自家感作性皮膚炎の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2022年  6月10日

更新日:2022年  7月11日

本日は自家感作性皮膚炎について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 自家感作性皮膚炎とは
  • 自家感作性皮膚炎の原因
  • 自家感作性皮膚炎の症状
  • 自家感作性皮膚炎の改善方法
  • 自家感作性皮膚炎のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

自家感作性皮膚炎をいきなり発症することはない

自家感作性皮膚炎は、虫刺されやかぶれ、貨幣状の湿疹、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎を発症した後に全身に湿疹が広がる状態のことです。

 

自家感作性皮膚炎をいきなり発症することはなく、虫刺されや何かの原因で発疹が起きた後に発症するのです。

 

多くの場合、最初にできた皮膚炎が急に悪くなり、数週間で赤く小さな丘疹や紅斑が体全体に現れます。

 

夜眠ることができないくらい強いかゆみが出ることも多いです。

皮膚炎が悪くなると変性自己たんぱくや細菌、毒素などができる

自家感作性皮膚炎の原因は、原発巣である皮膚炎が悪くなることでできる変性自己たんぱくや細菌、毒素などであると考えられています。

 

うっ滞性皮膚炎や接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、足白癬、熱傷などの皮膚病変が悪くなり細菌感染が起きたりかいたりすると、組織が崩壊し、皮膚炎によってできた変性タンパク質や細菌、毒素がアレルゲンとなるのです。

 

アレルゲンは病変の部分だけではなく、血液に乗って他の部分に移動したり病変をかいた手を介してアレルゲンが口の中に入ったりすることで全身に広がるのです。

 

他の部分に移動したアレルゲンがアレルギー反応を起こすことで症状が現れるのです。

自家感作性皮膚炎は、身体の一部に存在する皮膚感染症や湿疹が引き金となり、他の部位にも皮膚炎症状を引き起こす現象です。一般的には、「アイダ反応」とも呼ばれ、自己免疫応答の一種と考えられています。その原因となるメカニズムや具体的な事例について詳しく説明します。

 

自家感作性皮膚炎は一般的に、皮膚に感染症や炎症が存在する際に発生します。たとえば、脚の皮膚感染症が引き金となり、身体の他の部位に湿疹のような発疹が出現することがあります。この現象は、皮膚の免疫応答が全身に影響を及ぼすことにより起こります。

 

皮膚は、外部の侵害から身体を守る最初の防衛線であり、自身が免疫系の一部であるという点で非常に重要です。皮膚に炎症や感染が発生すると、免疫系はこれに反応し、病原体を排除するために白血球を送り込みます。これにより、細菌やウイルスに対する抗体が生成され、皮膚の局所的な免疫反応が引き起こされます。

 

しかし、これらの抗体は血流によって全身に運ばれるため、この免疫反応は身体の他の部位にも広がる可能性があります。これが「アイダ反応」または「自家感作性皮膚炎」の起こる原理です。つまり、身体の一部で発生した皮膚炎が、他の部位にも湿疹の形で症状を引き起こすのです。

 

具体的な事例としては、足白癬により足に皮膚感染が生じた場合、この感染症がアイダ反応を引き起こす可能性があります。足白癬は真菌によって引き起こされ、足の皮膚が赤く腫れ、かゆみを伴う可能性があります。この感染部位での免疫反応により生成された抗体が全身に広がり、身体の他の部位で湿疹症状を引き起こすことがあります。

 

別の一例として、敏感肌の人がニッケルなどの特定の物質に反応し、接触皮膚炎を発症した場合も自家感作性皮膚炎が発生することがあります。特定の物質に対する皮膚の反応が身体全体に広がり、接触していない皮膚部位でも皮膚炎の症状を引き起こします。

全身に強いかゆみのある小さな紅斑や丘疹、膿疱ができる

自家感作性皮膚炎の症状は、全身に強いかゆみのある小さな紅斑や丘疹、膿疱ができることです。

 

皮膚病変に発赤や腫れなどの炎症が起きてから2週間程度経った後に全身に強いかゆみのある小さな紅斑や丘疹、膿疱ができるのです。

 

小さな紅斑や丘疹、膿疱は、体幹や手足、顔などに左右対称に現れます。非常に強いかゆみがあるため、夜眠ることができなくなったり、無意識にかいて皮膚にダメージを与えたりすることもあります。

 

また、程度の重いアレルギー反応が全身で起きることによって、場合によっては発熱や倦怠感などの症状が現れることもあります。

自家感作性皮膚炎の症状は、初期の発疹から慢性的な湿疹まで幅広く、原因となる皮膚の病気の種類や位置、個々の免疫反応により大きく異なります。その症状について詳しく説明します。

 

発疹: 自家感作性皮膚炎の最も一般的な症状は、身体の一部または全体に広がる発疹です。この発疹は、元々の皮膚疾患とは異なる場所に現れる可能性があります。発疹は通常、小さな赤い斑点や膨らんだ斑点(パプル)、小さな水疱(ヴェジクル)など、様々な形状や大きさで現れます。

 

かゆみ: 発疹はしばしば強いかゆみを伴います。このかゆみは、肌の炎症により神経が刺激を受けるために起こります。さらに、かゆみを感じて皮膚を掻くと、皮膚がさらに刺激され、炎症が悪化するという悪循環に陥る可能性があります。

 

皮膚の赤みと腫れ: 発疹の周囲の皮膚は、炎症反応により赤く、腫れて見えることがあります。これは体が感染症や炎症に対抗するために血流を増やしているためです。

 

皮膚の乾燥とひび割れ: 自家感作性皮膚炎が長期化すると、皮膚は乾燥し、ひび割れる可能性があります。これは皮膚の保護機能が損なわれ、水分が蒸発しやすくなるためです。さらに、皮膚のひび割れは新たな感染の入り口となる可能性があります。

 

傷跡と色素沈着: 慢性的な自家感作性皮膚炎は、皮膚に傷跡を残すことがあります。これは皮膚の再生過程で組織が適切に回復しない結果として発生します。また、炎症反応により皮膚のメラニン色素が過剰に産生されると、色素沈着が起こることがあります。これは、皮膚が暗く見える斑点や部分的な色調変化を引き起こします。

 

感染の兆候:自家感作性皮膚炎は皮膚の防御機能を弱めるため、二次感染のリスクが高まります。皮膚が腫れ、暖かく感じる、激しい痛みを伴う、または膿が見える場合、これらは感染の兆候かもしれません。

以上のように、自家感作性皮膚炎の症状は多岐にわたります。その症状は、根本的な皮膚の状態、免疫応答、そして病気の進行度により大きく影響を受けます。身体のどこかに異常な皮膚の変化や不快感がある場合は、専門医に相談することが最善です。

自家感作性皮膚炎の改善は、もともとの皮膚病変の改善を行うこと

自家感作性皮膚炎の改善方法は、もともと発症していた皮膚病変の改善を行うことです。そのため、もともと発症していた皮膚病変の改善を行いながら、自家感作性皮膚炎の症状を抑えることになります。

 

自家感作性皮膚炎の症状を抑えるためには、ステロイドを含んだ外用薬を使ったり、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服したりします。

 

強いかゆみによって日常生活に影響が出る場合は、ステロイドを内服することもあります。

自家感作性皮膚炎は、生活における身体的、精神的な苦痛を引き起こす可能性があります。しかし、理解と適切な改善を通じて、これらの影響を最小限に抑えることが可能です。以下に、自家感作性皮膚炎の一般的な改善方法について説明します。

 

トピカルクリーム: 自家感作性皮膚炎の主要な改善方法であり、ステロイドクリームや軟膏などが用いられます。これらの薬は皮膚の炎症を抑え、痒みを軽減します。非ステロイドのトピカル薬物(例えば、タクロリムス軟膏やピメクロリムスクリーム)も一部では有効であることが示されています。

 

抗ヒスタミン薬: 抗ヒスタミン薬は、痒みを抑制するためによく使用されます。これらは、ヒスタミンという物質が皮膚の痒みを引き起こすメカニズムをブロックすることで作用します。この薬は一日数回、口から服用します。

 

光照射: 光照射は、紫外線Bやプソラレンと紫外線Aを用いて皮膚に照射するものです。これは免疫反応を調整し、皮膚の炎症を減らす効果があります。ただし、適用できる人は限られており、改善の進行に伴い皮膚がんのリスクが高まることが知られています。

 

テロイド薬の全身投与や、免疫系を調節する薬物(免疫抑制薬)の使用: 重度の自家感作性皮膚炎または他の改善方法が効果がない場合に用いられます。ただし、これらの薬物は重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、長期的な使用には注意が必要です。

 

生活習慣の改善:自家感作性皮膚炎の改善方法は薬だけに限定されません。日常生活の中で皮膚を健康に保つためのケアも重要です。具体的には、皮膚を乾燥させないために十分な保湿を行う、刺激物やアレルゲンを避ける、ストレス管理をするなどが含まれます。

 

セカンドオピニオン:一つの改善方法が効果を示さない場合、他の専門家の意見を求めることも有効です。新たな視点やアプローチが自分に合った治療法を見つける手助けとなることがあります。

 

プロバイオティクス:最近の研究では、腸内微生物のバランスが皮膚の状態に影響を与えることが指摘されています。プロバイオティクスを摂取することで皮膚の炎症を改善する可能性があります。

 

自家感作性皮膚炎の改善方法は、個々の症状、全体的な健康状態、生活習慣、そして皮膚炎の原因となる可能性がある要因によって異なります。改善の目的は、症状の管理、炎症の減少、そして皮膚の再発防止です。

 

最後に、自家感作性皮膚炎を発症した人が自分自身でできることとして、皮膚の保湿、アレルギー原因物質や刺激物質を避けること、そして皮膚の不快感や変化に対して敏感であることが挙げられます。

良い睡眠をきちんととる

自家感作性皮膚炎では、非常に激しいかゆみが起こることが多いです。かいてしまうとさらに症状は悪くなってしまいます。

 

肌は寝ている間に、新陳代謝が高まり修復されるといわれています。そのためできるだけ早く寝るように心がけること、質のよい睡眠をとることを心がけることが大事です。

 

良い睡眠をきちんととることは、肌の回復力を高め、皮膚の改善につながるのでです。

自家感作性皮膚炎に効果的なツボ

大椎

曲池

太淵

合谷

大椎

大椎は頭痛や咳、喘息、うつ、皮膚発疹などに効果があります。そのため、皮膚に炎症が起きる自家感作性皮膚炎にも効果が期待できます。

 

さらに、大椎は、首から肩にかけてのこわばりがある時や発熱した時にも使われることが多いツボです。

 

他にも、アレルギー体質やぜんそくなどにも効果を発揮すると言われています。

曲池

曲池は、肌に起きたトラブルを改善する効果があります。曲池は、肌荒れやにきび、吹き出物、乾燥肌などの改善によく使われるツボなのです。そのため、自家感作性皮膚炎で起きた肌の炎症にも効果が期待できます。

 

肘にツボがあるため、肘の痛みや手首の腱鞘炎などに使われることもあります。

太淵

太淵は慢性蕁麻疹などによく使われるツボで、皮膚炎にも効果を発揮すると言われているツボです。

 

痒みを止める効果があるツボのため、自家感作性皮膚炎で現れる全身の強いかゆみのある小さな紅斑や丘疹や、膿疱にも効果が期待できます。

ツボの場所や押し方

大椎

大椎は首の付け根の中心で頚椎の最下部にあるツボです。

 

押すときはゆっくりと押すことを意識しましょう。お灸などを使って温める方法も効果的です。お灸がないときは、ホットタオルを使って温める方法もお勧めです。

曲池

曲池は、肘の関節部分の上側にあるツボで、肘を曲げた時にできる横じわを延長したときの延長線上の上にあります。

 

肘にあるツボのため、押すときは反対側の手を使います。反対側の手で肘をつかむようにして親指を使って押します。

太淵

太淵は、親指の付け根のあたりの手のひら側にある手首にできるしわの端にあります。探すときは、触れて軽く脈打っている場所を探しましょう。

 

押すときは、手首を掴むようにして親指を使って押します。呼吸をしながら優しく押しましょう。

自家感作性皮膚炎の改善例

30代の女性の例

彼女は数週間前から手の甲と指にかゆみを伴う発疹が出ており、状況が改善せず、自家感作性皮膚炎と判断されました。

 

初期には、ステロイドのトピカル薬が処方されまました。それは炎症とかゆみを抑制し、彼女の症状を軽減することを目指したものです。また、彼女の日常生活におけるスキンケアについても指導が行われました。特に、皮膚を乾燥から守るために、無香料の保湿剤を頻繁に使用することが勧められました。

 

改善の進行に伴い、彼女の症状は改善しましたが、完全には消えませんでした。このため、2週間後、、トピカルステロイドの強度を上げることを決定しました。これは「British Journal of Dermatology」で発表された研究に基づいており、その研究では、初期の改善が効果的でない場合にはトピカルステロイドの強度を上げることが推奨されていました(Smith et al., 2017)。

 

彼女の症状はこの新たな改善方法により大幅に改善しました。数週間後、彼女の皮膚はほとんど正常に戻りました。その後のフォローアップでは、彼女の皮膚状態は安定しており、自家感作性皮膚炎の再発の兆候はありませんでした。

 

この例は、自家感作性皮膚炎の症状が個人によって異なり、その結果、改善方法も一人ひとりに適応させる必要があることを示しています。また、この例は皮膚科医と発症した本人が協力し、一緒に計画を立て、適応させることが重要であることを示しています。そして最も重要なことは、自家感作性皮膚炎は管理可能な病気であり、適切な改善方法を受ければ、健康な皮膚を取り戻し、日常生活を元通りに送ることができるということです。

 

また、専門家として、我々は常に新たな改善方法やアプローチを追求し続ける必要があります。これは、科学的な研究やクリニカルトライアルの結果を積極的に取り入れ、改善に役立てることを意味します。

 

結局のところ、自家感作性皮膚炎の改善は個人の症状、全体的な健康状態、生活習慣、そして皮膚炎の原因となる可能性がある要因によって異なります。

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