公開日:2022年 12月 3日
更新日:2025年 8月11日
本日はリポイド副腎過形成症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
リポイド副腎過形成症の原因は、遺伝子の異常です。遺伝形式は、常染色体性劣性遺伝です。
コレステロールからプレグネノロンにステロイドが合成する過程はステロイドホルモン律速段階にあります。この段階には、ミトコンドリア内膜のコレステロールの移送とミトコンドリア内での酵素反応が関係しています。
ミトコンドリア内での酵素反応にはチトクロームP450scc、アドレノドキシン、アドレノドキシン還元酵素が関わっています。
リポイド副腎過形成症はこれにコレステロールを供給する働きをしている代謝回転の早い蛋白の異常によって、発症するということがわかっています。
遺伝形式は常染色体劣性遺伝で、主な原因遺伝子はSTAR遺伝子です。ごく稀にCYP11A1が原因になることもあります。
ステロイドホルモンは、細胞内のコレステロールから作られます。その第一歩はコレステロールをミトコンドリアの内膜に運ぶことで、この運び屋が STARタンパクです。STAR遺伝子に変異があると、コレステロールがミトコンドリアに入らず、ステロイド合成がスタートできません。
また、STARが正常でも、CYP11A1が壊れていると、ミトコンドリア内に運ばれたコレステロールをプレグネノロンに変換できません。これも同じく全てのステロイドホルモンが作れない状態になります。
リポイド副腎過形成症の症状は、生まれた時から著しく起こる副腎不全症状です。主に哺乳不良、嘔吐、不活発、体重増加不良などが現れます。
このような症状は、ステロイドホルモン合成の初期過程が障害され、性腺と副腎が障害になり、コルチゾール、アルドステロン、性ホルモンすべてが欠乏することによって起こります。
外陰部が女性型になったり、腹腔内や鼠蹊部や大陰唇に停留したりすることもあります。正常な男性外性器の場合や精巣機能が正常な場合もあります。
臨床的に見られる典型的な症状は、新生児期から 重度の副腎不全症状、低血圧、ショック状態になりやすい、電解質異常による不整脈や筋力低下、外見上は性別がわかりにくいケースがあることなどです。
リポイド副腎過形成症を改善するためには、急性期の副腎不全を改善することとその後の維持をすることが必要です。
急性期の副腎不全を改善する方法は、グルココルチコイドやミネラルコルチコイド欠乏、脱水、酸血症を矯正すること、低血糖に対して改善を行なっていきます。
維持をするための方法は、グルココルチコイドを投与することです。投与する量は体表面積当たりの1日量です。必要とする量は個人によって違うため、個人に合わせて投与を行うことが大事です。
・副腎皮質ホルモンの補充
ヒドロコルチゾンを内服し、生命維持に必要なコルチゾールを補います。ストレス時は増量が必要です。
・鉱質コルチコイドの補充
フルドロコルチゾンを使用することで、塩分や水分の保持、ナトリウム低下やカリウム上昇を防ぎます。
・性ホルモンの補充
思春期年齢になっても二次性徴が出ない時は女児の場合エストロゲン補充で乳房発育、月経導入、男児の場合アンドロゲン補充で男性化を促進します。
・電解質、栄養管理
低ナトリウム、高カリウムを定期的にモニタリングし、食事での塩分補給が必要な場合があります。
リポイド副腎過形成症では、外陰部が女性型になったり、腹腔内や鼠蹊部や大陰唇に停留したりなどの症状が現れることもあります。
そのため、男児では異所性精巣摘出を行うこともあります。思春期以降になると、二次性徴の出現のために、性ホルモンの補充も行います。