公開日:2022年 1月 2日
更新日:2023年 1月 8日
本日はネイルパテラ症候群について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
ネイルパテラ症候群は、4つの症状の特徴がある病気です。症状の特徴1つ目は爪の形の異常、2つ目は肘関節の変形、3つ目は膝蓋骨の異常、4つ目は腸骨の突起です。
症状は1つだけ現れることもあればいくつか合わせて現れることもあります。ネイルパテラ症候群は、腎臓病を合わせて起こすことも多いです。
爪、肘や膝、腸骨などの変化がないにもかかわらず、ネイルパテラ症候群で合併する腎臓病の症状だけが現れている場合は、LMX1B関連腎症と言います。
海外では5万人に1人がネイルパテラ症候群を発症していると言われています。日本国内ではどのくらい発症している人がいるのかについてはわかってません。
ネイルパテラ症候群は爪膝蓋骨症候群と呼ばれることもあります。
ネイルパテラ症候群の原因は、LMX1Bという遺伝子の異常です。しかし、LMX1B遺伝子に異常がなくてもネイルパテラ症候群を発症している人もいます。
ネイルパテラ症候群の発症について、人種による差などの報告はありません。遺伝するため、家族の中で発症することもあります。遺伝形式は、優性遺伝です。
場合によっては突然変異で起こることもあります。また、家族の中で発症していても現れる症状や症状の程度は人によって違います。
ネイルパテラ症候群は、爪、膝蓋骨、肘関節、および骨の形成に影響を与える遺伝性の病気です。この症候群の原因は以下の通りです。
遺伝的変異:ネイルパテラ症候群は、LIMホメオドメインタンパク質1(LMX1B)遺伝子の変異によって引き起こされます。LMX1B遺伝子は、四肢の発達、特に爪や膝蓋骨の形成に重要な役割を果たす遺伝子です。変異は通常、この遺伝子の機能を低下させるか、機能を失わせます。
遺伝形式:ネイルパテラ症候群は常染色体優性遺伝の形式で伝わります。これは、変異遺伝子の1つのコピーを持つだけでも症状が発現することを意味します。症状の発症には親からの遺伝だけでなく、新規変異によるものも含まれます。
影響:LMX1B遺伝子の変異は、四肢の発達におけるさまざまな組織の成長と形成に影響を及ぼします。これにより、爪の形成不全、膝蓋骨の異常、肘関節の問題、骨の特徴的な変化などが生じます。
関連する合併症:ネイルパテラ症候群は、腎臓の問題や緑内障のリスクが高くなることもあります。これらの問題もLMX1B遺伝子の変異に関連しています。
ネイルパテラ症候群の症状の特徴は、爪の形の異常、肘関節の変形、膝蓋骨の異常、腸骨の突起の4つです。4つの全ての症状が現れるとは限りません。症状は1つだけ現れることもあればいくつか現れることもあります。
爪の形の異常や膝蓋骨がないなどの膝の異常、肘関節の運動制限などが現れます。レントゲンで見ると、腸骨に突起が見られることも多いです。
特徴となる症状は全て起こるわけではありませんが、爪の異常はほとんどの人に現れます。
緑内障や眼圧亢進が現れることも多いです。緑内障や眼圧亢進は一般的に発症するより若い年代で現れます。
半分の人は、腎臓の病気を合併し、蛋白尿や血尿が現れます。場合によっては、蛋白尿が高度であったり腎機能が悪化し末期腎不全が起こることもあります。
ネイルパテラ症候群は、遺伝的に決定される多様な症状を特徴とする病気です。この症候群の主な症状は以下の通りです。
爪の異常:爪が小さく、薄く、または異常な形をしている場合が多い。一部の爪、特に親指の爪に影響が見られることが一般的です。重度の場合、爪が完全に欠如していることもあります。
膝蓋骨(パテラ)の異常:膝蓋骨が小さく、発育不全、または完全に欠如している場合があります。これにより、膝の不安定性や膝の痛み、歩行障害が生じることがあります。
肘関節の問題:肘関節の可動域が限られている場合が多く、肘を伸ばすことが困難なことがあります。
骨の異常:腰椎や骨盤の骨に特徴的な突起が見られることがあります。この症状はX線検査で特に顕著に見られます。
腎臓の問題:腎不全や蛋白尿など、腎臓の障害を伴うことがあります。腎臓の問題は症候群の重篤な合併症の一つであり、定期的なモニタリングが必要です。
眼の問題:緑内障のリスクが高まることがあります。定期的に眼科に行くことが推奨されます。
これらの症状は個人差が大きく、軽度から重度まで様々です。
ネイルパテラ症候群の改善では、現れている症状に対して改善を行うことになります。爪や膝、肘関節の異常に対して根本的に改善するための方法はありません。
鎮痛薬を使ったり装具をつけたりすることが必要になることも多いです。関節症状や緑内障などの症状が現れている場合、改善のために手術を行うこともあります。
腎症がある場合は、腎機能に合わせて改善に取り組みます。
ネイルパテラ症候群の改善では、主に症状の管理と機能の改善に焦点を当てています。現在、ネイルパテラ症候群を根本的に改善する方法はありませんが、以下のような症状に対する対処を行います。
整形外科:膝蓋骨の異常や膝関節の不安定性に対する整形外科的な方法が必要な場合があります。これには、膝蓋骨の位置の調整や関節安定化手術が含まれることがあります。肘関節の可動域制限に対する改善も必要な場合があります。
理学的な方法:関節の可動域を維持し、筋力を強化するための理学的な方法が推奨されます。特に膝関節の安定性を高めるための運動が有効です。
腎臓のモニタリング:腎機能の問題が見られる場合、定期的な腎機能のモニタリングが重要です。腎臓病の進行に応じて、薬物治療や最終的には透析や腎移植が必要になることもあります。
眼科的評価:緑内障のリスクがあるため、定期的に眼科に行くことが推奨されます。緑内障が診断された場合は、適切な眼科的な改善が必要になります。
歯科的管理:歯の異常がある場合、歯科的な評価と改善が必要です。
遺伝カウンセリング:ネイルパテラ症候群は遺伝的な病気であるため、本人や家族に対する遺伝カウンセリングが推奨されます。
心理的サポート:体の外見に関する自己意識や他の精神的な問題に対して、心理的サポートが必要な場合があります。
症状や健康状態によって改善の計画は異なります。一人ひとりに合わせた個別の計画の作成と、継続的なフォローアップが重要です。
ネイルパテラ症候群に特有の薬は存在しませんが、この症候群に伴う特定の症状や合併症を管理するために、以下のような薬剤が使用されることがあります。
疼痛管理のための薬剤:関節痛やその他の痛みに対して、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されることがあります。
例:イブプロフェン、ナプロキセン。
緑内障の薬:ネイルパテラ症候群が緑内障を発症した場合、眼圧を低下させるための点眼薬や経口薬が使用されます。
例:プロスタグランジン類似薬(ラタノプロスト)、β遮断薬(ティモロール)。
腎臓病の薬:腎機能の問題がある場合、血圧を下げる薬や蛋白尿を減少させる薬が処方されることがあります。
例:ACE阻害薬(リシノプリル)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ロサルタン)。
理学的方法の補助としての筋弛緩剤:筋肉の緊張やけいれんを緩和するために、筋弛緩剤が使用されることがあります。
例:シクロベンザプリン。
これらの薬剤は、症状や健康状態に応じて、医師によって慎重に選択されます。ネイルパテラ症候群の改善は、生活の質の向上と症状の緩和を目的としています。定期的なフォローアップと、関連する合併症に対する注意が重要です。
関節の異常がある場合、運動をする時の制限が必要になることがあります。半分の人は腎臓病を合併するため、合併しているかどうかを調べるために定期的に尿を調べることも必要になります。
尿を調べて異常が見つかった場合は腎臓の機能についても定期的に調べることが必要になります。症状の程度や現れる症状は人によって様々であるため、きちんと調べて改善に取り組んでいくことが大事です。