公開日:2021年 8月20日
更新日:2025年 6月12日
本日はアトピー性皮膚炎について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
アトピー性皮膚炎の原因は、バリア機能に異常が起きることと免疫が過剰に反応することです。
アトピー性皮膚炎によって起きる炎症は、免疫反応によって起こります。本来、免疫反応は細菌やウイルスから自分の身を守るものです。
しかし、アトピー性皮膚炎は免疫反応の反応が過剰であることから、反応する必要のないものにまで反応してしまうことによって起こります。
過剰に免疫が反応する要因はいろいろありますが、主に元々アレルギーを起こしやすい体質であることや皮膚のバリア機能が下がっていることが大きく関係しています。
他にも、長い期間皮膚に対して強い刺激やストレスがかかっていることや疲れなども免疫を不安定にする要因になります。
そのため、疲れが溜まったり皮膚にストレスが溜まったりするとアトピー性皮膚炎の症状が悪くなることも多いです。
【遺伝的要因】
アトピー性皮膚炎は遺伝的な要因が強く関与しているとされています。特に親や近親者にアトピー性皮膚炎やアレルギーの病気を持つ人がいる場合、アトピー性皮膚炎の発症リスクは高まる傾向があります。遺伝子の変異によって、皮膚のバリア機能が弱まったり免疫系の異常な反応が起こったりすることで、アトピー性皮膚炎が引き起こされると考えられています。
【アレルギーと免疫反応】
アトピー性皮膚炎はアレルギーの病気の一つであり、免疫系の異常な反応が関与しています。アトピー性皮膚炎では、通常は無害な物質に対しても免疫系が過剰に反応し炎症を引き起こすことがあります。特に、アレルゲンとして知られる異物やアレルゲンにさらされることで免疫系が過剰に活性化され、皮膚に炎症が生じます。
【皮膚のバリア機能の低下】
アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下していることが報告されています。正常な皮膚は外部の刺激から体内を守るバリアを持っていますが、アトピー性皮膚炎の場合はこのバリアが弱まり、外部からの刺激やアレルゲンが容易に皮膚に侵入することがあります。また、湿度の低下や乾燥などの環境要因も皮膚のバリア機能を低下させ、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる可能性があります。
【環境要因】
アトピー性皮膚炎の発症や悪化には、環境要因も影響を与えるとされています。特に、アレルゲンや空気中の汚染物質、家庭内のダニやカビなどのアレルゲンにさらされることが症状の悪化に関連していると考えられています。また、季節の変化や気候の影響もアトピー性皮膚炎の症状に影響を及ぼすことがあります。寒冷な季節や乾燥した気候では、皮膚の乾燥が進み、症状が悪化することがよく見られます。
【ストレスと精神的要因】
アトピー性皮膚炎では、ストレスや精神的な要因が影響を及ぼすこともあります。ストレスや不安感は免疫系に影響を与え、炎症を引き起こす物質の放出を促進します。また、精神的な負担によりかゆみが増加したりかきむしったりすることがあり、それによって皮膚の炎症が悪化することがあります。
【栄養や食物アレルギー】
一部の研究では、アトピー性皮膚炎の発症に栄養や食物アレルギーが関連しているとされています。特定の食品に対してアレルギー反応が生じることで、免疫系が刺激され、炎症が引き起こされる可能性があります。ただし、全てのアトピー性皮膚炎を発症した人が食物アレルギーを持つわけではありません。ただし、ケースによっては特定の食品がアトピー性皮膚炎の悪化に影響を与えることもあります。
【感染症】
アトピー性皮膚炎では、他の感染症を発症するリスクが高まることがあります。皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌やウイルスなどが皮膚に侵入しやすくなります。特に、真菌や細菌による二次感染が皮膚の炎症を悪化させることもあります。
【加齢】
加齢によってもアトピー性皮膚炎の症状が変化することがあります。高齢者の場合、皮膚のバリア機能が低下することで症状が悪化することがある一方、若い年齢層に比べて炎症の症状が軽度であることが報告されています。
【環境汚染物質】
近年の都市化や産業の進展により、環境汚染物質が増加しています。これらの物質はアトピー性皮膚炎の発症に影響を与える可能性があります。大気中の微粒子や化学物質が皮膚に付着し、炎症を引き起こすことが考えられています。
【ホルモン変化】
女性の場合、ホルモンの変化がアトピー性皮膚炎の症状に影響を与えることがあります。妊娠や月経周期などのホルモンの変動によって、症状が悪化することが報告されています。
【喫煙やアルコールの摂取】
喫煙やアルコールの摂取はアトピー性皮膚炎の悪化に関連しているとされています。特に喫煙は免疫系を抑制し、皮膚のバリア機能を低下させることが知られています。また、アルコールの摂取は肝臓の機能低下によって炎症を悪化させる可能性があります。
アトピー性皮膚炎の主な症状は、湿疹と痒みです。症状の特徴は、良くなったり悪くなったりを繰り返すことと慢性的であることです。
アトピー性皮膚炎で現れる湿疹は赤みがあり、引っかくと液体が出たり乾燥して皮がむけたりします。強い痒みがあることも特徴です。一般的な湿疹とは違い、左右対称にできることが多く、長引くと硬くなり盛り上がります。
湿疹が出る場所は人によって様々ですが、主におでこや目や口や耳の周辺、首や脇、手足の関節の内側などに出ることが多いです。
アトピー性皮膚炎が起きるとバリア機能が下がるため普通なら感じないくらいの刺激でも強い痒みを感じます。そのため皮膚を掻いてしまい湿疹が悪化するという悪循環になることが多いです。
かゆみ:アトピー性皮膚炎の最も一般的な症状は、激しいかゆみです。かゆみは非常に強く、特に夜間や寝起き、ストレスを感じたときなどに増悪することがあります。かゆみのために掻きむしったりこすったりすると皮膚が傷つきかさぶたやただれができることもあります。
皮膚の乾燥と赤み:アトピー性皮膚炎では、皮膚の乾燥が顕著で、常に乾燥しているように感じることがあります。乾燥によって皮膚がかさかさとした感触になり、赤みが生じることもあります。特に関節の周囲や顔、首、手などの皮膚が乾燥しやすい傾向があります。
皮膚の腫れと盛り上がり:アトピー性皮膚炎では、炎症が起こることによって皮膚が腫れたり盛り上がったりすることがあります。特に慢性的なアトピー性皮膚炎の場合、皮膚が厚くなり、盛り上がることがあるため、肥厚性と言われることもあります。
びらんやかさぶた:かゆみによって掻きむしられたり皮膚が傷ついたりすると、びらんやただれが生じることがあります。これらの傷はその後にかさぶたになり、かさぶたが取れると再びびらんが現れるというサイクルが続くことがあります。
湿疹:アトピー性皮膚炎の最も典型的な症状は、湿疹と呼ばれる炎症が生じることです。湿疹は赤くて腫れた皮膚の上に、水疱やかさぶたができることがあります。特に膝や肘の内側、首、手首、足首などの関節部分に湿疹が多く見られます。
乾燥した皮膚の剥がれやひび割れ:皮膚の乾燥が進むと、皮膚が剥がれたりひび割れが生じることがあります。ひび割れは特に手指や足の裏、唇などの乾燥しやすい部位に現れることが多いです。
アトピー帯:幼児や小児の場合、アトピー性皮膚炎が特定の部位に集中して現れることがあります。このような現象をアトピー帯と呼び、頬や額、手足の関節部分などに赤く湿疹が広がることがあります。
感染症のリスク:かゆみによって掻きむしられることで、皮膚のバリアが破れ、細菌やウイルスの侵入を受けやすくなるためアトピー性皮膚炎では皮膚感染症を発症するリスクが高まります。
アトピー性皮膚炎を改善する上で目的とすることは、症状を軽くして薬もあまり必要ではない状態にし、症状によって支障が出ることがない日常生活を送れるようにすることです。
症状は軽い状態で続いている場合も、急に悪くなることがないようにし悪くなったとしても悪い症状が続かないようにすることが目標です。
アトピー性皮膚炎の改善方法は、薬と皮膚を清潔にして保湿をすることです。さらに、症状を悪化させる要因を調べて対策をすることも重要です。
炎症にはステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を使います。
皮膚を洗うときは、石けんを使い丁寧に洗うことが大切です。石鹸の成分が残らないようにしっかりとすすぐことも非常に大切です。
皮膚を洗うと皮膚のバリア機能で必要な皮脂も流れてしまいます。そのため、洗った後は保湿をすることが必要です。保湿には保湿剤を使い、皮膚が水分を持っている間に行います。
アトピー性皮膚炎では、皮膚がきれいになっているように見えても皮膚の深い部分に炎症が残っていることもあります。そのため、自己判断で改善をやめず、長い期間続けることが非常に大切です。
保湿:アトピー性皮膚炎は皮膚の乾燥が特徴的です。そのため保湿が重要です。保湿剤を毎日何回も塗布し、皮膚の水分を保持することで乾燥を防ぎます。保湿剤はクリームやローション、オイルなどさまざまなタイプがありますが、好みや肌質に合ったものを選ぶことが重要です。入浴後に保湿剤を塗布することで、入浴による水分の蒸発を防ぎます。保湿は、炎症の軽減やかゆみの抑制にも効果があります。
トピカルステロイド薬:トピカルステロイド薬は、アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるために広く使用される改善法です。ステロイド薬は濃度によってクラスが分けられ、軽度から重度の症状に応じて使用されます。ただし、ステロイド薬の長期間の連続使用や過剰な使用は、皮膚の薄くなりやすさやステロイド薬をやめるときの反跳現象を引き起こすリスクがあります。
タクロリムス軟膏やピメクロリムス軟膏:免疫抑制薬であり、トピカルステロイド薬が適切でない場合に使用されることがあります。これらの軟膏は炎症を抑える効果があり、かゆみや湿疹を軽減する効果が期待されます。ステロイド薬と比較して副作用が少なく、顔や皮膚の敏感な部位にも適しているとされています。
カルシネリン阻害薬:カルシネリンはアトピー性皮膚炎の炎症を引き起こす因子とされており、カルシネリン阻害薬はこれを阻害することで炎症を抑える効果が期待されます。これらの薬剤は抗炎症作用があり、ステロイド薬の代替として使用されることがあります。
免疫調節薬:アトピー性皮膚炎は免疫系の過剰反応が関与しているため、免疫調節薬の使用が検討されることがあります。免疫調節薬は、免疫反応を調整することで炎症を抑える効果がありますが、使用には注意が必要です。
抗ヒスタミン薬:かゆみを軽減するために、抗ヒスタミン薬が使用されることがあります。抗ヒスタミン薬はかゆみを抑える効果がありますが、アトピー性皮膚炎自体の改善には直接的には効果がありません。抗ヒスタミン薬は睡眠の質を改善することで生活の質を向上させることもあります。
バリア修復薬:アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下しているため、バリア修復薬の使用が検討されることがあります。これらの薬剤は皮膚のバリアを強化する効果があり、皮膚の乾燥を防ぎ、外部刺激からの保護を強化します。
UV法:アトピー性皮膚炎の改善に用いられる一つの手段です。特に重度の症状に対して、効果的とされており、UVB光線やUVA光線などの特定の波長の光を照射することで、皮膚の炎症を抑える効果があります。
食事法:食事法も重要なアプローチの一つです。特定の食品やアレルゲンに対してアレルギー反応を示す場合は、それらの食品を避けることで症状の改善が期待されます。また、抗酸化作用のある食品やオメガ-3脂肪酸を多く含む食品を摂取することで、炎症の軽減に寄与するとされています。
ストレス管理:ストレスはアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる要因の一つとされています。ストレスの増加は免疫系に影響を与え、かゆみや炎症を引き起こす物質の放出を促進することが知られています。
バリアプロテクト:アトピー性皮膚炎では外部刺激に対して敏感であるため、バリアプロテクトが重要です。肌を保護するために柔らかくて綿素材の衣類を選び、摩擦や刺激を避けるようにします。
睡眠と生活習慣:十分な睡眠は、免疫システムの正常な機能にとって重要です。アトピー性皮膚炎ではかゆみや痛みによって睡眠が妨げられることがありますが、睡眠不足は症状の悪化を招く可能性があります。規則的な生活リズムを保ち、ストレスを避けることで、睡眠の質を改善し症状の緩和に寄与することが期待されます。
アトピー性皮膚炎を悪化させる要因となる刺激は非常にたくさんあります。ダニやカビ、ほこり、石鹸や化粧水、金属や消毒液、汗や皮膚の汚れ、紫外線など日常生活の中に非常に多く存在しているのです。
さらに、引っ掻いたり擦ったりすることも皮膚へ刺激を与えアトピー性皮膚炎を悪化させる要因になります。皮膚の炎症が続くと強い痒みが続き、掻いてしまう炎症が悪化しバリア機能が下がり、より刺激を受けやすい状態になってしまうのです。
炎症が起きたらなるべく早く炎症を抑え、皮膚を保湿し潤いを保つためにスキンケアをしっかり行い、外部からの皮膚への刺激も減らすということがアトピー性皮膚炎の症状をコントロールするために非常に大切なのです。
この方は妊婦のためステロイドも免疫抑制剤も使えませんでした。そのため、明らかに鍼灸が効いたと立証されています。この方の場合、2回で完全に改善しました。
鍼灸は病院や整体、薬、ストレッチやリハビリなど色々なものを経てから来院される場所です。そのため鍼が効いたのか薬の効果なのか薬をやめたからなのかなど色々なことが考えられ、鍼灸のみで改善したということが立証されにくいです。
この方の場合、腰痛や肩こりに困っていたためマッサージ目的で施術をしていました。その時、左半分の顔のアトピーがひどくて気功に通っていることを聞きました。当時、無血刺絡という自律神経の施術の本を読んでいたためマッサージと一緒に鍼灸施術も行いました。
1週間後また依頼をいただき、訪問したところ、半分あったアトピーが4分の1くらいに減っていました。泣きながら喜んでいただき、その日もマッサージと無血刺絡を行ったところ2回で改善したのです。
アトピーには皮膚に常在している細菌やストレスなどさまざまな要因がありますが、基本的には自分の免疫細胞が自分の細胞を攻撃して炎症を起こしてしまうことで起こります。
鍼は免疫の暴走を落ち着かせることができます。西洋医学の考え方では炎症が起きているのを止めるためにステロイドを塗ったりひどい場合は免疫抑制剤で免疫の暴走自体を落ち着かせたりします。
ステロイドを塗ったり免疫抑制剤を使うと風邪をひきやすくなったり体自体が弱くなって髪の毛が抜けたりムーンフェイスになったり糖尿病になったり色々なダメージが大きいです。しかし、鍼灸は自分の力を使って免疫の暴走を落ち着かせる施術です。
鍼灸の1番の利点は1回落ち着かせると再発しないことです。実際この妊婦さんも出産後ハードな子育てでも左顔面のアトピーの症状は再発しませんでした。
鍼灸は免疫細胞の暴走を落ち着かせることもできるし元気のない時は盛り上げることもできる非常にメリットのある方法です。1回落ち着かせてしまえばなかなか暴走しません。自分の力で落ち着かせることができればそれに越したことはないのです。
鍼灸師は人が良くなっていく瞬間、人生が変わって好転する瞬間を見ていくことができるやりがいを感じる仕事だと思います。
・大椎
・曲池
・合谷
・腎兪
・足三里
・三陰交
大椎は督脈に属しているツボです。大椎は頭痛、咳、喘息、うつ、皮膚発疹などに効果があります。
解熱作用があるため、風邪を引いて熱が出ている時にも有効です。アレルギー体質の改善にも効果があるため、アトピー性皮膚炎に対しても効果が期待できます。
曲池は、肘にあるツボです。そのため、肘の痛みや手首の腱鞘炎などに効果的です。他にも、頭痛や眼精疲労、便秘や下痢などにも効果を発揮します。
さらに曲池は、美白に効果的なツボです。そのため、肌トラブルに対しての効果も期待できます。肌荒れやにきび、吹き出物、乾燥肌などの改善に有効で、アトピー性皮膚炎で起こる肌荒れにも効果が期待できると言えます。
合谷には、山の谷の下に広がる扇状の土地で山から扇状に広がった土地にむかって空気の流れが逃げるように、気をスムーズに流すという作用があります。
気を流すということは、血流の促進や余分な水分を外に出す働きをするため、さまざまな症状の改善に効果を発揮するのです。
頭痛や花粉症、難聴や歯痛、にきび、アトピー性皮膚炎、肩こり、いびき、風邪、イライラや不眠、めまいなど効果は非常に幅広いのです。
大椎は、頭を前に倒した時大きく飛び出る背骨の真下を押して痛みを感じる場所です。
押すときはゆっくりと押します。ホットタオルなどで温めることも効果的です。
曲池は、手のひらを上にして肘を曲げた時にできる横じわの線の上の外側の端にあります。
押すときは、肘を曲げて肘を掴むようにし、反対側の手の親指で骨の際を押します。自分で簡単に押せるツボであるため、気になった時に押すことをお勧めします。
合谷は、人差し指と親指の骨が交差するところのくぼみにあります。交差するところのツボですが、少し人差し指側に寄ったところにあります。
押すときは、爪を立てないように注意し、ツボに親指を当てて押します。力加減は、少し痛みを感じるくらいがお勧めです。