慢性疲労症候群の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2019年 12月23日

更新日:2024年  9月12日

本日は慢性疲労症候群について解説させていただきます。

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

慢性疲労症候群では日常生活で長期間影響が出る

慢性疲労症候群とは、異常が認められない状況で、激しい頭痛・筋肉痛・肩こり・重度の疲労感などで日常生活がままならない状況が長期間にわたって続く病気で、その原因は明確には定義されていません。

人にもよりますが、症状は程度が重く、日常生活に支障のでる場合が圧倒的に多くをしめます

 

日本人のうち、慢性疲労症候群を訴えるのは200人に1人

肉体の免疫機能が低下し、細菌感染したことによるものなのか、精神的なダメージを追っていることでなのか、病院でもハッキリとした答えを提示されることはありません。

 

非常に低確率で認められますが、我慢を続けてしまうと、後にうつ病を併発する可能性の高い病気です。

慢性疲労症候群が判断されるケースはほとんどない

不可解な重い疲労感が6ヶ月以上も続くのが特徴である慢性疲労症候群は、判断した時、確証を得ることは困難です。

体の免疫機能が下がっている時にかかりやすい病気だと言われているため、別名筋痛性脳脊髄炎・ウイルス感染後疲労症候群とも呼ばれています。

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    慢性疲労症候群の主な症状

自覚症状は、主に頭痛や各部位の筋肉の凝り・関節痛、重くなるとそれに伴う吐き気。

加えて、こうした肉体的なものに限らず、思考力の低下・記憶力の鈍りなどを訴えるようになります。

この状況が長期間続くと心身ともに徐々に疲弊し、人並みの私生活を送ることも、会社に行くこともできず、寝たきりになってしまう人もいます。

また、睡眠をきちんととっているにもかかわらず、すっきり眠れた感じがせず、貧血、突発的なめまい・立ちくらみ、偏頭痛を引き起こすケースもあります。

慢性疲労症候群を訴える人の置かれやすい環境・症状
  • ​睡眠時間は確保できているのにも関わらず、疲労感が残る
  • モチベーションが上がらない
  • 集中力がすぐに切れてしまう
  • 冷静な判断ができない
  • マッサージに行ってほぐしても肩こりがすぐに再発する
  • 仕事・私生活においてミスが増えている
  • 起床時にぐったりし、目が覚めても中々動けない
  • スケジュールの読めない仕事に就いている
  • 神経の磨り減る細かい作業をこなす事が多い
  • 生活リズムがすぐ変動する
  • 1日の仕事の負担量が多くて追いつかない

上記の項目の内、6割~7割程度当てはまる人は、慢性疲労症候群である可能性が高く、早期に医療機関にいくべきです。

しかしその際、慢性疲労症候群への知見がない個人医院に行っても、病気を見逃してしまうケースが多いので比較的設備の整った大学病院にいくことをおすすめします。

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    慢性疲労症候群は不定愁訴の一種

ようするに慢性疲労症候群は不定愁訴の一種だともいえます。

精神的にも肉体的にもストレスが蓄積されキャパを超えてしまうのが主な原因ととらえられるため、人によって自覚症状のバラつきが大きいです。それゆえ、確実な改善方法をもたないという考えが最も有力です。

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    慢性疲労症候群と判断することは難しい

細菌感染などが原因の病気は、基本的に身体をみて病状の把握をしていきます。

それに比べて、慢性疲労症候群のような原因の特定が難しい病気は、体機能のどこにも異常が確認できないケースが多いので、申告ベースでしか改善方法の検討ができません。正直な申告が鍵となっていきます。

慢性疲労症候群と判断される例
申告

クライアントの都合に振り回されることの多い仕事に就いてからというもの、自分の時間を確保することが出来なくなり、睡眠時間は確保出来ているものの毎朝疲れが取れません。

リフレッシュがてらマッサージに行くのですが、そこでもクライアントからの連絡が来たりすると、一瞬たりとも気が抜けない状況下です。

気づけばなんとなく体調が悪く寝込むことも多くなり、肩こり・頭痛・貧血・吐き気などを頻発するように。

上記に記載したように、日頃から気が抜けない環境下に置かれている方の場合、長期間にわたって疲労感が抜けず、悩んでいるケースが多いです。

不定愁訴を疑い、症状を細かくカウンセリングし、慢性疲労症候群の判断結果へと導きます。

慢性疲労症候群を生み出す脳過敏

脳過敏症候群は、脳が過剰に刺激に対して強く反応する状態のことです。

この状態が続くと様々な不快な症状が現れ日常生活に大きな影響を与えます。

脳過敏症候群の特徴的な症状10個

1.慢性的な頭痛

頻繁に起こる頭痛の人は要注意です。脳が過敏になっている可能性があります。東京女子医大の清水俊彦先生も長期化した片頭痛の状態が脳過敏症候群を生むと提唱しています。

 

2.めまいやふらつき

立ちくらみや目眩を感じるのは脳が刺激に過剰反応している可能性があります。特に多いめまいはふわふわめまいです。回転性のぐるぐるしためまいは耳の問題のため、脳過敏症候群は関係ないですがふわふわしためまいはP P P D(持続性知覚性姿勢誘発めまい)は脳過敏症候群の症状として挙げられます。

 

3.集中力の低下

簡単な作業でも集中力が続かないと感じている場合は脳過敏症候群が関係している可能性があります。目や耳から入ってくる情報を過剰に受けてしまうため、物事に対しての耐久力がなくなってきて疲れやすくなります。

 

4.不安感やイライラ

特に理由がないのに不安になったりイライラするのは脳過敏症候群のサインです。

 

5.耳鳴り、頭鳴り

頭がなっている頭が辛いというよりも不安感が強くて苛まれます。この頭鳴りもも脳過敏症候群の一種であると当院では考えています。

 

6.眠りの質が悪い

寝付けない、夜中に目覚めるなど睡眠に問題がある場合も脳過敏症候群のリスクがあります。トイレが近い、目が覚めるといった程度であれば問題ないが1日3回や4回起きてしまう、毎日夢を見てしまうという人は要注意です。

 

7.疲労が取れない

十分休んでも疲れが取れない場合は脳が休まっていない可能性があります。

 

8.光や音に敏感

強い光や大きな音に対して敏感になっている場合も脳過敏症候群の症状の兆候です。

 

9.食欲不信や過食

食事時に対する興味の急激な変化は脳の働きが影響している可能性があります。

 

10.消化不良や胃の不快感

ストレスが原因で特に変わったものを食べていないのに胃がもたれたり胃に不快感が起こるのも脳過敏症候群の特徴です。機能性ディスペプシアといい、胃に問題はないのにも関わらず不快感を感じ続ける症状は当院でもよく見られる症状です。また非びらん性胃食道逆流症という炎症症状はないが異常に胃が活発になる症状も注意が必要です。

 

11.動悸や息切れ

特に運動をしていないのに心臓がドキドキする、息が切れると感じている人は要注意です。

鍼灸の現場でよく見る脳過敏症候群の人にあるサイン

  • 毛嚢炎

頭皮や体に小さい痛みを伴う吹き出物ができる場合は免疫力の低下やストレスが関与している場合があります。脳が過剰に興奮すると交感神経が昂って立毛筋が緊張しニキビができやすくなります。

 

  • 充血

目の充血が続く場合は脳が過剰に興奮している場合があります。脳過敏症候群かもしれない、病院に行っても全く症状がないという人には充血が多いです。

 

  • 微熱

原因不明の微熱が続くことも脳過敏症候群の兆候として見られることがあります。

 

  • 足の冷え

足先の冷えが改善しない場合は血行不良や自律神経の乱れが考えられます。手が異常に暖かくて足だけ冷たい場合は脳過敏症候群の特徴的なサインです。

 

  • 爪が白い

爪が白いということは血行不良や栄養不足が影響している感応性があります。これは重度の人に多く絶対見られる症状ではないですが、重症の人の爪は異常に白いことがあります。

 

  • 舌に歯形がついている

舌の縁に歯形がついている場合はストレスや消化器系の負担が原因となっています。水分代謝が異常に悪いため体が重く、舌浮腫むため歯形がつきます。

 

  • 肌が白い

肌が異常に白い人は貧血や血行不良、脳過敏症候群の一種のことがあります。重度の人に多く、脳過敏症候群の人は刺激に対して異常に反応してしまうため、引きこもりがちになったり運動する習慣もなかったりするため肌が白くなることがあります。

上記のサインに当てはまるものが多いほど脳過敏症候群のリスクが高いと言えます。今の段階で症状が軽くても放っておくと悪化する可能性があるため注意が必要です。

 

脳過敏症候群は早めの対策が重要で、早めに対処することで症状の進行を防ぎ、生活を快適に過ごすことができます。

 

生活習慣の見直しも効果的です。ストレスを減らして規則正しい生活を送ることで脳の過敏状態を改善する手助けになります。

慢性疲労症候群の回復に向けた取り組み

慢性疲労症候群の原因特定を急ぐため、理化学研究所(理研)と大阪市立大学、関西福祉科学大学の3者で、慢性疲労症候分の人を集めて、脳を調べるという取り組みが行われました。

研究内容は、脳の各部位、扁桃体・海馬・視床のそれぞれに炎症が起こっている場合、訴えを聞き、慢性疲労症候群と関連があるかを検証しました。

その結果、慢性疲労症候群を誘発する可能性が極めて高いことが実証されています。

慢性疲労症候群の原因となり得る脳の異常
  • 扁桃体の炎症⇒記憶・思考・理解・計算・学習・判断における異常を訴える人が多い
  • 海馬の炎症⇒気分の落ち込み・やる気の低下・倦怠感を訴える人が多い
  • 視床の炎症⇒偏頭痛、肩こり、筋肉痛を訴える人が多い 

こうした判断の方法の確立を可能とする病院の開発に奮闘し、どこの病院に行ってもカウンセリングによって慢性疲労症候群と判明するように努めている研究チームがあります。

現段階で100パーセント回復を約束することはできませんが、技術の革新が起こり続ける日本だからこそ、回復の兆しを見せることが可能なのではないでしょうか。

実際の慢性疲労性症候群の施術例

慢性疲労性症候群
  • 年齢・性別

30代男性

 

  • 疲労感を強く感じた時期

3年ほど前から

 

  • 疲れを強く感じるきっかけ

1.仕事のノルマがきつくなってから

2.うつ症状で病院に通い始めてから

 

  • 整形外科・心療内科の対応

​骨には異常なし、筋弛緩薬も効果なし

病院では、デパス、マイスリーをもらう。

慢性疲労に効く漢方を2種類買って飲むが、あまり変わらず。

鍼灸も3院試したが、回復せず。

 

  • ほかの対策

気孔道場に通っている

 

  • 銀座そうぜん鍼灸院の来院経緯

友人の紹介

慢性疲労性症候群は3種類の原因に分けられる

  • 銀座そうぜん鍼灸院の対応・施術

カウンセリングをしたところ、首と腰の深層筋の筋緊張が慢性疲労を生み出しているとわかりました。

 

特に首コリから来る※脳血流障害型うつ病の要素が強いと判断しました。

※脳血流障害型うつ病…脳の血流低下による脳機能の障害により起こるうつ病

 

慢性疲労性症候群の場合、大きく3つに分けられます。

慢性疲労性症候群の原因

  1. 肉体的要因(筋肉、血流など)
  2. 精神的要因(環境、うつ、不眠など)
  3. 器質的要因(ガン、内臓疾患など)

以下のポイントを施術していきます。

 

  1. 脳血流の改善(首の最下層にある筋肉を鍼灸で刺激し、内頸動脈の血流を促す)
  2. 首のコリの除去(東洋医学的に首とふくらはぎは繋がっている)
  3. 膀胱経の経絡の流れを改善させる(膀胱経とは、背中の気のめぐりを意味するため背中のツボを使っていく)

慢性疲労性症候群によく使われるツボ

慢性疲労性症候群によく使われるツボをご紹介します。

  • 曲池
  • 承筋
  • 承山
  • 湧泉
曲池

曲池は自律神経の調子を整え、免疫力を高める効果があります。そのため、慢性疲労症候群の改善にも効果が期待できます。

 

他にも肩や首の痛み、だるさ、のぼせ感、花粉症の症状の改善や消化器系の働きの促進、眼精疲労や生理痛にも効果があるとされているツボです。

承筋

承筋は、全身の倦怠感に効果を発揮します。承筋には血流を促進する効果があり疲労物質が流れやすくなるツボで、疲労症状にはおすすめです。水分の流れも良くなるため、むくみにも非常に効果的です。

 

ふくらはぎの重さや、だるさ、脚の疲れやふくらはぎの痛みにも効果的です。

承山

承山は、湿気を取り除き、老廃物を流してくれるツボのため、疲れやダイエットに効果的です。

 

足の痛みやしびれ、こむら返り、腰痛や坐骨神経痛などで足腰から殿部にかけての痛みや疲れがあるなどの時にも効果を発揮します。

ツボの位置と押し方
曲池

曲池の場所は、肘の関節部分の上側です。肘を曲げたときにできる横じわの延長上にあります。

 

強く押すと響くかもしれません。親指を使ってしっかり押しましょう。

承筋

承筋は、ふくらはぎの筋肉が一番高く盛り上がっている場所にあります。

 

押すときは、両手でふくらはぎを包むようにして押しましょう。中指を重ねて両方のツボをしっかり押して刺激しましょう。

承山

承山は、ふくらはぎの真ん中にあります。アキレス腱からふくらはぎに向かって上がっていくと指が止まるふくらはぎの下を探しましょう。

 

押すときは親指を使ってしっかり押しましょう。

慢性疲労性症候群のまとめ

この方の場合は首の深層筋の凝りが一番の要因でした。

 

慢性疲労性症候群の原因は人によって様々で非常に多岐に渡ります。

私が対応した利用者様も精神的要因のケースが多くを占めています。

 

薬の副作用が強く出ている方が特に多く、当初の悩みがなんなのかわからなくなっている方がいます。

 

 

慢性疲労性症候群と判断をうけた方のケース

  1. 数種類の薬を数ヶ月服用しているが、なにか辛いのかわからなくなっている
  2. 睡眠薬の効きすぎで、常にだるく眠いが薬をやめるのが怖い
  3. 仕事が嫌だから、このまま休職していたい。
  4. 家族問題で悩みが耐えない、カラダもつらい。

 

 

薬の副作用を、別の薬で補うことや、人間関係の要因が大きいケースがほとんどでした。

私からアドバイスは二つ

  • 正直に申告することで疲れを感じたキッカケを整理させましょう
  • 医師の判断、薬をきちんと調べて、自分でちゃんと効果を見極めましょう。

2ヶ月10回の鍼灸で、慢性的な疲労感は感じなくなったとのこと。

 

仕事の量により体調の変動があるため、辛いときのみ鍼灸を受けることを指導しました。

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