公開日:2022年 3月31日
更新日:2022年 4月1日
本日は「膀胱」ついて解説させていただきます。
従来の西洋医学においての病気の診断というのは、身体診察や検査などのデータなどにより特別な原因物質のみを取り上げて、身局所的、理論的に分析していきますが、東洋医学ではそれらの原因物質のみにとらわれず、身体の不調に対する根本的な原因を探るため、患部だけではなく全身を診てから治療法を判断します。
からだの不調を診断する際は、衰弱していると見られる臓腑の相克・相生関係にある臓腑も同時に診ていきます。両方の機能を高めることで、また衰弱しそうになった際にもカバーできる体にしようと試みます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
動画でもご説明しておりますのでこちらもご参考くださいませ。
本記事は、現代医学でいう"膀胱"の機能ではなく、東洋医学の観点からの「膀胱」の役割について掲載しております。内容をより理解しやすくするためには、「東洋医学」の記事を先にお読み頂くことをお勧めします。
「膀胱」と「腎」は五行論において水に属し表裏の関係を築いています。解剖においても「腎臓」と「膀胱」は繋がっており、腎臓でろ過された尿を膀胱で溜めて、腎と協力しながら蓄尿・排尿という作業工程をおこっています。この点から東洋医学における膀胱の概念と西洋医学的な膀胱の機能はほぼ同じと考えることができます。
古代中国では、五臓それぞれの役割を国政に例えていますが「膀胱」は「州都の官」という地方長官のような役職であるとされました。
体内における君主は「心」ですが、心からもっとも離れた位置で人体の恒常性を保っています。仕事内容は身体にとって不要な水分を排泄することです。
膀胱の生理作用には、「貯尿」と「排尿」がありますが、量や回数といった排尿のコントロールは腎が担当しています。
膀胱は、腎臓から送られてくる尿を一時的に溜める袋状の器官です。
腎臓、尿管、膀胱および尿道は、体液( 血液)中の老廃物をろ過して、尿の形で体外に排出することに関与しており、総称して「泌尿器」と呼んでいます。
腎臓の「腎盂」という場所から出る長さ約30㎝の「尿管」という管から繋がっており、尿管によって送られてきた尿を、およそ500ml貯えておくことができます。
※尿管:直径4~7㎜の平滑筋性の管。3つの狭窄部があり、そこで尿管結石が起こり やすくなっている。
膀胱の位置
場所は、下っ腹あたりに存在し、骨盤腔内で恥骨結合の後ろにあります。男女で位置が多少異なり、女性では膣の前、子宮の下に位置し、男性では直腸の前、前立腺より上に位置しています。
尿が膀胱から体外に排出される際に「尿道」を通りますが、女性の尿道は男性よりも短いことから尿漏れなどの尿トラブルが多い傾向にあります。
男性が約17.5~20㎝あるのに対し、女性は約4㎝とおよそ4分の1ほどしかなく
短いことから、細菌が入りやすいので抵抗力が弱まると膀胱炎などを起こしやすくなります。
“大腸”のページでも紹介しておりますが、湿熱とは、食べすぎ・飲みすぎにより体内に必要以上に溜まってしまった水と熱が、気や血の循環を阻害している状態を指します。
「水」は体を冷やして潤し、「熱」は体を温めて活動させる物質ですが、両者とも体内に増えすぎるとくっつきあってドロドロとタチの悪いものに変化します。
膀胱でこの“湿熱”状態が生じた場合、具体的な症状として排尿時の痛みや急な尿意、頻尿、残尿感、尿が濃くなり黄色に濁る、血尿、下腹部の違和感、腰痛、発熱などが挙げられ、血尿や腰痛を伴うこともあります。
要するにこれらは炎症や結石による症候であり、膀胱炎・尿道炎・尿管結石などでみられます。
身体所見としては、舌が赤く熱を帯びたような色になり、舌苔(舌の表面にできる白色または褐色の苔こけ状のもの)は黄色がかります。また、脈が速いのが特徴です。
これらの身体所見が見られた場合、膀胱湿熱を疑い生活習慣を試みる必要があります。
膀胱の症状によく使用する経穴(ツボ)
【中極】
まず、膀胱の“募穴”である「中極」がよく使用されます。“募穴”とは、胸部と腹部にあり、内臓の気が集まる場所です。つまり内臓異常があると募穴に反応が現れやすくなることにより頻繁に治療で用いられています。
陽病によく効き、背部にある兪穴とは、表裏関係にあります。
場所は、身体の正中線上、恥骨から指2本分のところです。泌尿器系のトラブルの他にも腰痛、冷え症、女性は生理不順や生理痛などの月経障害、男性はEDや前立腺肥大症にも有効と言われております。
【陰陵泉】
足のむくみをはじめとし、身体に溜まった余分な水分を調整する効果
があるため、消化器系や水分代謝の影響を受けた際に非常によく使用します。
場所は、膝の内側の脛骨といわれる太い骨の真下にあります。 すねの内縁を、うちくるぶしから膝に向かって指でさすり上げると指が止まるところがご自身のツボになります。軽く押して痛みがあるようなら、余分な水分が溜まっているサインです。
本ページをまとめます。
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