公開日:2021年 8月23日
更新日:2024年 12月 2日
本日は小児難聴について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
小児難聴には、先天的な場合と成長の過程で起こる場合があります。先天的な難聴の原因は遺伝や妊娠中の感染、早産、奇形などです。最近の研究では、先天的に起きる小児難聴の9割近くは遺伝が原因であると考えられています。
ただし、難聴が起こるか起こらないかは、両親の遺伝子の組み合わせによって決まるため両親に難聴がない場合がほとんどです。
成長の過程で起こる難聴の原因ので多いものは、中耳炎です。中耳に膿がたまる急性中耳炎で難聴が起きた場合は一時的な難聴ですが、中耳に液体がたまる滲出性中耳炎で難聴が起きた場合は症状が軽くても長い期間続くことがあるのです。
ウイルスや髄膜炎が原因で内耳に障害が起き、難聴を引き起こすこともあります。就学した後に難聴が起きた場合は、心の問題が原因の心因性の難聴の場合もあります。
・遺伝的要因
小児難聴の約50%は遺伝的要因に関連しています。GJB2遺伝子の変異が最も一般的です。
・先天性の原因
妊娠中に母親が感染することで、胎児に影響を与え発症することがあります。出産時の体重が低い、または妊娠37週未満で出生した場合、聴覚器官の発達が不十分である可能性が高まります。分娩時の低酸素状態、高ビリルビン血症などが影響を与える場合もあります。
・後天性の原因
髄膜炎やおたふくかぜ、中耳炎など子どもが発症する感染症の中には、聴力に影響を及ぼすものがあります。
頭部外傷や内耳の損傷、騒音性難聴、薬剤性難聴なども原因になることがあります。
・構造的異常
外耳道閉鎖症や中耳の奇形が伝音性難聴を引き起こします。
・栄養不足
妊娠中や出生後のビタミンA、亜鉛、鉄などの欠乏などの栄養不足が耳の発達に影響を与える場合があります。
・自己免疫性疾患
自己免疫が内耳を攻撃することによって難聴を引き起こすことがあります。
・環境要因
乳幼児期に適切な音響刺激が得られない場合、聴覚発達が妨げられることがあります。
小児難聴では、言葉が遅い、視線が合わない、話しかけても答えがないという症状が現れます。
大きな音に驚かなかったり、音や声のする方を向かなくなったり、何かを訴えるときに声を発するのではなくジャスチャーを行なっていたりする場合は、小児難聴の可能性があります。
さらに、単語を喋らない、声が極端に大きかったり小さかったりする、何度も繰り返し聞き返すなどの症状がある場合も小児難聴の可能性があるため注意が必要です。
・音への反応の欠如
名前を呼んでも振り向かない。
大きな音や突然の音に驚かない。
・泣き声や声の出し方が異常
泣き声が小さく、抑揚が乏しい。
ばぶばぶ、まままなどが少ない、または発声が見られない。
・周囲の音への興味が薄い
音のする方向を探す仕草がない。
おもちゃの音や周囲の環境音に反応しない。
・言語発達の遅れ
1歳を過ぎても単語を発しない。
言葉の発達が同年齢の子どもと比較して遅れている。
短い単語や不明瞭な発音が多く、言語能力が年齢に応じて発達しない。
・コミュニケーションの困難
他者と目を合わせたり、ジェスチャーでの意思表示を多用。
指さしなどで要求を伝えようとするが、言葉での表現が乏しい。
・集中力や注意力の欠如
音に反応しないため、周囲の出来事に興味が持てない。
名前を呼んでも気づかないことが多い。
・会話の困難
質問に対して不適切な回答をする。
声が大きすぎたり、小さすぎたりする(自己モニタリングが困難)。
他人の話を聞き取れないため、会話のテンポについていけない。
・学習能力への影響
指示を聞き取れないため、指導内容を理解できない。
集団活動に参加しづらく、学習の遅れが生じる。
語彙が乏しい、文法が不正確などの特徴がある。
・注意力の問題
他人が話しているときに集中できない。
聴覚情報をもとにした活動が困難。
小児難聴の改善方法は、薬や手術です。中耳炎などが原因の場合は、薬や手術で聴力が改善することもあります。
先天的な場合などで薬や手術でも改善が難しい場合は、補聴器を使うことがすすめられます。強う難聴があり、補聴器でも聴力を十分に補うことができない場合は、人工内耳が必要になることもあります。
・補聴器
言語発達を支援し、音声コミュニケーションを可能にします。定期的な調整とメンテナンスが必要です。
・人工内耳
電極を内耳に埋め込み、音を電気信号に変換して聴神経に直接伝える方法です。手術が必要で、言語習得の可能性を大きく高めます。
・外科的方法
鼓膜形成術や耳小骨形成術、外耳道形成術などがあります。
・抗生物質
細菌性中耳炎、外耳炎、髄膜炎など、感染症が原因で難聴が引き起こされている場合。代表的な薬はアモキシシリン、セフォタキシム、セフトリアキソンなど。
・抗ウイルス薬
サイトメガロウイルス感染などのウイルス性の病気が原因の場合。代表的な薬はガンシクロビル。
・ステロイド薬
急性の感音性難聴や、炎症による難聴の悪化が懸念される場合。代表的な薬はプレドニゾロン、デキサメタゾン。
・抗ヒスタミン薬
アレルギー性鼻炎や中耳炎が関与している場合。代表的な薬はロラタジン、フェキソフェナジン。
・抗酸化薬
シスプラチンなどのオトトキシック薬剤を使用する際、難聴予防を目的とする。代表的な薬はN-アセチルシステイン。
小児難聴の症状が現れた場合は、すぐに耳鼻科に行くことをおすすめします。早いスピードで成長しており、色々な機能を発達させている年齢の時に、長い期間聞こえないということは、言葉の遅れなど成長の遅れにつながります。
補聴器を使う場合も、専門的な先生から指導を受けることで、平均的な言語発達を得られる可能性は十分にあります。できるだけ環境を整えてあげることも大事なのです。