公開日:2021年 11月23日
更新日:2021年 12月 8日
本日は、遺伝性鉄芽球性貧血について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
遺伝性鉄芽性貧血の原因は遺伝です。遺伝性鉄芽性貧血の中でも1番多く起こっているX連鎖性鉄芽球性貧血の原因は、ALAS2遺伝子の変異です。
ALAS2遺伝子は赤血球でヘモグロビンを構成しているヘムを合成するために重要な遺伝子です。そのため、変異があるとヘモグロビンができなくなり貧血が起きるのです。
原因として関係している遺伝子はALAS2遺伝子だけではありません。赤血球でヘムや鉄の代謝に関わっている遺伝子に変異が起こることも遺伝性鉄芽性貧血の発症の原因になっていると考えられています。
遺伝子の異常
遺伝性鉄芽球性貧血の主な原因は、特定の遺伝子変異に起因します。これにより、ミトコンドリアの鉄硫黄クラスターの組み立てに関与する酵素の異常が引き起こされることが多いです。
a. ALAS2遺伝子の変異
この遺伝子は、ヘムの生合成に必要な酵素をコードしています。変異によって、酵素の活性が低下し、ヘムの生産が減少します。
b. 他の遺伝子変異
ALAS2以外にも、遺伝性鉄芽球性貧血に関連する他の遺伝子変異が報告されており、それぞれが異なる生化学的経路を障害することが知られています。
ミトコンドリアの機能障害
ヘムの合成における異常は、ミトコンドリアの機能障害につながります。ミトコンドリアは、細胞のエネルギー生産の中心であり、鉄と硫黄の正常な代謝が必要です。遺伝子の異常により、ミトコンドリアの機能が損なわれると、細胞内の鉄の代謝が乱れ、鉄芽球の形成が引き起こされます。
遺伝的伝達のメカニズム
遺伝性鉄芽球性貧血は主にX染色体連鎖劣性遺伝の形をとります。したがって、母親から息子に対して病気が伝えられることが一般的です。女性は通常キャリアとなり、病気を発症することは少ないです。
遺伝性鉄芽性貧血の症状は、貧血によって起こる動悸やめまい、疲れやすさなどです。体に長い間上手に利用されなかった鉄がたまることで肝障害や糖尿病、心不全などが起こることもあります。
貧血が長い期間続く場合や貧血の程度が重く赤血球輸血が必要な場合は、鉄が過剰になることによって起こる肝障害や糖尿病、心不全などの症状は少しずつ進んでいきます。
1. 貧血の症状
鉄芽球性貧血は、骨髄に鉄が正常に利用されず、ヘモグロビンの合成が障害されるため、以下の貧血に関連する症状が起こります。
a. 疲労感
赤血球の減少により酸素の運搬が不足すると、慢性的な疲労や倦怠感が現れることが多いです。
b. 息切れ
軽い運動でも息切れを感じることがあります。酸素の供給が不足するために呼吸が早くなるためです。
c. 顔面蒼白
赤血球の減少により、皮膚や粘膜が蒼白になることがある。
2. 鉄過剰の症状
鉄芽球性貧血では、骨髄の赤血球前駆細胞に鉄が過剰に蓄積されるため、体内の鉄の代謝が乱れることがある。これにより以下の症状が出現することがある。
a. 肝臓の障害
鉄の蓄積により、肝臓の機能障害が起こることがあります。肝臓は体内の鉄の貯蔵庫であり、鉄の過剰は肝細胞にダメージを与える可能性があります。
b. 心臓の障害
鉄の過剰が心臓に蓄積すると、心筋障害や心不全の原因となることがある。
3. 特有の症状
遺伝性鉄芽球性貧血の一部のタイプには、特有の症状が現れることがある。例えば、特定の遺伝子変異によって、他の臓器に影響を及ぼすことがある。
a. 神経障害
ある種の鉄芽球性貧血では、末梢神経障害が見られることがあります。これは、手足のしびれや感覚の喪失として現れることがある。
b. 他の組織・器官への影響
特定の遺伝子変異によっては、肝臓、腎臓、心臓など、他の組織や器官への影響が見られる場合がある。
4. 進行と重症度
遺伝性鉄芽球性貧血の症状は、個人差があり、進行の速さや重症度も異なります。
X連鎖性の鉄芽球性貧血の場合の改善方法は、ビタミンB6を大量に投与することです。ビタミンB6はALAS2の働きに重要なため、大量に投与することでX連鎖性鉄芽球性貧血を発症している約半分の人に効果が見られています。
長い期間貧血が続く場合は過剰な鉄を取り除くことも必要です。
1. 症状に対する対処
遺伝性鉄芽球性貧血の改善の第一段階は通常、症状の管理です。
a. 鉄剤の制限
鉄の過剰蓄積を避けるため、鉄補給剤の使用を制限することが重要です。
b. 輸血
重度の貧血の場合、赤血球の輸血が必要となることがあります。これにより、酸素運搬能力の改善を図ります。
2. 薬
a. ビタミンB6補給
一部の鉄芽球性貧血のタイプは、ビタミンB6に対して応答することが知られています。この場合、ビタミンB6のサプリメントが投与され、多くの場合効果を示します。
b. 鉄過剰の改善
鉄過剰に対するキレート法は、体内の鉄の過剰を排泄するための方法です。キレート剤は鉄と結合し、尿や便と共に体外に排泄されます。
3. 骨髄移植
一部の重篤な鉄芽球性貧血の場合、骨髄移植が最善の改善オプションとなることがあります。適切なドナーを見つけるプロセスは複雑であり、移植自体もリスクを伴いますが、成功した場合には根本的な改善が期待できます。
4. 生活習慣の改善
鉄の過剰摂取を避け、健康的な食生活を心がけることも、改善の一部となります。患者の全体的な健康状態を向上させるための重要なステップです。
5. 個別化された改善計画
遺伝性鉄芽球性貧血の治療は、人によって異なるため、個別化されたアプローチが必要です。遺伝的なテストや他の手段によって特定された特有の変異に基づいて、計画が作成されることが多いです。
遺伝性鉄芽球性貧血の中でも、ビタミンB6に対して応答するタイプが存在します。ここでは、この関係性について詳しく説明します。
1. ビタミンB6の役割
ビタミンB6は、多くの酵素反応において補酵素として働く水溶性ビタミンで、アミノ酸代謝などに重要な役割を果たします。鉄芽球性貧血のうち、ビタミンB6に依存するタイプは、一部の酵素反応に障害があるために起こります。
2. ALAS2酵素との関連
鉄芽球性貧血とビタミンB6との関連は、特にアミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)という酵素に関係しています。この酵素は、赤血球のヘモグロビン生成の最初の段階を触媒し、ビタミンB6を補酵素として使用します。
3. 遺伝子変異とビタミンB6応答性鉄芽球性貧血
遺伝性鉄芽球性貧血の中で、特にX染色体上のALAS2遺伝子に変異が見られるタイプが、ビタミンB6に応答するタイプとして知られています。この変異により、ALAS2酵素の活性が低下し、ヘモグロビンの生成が阻害されるため、貧血が引き起こされます。
4. ビタミンB6補給法
このタイプの遺伝性鉄芽球性貧血においては、ビタミンB6の補給が効果的な治法とされることが多いです。ビタミンB6の投与によって、ALAS2酵素の活性が向上し、ヘモグロビンの正常な生成が再開される場合があるためです。
5. 個別の対応が必要
ビタミンB6応答性の鉄芽球性貧血の判断と改善は専門的な知識と技術を要します。すべての人においてビタミンB6補給が効果を示すわけではないため、遺伝的なテストと慎重な評価が不可欠です。
遺伝性鉄芽球性貧血では、日常生活を送る上で特別に注意が必要なことはありません。
しかし、貧血が起こることによって様々な症状が現れたり、鉄が過剰になったり、合併症が起こったりするため、定期的に病院に行くことが大事です。
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