不整脈の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  9月23日

更新日:2025年  2月15日

本日は不整脈について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 不整脈とは
  • 不整脈の原因
  • 不整脈の症状
  • 不整脈の改善方法
  • 不整脈のまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

不整脈は、不規則に打つ状態

不整脈は、脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態のことです。脈が1分間に50以下の場合は徐脈、100以上の場合は頻脈といいます。

 

不整脈には病気が原因で発生するものと、生理的に発生するものがあります。運動や精神的興奮、発熱によって脈が速くなるのはだれにでも起こる生理的な頻脈です。

 

不整脈には、脈が少なくなる徐脈性不整脈、脈が増えてしまう頻脈性不整脈、脈が不規則になる期外収縮など色々な種類があります。

 

主な症状は、動悸、息切れ、胸痛、めまい、ふらつき、失神、体のだるさ、全身のむくみなどです。

急に心臓がドキドキして止まらない、胸がざわざわして落ち着かない、夜になると動悸が気になって眠れないなどの症状がある人も多いと思います。動悸を感じると病気かもしれないと不安になると思いますが、動悸は心臓の病気だけが原因でないことが多いです。

 

多くの場合の動悸の原因は自律神経の乱れです。ストレスや疲労不規則な生活習慣が知らず知らずのうちに自律神経を乱し心臓のドキドキにつながるのです。

 

院長も過去に動悸に悩まされたこともあります。また、当院にも動悸で悩まれている方の来院がたくさんあります。

原因は病気や薬、体質やストレス、睡眠不足など

不整脈の主な原因は、冠動脈疾患、心臓弁障害、心不全、先天性心疾患など心臓の病気、高血圧、甲状腺の病気、慢性閉塞性肺疾患などの肺の病気などの病気、薬の成分や加齢、体質、ストレス、睡眠不足、疲労などです。

 

高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病や喫煙、アルコール、精神的ストレス、睡眠時無呼吸などの心臓に負担をかける要素が複合的に合わさって不整脈が発生することもあります。

 

特にBMIが高い人、タバコを吸う人、アルコールをよく飲む人は、不整脈の一種である心房細動を発症しやすいとされています。

動悸は心臓の拍動を異常に意識する状態のことです。通常の心臓の鼓動は1分間に60〜100回のペースで規則正しく動いています。動悸を感じる場合は心拍数の変化が起きている可能性があります。

 

心拍が強くなる、心拍が不規則になる、不整脈動悸という3つの心拍の変化の多くが自律神経系と密接に関連しています。

 

自律神経系は意識的に制御できない体の機能を管理するシステムのことです。その中でも心臓の拍動や血圧呼吸のリズムを調整する役割を持つのが交感神経と副交感神経の2つのサブシステムです。

 

交感神経は闘争本能、逃げる反応を促す神経でストレスや緊張運動時に活性化します。心臓への影響は陽性変力作用で心臓の収縮力を高めることと血圧を上昇させることです。交感神経は副腎髄質から分泌されるアドレナリンとノルアドレナリンを介して心臓のペースメーカー細胞に作用し、その結果心拍数が増加し全身に迅速に供給する準備を整えます。

 

副交感神経はリラックス、回復を促す神経で食事中睡眠中に活性化します。心臓への影響は陰性変時作用で心拍数を減少させたり血管を広げて血流をスムーズにしたりします。迷走神経を介して心臓のペースメーカに作用し、心拍数が低下しリラックス状態が保たれています。

 

交感神経と副交感神経のバランスが非常に重要です。正常な状態では交感神経と副交感神経がシーソーのようにバランスをとりながら生活しています。このバランスが崩れると動悸が発生しやすくなるのです。

 

長時間のストレスや緊張状態が続くと交感神経が常に働きすぎの状態になり、心拍数が上昇し動悸として自覚します。

 

睡眠不足や過労が続くと副交感神経の働きが弱まりリラックスできず切り替えられない状態になり、心臓が緊張状態のまま動悸が起きます。

 

動悸の状態は多岐に渡り、自律神経の乱れがその根底にあることが多いのです。

1.ストレスや不安

精神的なストレスは視床下部、下垂体、副腎系というHPA軸が活性化し交感神経を刺激し、その結果心拍数が上昇します。短期的なストレスは問題ありませんが、長期的なストレスの場合は、副交感神経が弱まり動悸が慢性化しやすいです。

 

2.過労と睡眠不足

疲労や睡眠不足が続いてしまうと交感神経の活動が抑制されず副交感神経の働きが十分に発揮できなくなります。睡眠中に心拍数が十分に落ち着かないため夜間に動悸を感じることが増えます。

 

3.食生活と嗜好品

カフェインは中枢神経を刺激して交感神経を活性化させます。特にカフェインの感受性が高い人は少量でも動悸が発生します。またアルコールは少量であればリラックス効果がありますが、飲みすぎると交感神経が刺激され心拍数を増加させてしまいます。

 

4.病気

不整脈や甲状腺機能亢進症、貧血といった心臓の電気信号の異常や甲状腺ホルモンの関与、血液自体の問題によっても動悸は起こります。これは、自律神経とは別の話ではありますが自律神経を整えることは病気の改善の鍵になります。

 

特に現代社会では、ストレスや不安、生活習慣の乱れが交感神経を過剰に刺激しやすい状況にあるのです。

不整脈の症状はドキドキする、脈が飛ぶ、息切れ、めまいなど

不整脈の症状は、ドキドキする、脈が飛ぶ、息切れ、めまい、胸が苦しい、気を失うなどです。

 

期外収縮のように一拍だけ早いタイミングで心臓が収縮する不整脈では、脈がとぶ、一瞬ドキッとする、胸が一瞬つまる、などの症状が現れます。

 

一定の間頻脈が続く心房細動、発作性上室性頻拍、心室頻拍などの不整脈では、ドキドキする、胸が苦しいなどの症状が多く現れます。

 

極端な徐脈によって、数秒以上心臓の拍出が途絶えると、脳への血流が低下することによって、気を失う、目の前が暗くなる、めまいなどの症状が現れます。

 

長い時間不整脈が続くと、心臓のはたらきが悪くなることがあります。その場合、息切れやむくみなどの心不全の症状が発生します。

不整脈の改善方法は薬、カテーテルアブレーション、手術

不整脈の改善方法は主に3つです。薬、カテーテルアブレーション、手術です。

 

不整脈の改善には脈拍を整える抗不整脈薬が使われます。主に異常な電気信号を抑制する作用があります。また、血栓予防のために、血液をさらさらにする抗凝固薬が使われることもあります。

 

カテーテルアブレーションは、カテーテルと呼ばれる細い管を足のつけ根の血管から心臓の中に入れ、心臓内の組織を直接改善する方法です。焼灼や冷凍凝固法により、不整脈を引き起こす異常な電気信号が心臓全体に広がらないようにします。

 

手術では、心臓に外科的処置を行うことで、不整脈の原因となる異常な電気信号の通り道を断ち切ります。手術は体への負担が比較的大きい改善方法になります。そのため他の改善方法で効果が見られない場合に行われます。

動悸に効くツボは7つ

内関

内関は手首の内側のシワから指3本分ほど下に下がった場所にあります。2つの腱の間にあります。腱と腱の間をなぞっていくとある少し凹んだ場所や痛い場所がポイントです。

 

内関が効果的な動悸の原因は、ストレスや不安、胃腸の不調です。

 

内関は自律神経を整える代表的なツボで、交感神経の過剰な働きをよくしてくれます。不安や緊張による動悸を和らげてくれるのです。胃の機能低下にも効くため、胃がだるい、胃が重くなりやすい人にお勧めです。

壇中

壇中は胸の真ん中にあります。左右の乳首を結ぶ線の真ん中で、胸と乳首の位置を把握して結んだ線の真ん中にあります。反応がある人は軽く押すだけでも痛いです。場所がわかりにくい人は一帯を押してみて痛い場所で良いです。

 

壇中に効く動悸の原因は気の回りの滞りです。ストレスや感情の抑圧で胸のあたりにつかえを感じる時、壇中を刺激することで気の滞りをスムーズにしてくれます。

 

過度の緊張やストレスで悩んでいる人は胸周りの緊張を和らげてくれるため、呼吸を楽にすることで動悸を和らげることができます。

 

梅咳気やヒステリー球という喉につっかえた感覚が出たり胸周りが苦しくなったりする症状があります。これは調べても全く原因が出ないという昔からある症状ですが、この症状にも壇中は効果的です。当院ではピップエレキバンを貼ることもあります。

神門

神門は手首の内側にある腱の少し内側にあります。手首のシワの上の腱を触れたところから内側に取ります。

 

神門が効く同期の原因は、精神的な不安定さと睡眠不足です。神門は心の落ち着きを取り戻すツボで動悸を伴う不安やイライラに効果的です。

 

睡眠の不足や質の悪い睡眠が原因で自律神経が乱れた場合は、神門を刺激することで副交感神経が昂り、ぐっすり寝られます。ピップエレキバンを貼ることも効果的です。

足三里

足三里が効く動悸の原因は、身体の疲労感と消化器の不調です。足三里は全身の血行を促進して体力の回復を助けるツボで、疲労からくる心拍数の増加を抑えてくれます。食後に動悸が出る場合にも有効です。

 

足三里は研究機関でもよく使われるツボです。マウスの足三里に刺激をするとどういう変化が出るのかについてはいっぱい論文があります。1番有名なのは、足三里に刺激を与えると胃酸がよく出たり全身の血管の直径が広がり血流が良くなったりすると言われています。

太衝

太衝が効く動悸は、イライラや怒りによる動悸、ストレスによる交感神経の過剰反応です。太衝は肝気ともいわれる肝臓のエネルギーの流れを調整してくれるため、感情が引き金になって起こる動悸には非常に効果的です。

 

ストレスや交感神経が高ぶった際にも心を落ち着かせてくれる効果があります。当院では家族性のコレステロールやアルコール肝炎にもよく使っています。肝臓の病気にもお勧めのツボです。

合谷

合谷は手の甲にあるツボです。親指と人差し指を握って盛り上がった部分にあります。

 

合谷が効果を発揮する動悸は、全身の緊張とストレス頭痛を伴う肩こりです。合谷は全身の血流を改善する有名なツボで緊張が原因の動悸に効果的です。筋緊張性頭痛や偏頭痛、肩こりとともに感じる動悸には有効なのです。

 

押しやすいポイントのためよく使われています。

湧泉

湧泉が効果を発揮する動悸は、エネルギー不足や過労、緊張による血行不良です。

 

湧泉は元気の源と言われるツボで疲労やエネルギー不足が原因で起こる動悸には効果的です。血流を改善させる効果が非常に強く、慢性疲労性症候群にも効効果を発揮します。

ストレスや不安が原因の動悸・・・内関、壇中、神門、太衝

過労やエネルギー不足が原因の動悸・・・足三里、湧泉

全身の緊張や血行不良が原因の動悸・・・合谷、湧泉

7つのツボは鍼灸業界では非常に有名なツボばかりです。ツボにはそれぞれ役割があり、役割と適応している人ほど効きやすいです。ツボにあった症状がある当てはまる人は押して欲しいです。

 

ツボを原因に合わせて適切に刺激することで動悸を和らげて、自律神経系のバランスを整えることが可能です。

ツボ押しを効果的にするための3つのポイント

①深呼吸をしながら押す

押すときにはゆっくりと深い呼吸を心がけましょう。深呼吸は交感神経の過剰な活動を抑えてくれるため、副交感神経を刺激してリラックスできます。ツボをしながら呼吸を5秒ずつ繰り返すことで心拍数が安定しやすくなります。3回繰り返しましょう。

 

②時間帯と場所を選ぶ

動悸を感じたときにすぐ行うことが理想ですが、それ以外にも朝起きた時や寝る前に行うことが重要です。これにより自律神経のバランスを整える習慣を作ることができます。場所に関しては静かでリラックスする場所を選んで、可能であれば座ったり横になったりして行います。面倒な場合はピップエレキバンや貼る鍼を使いましょう。持続的に刺激を与えることで自律神経の過剰な変動を抑えてくれます。

 

③痛気持ちいい強さで押す

強く押しすぎると筋肉や神経が刺激されて痛みで逃避反射が起こって交感神経が刺激されます。ツボを5秒押した後に2〜3秒休むリセットタイムを作りましょう。これを3〜5セット行います。

ツボを押すときの注意点

①強い痛みを感じたら中止する

②効果がないときは違うツボを押す

ツボには合う合わないがあります。合わないツボをおしても全く効果がないため、色々試して効果があるツボを見つけましょう。

東洋医学的な動悸の考え方

動悸はあなたを守るサインと理解しましょう。動悸は不安にさせる症状でもありますが、実は体が助けてと伝えている大切なサインです。心臓がドキドキしているのは体が全力で状況に対応しようとしている証拠なのです。動悸そのものは体の正式な反応であることを理解し、自分の体が頑張っていると前向きに捉えましょう。

 

ツボ押しはあなたのペースで良いです。動悸に悩むと自分だけになぜ起こるのかと不安に思うかもしれませんが動悸を感じる人は少なくありません。

 

当院にもたくさんいらっしゃいますが、みなさん少しずつ改善して穏やかな日常を取り戻しています。焦らずに自分のペースで向き合うことが大事です。動悸は必ず改善します。日々小さな改善を目指して、やがて大きな変化を生むと考えましょう。

 

日常的にできる工夫は、リラックス時間を作る、深呼吸する、音楽を聴く、温かいお茶を飲むなどです。簡単なことに思えますが、自律神経を整えてくれる方法です。

 

また、質の良い睡眠をとりましょう。睡眠は副交感神経を整える最大の味方です。寝る前にスマホやテレビを控えて穏やかな環境を整えて寝ましょう。

 

自律神経を整えるポイントはご先祖様に感謝をすることです。感謝し祈りを捧げることで脳の大脳皮質が刺激されてセロトニンとメラトニンがたくさん放出されます。長い時間する必要はありません。ありがとうございましたと念じるだけでも十分効果があります。

 

脳過敏症からくる動悸は鍼灸ですぐに改善します。ただし、脳過敏症候群になってしまうと動悸に耳鳴りや不安障害も併発してしまいます。訳もわからず不安に駆られているためサプリメントや薬を大量飲んで夜寝れないという人が多いですが、鍼灸で改善しやすい症状です。是非ご相談ください。

放置すると命に関わる可能性がある不整脈

不整脈は放置しても問題がないものもあれば、放置すると命に関わる可能性があるものもあります。

 

不整脈によって失神したり意識が飛びそうになったりしている場合や脈が異常に速くなったり遅くなったりする場合は命に関わる可能性もあるためすぐに病院に行くことをお勧めします。

 

ただ、放置しても大きな問題にならない不整脈もあります。原因によって改善方法も異なるため、不整脈がある場合はきちんと調べることが大事です。

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