減圧症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  5月11日

更新日:2022年  5月12日

本日は減圧症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 減圧症とは
  • 減圧症の原因
  • 減圧症の症状
  • 減圧症の改善方法
  • 減圧症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

ダイビングの本数2000~4000本につき減圧症が1回は発症している

減圧症は、圧力が急激に減ることによって、血液や組織に溶解していたガスが血管の中で気泡を形成することで起きる病気です。現れる症状は、疼痛や神経症状です。

 

世界的なダイビング団体PADIによると、約30万人いる日本のレジャー・ダイバーのうち、減圧症が発生している人数は年間で約1000人弱であると言われています。

 

ダイビングの本数2000~4000本につき減圧症が1回は発症しているということになります。

減圧症の原因は水中で起こる急な圧力の低下

減圧症の原因は水中で起こる急な圧力の低下です。ダイビングをしているときに吸った高圧ガスに含まれる窒素などの不活性ガスは、通常、水深の圧力に応じて体の中に溶け込み、浮上によって減圧すると呼吸によって外に出しています。

 

しかし、急な圧力の低下があると、呼吸によって外に出すだけでは追いつかなくなることがあるのです。すると不活性ガスは体の中で気泡化し、血管のつまりや組織の圧迫につながるのです。

 

他にも、食べすぎや飲みすぎ、疲れが減圧症の原因となることもあります。

減圧症は、高気圧環境から急速に減圧することにより体内のガスが気泡として析出する現象により生じる病気で、通常、スキューバダイビング後や宇宙飛行士が地上に戻る際、または高高度での飛行後に見られます。一般に「ベンズ病」または「ダイバーズ病」とも呼ばれます。この病気の理解には、物理学と生理学の基本的な知識が必要です。

 

気圧と飽和

私たちの体は、常に一定の気圧下にあります。この気圧は、高度が上がるほど低下します。一方で、水中に潜ると気圧は増加します。これは、水が空気よりも密度が高いためです。

 

我々の体内にはさまざまなガスが含まれています。これらのガスは、通常、私たちが呼吸することにより体外に排出されます。しかし、高気圧下では、これらのガスは血液や体組織に溶け込みます。これをガスの飽和といいます。飽和の度合いは気圧と時間に比例します。つまり、より深く潜るか、より長く潜っていると、体内のガスの飽和度は高まります。

 

減圧とガスの析出

問題は、高気圧環境から急速に減圧するときに起こります。気圧が急速に低下すると、体内に溶け込んでいたガスが急速に気泡となって析出します。これは、ソーダ水の瓶を急に開けると中の二酸化炭素が急速に気泡となって発泡するのと同じ原理です。

 

この過程は、減圧がゆっくりと行われる場合には通常問題になりません。ゆっくりと減圧することで、体内のガスは安全に肺を通じて呼吸とともに排出されます。しかし、減圧が急速に行われると、体内のガスは急速に気泡になり、血流や組織に留まることになります。

 

減圧症の発症

これらの気泡は、血液の流れを妨げ、さまざまな組織や器官への酸素供給を阻害します。最も危険なのは、気泡が脳や心臓に影響を及ぼす場合で、これは重大な症状を引き起こし、場合によっては致命的となる可能性もあります。

 

さらに、気泡が関節や筋肉に留まると、痛みや腫れ、かゆみなどの症状を引き起こします。肺に気泡が溜まると、胸痛、呼吸困難、咳、そして重篤な場合には肺の塞栓症を引き起こすことがあります。

 

また、気泡が血液中を移動し、脳へと至ると、脳の神経細胞が酸素供給を受けられず、神経系の機能が損なわれる可能性があります。この結果、めまい、視覚障害、意識の混乱、運動能力の低下などの症状が引き起こされることがあります。

 

リスク要因

減圧症のリスクは、ダイビングの深さと時間、そして上昇速度によって影響を受けます。特に深く潜った後や長時間潜った後、または急速に上昇した場合には、リスクが高まります。加えて、飛行後すぐにダイビングをすると、体内の窒素が増え、減圧症のリスクが上がります。

 

また、高齢、肥満、疲労、脱水、持病なども減圧症のリスクを増加させる要素となります。

 

以上が、減圧症の原因についての説明です。

減圧症の症状は、皮膚や四肢の痛みや神経や脳や肺の異変

減圧症の症状は、皮膚や四肢の痛みや神経や脳や肺の異変です。減圧症の症状は非常に幅広いです。中でも1番多い症状は、気分の落ち込みです。次にしびれや知覚異常、頭痛、過度な疲労、吐き気などが起こることの多い症状です。

 

症状が軽い場合は、皮膚に赤みやかゆみ、斑点が起きます。他にも四肢の関節痛や腫れや浮腫などが現れます。関節痛は肩関節から手指までの上肢に起きることが多いです。

 

さらに、斑点が大理石班の場合や腰痛がある場合は、減圧症が重症である可能性もあります。

 

症状が重い場合は、知覚や運動麻痺、膀胱直腸障害、意識障害や痙攣、片麻痺、胸痛、咳、息切れ、目眩や吐き気や聴力の低下などの症状が現れます。

減圧症の症状は、その発生が急激であるか、ゆっくりと進行するか、そして気泡が体のどの部分に影響を与えるかによって異なります。しかし、一部の症状は特によく報告されており、これらは減圧症の判断に役立ちます。

 

疼痛:減圧症の最も一般的な症状は、しばしば ベンズ"として知られる関節や筋肉の痛みです。この痛みは、単なる不快感から激しい疼痛まで変動します。通常、この痛みは潜水から数時間以内に現れますが、場合によってはすぐに出現することもあります。

 

皮膚の症状:多くの場合は、皮膚のかゆみ、発赤、発疹、または皮膚がまだらになるといった症状を経験します。これらの症状は、皮膚表面近くの血管に気泡が形成されることにより起こります。

 

神経学的症状:神経学的な症状は、減圧症の中でも最も深刻な症状です。これには、頭痛、めまい、耳鳴り、視覚障害、意識混乱、記憶喪失、意識の喪失、麻痺または感覚異常、手足の協調運動の困難などが含まれます。

 

呼吸器系の症状:これらの症状は、肺に影響が出る場合に見られます。これには、胸の痛み、呼吸困難、持続的な咳、喀血が含まれます。

 

消化器系の症状:これには、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などが含まれます。これらの症状は、腸やその他の消化器官の血流が阻害されるために起こる可能性があります。

 

心臓の症状:心臓に影響を及ぼす減圧症は、胸の圧迫感、心臓発作の症状、心不全の症状を引き起こすことがあります。

 

全般的な症状:全身的な疲労感、体力の低下、不明瞭な話し方、行動の変化なども減圧症の症状の一部となることがあります。

重要なことは、これらの症状は個々によって異なる可能性があり、また症状の重症度も人により異なるということです。症状はダイビング後すぐに現れることもあれば、数時間後や場合によっては数日後に初めて現れることもあります。減圧症は、適切な改善が行われない場合、深刻な状態へと進行する可能性があります。

 

もしダイビング後にこれらの症状のいずれかが現れた場合、または自身が減圧症を発症している可能性があると思われる場合は、直ちに専門家に連絡することが重要です。

減圧症にならないようにするためには

減圧症にならないようにするためには、ダイビング前後に対策をすることが大事です。ダイビングをする前には、過度の飲食は控えることと十分に休むことを心がけましょう。

 

脱水状態になると、血液の巡りが悪くなり、気泡を肺に運ぶ能力が下がり減圧症を引き起こす可能性があります。さらに、脱水によって減圧症が起きると重症になるリスクが高いため、適度に水分補給をすることも大事です。

 

水分補給をするときは、塩分などのミネラルとブドウ糖を適度に含む飲料が早く吸収し、長い時間体にとどまってくれるためおすすめです。

 

ダイビングの直後は飛行機に乗らないようにすることも必要です。ダイビング直後は窒素が体の中に残っているため、体の中の窒素が膨張し減圧症になるリスクが高まります。窒素が抜ける時間を考えて、スケジュールを立てましょう。

減圧症の改善方法は、その原因である溶存ガスの過剰な体内からの排出を助け、症状を管理することに重点を置いています。このための基本的な方針は以下の通りです。

 

酸素投与:減圧症の初期の改善方法としては、酸素を供給することが一般的です。これにより、血液中の窒素の溶解度が下がり、体外への窒素排出が促進されます。酸素はマスクを通じて、または酸素室内で吸入します。

 

再圧縮法:これは、圧力室に入れ、体内の気泡が再び溶解するまで、適切な圧力をかけ続けるものです。その後、ゆっくりと圧力を解放していきます。このプロセスはしばしば酸素呼吸と組み合わせて行われます。

 

脱水状態の管理:脱水は、減圧症のリスクを増加させるため、適切な水分補給が必要です。

 

痛みの管理:痛みを和らげるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や他の鎮痛剤が処方されることがあります。

 

症状管理:神経学的な症状や心臓の問題など、他の特定の症状がある場合、それらに対する専門的な治療が必要となることがあります。

 

以上が減圧症の基本的な改善方針ですが、具体的な改善方法は症状や健康状態により異なります。医師や救急専門家と緊密に連携し、適切な改善を受けることが重要です。

 

また、減圧症の改善後、体調が改善しても、医師の指示に従い、一定期間ダイビング活動を避けることが推奨されます。これは、体内の窒素レベルが完全に正常化するまで時間がかかるためです。減圧症を経験したダイバーが再びダイビングを始める前には、医師の承認を得ることが重要です。それは、減圧症の再発リスクを最小限に抑えるため、および全身の健康状態を評価するためです。

 

さらに、いくつかの研究では、特定の薬物(例えば、抗血小板薬や抗炎症薬)が減圧症の改善に有効であることが示されています。これらの薬物は血液の循環を改善し、組織の損傷を防ぎ、気泡の形成を防ぐことができます。

 

しかし、これらの改善方法はまだ研究段階にあり、全ての人に対して効果的であるとは言えません。したがって、具体的な方針は常に具体的な症状と健康状態、そして医師の専門的な判断に基づいて決定されます。

減圧症がおこらないようにするためにダイビング中最も大切なこと

減圧症にかからないようにするためにダイビング中で最も大切なことは、急浮上を避けることです。これは、減圧症の原因のほとんどが浮上スピードが早いということであるためです。

 

さらに、深い場所や浅い場所を行ったり来たりするようなルートのダイビングを避けることも大事です。初めにその日に予定しているダイビングでも最大深度まで行き、その後、少しずつ水深を浅くするようにしましょう。

 

1日に何度もダイビングを行う場合、段々と最大深度や平均深度を浅くするようにすることも大事です。

減圧症の改善例

減圧症の改善方法は、症状の重さと全体的な健康状態によって変わります。以下に実際の例を挙げます。

 

まず、30歳の男性ダイバー、ジョンの場合を考えてみましょう。彼は深海ダイビングから帰ってきた後、間もなく関節痛とめまいを感じ始めました。彼のダイビングパートナーは即座に救急サービスに連絡し、彼はすぐに最寄りの病院へ運ばれました。

 

彼が病院に到着すると、まず医師はジョンの症状を詳しく尋ね、ダイビングの詳細、具体的な深度と時間、そして彼がどの程度早く水面に戻ったかを確認しました。これらの情報をもとに、医師はジョンが減圧症を発症していると判断しました。

 

まず、彼には酸素マスクを通じて純粋な酸素が提供されました。これにより、体内の窒素ガスがより速く排出され、気泡が縮小するのを助けます。次に、彼は再圧縮法を受けました。これは、体内の窒素ガスの溶解を促進し、気泡をさらに縮小させるためです。この間、彼のバイタルサインは常にモニタリングされ、必要な改善の調整が行われました。

 

この改善を行なった結果、ジョンの症状は数時間以内に大幅に改善しました。しかし、医師は彼に完全に回復するまでの間、ダイビング活動を避けるよう指示しました。さらに、彼の体調が安定した後も、定期的にチェックを受けるよう勧告しました。

 

この例は、減圧症の典型的な改善の進行を示しています。しかし、全ての症例がジョンのケースと同じように進行するわけではありません。減圧症の症状は個々により異なる可能性があります。また、他の問題を抱えている場合、改善のプロセスはさらに複雑になることがあります。

 

次に、50歳の女性ダイバーであるリンダのケースを考えてみましょう。彼女はダイビング後、ひどい胸痛と呼吸困難を感じ、すぐに救急サービスに連絡しました。リンダは高血圧の既往歴があり、これが減圧症の症状を増悪させている可能性がありました。

 

彼女が救急部門に到着した時、彼女は酸素を供給され、体の評価が行われました。その後、ハイパーバリック酸素法の開始が決定されました。しかし、彼女の高血圧のため、改善はより慎重に行われました。具体的には、リンダの血圧は定期的にモニタリングされ、彼女が使用していた血圧管理薬は、その効果が適切に続くよう調整されました。

 

さらに、彼女の胸痛と呼吸困難のため、心臓や肺に影響を与える可能性のある気泡の存在を確認するためにエコーカーディオグラムと胸部X線が行われました。これらのテストの結果、特別なケアが必要であることが判明しました。

 

リンダの症状は時間とともに改善しましたが、彼女の改善はジョンのケースよりも長く続きました。その間、リンダの体調は定期的にチェックされ、必要に応じて改善方法が調整されました。また、完全に回復した後も、ダイビングを再開する前に医師の許可を得るように指示されました。

 

これらのケースは減圧症の改善方法が個人によってどのように異なるかを示しています。最終的に、減圧症の改善方法は具体的な症状、既往歴、そして専門家の判断に基づいて行われます。

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