公開日:2021年 6月 3日
更新日:2025年 8月18日
本日は副腎皮質刺激ホルモン不応症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
副腎皮質ホルモン不応症の原因はいろいろあります。
MC2R遺伝子の異常や、MC2R遺伝子の働きを助けている蛋白の異常などが原因であると考えられていますが、この2つが原因となることは副腎皮質ホルモン不応症の全体の半分以下です。
最近では、ミトコンドリアの抗酸化系酵素であるNNTやTXNRD2の異常によっても起きると言われており、原因となることはたくさんあると言われています。
・受容体レベルの異常
副腎皮質ホルモンは、細胞内のグルココルチコイド受容体に結合して働きます。不応症では、この受容体に問題があることが多いです。
・シグナル伝達異常
受容体がホルモンを認識できても、その後の細胞内の転写シグナルに異常があれば作用は発揮されません。
・ホルモン代謝の異常
ホルモンが作用する前に分解されたり、逆に不活性型に変換されることで効かない状態が生じます。
・炎症や免疫による獲得性抵抗
自己免疫の病気や慢性感染、アレルギーなどの場合は、炎症性サイトカインがGRの働きを阻害します。
新生児期に発症した場合の副腎皮質刺激ホルモンの症状は、嘔吐や哺乳不良、痙攣、新生児黄疸です。
乳幼児期に発症した場合、低血糖による痙攣や意識障害が起こることがきっかけで発症がわかることが多いです。感染症がきっかけとなることもあります。
ACTHが過剰になることで起こる皮膚色素沈着は生まれてから1ヶ月ほど経つと少しずつ目立つようになっていきます。
・ステロイドが効かないことで起こる症状
本来、副腎皮質ホルモンは炎症を抑えるブレーキとして働きます。ところが不応症では、このブレーキが効かないために炎症がおさまらず、気管支ぜんそくでは咳や息苦しさが続く、アレルギーや膠原病では関節の痛みや腫れが持続する、感染や炎症が重症化しやすい、肺炎や皮膚炎が長引くなどが見られます。
・コルチゾールの作用不足による症状
副腎皮質ホルモンには血圧を保つ、血糖を安定させるといった生命維持の役割もあります。それが効かないため、全身倦怠感、低血圧による立ちくらみ、低血糖症状、冷や汗、ふらつき、動悸などが見られます。
・病気による症状の悪化
ステロイドが効かないため、病気そのものが悪化しやすくなります。
副腎皮質ホルモン不応症を改善するためには、グルココルチコイドを補充することが多いです。
急性副腎不全を起こしてしまった場合は、できるだけ早くグルココルチコイドを補充し、水分と糖分を補給することが大事です。改善を行うまで時間がかかってしまうと、命が危険になることもあります。
改善がスムーズに進み始めてからも、発熱などストレスがかかった時には副腎不全を起こす可能性があります。そのため、ストレスが強くかかった時にはグルココルチコイドの量を2~3倍に増やすことが必要になります。
・原因をできるだけ特定する
遺伝子変異の場合、根本の改善は難しいですが、抵抗性の理解に役立ちます。
炎症やサイトカインによる獲得性抵抗の場合、IL-6, TNF-αなどの炎症性サイトカインを抑える方法が有効です。
・薬の工夫
ステロイドの種類や投与方法を変えたり、免疫抑制薬や分子標的薬の併用するなどの空を押します。
・生活習慣、環境の改善
禁煙や感染予防、ストレスや睡眠改善、抗酸化作用のある食事なども重要です。
・野菜や果物を多めに摂取する
抗酸化成分(ビタミンC・E、ポリフェノール)が炎症を和らげます。
・魚を意識して摂取する
サーモン、サバ、イワシなどに含まれるEPA、DHAは炎症を抑える作用があります。
・減塩を心がける
塩分が多いと血圧が不安定になりやすく、体に負担がかかります。
・加工食品を減らす
ハムやソーセージ、スナック菓子は炎症を悪化させることがあります。
急性副腎不全を起こしてしまうと、生涯ずっとグルココルチコイドを補充することが必要になります。
場合によっては量を増やしたりすることが必要になることもあるため、医師と相談して、グルココチコイドと上手に付き合いながら日常生活を送りましょう。