公開日:2020年 2月5日
更新日:2021年 5月15日
本日はチョコレート嚢胞について解説をさせて頂きます。
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
チョコレート嚢胞は子宮内膜症のひとつです。
卵巣に起こる子宮内膜症をチョコレート嚢胞といいます。
卵巣に形成された子宮内膜組織は生理周期にあわせて増殖や出血を繰り返し、血液が卵巣にたまり、チョコレート色の嚢腫になることから、チョコレート嚢胞と呼ばれています。
この病気は女性ホルモンに依存し、初経~閉経までの生殖可能年齢の女性に多く、20代半ばで起こり、35歳位でピークに達します。
子宮内膜の組織が子宮以外の部位に形成されるのが「子宮内膜症」ですが、それが卵巣になったものを「チョコレート嚢胞」といいます。
・逆流した月経血に子宮内膜組織が含まれていて卵巣内で増殖
・卵巣の組織が何らかの原因によって子宮内膜組織に変化する
など、はっきりとした原因は不明です。
●異所性内膜の形成
子宮内膜症は、子宮内膜が本来存在すべき子宮の内側以外の場所に発生する病気です。子宮内膜が卵巣や骨盤内の他の部位に付着すると、その組織が毎月の月経周期に反応し、出血を繰り返します。
●月経血の逆流
月経血が卵管を通じて逆流し、骨盤内に達することをレトログレードメンストレーションと呼びます。この逆流した月経血に含まれる内膜細胞が卵巣に付着し、増殖することでチョコレート嚢胞が形成されると考えられています。
●遺伝的要因
子宮内膜症やチョコレート嚢胞の発症リスクは、家族歴に関連することが研究で示されています。母親や姉妹が子宮内膜症を持っている場合、同様の病気を発症するリスクが高まることがあります。
●免疫系の異常
通常、体の免疫系は異常な細胞の増殖を抑制しますが、免疫系に異常がある場合、異所性の内膜組織が排除されずに増殖することがあります。これがチョコレート嚢胞の発症につながる可能性があります。
●環境要因
一部の研究では、ダイオキシンやPCBなどの環境汚染物質への暴露が子宮内膜症やチョコレート嚢胞のリスクを高める可能性があるとされています。また、過度のストレスや不適切な食生活、運動不足も子宮内膜症のリスク要因として考えられることがあります。
●ホルモンの影響
子宮内膜症はエストロゲン依存性の病気であり、高いエストロゲンレベルが内膜組織の成長を促進する可能性があります。エストロゲンの影響で内膜組織が卵巣内に増殖し、嚢胞が形成されると考えられています。さらに、プロゲステロンや他のホルモンとのバランスが崩れることで、子宮内膜症やチョコレート嚢胞の発症リスクが高まることがあります。
●手術の影響
帝王切開や子宮手術などで内膜組織が偶然に卵巣や他の部位に移植されることがあり、これがチョコレート嚢胞の形成に寄与する場合があります。
【月経痛と不妊】
歳を重ねるごとに強くなる月経痛、骨盤痛、性交痛、排便痛など、必ずしも全ての方には当てはまりませんが、中でも月経痛は多くの場合によく見られます。それも日常生活に影響するほどの強い痛みを起こすことも少なくありません。
チョコレート嚢胞は癌化しやすく、近年卵巣癌になりやすいこともわかってきていています。女性のライフスタイルの変化による晩婚化や少産化が進み増加傾向にある病気です。初経の年齢が早くなってきているので10代の若い女性に発生することも多くなってきています。
不妊につながる理由としては、嚢胞により卵巣表面が硬化し、卵子が排卵されても外に出られなくなること挙げられます。また、着床しても、病巣部が卵巣にあることで血流不良や炎症などで卵子の発育も阻害されます。
妊娠を望まれる方、薬で様子を見ているのになかなか小さくならない方、重い生理痛に悩まされている方、お力になれるよう対応致します。
➡腹腔内で破裂した中身が炎症を起こし腹膜炎を引き起こす
・卵巣がん
チョコレート嚢胞を持つ女性は、特定のタイプの卵巣がんのリスクが高まることが報告されています。
・不妊症
チョコレート嚢胞は、卵巣内での異常な組織の増殖により、卵巣の機能を低下させる可能性があります。また、卵管や他の生殖器官に影響を与えることで、卵子の排出や精子の移動を妨げ、不妊症を引き起こすことがあります。
・卵巣機能不全
チョコレート嚢胞が大きくなり、卵巣の正常な機能を圧迫することで、卵巣機能が低下する可能性があります。これにより、ホルモンバランスが乱れたり、月経不順が生じたりすることがあります。さらに、嚢胞が卵巣組織に損傷を与えると、卵巣機能が著しく低下し、閉経が早まることがあります。
・慢性的な骨盤痛
チョコレート嚢胞に関連する子宮内膜症は、慢性的な炎症や癒着を引き起こし、骨盤内に持続的な痛みを生じることがあります。この痛みは、月経周期に伴う痛みだけでなく、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みとなることがあります。
・骨盤内臓器の癒着
チョコレート嚢胞や子宮内膜症により、卵巣や卵管、腸管などの骨盤内臓器が互いに癒着することがあります。これにより、臓器の正常な動きが制限され、痛みや腸閉塞などの症状が発生することがあります。
・貧血
子宮内膜症による異所性内膜の増殖が原因で、慢性的な出血が生じることがあり、これが貧血の原因となることがあります。特に、月経が重く長期間続く場合は、鉄欠乏性貧血を引き起こすリスクが高まります。貧血を引き起こすと、疲労感、めまい、息切れなどの症状が現れることがあります。
・腹部膨満感や消化器症状
チョコレート嚢胞や子宮内膜症が腸管に影響を与えることで、腹部膨満感、便秘、下痢、さらには腸閉塞などの消化器症状を引き起こすことがあります。これらの消化器症状は、月経周期に関連して悪化することがあり、患者の生活の質に大きな影響を与える可能性があります。
・尿路の合併症
子宮内膜症が膀胱や尿管に浸潤すると、排尿時の痛み、頻尿、血尿などの症状が発生することがあります。
・心理的影響
長期的な慢性的な痛み、不妊症、手術や治療の不安などにより、うつ症状や不安障害を引き起こす可能性があります。
【なぜチョコレート嚢胞から卵巣がんになるのか】
嚢胞の中の血が古くなってくるので錆が生じます。錆びた血からの酸化ストレスにより、ガンが発生します。
チョコレート嚢胞になると卵巣がんになる確率が通常の女性のリスク0.1%に対し、7~10倍高いといわれています。
しかも、チョコレート嚢胞から発生する癌は抗がん剤が効きにくいため改善が悪いです。
・低容量ピル:子宮内膜の増殖が抑制され、痛みおよび炎症原因物質として知られる※プロスタグランジンの分泌が減少し、月経痛が緩和されます。
※プロスタグランジンは、子宮収縮をさせる物質で、剥がれ落ちた子宮内膜(経血)を体外に押し出すために子宮の筋肉をギュッと縮める役割をしています。
・GNRHアゴニスト:女性ホルモン濃度を閉経レベルまで下げます。(偽閉経)
※GNRHアゴニストは、ほてりやのぼせなどの更年期症状を引き起こす可能性が高いことに加えて、骨塩量の減少や脂質異常を起こすリスクもあります。そのため、6か月以上の持続投与は原則できません。
・ジェノゲスト:黄体ホルモン系の新しい子宮内膜症の薬です。卵巣機能の抑制および子宮内膜細胞の増殖抑制により有効性を発揮します。ただし重大な副作用として多い順に不正出血(94%)、ほてり(49%)や頭痛(24%)などがあります。※129例中
・ダナゾール:テストステロン誘導体であり、低エストロゲン状態を作り上げるためによく使われます。主な副作用として、頭痛や一過性の視力障害や複視、体重増加などが挙げられます。
・卵巣摘出
・卵胞摘出
・卵胞焼灼術
一般的には卵胞摘出術で、嚢胞が4センチを超えると手術をした方が良いと言われています。
手術をすることで、重い生理痛、慢性的な骨盤痛、性交痛、排便時や排尿時の痛みなどの症状の緩和したり、妊娠の可能性を高めたりすることが期待できます。さらに、チョコレート嚢胞が卵巣がんに進行するリスクに対しても手術は有効です。
妊娠、出産希望がない場合は根本的な改善として卵巣摘出術が選択肢に入ります。
遺伝性があるので、家族でチョコレート嚢胞(子宮内膜症)の方がいる場合は、定期的に調べることをお勧めします。
初期は生理時以外の強い症状が出ないので、発見が困難です。通常より生理痛が通常よりも強く、鋭い痛みや鈍い痛みとして感じられることがあります。通常の生理痛が数日間続くのに対し、チョコレート嚢胞による痛みは月経の開始前から月経が終わるまで、あるいは月経後もしばらく続くことがあります。
子宮内膜症によって子宮内膜が増殖しやすくなるため、月経血の量が増えることがあります。これにより、鉄欠乏性貧血を引き起こす可能性があり、疲労感、めまい、息切れなどの症状をさらに悪化させることがあります。
病状が進むと下腹痛、排便痛が非常に強くなり日常に支障をきたす程になります。排便痛は、生理中に特に強くなる傾向があります。排尿時に痛みを感じたり、頻尿や尿意切迫感が現れたり、便秘や下痢が見られたりすることもあります。
腰痛 |
子宮内膜症の半数以上が感じています。 足、股関節、場合によっては背中まで放散痛があることもあります。
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下腹部痛 |
月経が始まる約1週間前から痛くなるケースが多いです。しかし、生理が終わったのに痛みは続き、結局1ヶ月のうち痛みがない日の方が少ないという方もいます。 これは子宮内膜症の女性約7割の人にみられる症状です。
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排便痛 |
排便の際、肛門の奥の方が痛む症状が起きるのは、直緒付近に病巣がある、または付近で癒着が起こって可能性が高くなります。
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痛みを伴う性交 |
月経痛に加え生じる場合、子宮内膜症の可能性が高くなります。
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月経の出血量が異常に多い |
【月経過多のポイント】
などの症状も出血が多い人に良く見られる症状です。
若い時は、子宮内膜の成長に欠かせない女性ホルモンが多く、レバー状の塊が出ることはよくあります。
しかし繰り返し大きい塊が出てきたら注意してください。 子宮内膜症や子宮筋腫などの病気のサインの可能性もあります。
出血量が多い人ほど、子宮内膜が通常より厚くなっていることが多いです。そうなることでうまく酵素が働かず、固まった血液を溶かすことが出来なくなりレバーのような塊になってしまうのです。
ホルモンでの分泌異常も考えられます。早めに病院に行った方が良いでしょう。 |
自律神経とホルモンバランスの乱れはストレスや心配事から起きやすいです。
➡排卵は脳にある小指の先ほどの小さな器官「下垂体」という所から卵胞刺激ホルモンと黄体刺激ホルモンが分泌され、卵胞の活動を促し、最終的に膜が破裂し卵巣の外に排出されるしくみになっています。
下垂体は、自律神経の中枢でもあります。そのため、ストレスの影響を受けやすく、生理の遅れに繋がってしまいます。
規則正しい生活を送り、排卵前のエストロゲンと、排卵後のプロステロンという2種類のホルモンのバランスを正常に保つことで、ホルモン分泌量の調節ができ、生理のサイクルを整えることができます。
この症状は東洋医学で考えると「血瘀」という状態です。
血瘀の主な原因は血の滞りで、特に生理中はお腹や腰などの痛みはだんだん強くなっていきます。血の渋滞が起こりやすい原因として多いのは冷えによるものです。
そこで、お腹と背中の子宮・卵巣に効果的なツボも使って温めながら血瘀の処置をおこなっていきます。
≪冷えによって起こる体への影響≫
・凝滞性:気血を滞らせ、痛みを引き起こす。
・収引性:血管や毛穴が、寒いときに体が縮こまるのと同様に収縮する。それによって気血の流れが悪くなる。
・臓腑に直中:冷たいものをたくさん食べると内臓がどんどん冷えていく。
鍼灸の効果として期待の高いものは、以下の2つです。
自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが整うと血行が改善され、それによりチョコレート嚢胞を東洋医学で考えたときの冷えの改善、いわゆる「血瘀」の状態が改善されます。
そして、自律神経を整えることで自律神経の中枢である脳下垂体にも影響していきます。脳下垂体は女性ホルモンに関与しているため、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)のバランスも整い嚢胞の縮小が促されるのです。
≪鍼をした際の自律神経の反応≫
鍼は交感神経を抑制↓し、副交感神経を亢進↑させます。
しかし、鍼で反対の交感神経を亢進↑して、副交感神経の抑制↓が起こることはありません。
血海は、貧血や血のめぐりを改善する効果があるツボです。そのため、生理不順や生理痛などに効果的です。子宮内膜症、チョコレート嚢胞の改善にもよく使われます。
変形性膝関節症による膝の痛みや更年期障害にも効果的です。
三陰交は、血が足りず血液が十分に体にまわっていない状態である血虚に効果的なツボです。
女性特有の色々な症状に効果的で、子宮内膜症やチョコレート嚢胞、生理に関するトラブルなどに効果的です。他にも、頭痛や肩こり、倦怠感、下痢などの消化器症状、抑うつ、不眠などの症状にもお勧めです。
膈兪は、血の巡りを良くする作用のあるツボで、胃腸の働きを活発してくれます。膈兪の膈は横隔膜の意味、膈兪の兪は注ぐ、めぐるという意味があります。横隔膜に活動エネルギーが注ぐ場所という意味のあるツボなのです。
膈兪は横隔膜の変調を調整する効果があるため、しゃっくりを止めるために効果的です。他には、月経痛、気管支喘息、喘息、嚥下困難、胃酸過多症などに効果を発揮します。
血海は、膝のお皿の上で内側にあるツボです。膝の内側に薬指をおき、指幅3本そろえて人差し指があたっている場所にあります。
お灸がお勧めのツボです。1日1回熱く感じるまで行いましょう。
三陰交は、内くるぶしのいちばん高いところに小指を置いて指幅4本そろえて、人差し指があたっているところにあります。
婦人科の病気には非常にオススメのツボです。一度に続けて3回程度を目安に優しく押しましょう。温灸も効果的なツボです。
膈兪は、肩甲骨の下端の水平線で、背骨の真ん中から左右に指2本分外側にあるツボです。実際にはこの規定の場所から少し上下左右にずれている事もあります。このあたりの凝りのあるコリコリとした部分を探しましょう。
押すだけでなく、ピップエレキバンを貼ったり直接マッサージを行ったりすることも効果的であると言われています。
《まとめ》
近年、女性のライフスタイルの変化により晩婚化、少産化が進み増加している病気です。
加えて、初経の年齢が早くなってきているので10代の若い女性に発生することも少なくありません。
妊娠を望まれる方や、薬で様子を見ているのになかなか小さくならない方、重い生理痛に悩まされている方などお力になれるよう対応致します。
血海は、貧血や血のめぐりを改善する効果があるツボです。そのため、生理不順や生理痛などに効果的です。子宮内膜症、チョコレート嚢胞の改善にもよく使われます。
変形性膝関節症による膝の痛みや更年期障害にも効果的です。
三陰交は、血が足りず血液が十分に体にまわっていない状態である血虚に効果的なツボです。
女性特有の色々な症状に効果的で、子宮内膜症やチョコレート嚢胞、生理に関するトラブルなどに効果的です。他にも、頭痛や肩こり、倦怠感、下痢などの消化器症状、抑うつ、不眠などの症状にもお勧めです。
膈兪は、血の巡りを良くする作用のあるツボで、胃腸の働きを活発してくれます。膈兪の膈は横隔膜の意味、膈兪の兪は注ぐ、めぐるという意味があります。横隔膜に活動エネルギーが注ぐ場所という意味のあるツボなのです。
膈兪は横隔膜の変調を調整する効果があるため、しゃっくりを止めるために効果的です。他には、月経痛、気管支喘息、喘息、嚥下困難、胃酸過多症などに効果を発揮します。
11時から21時
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11時~21時迄 | ◯ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
年末年始