感音性難聴の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年   9月23日

更新日:2023年  11月14日

本日は感音性難聴について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 感音性難聴とは
  • 感音性難聴の原因
  • 感音性難聴の症状
  • 感音性難聴の改善方法
  • 感音性難聴のまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

感音性難聴は、内耳や中枢の神経系に障害があることで起こる難聴

感音性難聴は、内耳や内耳より奥の中枢の神経系に障害があることによって起こる難聴のことです。最も一般的な難聴で、特定の年齢以上になると、ほとんどの人がある程度の感音性難聴を感じます。

 

感音性難聴の特徴は、高音域の音を聞きとることが難しくなることや一度に複数の音を聞いた時特定一つの音を聞き分けることが難しくなることです。

 

感音性難聴には、急性のものと慢性のものがあります。慢性の場合の感音性難聴は、改善を行なっても回復することが難しい難聴です。

 

難聴では聴力を補うために補聴器を使うことが一般的ですが、慢性の感音性難聴の場合は補聴器を使っても聴力を補うことが難しいと言われています。

感音性難聴では、急性か慢性かによって原因が異なる

感音性難聴の原因は、加齢や病気、騒音など様々です。感音性難聴には急性のものと慢性のものがあります。急性は急激に起こる場合の感音性難聴で、慢性は少しずつ症状が進む感音性難聴です。

 

感音性難聴では、急性か慢性かによって原因が異なります。

 

急性の感音性難聴の主な原因は、突発性難聴やメニエール病や急性低音障害型感音難聴などの病気です。

 

慢性の感音性難聴の主な原因は、薬剤や騒音などです。加齢によって起こる難聴も慢性の感音性難聴の一つです。

 

さらに生まれつき感音性難聴であることもあります。

感音性難聴は、内耳や聴神経、またはそれらが情報を伝達する脳の部分の問題によって引き起こされる聴力の減少です。主な原因は以下の通りです。

 

加齢による変化(老化性難聴):加齢に伴う内耳の変化は、感音性難聴の一般的な原因です。

騒音への曝露(騒音性難聴):高音量の騒音に長期間曝露されることで、内耳の細胞が損傷を受けることがあります。

遺伝的要因:いくつかの感音性難聴は遺伝的に引き継がれることがあります。

耳の感染症:中耳炎や内耳炎などの感染症が内耳に影響を与えることがあります。

頭部の外傷:事故や外傷によって内耳や聴神経が損傷を受けることがあります。

特定の薬剤の使用(薬害性難聴):アミノグリコシド系抗生物質、一部の抗がん剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)など、耳に毒性のある薬剤が感音性難聴を引き起こすことがあります。

病気や病状:メニエール病、自己免疫の病気、多発性硬化症、腫瘍など、耳や聴神経に影響を与える病気が原因で発生することがあります。

突発性難聴:明確な原因が特定できない突然の聴力喪失のことです。ストレスやウイルス感染が関与している可能性があります。

 

これらの原因により引き起こされる感音性難聴は、改善の可否や方法が原因によって異なります。

感音性難聴は、複数の音の中の特定の音を聞き分けることが難しい

感音性難聴では、高音域の音を聞きとることが難しくなったり一度に複数の音を聞いた時特定一つの音を聞き分けることが難しくなったりします。高齢者に起きる耳が遠くなることなどの加齢によって起きる難聴も感音性難聴の一つです。

 

感音性難聴を発症する前にはある程度の兆候が見られます。

騒がしい部屋で聞き取りにくくなることや小さい音や高音などの特定の声が聞こえなくなること、テレビやラジオの音量を周りの人がうるさく感じるほどの音量にすること、耳鳴りなどです。

 

感音性難聴が起こると、難聴の症状だけでなく、周りの音が入ってこないため不安を大きく感じるようになったり一日の疲れが非常に大きくなったりすることもあります。

感音性難聴は内耳、聴神経、またはそれらが情報を伝達する脳の部分の問題によって引き起こされ、以下のような主な症状を伴います。

 

聴力低下:一般的に、高音域から聴力が低下し始めます。初期段階では、人の声や背景音が聞き取りにくくなることがあります。

言葉の理解困難:背景雑音の中での会話の理解が特に困難になることが一般的です。

耳鳴り(ティニタス):耳鳴りは感音性難聴の一般的な症状で、耳の中で鳴るような感覚を伴います。

音の歪みや異常な聴覚感覚:音が歪んで聞こえたり、以前は快適だった音量が不快に感じられたりすることがあります。

平衡感覚の問題:内耳は平衡感覚にも関与しているため、めまいやバランスを保つことが難しくなることがあります。

一方の耳での聴力低下:片耳だけに症状が現れることがあります。

音が遠く感じる:音が遠く、あるいはボリュームが下がったように感じられることがあります。

 

これらの症状は、感音性難聴の進行度や原因によって異なります。聴力低下や耳鳴りなどの症状が現れた場合は、速やかに耳鼻咽喉科の専門医に相談することが重要です。

急性の場合回復が期待できるが、慢性の場合は回復は期待できない

感音性難聴は、急性の場合は改善を行うことで回復が期待できますが慢性の場合は回復はできません。

 

慢性の感音性難聴の回復が難しいのは、今のところ、音を感じるために重要な内耳の有毛細胞が再生する能力を持っていないことや有毛細胞を再生させる方法が特にないためであると言われています。

 

回復が望めない感音難聴の症状が現れた場合は、できるだけ早く難聴リハビリテーションを行うことが大切です。

 

急性の場合は、主に薬を使って改善を行います。ステロイド薬や浸透圧利尿剤、血管循環改善薬などの薬を使って改善を行うことと同時に、生活習慣の改善も行います。

感音性難聴の改善法は、原因、症状の重症度、および個々の状況に基づいて異なります。以下に、主な方法を紹介します。

 

1. 聴力補助装置の使用

補聴器: 軽度から中等度の感音性難聴に対して、補聴器が広く用いられます。これは、聴力を増幅し、日常生活におけるコミュニケーションを支援します。

骨伝導補聴器: 骨伝導を利用して音を内耳に伝える補聴器も、特定のケースに適しています。

 

2. コクリアインプラント

重度の感音性難聴や全聾の場合、コクリアインプラントが有効な選択肢になることがあります。これは、外科手術によって内耳に直接電極を埋め込み、音を電気信号に変換して聴神経に刺激を与えるデバイスです。

 

3. 薬

原因によっては、ステロイドや血流改善薬などの薬が処方されることがあります。特に突発性難聴の場合、早期にステロイド改善を行うことが推奨される場合があります。

 

4. 手術

感音性難聴の原因が明確な場合(例:内耳の異常や腫瘍)、それに対する外科手術が必要な場合があります。

 

5. リハビリテーション

聴覚リハビリテーションや言語聴覚法を通じて、聴力の改善とコミュニケーションスキルの向上を図ります。

 

6. 生活習慣の改善

聴力保護、騒音露出の管理、健康的な生活習慣の維持など、日常生活において聴力を守るための措置が重要です。

 

7. カウンセリングとサポート

本人とその家族へのカウンセリングやサポートを提供し、感音性難聴がもたらす影響に対処します。

 

感音性難聴の改善は、原因となる病態に応じて異なるため、正確な判断と個別の計画が重要です。また、早期に判断し改善を始めることが聴力回復の可能性を高めることがあります。

感音性難聴の改善において薬での改善が使用される場合、その選択は難聴の原因、症状の重症度、および患者の全体的な健康状態に基づいています。以下に、感音性難聴の改善に用いられる可能性のある薬剤とその効果を説明します。

 

1. ステロイド(副腎皮質ステロイド)

例: プレドニゾン、デキサメタゾン

効果: ステロイドは強力な抗炎症作用を持ち、内耳の炎症を減少させることで聴力の改善を助ける可能性があります。特に突発性難聴の初期段階での改善に用いられることが多いです。

 

2. 血流改善薬

例: ペンタキシフィリン(トレンタール)

効果: 内耳への血流を改善し、酸素と栄養素の供給を促進することで、耳の回復を助ける可能性があります。

 

3. 抗ウイルス薬

例: アシクロビル、バラシクロビル

効果: ウイルス感染が原因と考えられる場合に使用され、ウイルスの増殖を抑えることで感音性難聴の改善に役立つ可能性があります。

 

4. 抗酸化剤

例: ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン

効果: 酸化ストレスによる細胞損傷の軽減を助けることで、内耳の保護と聴力の回復をサポートする可能性があります。

 

薬による改善の効果は個人によって異なり、すべての感音性難聴に効果的であるとは限りません。副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って使用することが重要です。

聴力が残っている場合は、悪化しないようにすることが大切

難聴はそのまま放っておくと、抑うつ状態になったり子供の場合は学習障害が起こったりすることもあります。

 

慢性の感音性難聴が起こった場合でも、聴力が残っている場合には、補聴器や人工中耳を使って悪化しないようにすることが大切です。

 

また、少しでも気になる症状がある場合はできるだけ早く病院に行くことをお勧めします。

感音性難聴に効果的なツボ

聴宮

翳風

完骨

耳門

聴宮

聴宮の聴は聴覚という意味で、聴宮の宮は要所という意味です。聴宮の効果は、耳鳴りや難聴です。音が聞こえにくいときや声が聞こえにくいときなどに刺激をすると良いと言われています。

 

そのため、感音性難聴の改善にも効果が期待できるのです。耳鳴りや難聴だけではなく、顎関節症や疲れ目などにもよく使われます。

翳風

翳風は、めまいや耳の不調に効果的なツボです。そのため、感音性難聴の改善にも効果が期待できます。

 

さらに、翳風は首の筋肉や肩の筋肉とも深く関わっています。そのため、刺激をすることで首こりや肩こりを改善する効果もあります。

完骨

完骨は、神経の興奮を抑える効果があります。そのため、頭痛や不眠症に効果的であると言われているツボです。さらにツボのある場所が、耳の近くであることからめまいや耳鳴りにも効果を発揮します。

 

後頭部の神経と深い関わりがあり、筋肉の緊張を和らげる作用があるため、他にも首こりや顔のむくみ、頸部筋肉痛や顔面神経麻痺、肩こりなどの改善に使われています。

聴宮

聴宮の場所は、耳の穴の前方にある三角形の形をした小さな突起物に手を当てて、軽く口を開けたときにできるへこみです。

 

押すときは人差し指でゆっくり回すように押します。聴宮を押すとき、一緒に翳風も押すとより効果が期待できます。

 

聴宮は、美容鍼でもよく使われるツボです。

翳風

翳風は、耳たぶの後ろの方にあるくぼみにあるツボです。

 

指で押すことも効果的ですが、ツボを刺激できるシールを日常的にツボに貼っておくと症状の予防にも役立つためお勧めです。

 

お灸を行うと耳が熱くなり熱の刺激で目眩や頭痛を引き起こしてしまう可能性があるためお灸はおすすめではありません。

完骨

完骨は、耳のすぐ後ろにある出っ張った骨の膨らみの下の後ろ側にあります。

 

押す前に、手をあたためておくとより効果が期待できます。しっかりと呼吸をしながら、痛気持ちいいと感じるくらいの力で押しましょう。

おすすめ記事