公開日:2022年 8月 1日
更新日:2023年 9月 3日
本日は先天性肺静脈狭窄症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
先天性肺静脈狭窄症は、4本ある肺静脈のうち何本かが狭窄していたり閉鎖していたりする病気です。先天性肺静脈狭窄症には、合わせて総肺静脈還流異常症を発症するケースと他の心疾患は発症しないケースがあります。
先天性肺静脈狭窄症は難病に指定されていますが、総肺静脈還流異常症を手術した後に起こす肺静脈の狭窄は難病には指定されていません。
先天性肺静脈狭窄症は改善が非常に難しい病気で、中でも4本ある肺静脈のうち、4本全てが狭窄していたり閉鎖していたりする場合は非常に予後が悪いと言われています。
片側の1本や2本だけが狭窄している場合は特に症状が現れないこともあります。
先天性肺静脈狭窄症の原因は今のところわかっていません。
遺伝することはほとんどないと言われています。遺伝子の異常が病気の発症に関係している可能性もあると言われていますが、今のところ明らかにはなっていません。
ほとんどの場合、色々な原因が関係して発症しているとされており、どのような人に発症することが多いというような発症の傾向もわかっていません。
先天性の病気の原因は、さまざまな要因に起因することが考えられますが、以下に代表的なものを挙げます。
・遺伝的要因
先天性の病気や異常の中には、親から子へと遺伝するものがあります。先天性肺静脈狭窄症の場合、特定の遺伝子異常や突然変異に直接関連しているという証拠は限定的ですが、家族歴や遺伝的背景が影響する可能性も考えられます
・胎児の発育中の影響
妊娠中に母親が感染症や病気を持っていたり、薬物、アルコール、たばこなどの有害物質を摂取することが、胎児の発育に影響を及ぼすことが知られています。これにより、肺静脈が正常に形成されず狭窄症を引き起こす可能性があります。
・胎児の発育過程の不具合
胎児の発育過程で、特定の時期に何らかの原因で肺静脈の発育が妨げられることも考えられます。これにより、肺静脈が狭くなったり、不正常に形成される可能性があります。
・環境的要因
母親が妊娠中に暴露される環境的要因、例えば特定の化学物質や放射線、高温などが胎児の肺の発育に影響を及ぼす可能性が考えられます。
・不明な要因
多くの先天性の病気や異常の原因は、現時点では完全には解明されていないことが多いです。先天性肺静脈狭窄症の場合も、全ての症例で明確な原因を特定するのは難しい場合があります。
先天性肺静脈狭窄症の原因は多岐にわたります。遺伝的要因や胎児の発育過程、環境的要因などが絡み合って症状が現れることが考えられます。
先天性肺静脈狭窄症の症状は、狭窄や閉鎖がどのくらい起きているかによって違います。
4本の肺静脈のうち、4本とも狭窄していたり閉鎖している場合は、生まれた時からチアノーゼや呼吸困難が見られます。その場合は、生まれてすぐに命に危険が及びます。
狭窄や閉鎖が4本のうち1〜2本であれば、症状は軽いことが多いです。その場合、多呼吸や体重の増加不良などの症状が現れます。
症状は個人差がありますが、以下のようなものが挙げられます。
・呼吸困難
生まれたばかりの乳児の場合、泣くときや授乳中などに呼吸が荒くなることがあります。また、普段の活動中や寝ている時にも呼吸困難を感じることがあります。
・チアノーゼ(青白さ)
酸素不足により、特に口唇や爪の先が青白くなる現象です。
・心拍数の増加
酸素供給が足りないことで心臓が余計に働く必要が生じ、心拍数が増加することがあります。
・成長の遅れ
酸素供給不足は全身の成長や発育に影響を及ぼす可能性があり、成長が遅れることがあります。
・運動時の疲れやすさ
小さい頃から遊ぶこと、歩くことが他の子どもよりも疲れやすく、息が切れやすい状態が続くことがあります。
・胸痛
肺の圧力が上昇すると、心臓に負担がかかり、胸痛を引き起こす可能性があります。
・頻繁な感染症
体の免疫力が低下し、風邪や肺炎を繰り返しやすくなることがあります。
・浮腫
心臓の機能が低下すると、液体が体内に溜まりやすくなり、足や顔に浮腫が現れることがあります。
・疲労感
酸素供給不足により、日常の活動でも疲れやすくなることがある。
・不整脈
心臓の負担が増大すると、不整脈のリスクが増加します。
・症状の進行と管理
症状の重度や進行度は人によって毎に異なります。軽度の場合、特に何も症状が現れないこともありますが、重症化すると上述の症状が顕著に現れることがあります。
先天性肺静脈狭窄症は、酸素供給の不足による様々な症状を引き起こす可能性があります。これらの症状は生活の質を著しく低下させる可能性があります。症状や体調の変化を感じた際には、専門医に相談することを強くおすすめします。
先天性肺静脈狭窄症の改善方法は、カテーテルや手術です。しかし、改善を行なっても再び狭窄する可能性は高いです。
先天性肺静脈狭窄症は改善が非常に難しい病気で、特に肺の中までの末梢の肺静脈の低形成が見られる場合より改善が難しくなります。
・薬
薬は、症状を和らげるためや、心臓や肺の機能をサポートするために使用される場合があります。
利尿剤:体内の余分な液体を排出し、浮腫を減少させることを目的としています。
心臓の働きを強化する薬: 心臓の収縮力を向上させるために使用されることがあります。
抗不整脈薬: 不整脈を予防または治療するために使用されることがあります。
・カテーテル手術
カテーテル手術は、体の内部を開くことなく狭窄部位を拡張する手法です。カテーテルに取り付けられたバルーンを狭窄部位に位置させ、膨らませることで、静脈を広げる試みが行われます。必要に応じて、ステントを用いて狭窄部位を開放する場合もあります。
・開胸手術
カテーテル手術での改善方法が不十分であったり、狭窄が重度である場合には、開胸して直接手術を行うことが必要となります。この手術は、狭窄部位を直接拡張したり、移植組織を使用して修復することが考えられます。
・肺移植
重度の症例や、他の治療法が効果的でない場合には、肺移植の選択肢が考えられます。この手術は大掛かりなものであり、移植を受けるための厳しい基準や、手術後の生活の質に関する考慮が必要です。
・心臓・肺同時移植
先天性肺静脈狭窄症に伴う心臓の機能障害が重度の場合、心臓と肺を同時に移植する選択肢が考慮されることがあります。
・継続的なフォローアップ
手術後も、定期的なチェックが必要です。狭窄の再発や、他の合併症のリスクを早期に検出し、対処するための重要なプロセスです。
改善方法の選択のポイント
改善法の選択は、病状の重度や健康状態、年齢などのさまざまな要因に基づいて行われます。継続的なチェックや専門家とのコンサルテーションが、最適な改善方法の戦略を築くための鍵となります。
先天性肺静脈狭窄症の改善法は多岐にわたり、その選択は個人の状態やニーズに合わせて行われます。最新の改善の技術や方法についての情報を定期的に入手し、専門家との継続的なコミュニケーションを保つことが、より良い改善の結果を得るための鍵となります。
先天性肺静脈狭窄症の改善に関して、すでに挙げた薬物群に加えて考慮される可能性のある薬物は以下のとおりです。
・肺高血圧改善薬
肺高血圧は先天性肺静脈狭窄症の合併症として現れることがあります。この状態を改善または緩和するために以下の薬物が使用されることがあります。
エンドセリン受容体拮抗薬: 例えば、ボセンタンやアンブリセンタンなど。これらの薬物は、血管を狭める物質であるエンドセリンの作用を遮断することで、肺の血管を拡張し、肺高血圧を軽減します。
リン酸ジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬: 例としてシルデナフィルやタダラフィルがあります。これらは血管を拡張することで肺高血圧を改善します。
プロスタグランジン類似薬: 例えば、イロプロストやトレポスチン。これらの薬物は血管を拡張する作用があり、肺の血管を拡張して肺高血圧を緩和することが期待されます。
・抗凝固薬
血栓が形成されるリスクが高まることが懸念される場合、抗凝固薬が処方されることがあります。これには、ワーファリンや新しい経口抗凝固薬(NOAC)などがあります。
・酸素法
これは直接的な薬とは言えませんが、酸素供給が低下している場合には、酸素を直接供給する改善が行われることがあります。
以上の薬物や改善法は、症状の重さや個人の全体的な健康状態に応じて選択されます。また、薬は一般的に医師の指示に従って行う必要があります。
先天性肺静脈狭窄症の予後は悪いです。改善を行なったとしても再び狭窄することも非常に多いです。しかし、狭窄が1〜2本の場合には、症状が軽いこともあります。先天性肺静脈狭窄症の症状も予後も狭窄の本数によって大きく変わるのです。
改善のために手術を行っても肺静脈の狭窄は残ります。そのため、手術をした後もどのくらい狭窄しているかに合わせて運動制限をすることが大事になります。