公開日:2021年 9月10日
更新日:2021年 11月23日
本日はロスムンド・トムソン症候群について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
ロムスンド・トムソン症候群の原因は、遺伝です。遺伝子を修復するために必要なRecQL4タンパクに異常が起こることによって発症するのです。
原因は遺伝のため、住んでいる地域や生活習慣、人種などのことは発症には関係ありません。血族婚の場合は、発症しやすいとされています。
ロスムンド・トムソン症候群は稀な遺伝性の病気で、肌の問題、発育遅延、骨格の異常、または発がんリスクの増加など、さまざまな症状を伴います。この症候群の原因は、体の細胞がDNA損傷を修復する能力に関連する特定の遺伝子の変異によるものであることが確立されています。
RTSは、主に「RECQL4」という遺伝子の変異が原因で発症します(参考:Larizza, L., Roversi, G., & Volpi, L., 2010)。RECQL4は、DNAの二重らせんを分解して複製や修復を助ける役割を果たす一部のタンパク質を指示します。これらのタンパク質はヒトヘリカーゼとして知られ、細胞がDNAを複製するとき、または損傷を修復するときに重要な役割を果たします。
RECQL4遺伝子の変異は、これらのヘリカーゼタンパク質が正常に機能しないか、全く生成されない可能性があります。その結果、DNAの損傷が修復されず、細胞の複製時に誤りが発生する可能性が高まります。これは特に、細胞が急速に分裂・増殖する胎児期に影響を及ぼし、RTSの症状を引き起こします(参考:Wang, L. L., 2011)。
RTSは自己显性遺伝であり、両親のどちらか一方から変異遺伝子のコピーを受け取ることで発症します。しかし、この変異は大半の場合で新規変異であり、つまり両親が変異を持たない場合でも発症する可能性があります。
また、RTSにはRECQL4遺伝子の変異を持たない一部の患者もいます。これらの症例では、症候群は他のまだ特定されていない遺伝子の変異による可能性があります(参考:Siitonen, H. A., Sotkasiら., 2009)。つまり、RECQL4遺伝子変異がRTSの主な原因であることは明らかですが、この遺伝子の変異を持たないの存在は、RTSが複雑な遺伝的要素を含んでいることを示しています。
さらに重要なのは、RECQL4遺伝子変異が全ての人に見られる訳ではないという事実です。これは遺伝的な判断を難しくしており、一部では遺伝子テストが陰性であっても、臨床的な症状からRTSと判断されることがあります。これは、RTSの研究が進行中であり、未だ理解されていない側面が多いことを示しています。
また、RECQL4の変異は、ロスムンド・トムソン症候群だけでなく、ベーラー症候群やワーナータンプソン症候群など、他のレアな遺伝性の病気とも関連しています。これらの症候群は、外見や健康に関する特定の問題を共有していますが、それぞれ独自の特性も持っています。これらの症候群が同じ遺伝子の変異に関連しているという事実は、この遺伝子が人体のさまざまな機能にどのように影響を及ぼすかを理解する上で重要です。
RTSの理解は、その根底にある遺伝子の役割を理解することから始まります。RECQL4の正確な役割はまだ完全には明らかにされていませんが、DNAの修復と複製に関与していることは確かです。これらの過程は細胞の生命維持に不可欠であり、それらが妨げられると、成長の遅延、発育異常、癌のリスクの増加など、ロスムンド・トムソン症候群の特徴的な症状が引き起こされます。
この遺伝子のさらなる研究は、RTSの更なる理解を可能にし、新たな治療法の開発を促進することでしょう。それはまた、DNA修復過程の全体的な理解を深め、広範な医学的問題、関する洞察を提供します。
ロムスンド・トムソン症候群の症状は、若い時の白内障の発症や日光で悪くなる皮膚所見、顔面の皮膚の萎縮や四肢の皮膚の委縮などです。さらに、小柄な体型をするという特徴もあります。
日光で悪くなる皮膚所見は、日光を浴びたところがやけどのようになったり、湿疹のようになったりします。
四肢の奇形があらわれることもあり、生まれた時から手の骨や指の一部が欠けたりしていることもあります。
ロスムンド・トムソン症候群は稀な遺伝性の病気で、その症状は個人の間で幅広く変動します。RTSは主に皮膚、骨格、成長、そしてがんのリスクといった体の複数のシステムに影響を及ぼします。
最も早く表れ、RTSを特徴付ける初期の兆候は皮膚の症状です。赤ちゃんが生まれた時、または生後まもなくに一時的な赤発疹が顔、手足、臀部に現れます(参考:Larizza, L., Roversi, G., & Volpi, L., 2010)。多くの場合、この疹は数ヶ月から数年後に自然に消退します。
しかし、時間と共に他の皮膚の異常が現れます。特に顕著なのは光線過敏性で、これは紫外線に曝露されると皮膚が赤くなり、湿疹のような症状を引き起こします。その他にも毛髪の薄さ、まつ毛や眉毛の欠如、皮膚の薄さや透明感、さらには皮膚の萎縮や皮膚癌のリスク増加といった症状があります。
成長と発育に関しては、RTSの患者は通常、出生時には平均的な体重と身長を持っていますが、時間が経つにつれて成長が遅れ、多くは身長や体重が成人時に平均よりもかなり低くなります(参考:Wang, L. L., 2001)。また、発育遅延や知的障害の報告もありますが、これは個人の間で大きく変動します。
RTSでは特徴的な骨格の異常を示すこともあります。これには、手足の先端部分(特に親指)の成長不全、顔の骨格の異常、歯の異常(例えば、早期落下や欠如)、骨の脆弱性、そして最も顕著な特徴である前額部の出っ張り(前額隆起)が含まれます(参考:Wang, L. L., 2001)。
さらに、RTSでは視力の問題を経験することもあります。これには、白内障や緑内障といった目の問題が含まれます。また、一部では、食道の狭窄(食道の狭窄)や肺の問題、そして消化器系の問題が報告されています。
RTSの最も深刻な側面の一つは、特定の種類のがんを発症するリスクが増加することです。特に、皮膚癌と骨肉腫の発症率が上昇します。これらのがんは、RECQL4遺伝子の変異によりDNA修復が阻害されることで引き起こされると考えられています(参考:Larizza, L., Roversi, G., & Volpi, L., 2010)。なお、がんのリスクは全てのRTSの発症者に共通するわけではなく、また発症するタイミングも人により大きく異なります。
RTSの症状は多岐にわたり、個人によって異なる形で現れます。
ロムスンド・トムソン症候群の根本的な改善方法は今のところありません。そのため、現れている症状に対して改善を行なっていきます。
起きてしまった皮膚の症状に効果的な改善方法はありませんが、日光を避けることが大事です。
白内障は眼科で改善を行い、骨の異常は整形外科で改善を行います。生まれつき指が欠けている場合、手術を行うこともあります。
ロムスンド・トムソン症候群を改善する上で大事なことは合併症に気をつけることです。癌ができやすいのため、定期的に病院に行ってみてもらうことが必要です。
RTSは複雑で多面的な病気であり、それに対する改善方法は個人の症状やその重症度に基づいてカスタマイズされます。現時点では、この病気の根本的な原因である遺伝子変異を修正する改善法は存在しません。したがって、現在の改善は主に症状の管理と生活の質の向上に焦点を当てています。
皮膚症状の管理: RTSを発症した人の皮膚は非常に敏感であり、日焼けや皮膚の損傷を避けるためには注意が必要です。日焼け止めの使用や適切な衣服の着用など、紫外線から皮膚を守る措置が推奨されます。また、皮膚の乾燥や割れを防ぐためのスキンケアも重要です。皮膚癌を発症した場合、早期発見と適切な改善が必要となります。
成長と発達の支援: RTSでは一般的に成長が遅れるため、栄養補助や成長ホルモンの補充が考慮されることがあります(参考:Klingseisen and Jackson, 2011)。また、一部では知的障害がみられるため、学習支援や言語の支援などの特別な教育サービスが必要となる場合もあります。
骨格の問題の対処: 手足の変形や歯科問題、骨の脆弱性など、様々な骨格の問題に対処するための多職種間の協力が求められます。
がんのリスクの管理: RTSでは特定の種類のがんを発症するリスクが高まるため、定期的なスクリーニングと早期発見が重要です。がんが確認された場合は、早期に改善を開始し、適切なケアを提供することが必要となります。
心理的・社会的なサポート: RTSの発症者とその家族は、病気の長期的な影響により心理的ストレスを経験する可能性があります。心理カウンセリング、支援グループ、またはソーシャルワーカーによるサポートが有用であることが示されています。
複合的な病状に対する一貫したケア: RTSを発症した人の症状は多岐にわたるため、一貫したケアを提供するためには、多種多様な専門家から成るチームが必要です。
以上のように、RTSの改善方法はひとりひとりの症状や必要に応じて調整されます。
RTSは現在も研究が進行中の病気であり、新たな改善方法が開発されている最中です。
参考文献:
Klingseisen A, Jackson AP. Mechanisms and pathways of growth failure in primordial dwarfism. Genes Dev. 2011;25(19):2011-2024. doi:10.1101/gad.169037
Wang, L. L. (2001). Updates on the cytogenetics and molecular genetics of bone and soft tissue tumors. osteosarcoma. Cancer genetics and cytogenetics, 128(1), 1-13.
Larizza, L., Roversi, G., & Volpi, L. (2010). Rothmund-Thomson syndrome. Orphanet journal of rare diseases, 5(1), 1-11.
日常生活を送る上で気をつけることは日光を避けることです。さらに合併症を起こしやすいため、合併症を発症した場合は早く見るけることも大事です。
足をひきずっていたり、皮膚にできものができたりした場合は癌のサインである可能性もあります。注意してください。
ジェニファーのケース:6歳
彼女の主な症状は成長遅延、髪の薄毛、そして皮膚の発疹です。彼女の改善は、その症状を緩和するためのいくつかの手段を含んでいます。皮膚の発疹に対処するため、彼女は皮膚科医から特別なスキンケア製品と、日焼け止めの定期的な使用を推奨されています。また、ジェニファーの成長遅延に対処するためには、彼女は栄養補助を受けており、成長ホルモンの補充も検討されています。髪の薄毛に対する具体的な改善法は存在しないため、この問題に対処するためには、ジェニファーと彼女の家族は心理的な支援とコーピング戦略の指導を受けています(参考:Larizza, L., Roversi, G., & Volpi, L., 2010)。
マイケルのケース:16歳
彼の主な症状は皮膚癌と骨肉腫です。彼の改善は、これらのがんに対する専門的なケアを必要としています。彼の皮膚癌は、早期に発見され、皮膚科医と外科医のチームによって効果的に取り除かれました。その後、彼は定期的に皮膚を調べて新たな皮膚の異常を早期に検出するようになりました。骨肉腫に対しては、抗がん剤と放射線が用いられました。これらの改善を行なった後、彼は定期的なMRIスキャンを受け、新たな腫瘍の形成を早期に見つけ出すことができます。
マイケルのケースは、RTSを発症した人ががんを発症するリスクが高いことを示しています。これは、病気の遺伝子変異がDNA修復の問題を引き起こし、これががんの発生を促進する可能性があるためです。したがって、RTSの改善と管理には、定期的ながんスクリーニングと早期のがんの改善が不可欠です(参考:Wang, L. L., 2001)。
エマのケース:3歳
彼女は脊柱側彎症を有しています。彼女の場合、早期の物理的な方法と定期的に体を調べることが実施され、その進行を監視しています。また、エマの発達の遅れに対処するために、彼女は早期教育サービスを受けています。
以上のようなケーススタディは、RTSの改善がどのように症状と個々の必要性に応じてカスタマイズされるかを示しています。
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