ゾリンジャー・エリソン症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年 5月 2日

更新日:2025年 8月 7日

本日はゾリンジャー・エリソン症候群について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • ゾリンジャー・エリソン症候群とは
  • ゾリンジャー・エリソン症候群の原因
  • ゾリンジャー・エリソン症候群の症状
  • ゾリンジャー・エリソン症候群の改善方法
  • ゾリンジャー・エリソン症候群のまとめ
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銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

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ゾリンジャー・エリソン症候群でできる腫瘍は、ガストリノーマ

ゾリンジャー・エリソン症候群は、腫瘍ができることによって、胃酸が過剰に分泌され、進むスピードが早くなかなか改善しない消化性潰瘍が起きる病気です。

 

ゾリンジャー・エリソン症候群でできる腫瘍は、ガストリノーマと呼ばれ、通常、膵臓や十二指腸壁に発生するガストリンが作る腫瘍です。

 

ゾリンジャー・エリソン症候群を判断する時には、血清ガストリン濃度を測って判断します。

原因はガストリノーマが分泌する過剰なガストリン

ゾリンジャー・エリソン症候群の原因はガストリノーマという腫瘍が分泌する過剰なガストリンです。

 

ガストリノーマガストリンを作っている膵臓の細胞から発生する腫瘍で、膵内分泌腫瘍の一種です。

 

ガストリノーマが発生している人のほとんどは、膵臓や十二指腸の内部やその周りに数個の腫瘍が群がってできているということがわかっています。

 

場合によっては、遺伝生の病気である多発性内分泌腫瘍症という病気の一部としてガストリノーマが発生するケースもあります。その場合は、色々な内分泌腺の細胞から腫瘍が発生します。

主な原因

ZESは、胃酸産生を担う細胞である胃酸分泌細胞に生じた腫瘍によって引き起こされます。この腫瘍は、主に胃の中にあるランゲルハンス細胞腫瘍と呼ばれるもので、胃酸を過剰に産生することがあります。

 

この腫瘍は、胃酸産生を刺激するホルモンであるガストリンを過剰に分泌することがあります。ガストリンは、胃や小腸の一部で産生され、胃酸分泌を促進する働きがあります。ZESでは、腫瘍が過剰にガストリンを分泌するため、胃酸が過剰に産生されることになります。

 

ZESの原因となる胃酸分泌細胞腫瘍は、一般的には良性のものが多いですが、稀に悪性化することもあります。また、ZESは遺伝的な要因も関与していることが知られており、一部では遺伝子変異が原因で腫瘍が発生することがあります。

25〜40%の人では、症状の最初の段階では下痢が現れる

ゾリンジャー・エリソン症候群の症状は、胃や十二指腸、腸のなどの部位に現れる活動性の消化性潰瘍の症状です。活動性の消化性潰瘍の症状では、痛みや出血などがみられます。

 

25〜40%の人では、症状の最初の段階では下痢が現れることがあり、半分以上の人は、通常の消化性潰瘍と同じくらいの症状しか現れません。

 

しかし、ゾリンジャー・エリソン症候群では、場合によって、腸の破裂や閉塞、多くの出血が起こることもあり、その場合は、命に危険が及ぶこともあります。

 

このような症状は、ガストリノーマが分泌する過剰なガストリンによって起こります。しかし、ゾリンジャー・エリソン症候群の25%の人は、ゾリンジャー・エリソン症候群であるとわかった時にはまだ潰瘍がみられないこともあります。

主な症状

・腹痛

腫瘍による胃酸の過剰分泌によって胃や十二指腸が刺激され、腹痛を感じることがあります。腹痛は、しばしば胃食道逆流症状や消化不良とともに現れます。

 

・下痢

胃酸の過剰分泌によって、十二指腸や小腸の中で食物が過剰に分解され、下痢を引き起こすことがあります。

 

・消化不良

胃酸の過剰分泌によって、食物が胃で十分に消化されないため、消化不良を引き起こすことがあります。

 

・吐き気や嘔吐

胃酸の過剰分泌によって、胃や十二指腸が刺激されるため、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。

 

・脱力感や倦怠感

胃酸の過剰分泌によって、体内のカルシウムが過剰に排出されるため、脱力感や倦怠感を感じることがあります。

 

・骨粗鬆症

胃酸の過剰分泌によって、カルシウムが過剰に排出され、骨粗鬆症を引き起こすことがあります。

 

・腫瘍の症状

腫瘍が原因で生じる症状を経験することがあります。例えば、腹部にしこりや腫れが生じたり、体重減少が生じたりすることがあります。

改善方法は、胃酸の量を減らす方法や手術、化学的な方法など

ゾリンジャー・エリソン症候群の改善方法は、胃酸の量を減らす方法や手術、化学的な方法などです。

 

胃酸の量を減らすためには、プロトンポンプ阻害薬を使います。プロトンポンプ阻害薬では、胃酸の濃度を下げることで、一時的に症状を和らげる効果が期待できます。十分な効果が見られない場合、オクトレオチドの注射を行うこともあります。

 

腫瘍が1つしかなく、多発性内分泌腫瘍症ではない場合は、手術を行います。手術によってガストリノーマを切りとることで改善が期待できるのです。

 

ガストリノーマを切り取る手術でも改善が見られない場合は、胃を完全に切除する手術を行うこともあります。

主な改善方法

・腫瘍摘出手術

ZESの原因となる腫瘍は、通常は膵臓の中にあるものであり、摘出手術によって除去されます。手術は、腫瘍の位置や大きさに応じて、膵臓全体の摘出や部分摘出など、様々な方法があります。腫瘍が小さい場合は、内視鏡的手術で除去することも可能です。

 

・酸分泌抑制剤の投与

ZESでは、腫瘍が分泌するガストリンによって胃酸分泌が亢進し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすことがあります。このため、胃酸分泌を抑制する薬剤が使用されます。

 

・一般的に使用される酸分泌抑制剤には、プロトンポンプ阻害剤(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗剤があります。PPIは、胃酸分泌を抑制する効果が高く、通常は1日1回の投与で効果が得られます。一方、H2受容体拮抗剤は、胃酸分泌を抑制する効果がPPIよりも弱く、2回~3回の投与が必要です。

 

・ゾリンジャー・エリソン症候群に関連する合併症の改善

ZESは、胃酸過多によって胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすことがあります。また、膵臓の腫瘍によって、膵炎や肝臓への転移などの合併症が発生する場合もあります。これらの合併症に対しても、それぞれ適切な改善が行われます。

 

・食事

酸分泌抑制剤や手術によって腫瘍を摘出することで、胃酸過多の症状を改善できますが、腫瘍が再発する可能性があるため、定期的な経過観察が必要です。また、手術ができない場合や手術後の胃酸分泌が十分に抑制できない場合は、酸分泌抑制剤を継続的に投与することが必要です。

 

・薬

胃酸過多によって引き起こされる胃潰瘍や十二指腸潰瘍には、胃酸分泌を抑制する薬剤が使用されます。また、潰瘍が深くなって出血や穿孔を起こす場合は、内視鏡的な処置や外科手術が必要な場合があります。

ゾリンジャー・エリソン症候群は悪性の場合もある

ゾリンジャー・エリソン症候群を発症している約半分の人は悪性です。そのため、リンパ節転移や肝転移を起こすこともあります。

 

ゾリンジャー・エリソン症候群は、胸焼けや下痢などの他の病気でも起こり得る症状が現れる病気のため、自分で判断することは難しいです。しかし、ゾリンジャー・エリソン症候群は悪性の場合もある怖い病気なのです。

 

そのため、定期的に胃カメラを受けたりして調べることを心がけ、発症した場合は、早めに改善に取り組むことが大事です。

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