グルタル酸血症1型の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  1月11日

更新日:2022年  1月22日

本日はグルタル酸血症1型について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • グルタル酸血症1型とは
  • グルタル酸血症1型の原因
  • グルタル酸血症1型の症状
  • グルタル酸血症1型の改善方法
  • グルタル酸血症1型のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

グルタル酸や3-ヒドロキシグルタル酸などの異常な代謝産物が増える

グルタル酸血症1型は、グルタル酸や3-ヒドロキシグルタル酸などの異常な代謝産物が増え、中枢神経に障害が起きる病気です。

 

異常な代謝産物の増加は、リジンやヒドロキシリジン、トリプトファンなどのアミノ酸を代謝する途中の経路に障害が起きることによって起こります。

 

グルタル酸血症1型を発症している人は、生まれたときは元気でも、そのまま放っておくと、風邪や胃腸炎などの感染や予防接種などをきっかけに突然意識障害が起こったり発達が遅れたりします。

 

日本でのグルタル酸血症1型の発症は、約28万人に1人と言われています。しかし、海外では約300人に1人以上が発症していると言われています。

グルタル酸血症1型の原因は、遺伝子の異常

グルタル酸血症1型の原因は、遺伝子の異常です。遺伝子異常は遺伝によって起こる場合と、突然変異によって起こる場合があります。遺伝の形式は、常染色体劣性遺伝です。

 

遺伝子の異常によってリジンなどの代謝経路で働くグルタリルCoA脱水素酵素が働かなくなることによって異常な物質が増え、グルタル酸血症1型を発症するのです。

 

しかし、グルタリルCoA脱水素酵素が働かなくなることによって異常な物質が増えることがどのようにして神経を障害しているのかということについては明らかになっていません。

グルタル酸血症1型は遺伝性代謝異常の一つで、特定の代謝経路に関わる酵素の活動が不足することで起こります。具体的には、リジンとトリプトファンの代謝経路に関与する酵素であるグルタリルCoAデヒドロゲナーゼの活動が不足することで生じる病気です。以下、詳しく解説します。

 

1. グルタル酸血症1型の背景

 

私たちの体内で行われる化学反応は、さまざまな酵素によって助けられています。これらの酵素の一つが正常に機能しない場合、特定の化学物質の代謝が停滞し、それに伴い様々な健康問題が発生します。グルタル酸血症1型の場合、グルタリルCoAデヒドロゲナーゼという酵素の異常が中心となっています。

 

2. グルタリルCoAデヒドロゲナーゼの役割

 

この酵素は、アミノ酸であるリジンとトリプトファンの代謝において、グルタリルCoAをクロトンイルCoAに変換する役割を果たします。しかし、この酵素が欠如または活動が低下すると、グルタリルCoAやその関連物質が体内で蓄積し始めます。その結果、これらの物質は尿として排出されることとなり、異常な代謝物質が尿中に見られることとなります。

 

3. 遺伝子の役割

 

グルタリルCoAデヒドロゲナーゼの活動は、GCDHという遺伝子によってコードされています。グルタル酸血症1型の患者は、このGCDH遺伝子に変異が生じており、これが酵素の活動低下の原因となっています。この病気は常染色体劣性遺伝の特性を持ちます。つまり、両親から変異したGCDH遺伝子を1つずつ受け継ぐことで発症します。両親が変異を1つ持っているだけの場合(キャリアの場合)は、病気は発症しませんが、子供に病気を遺伝させるリスクが存在します。

 

4. 病態の発展

 

グルタリルCoAや関連する代謝物質の蓄積は、神経細胞を含む多くの細胞に害を及ぼす可能性があります。特に、中枢神経系の発達に重要な役割を果たす脳の神経細胞は、この蓄積によるダメージを受けやすいと考えられています。これが、グルタル酸血症1型が神経系に関連する症状(発作、筋緊張の異常、発育遅延など)を示す主な理由です。

 

グルタル酸血症1型は、特定のアミノ酸の代謝に関与する酵素の異常によって引き起こされる遺伝性代謝異常症です。この酵素の異常は、GCDHという遺伝子の変異が原因であり、これによって神経細胞などの細胞がダメージを受ける可能性が考えられます。

症状は、意識障害や嘔吐、痙攣や手足のつっぱり、発達障害など

グルタル酸血症1型の症状は、意識障害や嘔吐、痙攣や手足のつっぱり、発達障害などです。

 

生まれてから3か月以降に発熱をした時をきっかけに症状が現れます。急激に筋緊張が弱くなって、首がすわっていたにもかかわらず支えが必要になったり、歩区ことができていたにもかかわらず歩けなくなったりすることもあります。

 

予防接種が症状が現れるきっかけになることもあります。症状は、少しずつ改善しますが、同じような発作を何度も繰り返して悪くなっていきます。

 

生まれてすぐの時から頭囲が大きいこともあります。

グルタル酸血症1型 (GA1) は遺伝性の代謝異常の病気であり、その症状は多岐にわたります。以下に、グルタル酸血症1型の症状について詳しく解説します。

 

1. 症状の発現時期

GA1の症状は生後数ヶ月から1歳頃にかけての乳幼児期に突然現れることが一般的です。症状の発現は、感染症や高熱などの身体的ストレス、あるいは特定の食物摂取をきっかけとして現れることが多いです。

 

2. 主な症状

脳障害: GA1のもっとも重大な症状は、急激な脳障害の発症です。これは、蓄積されたグルタル酸や関連する代謝産物が脳に悪影響を及ぼすためです。脳障害は急性のもので、突然の意識低下、けいれん、異常な動き、筋肉の硬直などの神経系の症状が現れます。

運動能力の低下: 重度の脳障害の後、子供はしばしば歩行が困難になるか、全く歩けなくなることがあります。また、手や指の細かい動きも困難になることがあります。

筋肉の硬直: 脳障害の影響で、筋肉が硬直し、常に緊張した状態になることがあります。

発語障害: 言葉を話す能力が遅れるか、発達しないことがあります。このため、コミュニケーションの障害が生じる場合があります。

摂食障害: 食事の摂取が困難になることもあり、結果として栄養不足や成長障害が生じることがある。

視覚や聴覚の障害: 一部の子供たちは、視覚や聴覚に関する問題を経験することがあります。

行動や気分の変動: 無気力、興奮、不安や鬱症などの精神的な症状が現れることがあります。

 

3. 他の関連症状

GA1では、上記の主な症状の他にも、以下のような症状を持つことが報告されています。

肝臓の障害: 肝臓に異常な代謝産物が蓄積することで、肝機能の低下が生じることがあります。

低血糖: 血糖値が低下することがある。これは、食欲不振や吐き気などの症状を引き起こす可能性があります。

免疫系の低下: 免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなることがあります。

 

グルタル酸血症1型の症状は多岐にわたり、それぞれ個人で症状の重度や種類が異なることがあります。

改善で大切なことは、異常代謝産物がたまらないようにすること

グルタル酸血症1型の改善で大切なことは、異常代謝産物がたまらないようにすることです。

 

そのために、リジンやトリプトファンを取り除いたミルクを母乳や普通のミルクと一緒に飲みタンパクの制限を行ったり、体にたまった異常代謝産物を減らすためにカルニチンなどの薬を使ったりします。

 

しかし、グルタル酸血症1型は、一度発症すると、根本から改善するための効果的な改善方法はありません。

グルタル酸血症1型は遺伝的な代謝異常を伴う病気であり、ここでは改善法に焦点について解説します。

 

1. 新生児スクリーニング

改善の第一歩は、早期判断です。多くの国では、新生児スクリーニングの一環としてGA1のテストが行われています。このスクリーニングにより、生まれてすぐの段階でGA1を持つ赤ちゃんを特定し、即時の改善を開始することができます。

 

2. ダイエット

リジンとトリプトファン制限: GA1では、アミノ酸のリジンとトリプトファンを制限した特別な食事が推奨されます。これにより、グルタリル酸やその他の有害な代謝物質の体内蓄積を抑えることができます。

特別な食品: 通常の食品に代わって、リジンとトリプトファンが低減された食品を摂取することが推奨されることがあります。

 

3. 補足法

カルニチン補給: カルニチンは、脂肪酸の代謝を助ける物質であり、GA1の患者にはしばしばカルニチンのサプリメントが処方されます。

リボフラビン: 一部では、リボフラビンが有効であるとの報告があります。

 

4. ストレス時の改善

感染症や手術などのストレスが加わると、GA1では代謝クライシスを引き起こすリスクが高まります。このような時期には、以下の対応が必要です。

エネルギー摂取の増加: ストレス時には、炭水化物の摂取量を増やすことで、代謝の安定を図る必要があります。

病院での改善: クライシスの兆候が見られる場合、入院して静脈点滴で栄養や輸液を受けることが必要です。

 

5. 定期的なフォローアップ

GA1では、生涯にわたって定期的なフォローアップが必要です。血液や尿を調べて病気の状態や代謝のバランスをチェックすることが重要です。

 

6. 病状のモニタリング

家庭での病状のモニタリングも大切です。具体的には、尿の色や臭い、子供の行動や気分の変化などに注意を払い、異常があれば速やかに医師に相談することが求められます。

 

7. 教育とサポート

GA1を発症している人やその家族は、病気に関する十分な情報とサポートを必要とします。病院や専門家からの教育プログラムや、団体との連携によって、病気の理解や生活の質の向上を図ることができます。

 

グルタル酸血症1型の改善は、病状の管理と生活の質の維持や向上を目指して行われます。

グルタル酸血症1型では、代謝産物の蓄積を抑制するために、特定のアミノ酸のリジンとトリプトファンを制限した食事を受けることが一般的です。以下は、リジンとトリプトファンが低減された食品に関する詳細です。

 

1. 食品

GA1の改善の中心となるのは、特別に作られた食品です。これらの食品は、リジンとトリプトファンの含有量が制限されているだけでなく、成長や健康をサポートするための他の必要な栄養素を含んでいます。

アミノ酸ベースのフォーミュラ: これは特定のアミノ酸が除去または低減された粉末や液体として提供される食品です。通常、水や他の液体に混ぜて摂取します。

低タンパク質の食品: 低タンパクのパン、パスタ、米などの基本的な食品も利用されることがあります。

 

2. 自然食品の選択

GA1の食事を実践する際、特定の食品群を制限または避ける必要があります。

高リジン食品: 肉、魚、卵、乳製品、豆類などはリジンが豊富に含まれていますので、これらの摂取量を制限する必要があります。

高トリプトファン食品: トリプトファンは、バナナ、チョコレート、オーツ、乳製品、肉、ナッツ、豆類などに含まれています。

発症した本人や家族は、栄養士や専門医と連携して、個々の栄養ニーズに合わせた食事計画を立てる必要があります。

 

3. 注意点

バランスの取れた食事: リジンやトリプトファンを制限しながらも、全体的な栄養バランスを保つことが重要です。ビタミン、ミネラル、その他の必要な栄養素を適切に摂取するためのプランが必要です。

サプリメントの使用: 必要に応じて、カルニチンやビタミン、ミネラルのサプリメントが処方されることがあります。

 

最後に、グルタル酸血症1型の食事は、一生涯にわたる取り組みであり、本人や家族のサポートや教育が不可欠です。

注意すること

グルタル酸血症1型を発症すると、タンパク除去ミルクだけでは必須アミノ酸が足りません。そのため、必ず母乳や普通ミルクと一緒にタンパク除去ミルクを使うことが大事です。

 

薬を飲んでいる場合は、医師と相談のもと毎日続けることが大事です。自己判断で勝手にやめたり減らしたりしてはいけません。

 

発熱や嘔吐などの症状が現れている時は、早めに病院にいくことも大事です。

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