公開日:2019年 12月23日
更新日:2022年 2月 6日
本日は自律神経失調症の鍼灸について解説させていただきます。
自律神経失調症は、生活リズムの乱れやあらゆるストレスなどが原因で起こる心と体の病です。
そもそも自律神経とは、人間の生命活動のバランスを整えている神経です。
呼吸、心拍、血液循環、消化吸収など、生きるために必要な生理現象をコントロールし、身体のほぼすべての器官が、自律神経の関与を受けています。
交感神経 ⇒日中に活発。《脳の活性化、気管支拡張、心拍数増加、血管収縮、血圧上昇、胃腸運動抑制、発汗促進などをコントロール》
副交感神経 ⇒夜に活発。《脳の鎮静化、気管支収縮、心拍数減少、血管拡張、血圧低下、胃腸運動促進、発汗抑制などをコントロール》
このように2つの神経の役割分担をさせることで、毎日を健やかに送っています。
ところが
などにより、この2つの神経系が正常に作用しなくなります。
そうして心身のバランスを保てなくなることから、自律神経失調症にかかるのです。
現代社会の荒波に揉まれ、毎日仕事で多忙な人は特に注意が必要です。
今回は、自律神経失調症の症状と判断後の2つの改善法を中心に解説します。
日頃の生活の中で、少しでも心身の異変に気が付いたのなら、放っておかずに医療機関の受診・漢方薬による改善を始めてください。
上記に記載した以外にも、自律神経失調症の症状は次のようなことが挙げられます。
一見自己判断で「大丈夫」と思いがちですが、これらの症状が出始めた場合、自律神経失調症を疑いましょう。
原因は、主に交感神経と副交感神経のサイクルの乱れ。
乱れる要因に以下のようなことが挙げられます。
この場合、特にこの2つの神経系のバランスが狂いがちになります。
「早寝早起き病知らず」ということわざがあります。
人間はが生まれながらにして持っている体内リズムは体内時計と言われていますが、24時間周期がきちんと構成されておりその周期を「サーカディアンリズム」といいます。この正しいリズムがとれない限り
がとれず、自律神経の作用を損ね続けてしまうのです。
こうしたことから、仕事人間の多くが発症しやすい病気だということが伺えます。
自律神経失調症と診断された後は、早期に交感神経・副交感神経のケアを始めましょう。
この病気を落ち着かせるには、大きく分けて2つの方法があります。下記をご覧ください。
1つ目は、医療機関に行くことです。
一括に自律神経失調症はといっても、その症状には個人差があります。
下痢や多汗症、過呼吸を頻発する人もいます。そのため、相談する科を事前に決めておくのが望ましいです。
そして、最も苦痛をともなう箇所の特定ができたら、その段階で処置に入ります。
結果が「異常なし」でも自律神経失調症ではないとも限りません。
ご自身で不安に思う場合、心療内科・精神科のある病院で、引き続き相談し納得した上で改善を行うのが最適です。
比較的多いケースですが、医療機関に通うこと自体をストレスに感じてしまい、さらに病状が悪化することも。
ご自身にストイックな方がなりやすい疾患なので、「まさか自分が…」といったように判断されたことで体だけでなく、元々疲れ切っていた心をさらに疲弊させてしまう可能性もあります。
もしもあなたがそうなら、改善方法を変えてみるのも一つの方法です。
2つの改善法は、漢方薬を使ったもの。
専門機関によって心身の症状別に調合してくれるところもあります。一般的に使う抗うつ剤・睡眠薬に比べて副作用が少ないのが特徴です。
自律神経の作用を助ける漢方薬は、以下の通りです。
漢方薬 | 作用・効果 |
---|---|
大柴胡湯 (だいさいことう) | イライラ、倦怠感、緊張などの不快な精神症状を取り除く。 消炎・解熱作用もあるため、自律神経失調症の人からの支持も多い。 |
半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう) | ふさぎがちな気分の解消 声帯の違和感を軽減、ハツラツとする作用も見込める。 |
加味逍遥散 (かみしょうようさん) | 主に女性の肩凝り・めまい・腰痛 |
いずれの漢方薬も市販されているものです。
どうしても医療機関で心身の改善を受けることに抵抗がある人は、まずはこうした天然由来成分で自律神経の本来のサイクルを取り戻すよう努めてみるのもいいでしょう。
自律神経失調症は、とてもセンシティブな病気です。
体の不調だけで完結する症例は少なく、ほとんどが心に抱えるストレスなどが元凶になっています。ですから、独断で自分に合った漢方薬を探し出すのは非常に困難でもあります。
本来ならば、医療機関でカウンセリングを受けて自身の病状を理解するのが肝心と言えます。
漢方は病院で出される薬よりも副作用こそ少ないものの、相性があります。
自分の体質に合わない成分を摂取することで
などの症状が現れ、むしろ悪化させてしまう恐れも十分にあります。
明確な病気と言われたわけではないのに心身の不調を感じるものを、不定愁訴といいますが
この、「なんとなく体がだるいし頭も重い」という自覚症状をはじめ、精神的にもどこか喜怒哀楽の波が激しくなることで悩まされている方も数多くいます。
不定愁訴の症状は、医者からみて病名を定めることが困難です。
多くの場合
とされ、その人の主張(思い込み)による根拠のない病気ととらえられてしまいます。
これは、大人だけでなく子どもでも起こることがあります。
考えられる限りの病気をあぶり出し、改善に向けた最適な方法を早期に試していかなければなりません。
不定愁訴による独特の倦怠感や眠気は、人並みの日常生活を送る上で障害となります。
大人の不定愁訴の症状は、上記でご紹介したとおりになりますが、その原因はどこにあるのでしょうか。
もちろん人によって細かい原因は様々ありますが、代表的な例をいくつかご紹介し致します。
夜眠る前に必ずスマホチェックをしている人は、不定愁訴を起こしやすくなります。
私たちの利用する通信機器類からは、多かれ少なかれ、ブルーライトが常に発せられています。この独特の青い光は、紫外線と同等の刺激物であり、強い眼精疲労を招く要因。
ブルーライトを長時間浴び続けることにより、睡眠障害を引き起こします。
ベッドに入ってからスマホを眺め続けていたら、何だか頭が冴えてしまったなどということが続いていませんか。
この現象が起こるのは、睡眠導入に必要なメラトニンというホルモンが減少するからです。
こうして寝不足が積み重なることで、自律神経の切り替えの調整が崩れ、不定愁訴の症状がでます。
太陽光を浴びることで、人間の体内におけるビタミンDの生成が活発化します。
これは心身の健康維持のために必要な習慣であり、記憶力を高める作用もあるのです。
しかし現代の日本人の多くは慢性的に不足しているという報告があります。
かつてはビタミンDが豊富な魚介類の中心の食生活や、積極的な日光浴により、ビタミンDは比較的充足していたと考えられます。
それが最近では、乳幼児・妊婦・若年女性・寝たきり高齢者等を中心にビタミンD不足が指摘されてきております。
もちろん紫外線の浴びすぎは、シミやしわといった老化の原因となりますが、だからと言って太陽の下で過ごす時間を極端に少なくしてしまっても、細胞は老化の一途を辿ることにもなります。
自覚症状のでる頃には、すでに不定愁訴を起こしているでしょう。
子どもから大人まで言えますが、自分の中に湧いた喜怒哀楽の感情を極端に押し殺してしまう人に起こしやすいです。
そのような性格傾向の場合、精神的なストレスが原因で不定愁訴になります。
頻繁にとは言いませんが、自身の感情を自分の口から意見することも大切なことです。
もしくは、ストレス発散できる趣味をもつことで、精神的な負担も軽減されるでしょう。
感情の抑制が癖になっている人は、思い切って置かれている環境を一新するのも一つです。
ストレスを医学的に改善するのも証明するのも困難です。だからこそセルフケアをマメに行いましょう。
子どもの不定愁訴に気づいているご両親は、どの程度いるのでしょうか。
子どもが訴えてくるものとして、「頭が痛い」「おなかが痛い」「気持ちが悪い」「眠れない、あくびがたくさん出る」「だるい、横になりたい」「肩がこる」「首が痛い」「腰が痛い」「口がかわく」といったようなことを頻繁に訴えるようになったら不定愁訴を心配してあげてください。
また、感情をむき出しにして反抗的な態度をとったり、口癖のように「だるい」と言い始める場合が多いので、ご両親からすると「わが子も、ついに反抗期に入ったのだろう…」なんて考えで終わらせてしまいがちです。
日中の活動的な時間帯にもかかわらず、子どもが遊びたがらないのなら要注意です。
心身を病み、言い様のない倦怠感・眠気に見舞われている可能性が高く、
放置しておくと
に発展してしまうケースがあります。
食欲不振も合わせて注視しておき、異常が起こっているようならすぐに医療機関にいきましょう。
体のどこにも異常はないのに、様々な不調を訴える場合は、心療内科・精神科でカウンセリングを受けることになります。
日常の外的または心的ストレスにより体に不調を来す可能性は十分にありますから、うつ病や自律神経失調症から早期回復するための施術を行うのが望ましいです。
症状がでている人の中に、過去に自閉症などの心の病を患い、その後のメンタルケアをおろそかにしたことが原因で長年の体の不調に苦しんでいる方もいます。
これまでの病気の有無を聞かれた際には、隠さず正直に申告することで、より適切な改善方法を教えてもらうことができます。
20代女性 カフェ定員
2019年始め頃、私生活の影響で寝れなくなったり、疲れが取れづらくなった。
内科と心療内科にいき、現在薬を飲みながら様子をみている。
自律神経失調症と医療機関でいわれた頃から、お腹の調子が悪くなった。
医師に相談したら、過敏性腸症候群の分泌型と言われた。
※トフィソパム、当帰芍薬散を出された。デパスも出されたが、飲んでいない。
※トフィソパム:脳に作用し自律神経系の乱れを調整することで、頭痛、めまい、不安、意欲低下などの症状を改善する薬
ストレートネックの姉の紹介
カウンセリングをしたところ、異常な「実証」が確認できました。
※自律神経の不調のサインはお腹に現われますが、この利用者様からはサインが見つけられなかった。
以下のポイントを施術していきます。
①自律神経の安定
(福田安保理論を使って、自律神経の安定を目指す)
②全身の筋緊張を緩和させる
(特に背面は重点的に行う)
③「瀉法」を行う
(気を抜くアプローチ)
初め、「本当に良くなるのか不安」と訴えかけてきました。
「実症」のサインが強くでていたので、吸い玉の使用した。
お体の状態から自律神経の異常がみられないが、「付け合せ」の施術として自律神経アプローチを加えた。
実証のサイン
1ヶ月7回の鍼灸で過敏性腸症候群の症状は落ち着きました。
全15回の鍼灸で体の違和感がないレベルになりました
自律神経と実症の鍼灸で使うツボをご紹介します。
・百会
・雲門
・大椎
・天柱
・サンチク
・水分
・陰陵線
・大ケイ
・肩井
・血海
百会は、自律神経を整える効果のあるツボです。自律神経は全身の内臓や血管の機能をコントロールしている神経のため、百会を刺激することによって全身に様々な効果が期待できます。
自律神経の働きを整えることによって、自律神経失調症の改善だけではなく、不眠症や眼精疲労、頭痛や肩こり、二日酔いや抜け毛、めまい、耳鳴り、鼻づまり、高血圧など様々な症状の改善につながります。
百会は、頭にあるツボですが、頭とは離れた場所に位置する胃腸や、肛門などの症状にも効果を発揮するのです。
雲門は、手の太陰肺経に属するツボです。雲とは霧という意味で、門は出入りするところで肺気が初めて出てくる門のことを意味しています。
東洋医学でいう肺は、五臓の1つで、臓器としてだけではなく、大腸や皮膚、呼吸や水分コントロールの機能なども含めて肺であると考えられています。
東洋医学では気が体を動かすエネルギーであり、非常に重要なものですが、気が作られる場所も主に肺です。雲門は、気の通りを良くし、元気にするツボなのです。
肩こりや肩こりによって起こる息苦しさ、胸部と背部のこりなどに有効です。
大椎の大は大きいという意味で、椎は椎骨という意味です。大椎は大きな椎骨を意味しており、第7頸椎のことです。
大椎では手足の陽経が交わることによって、体表の機能を高める効果があります。そのため、体の機能を整えてくれます。大椎は、体全体の免疫力を高めてくれる働きもあり、温めることで血の巡りが良くなります。
首の血の巡りがよくなると、脳はもちろん、全身に酸素や栄養がきちんと運ばれ、自律神経を整えたり、体の不調や気持ちの落ち込みなどの症状を改善したりすることにつながるのです。
百会は、頭頂部のほぼ中央にある少しのへこみの部分にあります。両耳を結んだ線と鼻から上に通る線が交わる部分です。
押すときは、両手の中指を使って息を吐きながら押します。強さは、気持ちいいと感じるくらいの強さがおすすめです。 体の中心に向かってまっすぐ押すようなイメージで押すことで上手に押すことができます。
指で押すだけではなく、お灸を行うこともお勧めです。
雲門は、鎖骨の下縁を肩に向かって指を進めていった時に当たるくぼみにあります。
押すときは、5~6秒ほど揉みほぐし、ゆっくりと手を離すと良いでしょう。気持ちいいと感じるくらいの強さで、じっくり長めに押すことがお勧めです
雲門の直下には肺があるため、お灸で温めることもお勧めです。
大椎は、首を下に曲げたときに首の骨が大きく盛り上がるところの下のくぼみにあります。
押すときは、ゆっくりと押しましょう。お灸やホットタオルなどで温めることも非常に効果的です。
本ページをまとめます。
利用者様の私生活の情報はあえて聞かず、体の変化を求めて対応しました。
カラダに大きな緊張を与える出来事だったと思います。
自律神経の調整は当院の得意なアプローチです。験豊富な院長による鍼灸を受けてみませんか?
お力になれるよう対応致します。
LOH症候群の施術風景
30代男性
自覚症状がないため、わからない
仕事のやる気がなくなった、精力減退
テストステロン補充療法を薦められるが、費用と時間で悩み、辞めた
亜鉛などサプリメントの摂取(現在継続)
当院の自律神経失調症のサイトをみて
カウンセリングをしたところ、徐脈・お血が確認できました。また、気の滞りも確認できましたので、下記のポイントを狙って行うことに決めました。
基本鍼灸に電気鍼をプラスしたアプローチでMMさんの自己再生能力を刺激しました。
※上記は他の利用者様の動画です。イメージとしてご参考ください。
テストステロンやホルモンアプローチによく使われるツボをご紹介します。
今回、鍼灸を受けるキッカケがLOH症候群でしたが東洋医学的にみてもカラダの変調がわかりやすく現れていました。
MMさんの血中テストステロンの値が 230ng/mだったことにより、テストステロンの低下を過剰に心配されていました。
東洋医学的には、腎虚(腎の力が弱くなっている)が確認できたので、腎精アップを目的としたアプローチを中心に行いました。
2ヶ月間9回の鍼灸を施した結果、うつ症状は改善しました。特に仕事が疲れにくくなったのが嬉しいとのこと。
血中テストステロン値は290ng/mと上がっていましたが、MMさん本人はあまり喜んでいませんでした。
今後は正常値を目指して鍼灸を行っていく予定です。
11時から21時
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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11時~21時迄 | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
月曜、年末年始