くる病の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年 8月23日

更新日:2025年 2月15日

本日はくる病について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • くる病とは
  • くる病の原因
  • くる病の症状
  • くる病の改善方法
  • くる病のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

くる病は、骨の石灰化が妨げられ骨の形の変形や骨の痛みが現れる

くる病は、骨の石灰化が妨げられることによって骨の形が変わったり痛みが現れたりする病気です。成人で同じ状態になる病気を骨軟化症と言います。

 

くる病は骨が発達している途中の子供が発症する病気で、カルシウムやリンが骨基質に十分に沈着せずセメント部分が足りず弱い骨ができてしまいます。

くる病の主な原因はカルシウム不足、リン不足、ビタミンD不足

くる病の主な原因はカルシウムの不足、リンの不足、ビタミンDの不足です。

 

カルシウムやリンが足りない場合、骨塩が足りない弱い骨ができてしまいます。ビタミンDが足りない場合は食べ物に含まれているリンやカルシウムを腸から体の中へ吸収する働きをしているため、骨塩が足りない弱い骨ができます。

 

最近では子供も紫外線を避けるようになっていますが、ビタミンDの不足やくる病を予防するためには、日光を浴びることも大事なことなのです。

 

くる病の中には、遺伝子の変化が原因で起こるくる病もあります。

・栄養性くる病(後天性)

ビタミンDの不足、カルシウム・リンの不足などで起こります。

 

・遺伝性くる病(先天性)

ビタミンD依存性くる病というビタミンDを摂取しても、体内で有効に働かない遺伝で起こる病気や、X連鎖性低リン血症性くる病という腎臓でリンの再吸収が低下し慢性的な低リン血症を引き起こす病気があります。慢性腎疾患によるカルシウム・リン代謝の異常の腎性くる病もあります。

くる病では、骨が柔らかく曲がりやすくなり伸びにくくなる

くる病の症状は、骨が柔らかく曲がりやすくなり伸びにくくなることです。

 

歩き始めるまでや乳歯が生える年齢が遅かったり、歩いた時に左右に揺れたり、虫歯になりやすかったり、O脚やX脚になったり、身長が伸びなかったり、転びやすかったりします。

 

歩き始める前の1歳未満の乳児の場合は、ビタミンDが不足することで痙攣が起こることもあります。

・骨の異常(骨の軟化・変形)

① O脚・X脚(下肢の変形)

骨が軟らかいためO脚になったり、骨の成長異常でX脚になったりする。

② くる病珠(肋骨の変形)

肋骨と軟骨の接合部が膨らみ、数珠状に並ぶ。

③ 鳩胸

胸骨が突出し、鳩胸になる。

④ 脊柱の異常(脊柱側弯症・猫背)

背骨が曲がり、姿勢が悪くなる。

⑤ 骨の成長遅延

手足の骨が短く、成長が遅れる。

 

・筋肉・運動機能の低下

① 筋力低下

全身の筋力が弱まり、立つ・歩くのが遅れる。

② けいれん・筋肉のけいれん発作

手足がピクピク動く「テタニー症状」、顔面の痙攣(チボス徴候)、手足の筋肉の硬直(トルソー徴候)などがある。

 

成長の遅れ

① 身長や体重の発育不良

成長速度が遅く、他の子どもより身長が低くなる。

② 遅れた運動発達

寝返りやハイハイ、歩行の開始が遅れる。

 

・神経症状

① けいれん発作

血液中のカルシウムが低下すると、神経が過敏になり痙攣を引き起こす。

② 感覚異常

指先や唇の周囲にしびれを感じる。

 

歯の異常

① 歯のエナメル質形成不全

エナメル質が弱くなる。

② 乳歯の生え変わりの遅れ

通常よりも歯の生え変わりが遅くなる。

 

・その他の症状

① 疲れやすい

体がだるく、少しの運動で疲れやすい。立ち続けるのが難しく、すぐに座りたがる。

② 感染症にかかりやすい

免疫力の低下により、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなる。特に肺の発達に影響を与え、呼吸器の病気が増える。

くる病の改善方法は、日光浴とバランスの良い食事

くる病を改善するための基本になることは、日光浴をすることと栄養バランスの整った食事をすることです。症状が重い場合は、ビタミンDを薬として使うこともあります。

 

外出をしていないことやビタミンが不足していることなどの生活習慣が原因で起こるくる病の場合は、生活習慣を見直すことでくる病を改善し、予防をすることができます。

 

しかし、遺伝子の変化が原因の場合は、リンやビタミンDを継続して使うことが必要になります。

・栄養性くる病

栄養性くる病は ビタミンD、カルシウム、リンの補給 によって改善ができます。軽症の場合、食事や日光浴で補います。症状が重い場合は医師の指導のもと、ビタミンDのサプリや薬を服用します。カルシウム・リンの補給や薬も使用します。

 

遺伝性くる病

遺伝性くる病は ビタミンDやカルシウムの代謝異常が原因のため、通常のビタミンD補給だけでは改善できません。

 

① ビタミンD依存性くる病

カルシトリオールの投与、大量の活性型ビタミンD3を投与、カルシウム補給などを行います。

② X連鎖性低リン血症性くる病

リン製剤の投与、活性型ビタミンDの投与を行います。最近ではFGF23を抑制する新薬が使用されます。

 

食生活の見直しも必要です。ビタミンD、カルシウム、リンを多く含む食品を積極的に摂取し、ファストフードやインスタント食品を控えましょう。ウォーキングやジョギング、スクワットなどの軽い筋トレなどの適度な運動も大事です。

最近の生活はビタミンDが不足しやすくなっている

現在くる病の子供が増えています。その原因は、食事からも日光からもビタミンDが不足していることです。

 

ビタミンDには、食べ物から摂るものと日光にあたるで皮膚で合成するものがあります。両方を合わせて十分な量になればビタミンD不足にはなりません。しかし、最近は、生活を送る上で両方とも不足しがちです。

 

ビタミンD合成には紫外線がある程度必要です。そのため、冬は不足しやすいですが、最近は夏も日焼け止めなどによって紫外線対策をすることでビタミンDが不足しやすくなっているのです。

ビタミンDが多く含まれる食品

ビタミンDは「動物性(D3)」と「植物性(D2)」の2種類があります。ビタミンD3(動物性)の方が体内での利用効率が高く、吸収率が良いため、できるだけD3を摂ることをおすすめします。

 

サケ(鮭) 33.0 μg

サンマ 19.0 μg

イワシ(丸干し) 50.0 μg

マグロ(トロ) 9.0 μg

シラス干し 61.0 μg

カツオ 9.0 μg

レバー(鶏・牛) 1.3~2.0 μg

卵黄 5.0 μg

干しシイタケ 17.0 μg 

マイタケ 4.9 μg

エリンギ 1.2 μg

ビタミンD強化食品(牛乳・ヨーグルト・シリアル) 1.0~3.0 μg

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