公開日:2019年 12月23日
更新日:2021年 5月 15日
本日は甲状腺機能低下症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
「甲状腺機能低下症」とは、血中の甲状腺ホルモンの作用が必要よりも低下している状態のことをいいます。
甲状腺は喉仏の下にある臓器で、丁度蝶が羽根を広げたような形をしております。ここから甲状腺ホルモンを産生しており、このホルモンは心臓や肝臓、腎臓そして脳などに血液の流れに乗って運ばれ、身体の新陳代謝を促しています。
甲状腺ホルモンが少なくなると、代謝が落ち様々な症状が出てきます。甲状腺ホルモンは脳の下垂体より分泌される、「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」によって調整されています。
甲状腺機能低下症の所見には、一般的に、無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などがあります。
そのため軽度の場合、単に疲れから誘発しているものと見過ごしがちなことが多いです。症状が重くなってくると、傾眠、そして意識障害をきたし、粘液水腫性昏睡を引き起こします。
粘液水腫性昏睡とは、甲状腺機能低下症に際しておこる合併症で、けいれんなどの神経症状、低体温による意識障害や二酸化炭素の貯留を伴う呼吸抑制が特徴です。
甲状腺機能低下症は、月経不順や不妊、流早産や妊娠高血圧症候群など、胎児や乳児あるいは小児期の成長や発達の遅れを引き起こす場合もあります。
甲状腺ホルモンは、身体の新陳代謝の調節以外に、妊娠成立・維持、子供の成長や発達に重要なホルモンなので、上記に当てはまる症状がある場合、早目に病院に行くことをお勧めいたします。
血液中の甲状腺ホルモンが不足すると、新陳代謝をうまく行えなくなるので、元気がなくなり、疲れやすくなります。
身体は常に寒さを感じ、皮膚は乾燥してカサカサしてきます。喉もかすれ、声も嗄れてきます。便秘がちになり、顔はむくみ、体重は増加します。動作は遅く、物忘れが多くなり、一日中眠気を感じるようになります。
一方で、血液中の甲状腺ホルモンが過剰になった場合、逆に暑がりで汗かきになります。脈は速く、強い動悸を感じ、手や指が小刻みに震え、食欲は旺盛なのに体重は減少します。
イライラし、気ばかり焦って、体が疲れやすく、ついて行けません。筋力の低下も引き起こし、ひどいときには立てなくなります。これを「甲状腺機能亢進症」、または、「甲状腺中毒症」といいます。
甲状腺機能は過剰になっても、低下しても体に異常をきたします。
この症状の改善には、甲状腺ホルモンである合成T4製剤(チラーヂン®S)を使います。成人の合成T4製剤の内服維持量は100~150µg/日ですが、通常始めは少量から開始し、徐々に増していくので、維持量に達するのには数か月かかります。
また、複数の薬と同時に使う場合、以下の3つの点に注意を要します。特に、高齢者・冠動脈疾患・不整脈のある人では慎重に開始する必要があります。
・抗痙攣薬や抗結核薬と併用している場合、増量が必要な可能性もあります。
・鉄剤、亜鉛含有胃潰瘍薬、アルミニウム含有制酸剤などを同時に服用している場合、それらは甲状腺ホルモン製剤の吸収を阻害するので、間隔をあけて下さい。
・妊娠中は、甲状腺機能低下症を急速に改善する必要があるので、内服量を100~150µg/日で開始します。
最もよくみられる原発性甲状腺機能低下症では、短期的な甲状腺機能低下症か慢性的な甲状腺機能低下症かを見極めて改善を行う必要があります。
出産後の自己免疫性甲状腺症候群を含めた無痛性甲状腺炎、 亜急性甲状腺炎 の回復期の場合には様々な程度の甲状腺機能低下症を示すことがあります。そのような場合、短期的な軽度の甲状腺機能低下症なので改善の必要がありません。
症状があって改善を行う際でも、一過性の可能性のある場合は、薬の量を徐々に減らしながら中止します。
甲状腺ホルモン値は正常範囲内なのに、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値の際は、「潜在性甲状腺機能低下症」と言います。
潜在性甲状腺機能低下症は、日本での調査では健康な人の4~20%にみとめられるといわれており、特に年齢が上がるにつれ女性に多く増加します。
改善すべきかどうかについて、未だに議論が多いですが、TSH値の高値が続く場合や、妊娠を前提とした場合や妊婦に対しては合成T4製剤を開始します。
初期には薬などで改善します。
基本的には保険適応です。手術の場合5万円程度・アイソトープによる改善の場合も10万円程度・抗甲状腺薬には5万円程度かかります。
記載している自覚症状は、決して全ての方に当てはまるというものではなく、中には他の病気と誤って認識していたり、原因がわからず多くの他の科にかかっている方もいます。
それぞれの症状も甲状腺が腫れるということ以外は甲状腺に特有というものではありません。
例えば、高コレステロール値を下げることだけに目が向けられている場合があります。 かかりつけの病院で甲状腺ホルモンを測ってもらえば、甲状腺の病気であるかどうかが簡単にわかる可能性もあります。
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