公開日:2019年 12月23日
更新日:2024年 5月 15日
本日はメージュ症候群について解説させていただきます。
メージュ症候群とは、両目の瞼が自分の意思とは無関係にこわばってしまい痙攣そして自然に目を開けていることがきつくなってしまう脳の不調です。
40~70歳代の中高年の女性に多い傾向がみられます。一番多い症状としては、光をまぶしく感じる羞明です。
メージュ症候群とはジストニアという症状の一種で、脳内で運動神経を制御するシステムに異常をきたした状態です。
まぶたを閉じる筋肉がうまく休めなくなり、目を開きにくくなります。
原因は明らかでないことが多く、脳のMRIにも異常はみられません。
瞼を閉じる筋肉は眼輪筋と言って、脳から来る神経のうち顔面神経という神経の支配を受けて動いています。一方で、目を開く筋肉は上眼瞼挙筋といって動眼神経という神経の支配を受けて動いています。
メージュ症候群では、目が上手く開かなくなる特徴があるため上眼瞼挙筋の支配神経である、動眼神経が特になんらかの理由により障害されていると考えられます。
・中枢神経系の異常
メージュ症候群は、脳の特定の領域、特に基底核と呼ばれる部分の機能異常によって引き起こされるとされています。基底核は、運動制御に関与する脳の構造の一部であり、ここでの異常が筋肉の不随意収縮を引き起こすと考えられます。
・遺伝的要因
一部の研究では、メージュ症候群が遺伝的要因によって引き起こされる可能性があることが示唆されています。家族内で同様の症状を持つケースが報告されており、特定の遺伝子変異が関与している可能性があります。
・神経伝達物質の不均衡
ドーパミン、アセチルコリン、GABAなど神経伝達物質の不均衡が、メージュ症候群の症状発現に関与していると考えられています。これらの神経伝達物質は、運動制御や筋肉の収縮に重要な役割を果たしており、そのバランスが崩れると症状が現れることがあります。
・環境要因
ストレス、薬物、外傷などの環境要因もメージュ症候群の発症に関与する可能性があります。抗精神病薬や抗てんかん薬などの特定の薬物は、副作用として筋肉の不随意収縮を引き起こすことがあります。
メージュ症候群とはジストニアという症状の一種で、脳内で運動神経を制御するシステムに異常をきたした状態です。ジストニアとは、身体の筋肉が異常に緊張すると、運動を行う回路に混線が生じ、運動するという命令が過剰に出て異常な姿勢・異常な運動を起こす状態のこと。
目に限らず、筋肉の異常な緊張によって起きる様々な不随意(本人の意思に関係のないこと)運動を「ジストニア」運動と言うため、食べ物がうまくかめず飲みにくい、口が開かない、閉じられない、アゴや口、舌、唇が無意識にもぐもぐと動いたり歯を食いしばったりする。などという障害を総称しジストニアといいます。
眼瞼に痙攣を伴う病気として最も多いのは眼瞼ミオキミアです。まぶたの一部がぴくぴくし、特徴はなんの前触れもなく起こりいつの間にか消え、長期的には続きません。
目の疲れ、ドライアイ、ストレスなどで起こるともいわれていますが、大抵の場合急に出現します。原因ははっきり分かっていません。
1. 眼瞼痙攣
眼瞼痙攣は、眼瞼、つまりまぶたの筋肉が不随意に収縮する状態を指します。この症状にはいくつかの特徴があります。
頻繁なまばたき:頻繁にまばたきを繰り返すことが多く、時には数秒間に何度もまばたきすることがあります。
目の閉じる発作:症状が進行すると、目が無意識に閉じてしまうことがあります。これにより、視力が一時的に遮られ、日常生活に支障をきたします。
目の周りの筋肉の収縮:目の周りの筋肉が強く収縮し、目が完全に閉じてしまうこともあります。
2. 口顎ジスキネジア
口顎ジスキネジアは、口や顎、舌の筋肉が不随意に収縮する状態を指します。これには以下の症状が含まれます。
顎の不随意な動き:顎が無意識に上下左右に動くことがあります。これにより、食事や会話が困難になることがあります。
口の開閉異常:口が勝手に開いたり閉じたりすることがあります。これもまた食事や会話に支障をきたします。
舌の収縮:舌が収縮し、正しい発音が難しくなります。また、嚥下(飲み込むこと)にも影響を与えることがあります。
その他の症状
メージュ症候群では、上記の主要な症状に加えて、次のような症状を経験することがあります。
顔面全体の筋肉の収縮:顔全体の筋肉が収縮し、顔の表情が歪むことがあります。これにより、表情のコントロールが難しくなります。
首や肩の筋肉の収縮:一部では、首や肩の筋肉が収縮することがあります。これにより、頭を動かすのが困難になることがあります。
未だ原因が分かっていないこの症状が発症した場合、第一に症状の緩和に向けて、肉体的・精神的に安静を取ることです。
また、人工涙液の点眼や抗不安薬などにより、改善を行うこともあります。
症状が収まらない場合、最も行われる第一選択肢として眼輪菌に筋を弛緩させる作用のあるボツリヌス菌毒素を注射する方法があります。
下記のような症状が見られたら要注意です。ただの眼瞼疲労だと思って長期間放っておいてしまうと進行し両眼を開くことができなくなるケースもあります。症状が悪化する前に医療機関で見てもらいましょう。
1. ボツリヌス毒素注射
・ボツリヌス毒素注射は、メージュ症候群の改善に広く用いられています。この方法は、以下のような特徴があります。
筋肉の収縮を抑える:ボツリヌス毒素は、神経から筋肉への信号伝達を遮断することで、筋肉の収縮を抑えます。
局所的な効果:眼瞼痙攣や口顎ジスキネジアの部位に直接注射することで、症状を効果的に緩和します。
効果の持続:効果は通常、3〜6ヶ月続き、その後再注射が必要となります。
2. 薬
薬は、メージュ症候群の症状を緩和するために使用されることがあります。使用される薬物には以下のものがあります。
抗コリン薬:筋肉の不随意収縮を抑えるために用いられます。
ベンゾジアゼピン:不安や筋肉の緊張を軽減する効果があります。
抗てんかん薬:神経の過剰な活動を抑えるために使用されることがあります。
3. リラクゼーション法
リラクゼーション法も症状の改善に役立ちます。
顔面の筋肉エクササイズ:顔面の筋肉をリラックスさせるためのエクササイズやマッサージが推奨されます。
ストレス管理:ストレスは症状を悪化させることがあるため、ヨガや瞑想などのリラクゼーション法が効果的です。
4. 手術
重度の症例では、手術が考慮されることがあります。
筋肉の一部を切除:眼瞼痙攣の場合、まぶたの筋肉の一部を切除する手術が行われることがあります。
神経の切断:筋肉への神経伝達を遮断する手術もあります。
5. その他の方法
鍼灸:一部では、鍼灸が筋肉の緊張を緩和するのに役立つことがあります。
ハーブ:特定のハーブがリラクゼーションを促進し、症状の緩和に寄与することがあります。
規則正しい生活:十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけましょう。
適度な運動:適度な運動は全身の血行を良くし、筋肉の緊張を和らげます。
メージュ症候群に対する鍼灸の効果について、いくつかの主要なポイントを説明します。
1. 筋肉の緊張を緩和
鍼灸は、顔面や顎の筋肉の緊張を緩和する効果があります。鍼を刺すことで、筋肉の緊張が和らぎ、収縮が減少することが期待されます。これにより、眼瞼痙攣や口顎ジスキネジアの症状が軽減されることがあります。
2. 血行の改善
鍼灸は血行を促進する効果があります。顔面や顎の部位に鍼を刺すことで、その部位の血流が改善され、酸素や栄養素がより効果的に供給されます。これにより、筋肉の健康が維持され、症状の緩和が期待されます。
3. 神経伝達の調整
鍼灸は、神経系の調整にも役立ちます。鍼による刺激が神経伝達物質の分泌を促し、神経の興奮を抑えることができます。これにより、不随意な筋肉の収縮が減少し、症状が改善されることがあります。
4. ストレスの軽減
メージュ症候群の症状は、ストレスによって悪化することがあります。鍼灸は、リラクゼーション効果があり、ストレスを軽減する手段としても有効です。鍼灸を受けることで、全身のリラックスが促され、ストレス関連の症状が緩和されることがあります。
メージュ症候群の原因は不明ですが、脳神経から来る神経支配の筋肉に障害をきたしているため、ストレスなどによる自律神経の乱れにより生じるものなのではと考えています。
当院では、顔面の支配をしている筋肉や神経に有効なツボに刺激をすることにより筋肉や神経の働きを活発にさせ、血液の循環をよくすることにより、メージュ症候群の症状改善を図ります。
鍼灸では自律神経のバランスを調整できるので、全身血流の循環を良くし、体をリラックスさせることにより症状改善が期待できます。
内服薬、または、ボツリヌス毒素に効果のない方には、鍼灸がお勧めです。
病名 | 症状 |
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眼瞼ミオキミア | 短時間のうちに断続的な目のけいれんが起こる |
眼瞼けいれん | 長期にわたって目のピクつきが続く。 重度の場合、自力で目を開けることができなくなる |
顔面けいれん | 顔の片側または全体のけいれんが続く。 |
11時から21時
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11時~21時迄 | ◯ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
年末年始