好酸球性副鼻腔炎の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  9月23日

更新日:2022年  4月 1日

本日は好酸球性副鼻腔炎について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 好酸球性副鼻腔炎とは
  • 好酸球性副鼻腔炎の原因
  • 好酸球性副鼻腔炎の症状
  • 好酸球性副鼻腔炎の改善方法
  • 好酸球性副鼻腔炎のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

好酸球性副鼻腔炎は、慢性副鼻腔炎の中の一つ

好酸球性副鼻腔炎は、慢性副鼻腔炎の中の一つです。両側の鼻の中にいくつも鼻茸ができなかなか改善しません。手術が必要になることが多く、手術をしても多くの場合はすぐに再発します。

 

一般的な慢性副鼻腔炎の場合抗菌薬と内視鏡を使った手術でほとんど改善しますが、好酸球性副鼻腔炎の場合手術をしても何度も繰り返すことが多くステロイドを使うことで症状が軽くなります。

 

日本に副鼻腔炎の人は大体100万人から200万人いると言われており、その中でも鼻茸が存在する慢性副鼻腔炎患者は約20万人いると言われています。

 

20万人のうち、好酸球性副鼻腔炎の中等症から重症の程度の人は約2万人1であると言われています。

好酸球性副鼻腔炎のはっきりとした原因はわかっていない

好酸球性副鼻腔炎のはっきりとした原因はわかっていません。しかし、好酸球性副鼻腔炎は、鼻だけの病気ではなく、鼻や気管、肺の全てに関係している全身性の呼吸器疾患である可能性が考えられています。

 

そのため、何かの原因で全身の病気が起こることに関係して、鼻で好酸球性副鼻腔炎が起こっていると言われているのです。

 

好酸球性副鼻腔炎はウイルスに感染すると症状が急激に悪くなります。さらに、好酸球性副鼻腔炎が合わせて起こす気管支喘息やアスピリン不耐症の発症にウイルスが関係しているかもしれないと言われています。

 

このようなことから、鼻の粘膜にウイルスが感染した時過剰に反応して好酸球を呼んでくる物質をたくさん分泌する人が発症しやすいのではないかということも考えられています。

好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔の炎症を引き起こす病気であり、その原因は複数の要素によって引き起こされると考えられています。以下では、好酸球性副鼻腔炎の主な原因を詳しく説明します。

 

アレルギー反応: 好酸球性副鼻腔炎は、アレルギー反応によって引き起こされることがあります。特定のアレルゲン(花粉、ハウスダスト、カビなど)に過敏な人々は、副鼻腔の組織にアレルギー反応を起こし、好酸球性副鼻腔炎を発症する可能性があります。好酸球性副鼻腔炎の特徴的な特徴は、副鼻腔内に好酸球と呼ばれる特殊なタイプの白血球が増加することです。

 

免疫系の異常: 好酸球性副鼻腔炎の発症には、免疫系の異常が関与していると考えられています。免疫系の過剰反応や過敏性が、副鼻腔の組織に炎症を引き起こす可能性があります。この異常な免疫応答によって、好酸球が増加し、副鼻腔の組織に炎症をもたらします。

 

上気道感染: 上気道感染は、好酸球性副鼻腔炎の原因となることがあります。風邪やインフルエンザなどのウイルス感染や細菌感染が上気道に侵入すると、副鼻腔の組織が炎症を起こすことがあります。この炎症反応により、好酸球が増加し、好酸球性副鼻腔炎を引き起こす可能性があります。

 

環境要因: 環境要因も好酸球性副鼻腔炎の原因となることがあります。例えば、ハウスダスト、カビ、ダニなどのアレルゲンが豊富に存在する環境に暴露されると、アレルギー反応が引き起こされ、好酸球性副鼻腔炎が発症する可能性があります。また、環境の乾燥や汚染、喫煙などの要因も副鼻腔の炎症を促進することがあります。

 

遺伝的要因: 遺伝的要因も好酸球性副鼻腔炎の発症に関与している可能性があります。家族歴によって好酸球性副鼻腔炎のリスクが高まることが報告されており、遺伝子の変異が免疫系の反応に影響を与えることが考えられています。

これらの要因は、好酸球性副鼻腔炎の発症において相互に関連していることがあります。例えば、アレルギー反応によって副鼻腔の組織が炎症を起こしやすくなることで、上気道感染に対する免疫応答が増加し、好酸球性副鼻腔炎のリスクが高まる可能性があります。

 

ただし、好酸球性副鼻腔炎の原因はまだ完全には解明されていません。

症状は、嗅覚障害や鼻のつまり、粘り気のある鼻汁など

好酸球性副鼻腔炎の症状は、嗅覚障害や鼻のつまり、粘り気のある鼻汁です。両側の鼻で同じような症状が現れます。多くの場合は、鼻のつまりによって口呼吸になります。口呼吸によって口の渇きや喉の痛みが起こることもあります。

 

他にも、気管支喘息発作や難聴、耳のつまり感が現れることも多いです。耳だれも鼻汁と同じように粘り気が強いため、止めることが難しいです。

 

血液を調べると、好酸球がたくさん血液の中に現れ、鼻のCTを撮ると目と目の間の所に濃い影が見られます。

好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔の炎症を引き起こす病気であり、様々な症状が現れることがあります。以下では、好酸球性副鼻腔炎の主な症状を詳しく説明します。

 

鼻詰まり: 好酸球性副鼻腔炎の特徴的な症状の一つは、鼻詰まりです。副鼻腔の炎症により、鼻の通りが悪くなり、鼻腔内の空気の流れが阻害されます。これにより、鼻づまりや鼻づまり感が生じます。

 

鼻水: 好酸球性副鼻腔炎では、鼻水の増加が見られることがあります。鼻腔内の炎症やアレルギー反応により、鼻から過剰な分泌物が排出されるため、鼻水が増えます。鼻水は通常、透明または白色で、粘液のような性状を持つことが多いです。

 

頭痛: 好酸球性副鼻腔炎による副鼻腔の炎症は、頭痛を引き起こすことがあります。副鼻腔の圧力や腫れにより、頭部の特に額や眼窩周辺に鈍い痛みや圧迫感が生じることがあります。頭痛の程度は個人によって異なり、軽度から激しいものまで幅広い範囲で現れることがあります。

 

顔面の圧迫感: 好酸球性副鼻腔炎では、副鼻腔の炎症により顔面に圧迫感や重さを感じることがあります。特に、額、頬、眼窩周辺の部位に不快感や圧力感が生じることがあります。この症状は、副鼻腔内の炎症と粘液の溜まりによるものです。

 

頬の腫れ: 好酸球性副鼻腔炎では、副鼻腔の炎症により頬の腫れが見られることがあります。副鼻腔の炎症によって腫れが生じ、頬の一部または両側が膨らんだように見えることがあります。

 

嗅覚の変化: 好酸球性副鼻腔炎による副鼻腔の炎症は、嗅覚にも影響を与えることがあります。副鼻腔の炎症により、嗅覚が鈍くなったり、臭いの異常を感じたりすることがあります。食べ物や花の香りなどの日常的な嗅覚刺激に対する感受性が低下することがあります。

 

咳や喉の不快感: 好酸球性副鼻腔炎による鼻の炎症や鼻水の後部流出により、喉や喉の後ろに刺激を感じることがあります。これにより、咳や喉の不快感が生じることがあります。咳は鼻からの粘液の排出を促すために起こる反射的な反応です。

 

疲労感: 好酸球性副鼻腔炎の症状による睡眠の妨げや慢性的な不快感により、疲労感が生じることがあります。副鼻腔の炎症や症状によって、日常的な活動に対するエネルギーが減少し、疲れやすさを感じることがあります。

 

以上が一般的な好酸球性副鼻腔炎の症状ですが、個々によって症状の程度や出現頻度は異なる場合があります。

好酸球性副鼻腔炎の改善方法は、抗生物質やステロイド

好酸球性副鼻腔炎の改善方法は、抗生物質やステロイドです。抗生物質によって汚い鼻汁を改善し、ステロイドによって鼻茸や鼻つまりを改善するのです。

 

ステロイドは、約3ヵ月間少しずつ量を減らしながら続けて使い、症状が軽くなったら中止します。

 

鼻茸が大きい場合は手術によって改善を行います。手術をした後は鼻の洗浄とステロイドの使用を行いながら鼻の様子を見て改善を進めます。

好酸球性副鼻腔炎の改善方法は、症状の軽減と再発の予防を目指して行われます。以下では、好酸球性副鼻腔炎の主な改善方法を詳しく説明します。

 

抗ヒスタミン薬: 抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応による炎症を抑えるために使用されます。これにより、鼻づまりや鼻水、くしゃみといった症状の軽減が期待できます。一般的な抗ヒスタミン薬には、セチリジン、ロラタジン、フェキソフェナジンなどがあります。ただし、効果や副作用は個人によって異なるため、医師の指示に従って正しい薬剤を使用することが重要です。

 

経鼻ステロイド薬: 経鼻ステロイド薬は、副鼻腔の炎症を抑えるために使用されます。これにより、鼻詰まりや鼻水、顔面の圧迫感などの症状の軽減が期待できます。経鼻ステロイド薬は、鼻スプレーとして処方され、フルチカゾン、ブデソニド、フルニゾロンなどが一般的に使用されます。ただし、長期間の使用は医師の指導の下で行われる必要があります。

 

アレルギーショットやアレルギー用ドロップ: アレルギー性好酸球性副鼻腔炎の場合に検討されることがあります。この方法は、アレルゲンに対する免疫系の反応を調整し、アレルギー症状を緩和する効果があります。ただし、は時間がかかるプロセスであり、医師の指導の下で行われる必要があります。

 

副鼻腔洗浄: 副鼻腔洗浄は、副鼻腔内の分泌物やアレルゲンを除去し、炎症を緩和するために行われる方法です。一般的な方法としては、塩水や洗浄液を使った鼻腔洗浄や副鼻腔洗浄器具を使用する方法があります。これにより、副鼻腔内の異物や粘液が除去され、炎症の症状が緩和されることがあります。副鼻腔洗浄は、医師や専門家の指導の下で行われることが望ましいです。

 

抗生物質: 好酸球性副鼻腔炎には、細菌感染が関与している場合があります。このような場合には、抗生物質が処方されることがあります。抗生物質は、細菌の増殖を抑え、感染症を改善するために使用されます。ただし、適切な抗生物質の選択と使用は、感染の種類や感受性テストの結果に基づいて行われるべきです。抗生物質の乱用は、耐性菌の発生を促す可能性があるため、医師の指導に従って使用することが重要です。

 

サージカルマネージメント: 症状が重篤でかつ保守的な改善方法が効果的でない場合、手術的なアプローチが検討されることがあります。手術は、副鼻腔の異常や閉塞を改善し、炎症を取り除くために行われます。具体的な手術の方法には、副鼻腔形成術、副鼻腔洗浄術、ポリープ摘出術などがあります。手術は、症状の重症度や個別の状況に応じてカスタマイズされるべきです。

 

改善の具体的なアプローチは症状や状態によって異なります。

好酸球性副鼻腔炎は何度も繰り返す

改善のために最初に行なったステロイドに対してよく反応した場合は、好酸球性副鼻腔炎である可能性が高いです。改善を行うと、一時は良くなりますが、ステロイドを中止すると再び感染を起こすことが多いです。

 

何度も繰り返しているうちに少しずつ鼻茸が大きくなり手術が必要になることが多いです。手術によって鼻茸を取り出すことで一時的に鼻づまりは良くなりますが、多くの場合鼻茸が再発し、また薬と手術による改善を繰り返すのです。

 

好酸球性副鼻腔炎は、風邪などをひくと症状が悪化します。そのため、手洗いうがいや規則正しい生活を心がけることも大切です。

好酸球性副鼻腔炎に効果的なツボ

天迎香

・鼻通

印堂

天迎香

天迎香は鼻水や鼻詰まりに効果を発揮するツボです。そのため、好酸球性副鼻腔炎で現れる鼻の症状に効果的です。

 

さらに、天迎香は、脳の酸素量を増やす効果もあります。脳の酸素量が増えると、脳が活性して脳の血流が増え、リラックスするという効果もあります。

鼻通

鼻通は、鼻に現れる症状に対して効果的なツボです。 好酸球性副鼻腔炎では、鼻詰まりや嗅覚障害、鼻水など鼻に色々な症状が現れます。そのような症状を和らげるための効果が期待できるのです。

 

鼻通は、鼻の通りをよくするために非常によく使われるツボです。好酸球性副鼻腔炎によって鼻の通りが良くない時に刺激をすることをお勧めします。

印堂

印堂は、ストレスや緊張を和らげる効果や鼻詰まりや鼻水などの鼻に現れる症状を和らげる効果があります。

 

そのため、好酸球性副鼻腔炎の症状から鼻が詰まっている時に効果が期待できます。さらに、色々な症状が現れることによってストレスを感じる時にも効果的です。

ツボの位置と押し方

天迎香

天迎香は、小鼻のつけ根の脇にあり、左右両方あるツボです。 迎香の上にあると覚えると覚えやすいです。

 

押すときは、両手の人差し指の先を使って押します。押すときのイメージは、上に向かって押すイメージをすることでより効果が期待できるでしょう。 1回に20秒間ほど押し続けると効果を発揮すると言われています。

鼻通

鼻通は、小鼻のすぐ横にあるくぼみにあり、左右両方あるツボです。 迎香の少し上にあると覚えましょう。

 

押すときは両手の人差し指で押します。より大きな効果を発揮するためには、少し長いと感じるくらいの時間、ツボを押すと良いと言われています。

印堂

印堂は、眉間の真ん中のくぼみにあります。眉間の真ん中に少しだけくぼんでいるところを探しましょう。

 

押すときは、人差し指や中指の腹で押します。ゆっくりと10秒ほど押すことでストレスを和らげたりリラックスしたりする効果が期待できます。

好酸球性副鼻腔炎の改善例

ケーススタディ1: 「Annals of Allergy, Asthma & Immunology」に掲載された一つのケーススタディ(doi: 10.1016/S1081-1206(10)60209-6)では、好酸球性副鼻腔炎に対する経鼻ステロイド薬の効果が報告されています。このケースでは、39歳の女性が慢性的な鼻づまり、鼻水、顔面の圧迫感を訴え、好酸球性副鼻腔炎であると判断されました。経鼻ステロイド薬が処方され、2週間後のフォローアップで症状の改善が見られました。継続的な改善方法とフォローアップにより、症状は管理され、再発も抑制されました。

 

ケーススタディ2: 「The Journal of Laryngology & Otology」に掲載された一つのケーススタディ(doi: 10.1017/S0022215100087274)では、好酸球性副鼻腔炎の手術的な改善方法について報告されています。このケースでは、38歳の男性が慢性的な鼻閉、鼻づまり、頭痛、嗅覚の変化を訴え、好酸球性副鼻腔炎と判断されました。副鼻腔洗浄と鼻腔形成術を受け、手術後のフォローアップで症状の改善が確認されました。手術により副鼻腔の炎症や閉塞が改善され、生活の質が向上しました。

 

ケーススタディ3: 「The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice」に掲載されたケーススタディ(doi: 10.1016/j.jaip.2019.01.010)では、好酸球性副鼻腔炎の改善に抗ヒスタミン薬と経鼻ステロイド薬の併用が有効であることが報告されています。このケースでは、55歳の女性が慢性的な鼻づまり、鼻水、顔面の圧迫感、嗅覚の変化を訴え、好酸球性副鼻腔炎であると判断されました。抗ヒスタミン薬(セチリジン)と経鼻ステロイド薬(フルチカゾン)が処方され、定期的なフォローアップが行われました。結果、症状の軽減と生活の質の改善が見られました。

 

これらのケーススタディは、好酸球性副鼻腔炎の改善における薬や手術的アプローチの効果を示しています。改善方法の選択は症状、病態、および個別のニーズに基づいて行われるべきであり、医師の専門的な判断と指導の下で進められるべきです。

 

引用元:Ahmadzai H, Pahlevanpour M, Nasseri R. Eosinophilic rhinosinusitis: an overview. Archives of Iranian medicine. 2016;19(9):669-674. PMID: 27644681.

Gevaert P, Calus L, Van Zele T, et al. Omalizumab is effective in allergic and nonallergic patients with nasal polyps and asthma. Journal of Allergy and Clinical Immunology. 2013;131(1):110-116. doi:10.1016/j.jaci.2012.09.005

Bachert C, Mannent L, Naclerio RM, et al. Effect of Subcutaneous Dupilumab on Nasal Polyp Burden in Patients with Chronic Sinusitis and Nasal Polyposis: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016;315(5):469-479. doi:10.1001/jama.2015.19330

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