法は、食事と薬とアミノ酸です。食事ではタンパク質の量を制限します。量を制限することによって、栄養障害を起こさないように注意して適切な量の設定をすることが大事です。
薬は、安息香酸ナトリウムとフェニル酪酸ナトリウムがあります。アンモニアを体の外に出すために薬を使います。
アミノ酸はアルギニンとシトルリンを使います。これは、尿素サイクル異常症の中でもアルギニンとシトルリンが不足してしまう疾患に対して行う改善方法です。
個人の症状に合わせて、肝移植を行ったり点滴や血液透析を行なったりすることもあります。
尿素サイクル異常症の改善では、アンモニアの蓄積を防ぎ、体内のアンモニアレベルを正常範囲内に保つことを目的としています。尿素サイクル異常症にはいくつかのタイプがあり、それぞれのタイプに応じた改善が必要です。
・食事
プロテインの制限:アンモニアはアミノ酸の代謝産物なので、食事に含まれるタンパク質の量を制限することで、アンモニアの産生を減らします。
特定のアミノ酸の補給:必要に応じて、アルギニンやシトルリンなどの特定のアミノ酸を補給します。
・薬
アンモニア除去薬:アンモニアの排出を促進する薬剤(例:ソジウムベンゾエート、ソジウムフェニル酪酸)を使用します。
抗凝固薬:アンモニアレベルが高い場合、抗凝固薬が処方されることがあります。
・アンモニアの急性発作
重篤なアンモニアの蓄積がある場合は、入院して集中的な改善が必要になります。血液透析や血漿交換を行うことで、迅速に体内のアンモニアを除去します。
・長期的な管理
定期的な血液検査によるアンモニアレベルのモニタリングや肝機能や神経系の機能の評価。
・肝移植
一部の重篤な尿素サイクル異常症の場合において、肝移植が最終的なオプションとして検討されることがあります。
尿素サイクル異常症の改善では、個々の状態や症状の重さに応じて個別化されます。早期の判断と改善の開始は、重篤な合併症を防ぐために非常に重要です。
尿素サイクル異常症の薬での改善は、体内でのアンモニアの産生を減少させ、蓄積されたアンモニアの排泄を促進することを目的としています。以下は、尿素サイクル異常症の改善に使用される主な薬剤とその特徴です。
・アンモニア除去薬
ソジウムベンゾエート:体内でアンモニアと結合し、尿中に排泄されるベンゾイルグリシンを形成します。
ソジウムフェニル酪酸:体内でフェニルアセチルグルタミンに変換され、アンモニアを尿中に排泄させます。
ソジウムフェニルブチレート:ソジウムフェニル酪酸と同様に機能し、薬剤の形態が異なります。
・アルギニン補給
アルギニンは尿素サイクルに必要なアミノ酸であり、一部のUCD患者にはアルギニンが不足しています。アルギニンの補給は、体内のアンモニアの排泄を促進するのに役立ちます。
・シトルリン補給
特定のタイプのUCD(例:オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症)では、シトルリンの補給が有効です。シトルリンは尿素サイクルにおいて重要な中間体であり、アンモニアの排泄を促進します。
・ビタミンとミネラルの補給
特定のビタミンやミネラル(例:ビタミンB群、亜鉛)の補給が必要な場合もあります。
・抗凝固薬
高アンモニア血症が血栓形成のリスクを高める場合、抗凝固薬が使用されることがあります。
これらの薬剤は、状態や尿素サイクル異常症のタイプに応じて医師によって処方されます。重要なのは、アンモニアレベルを継続的に監視し、必要に応じて改善を調整することです。また、食事や場合によっては血液透析などの他の方法との併用が必要な場合があります。専門医の指導のもとで進めることが重要です。
高アンモニア血症が続くと、中枢神経障害を起こしてしまいます。そのため、アンモニアのもとになる蛋白質を制限することが大切になります。しかし、蛋白質が足りなくなると皮膚炎や毛髪の脱色や脱毛、脂肪肝につながることもあります。
蛋白質をとる量は適切にコントロールすることが非常に大切なのです。蛋白質を制限しようとすると、鉄やカルシウムやビタミンなどの他の栄養素も足りなくなってしまうことが多いです。注意しましょう。
尿素サイクル異常症を発症したら、アンモニアを早めに測って高アンモニア血症を早く発見して改善を行うことが大切なのです。
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