公開日:2022年 4月 2日
更新日:2022年 4月 7日
本日は総排泄腔外反症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
総排泄腔外反症は、本来体の中にあるはずの膀胱と回盲部腸管が体の外に外反する病気です。これは、胎児期の早期に下腹壁と総排泄腔が作られる過程で障害が起きることで発生すると言われています。
膀胱と回盲部腸管が体の外に外反するため、粘膜は下腹壁に露出します。
露出した粘膜の中心部は回盲部にあたる腸管です。総排泄腔の前半部分は膀胱と尿道になり、後半部分は腸管になります。そのため、外反した総排泄腔の中心部は腸管になるのです。
露出した粘膜の中心部には左右に2つに別れた膀胱があり、露出した腸管の下方から短い大腸が外に出ます。
露出した膀胱と腸管の頭側では臍帯ヘルニアが起こります。会陰部には低形成の外性器が2つに分かれて存在することになります。
胎児期の早期の下腹壁と総排泄腔が作られる時期は、脳脊髄神経となる神経管が閉鎖する時期でもあります。そのため、障害が起きる部分が腹壁だけでなく神経管が作られる部分にも障害が起きることがあります。
その場合、脊髄髄膜瘤などの神経管閉鎖不全症を合わせて発症することもあります。
総排泄腔外反症の原因はわかっていません。
直腸と肛門の発達と分化に関係している蛋白質やその蛋白質の細胞内伝達に関係する蛋白質がありますが、総排泄腔外反症を発症している人にその蛋白をコードする遺伝子の異常は今のところ見つかっていません。
また、泌尿器の発達に関係している遺伝子にも総排泄腔外反症を発症している人に異常は見つかっていません。
現時点では、染色体9番長腕とY染色体長腕との不均衡な転座がある例と妊娠しているとき長い期間にわたって精神安定剤を使っていた母親から発症した例の報告はありますが、詳しくはわかっていません。
総排泄腔外反症は、骨盤底部の筋肉や結合組織の弱体化によって引き起こされます。骨盤底部は、膀胱、直腸、子宮などの腹部内臓を支え、尿道や肛門をコントロールする重要な筋肉と結合組織で構成されています。骨盤底部の筋肉や結合組織が弱くなると、腹部内臓が下垂してしまい、尿失禁や便失禁、膀胱炎、腹痛などの症状を引き起こす可能性があります。
骨盤底部の筋肉や結合組織の弱体化は、様々な要因によって引き起こされます。加齢による筋力低下や筋肉の萎縮、妊娠や出産による骨盤底部の損傷、肥満や運動不足、慢性的な下痢や便秘、喫煙、過度な力のかかる運動、子宮摘出手術などが原因として挙げられます。
女性では、妊娠や出産が総排泄腔外反症の主な原因となることが多いです。妊娠中、胎児の成長に伴い、子宮や膀胱が拡大し、骨盤底部の筋肉や結合組織に大きな負担がかかります。また、出産によって骨盤底部の筋肉や結合組織が損傷することがあります。出産後は、骨盤底部の筋肉や結合組織が回復することが多いですが、何度も出産を経験した場合や、出産時に大きな損傷を受けた場合は、総排泄腔外反症を発症するリスクが高くなります。
男性では、前立腺癌手術に伴う神経や血管の損傷、膀胱や直腸の手術などが原因となり、総排泄腔外反症を引き起こすことがあります。
総排泄腔外反症では、胎児期に、膀胱が外反していることによって膀胱が確認できなかったり、臍帯の付着する位置が低かったりします。さらに、臍帯ヘルニアや髄膜瘤、外性器の異常、腎奇形などの症状も現れます。
生まれた後、外反した膀胱と直腸をそのままにしておくと機能しなくなってしまうため、すぐに改善が必要になります。
総排泄腔外反症では色々な合併症を合わせて発症することが多いため、発症する合併症に関係した色々な症状も現れます。
発症する可能性のある合併症として、尿路系の合併奇形や腎欠損、多嚢胞性異形成腎、腎の低形成や異形成、水腎症、馬蹄腎、重複腎盂尿管、巨大尿管、尿管瘤、後部尿道弁、尿管 狭窄などが挙げられます。
他にも、染色体異常や心奇形、中枢神経異常、脊髄髄膜瘤、脊髄髄膜瘤以外の脊椎奇形などの発症も見られています。
総排泄腔外反症の症状は、膀胱、直腸、子宮、尿道、膣などの腹部内臓が骨盤底部から下垂することによって生じます。以下に、総排泄腔外反症の一般的な症状を説明します。
・膀胱症状
骨盤底部の筋肉や結合組織の弱体化によって、膀胱が下垂してしまい、尿漏れや頻尿などの症状が生じることがあります。特に、咳やくしゃみ、体を動かすなどの活動によって症状が悪化することが多いです。
・直腸症状
骨盤底部の筋肉や結合組織の弱体化によって、直腸が下垂してしまい、便失禁、便秘、腹痛、直腸の脱出などの症状が生じることがあります。便失禁は、特に座位から立ち上がるなどの動作をするときに起こりやすくなります。
・子宮症状
女性では、骨盤底部の筋肉や結合組織の弱体化によって、子宮が下垂してしまい、腰痛、腹痛、月経不順などの症状が生じることがあります。重症化すると、子宮が腟から出てしまうこともあります。
・尿道症状
骨盤底部の筋肉や結合組織の弱体化によって、尿道が下垂してしまい、尿漏れ、尿路感染症などの症状が生じることがあります。
・膣症状
女性では、骨盤底部の筋肉や結合組織の弱体化によって、膣が下垂してしまい、性交痛、膣からの出血、膣の乾燥、膣の緩みなどの症状が生じることがあります。
以上の症状は、個人差があり、程度によって異なる場合があります。また、複数の症状が同時に現れることがあります。
なお、総排泄腔外反症の症状は、病気が進行するにつれて悪化することがあります。そのため、症状が軽い場合でも放っておかず早めに改善を行いましょう。
総排泄腔外反症の主な改善方法は、手術です。外反している膀胱と腸管を分け、左右の膀胱を一つに修復するために手術を行うのです。
場合によっては、膀胱を切り離して回腸導管による尿路を作成する手術を行うこともあります。
合併症として脊髄髄膜瘤を発症しており、膀胱と直腸に障害がある場合、永久人工肛門や導尿路作成が行われることも多いです。この場合、車いすを使って生活することになることが考えられます。
総排泄腔外反症の改善法は、症状の程度や原因に応じて異なります。以下に、一般的な改善法を紹介します。
軽度の場合は、まず保守的な方法で改善を行います。具体的には、骨盤底部の筋肉を強化するエクササイズ、軽い体操、生活習慣の改善、重いものを持ち上げないなどの日常的な注意を行うことです。
・筋力トレーニング
改善を行う上で、筋力トレーニングが重要な役割を果たします。骨盤底部の筋肉を強化することで、内臓の下垂を防ぐことができます。具体的には、膣球エクササイズや腹筋エクササイズなどを行います。専門の理学療法士の指導のもとで適切なエクササイズを行うことが大切です。
・器具やサポーターの使用
骨盤底部の筋肉を強化するための器具やサポーターを使用することもあります。具体的には、膣球を挿入するピンクボール、骨盤底部をサポートするペルビックベルト、尿漏れ用のパッドなどがあります。
・薬
症状の改善のために、薬が使われることもあります。具体的には、尿失禁の改善に向けた薬、排便困難の解消に向けた下剤や浣腸薬、炎症を抑えるための抗炎症薬などがあります。
・手術
重症の場合は、外科手術が必要な場合があります。手術の目的は、内臓を正しい位置に戻すことで、症状の改善を図ることです。手術には、腹部からの手術や腟からの手術などがあります。
・膣挿入物
症状を和らげるために、膣挿入物が使用されることがあります。具体的には、膣内に挿入するペッサリーやタンポンなどがあります。ただし、膣挿入物は、使用によって感染症のリスクがあるため、医師の指導を受けた上で適切に使用する必要があります。
・生活習慣の改善
生活習慣の改善は、総排泄腔外反症の改善を行う上で欠かせません。具体的には、下着の選び方、排便のタイミングや方法、飲酒や喫煙の習慣の改善などが重要です。
総排泄腔外反症では、新生児期から思春期、成人期にかけて膀胱や直腸の障害や生殖器の障害に対して改善に継続的に取り組むことが必要です。
女性の場合は妊娠や出産を行う際に十分なサポートを行うこと、男性の場合は外性器形成不全によって起こる性機能障害や妊孕性低下に対して十分なサポートを行うことも非常に大事になります。
そのため、手術や薬だけで改善に取り組むのではなく、カウンセリングを行うなどの精神的にサポートをすることも改善のために非常に大事なことです。
特に女性は、月経が始まったとき、月経血が出る通路に障害が起きることもあります。その時にできるだけ早く対応するために、できるだけ早く産婦人科医と連携をとっておくことが必要です。
総排泄腔外反症の改善には、症状や原因に応じた適切な改善を行うことが必要です。以下に、総排泄腔外反症に対して行われた改善例をいくつか紹介します。
・筋肉トレーニング
Aさんは、専門家の指導のもとで骨盤底部の筋肉トレーニングを行い、症状が改善しました。トレーニング後の評価では、尿漏れの回数が減少し、生活の質が向上しました。
・サポーターの使用
Bさんは、ペルビックベルトの使用によって、排尿困難が改善され、生活の質が向上しました。
・薬
Cさんは、下剤の使用によって、排便困難が改善されました。また、尿失禁の改善に向けた薬も有効であることが報告されています。
・外科手術
Dさんは、腟からの手術を受けて、内臓を正しい位置に戻し、症状が改善しました。
・生活習慣の改善
Eさんは、排便のタイミングや方法の改善、下着の選び方の改善、飲酒や喫煙の習慣の改善などを行った結果、症状が改善されました。
総排泄腔外反症では、症状や原因によって改善方法は異なります。そのため、医師の判断を受け、適切な改善方法を選ぶことが必要です。また、改善に向けて積極的に取り組むことも重要です。