胃痙攣の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  2月23日

更新日:2021年  5月15日

本日は胃痙攣について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 胃痙攣とは
  • 胃痙攣の症状
  • 胃痙攣の原因
  • 胃痙攣の改善方法
  • 胃痙攣と食事
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

胃痙攣は、胃が痙攣しているように感じること

胃痙攣は、胃の壁にある筋肉の層が異常に緊張して胃が震えるように痛みを起こし、痙攣しているように感じることです。

 

胃痙攣の主な症状は、食べ物を食べたり飲み物を飲んだりした時、みぞおち辺りに激しい痛みが起きることです。他にも、腹痛や吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振などの症状も起こることがあります。

胃痙攣の特徴は、痛みが急で、激しい痛みであることです。胃痙攣では、徐々に胃に痛みが起こっていくことはあまりないのです。

 

痛みの発作は、短い場合で数分程度、長い場合は1〜2時間程度続きます。中には、冷や汗をかいて動けなくなってしまうほどの痛みが起きることもあります。

胃痙攣の原因で1番多いものは、精神的なストレス

胃痙攣の原因で1番多いといわれているものは、精神的なストレスです。胃は元々ストレスに対して弱い臓器です。

 

そのため、長い時間にわたって強いストレスや緊張を感じてしまうと、胃に影響が出ることが多いです。急に強いストレスを感じることが原因で胃痙攣の症状が出ることがあるのです。

 

便秘が原因で胃痙攣が起こることもあります。便秘は、便が長い間体の中に溜まっている状態が続くことによって胃に負担がかかるため、胃痙攣につながるのです。

胃痙攣の原因はストレスだけではありません。胃痙攣の原因が病気にあることもあります。

 

胃の疾患である慢性胃炎や胃潰瘍、アニサキス症、胃がんなどが原因で胃痙攣が起こることや腹腔内の疾患である膵炎や虫垂炎、胃腸炎、胆嚢炎、胆管炎などが原因で胃痙攣が起こることがあるのです。

 

重篤な疾患で胃痙攣の症状がある疾患は、胃がんや急性膵炎、胆嚢炎、胆管炎などです。膵炎の場合みぞおちや背中の痛み、胆嚢炎や胆管炎の場合、右上の腹部の痛みや高熱胃がんの場合吐血などの症状が胃痙攣の他に現れます。

胃痙攣は、胃の筋肉が適切に機能せずに強く収縮する状態を指します。この症状は非常に不快で、強い胃痛や消化不良といった症状を引き起こす可能性があります。今回は、胃痙攣が起こる主な原因について詳しく解説します。

 

ストレス: ストレスは胃痙攣の一般的な原因であり、精神的な緊張や過剰なストレスが胃の筋肉の異常な収縮を引き起こすことがあります。ストレスは自律神経を刺激し、これが胃の筋肉の運動をコントロールする神経系に影響を及ぼすことが研究で示されています。

 

飲食の影響: 適量を超えて食べる、または特定の食品や飲料を摂取することも胃痙攣を引き起こす可能性があります。特にカフェインやアルコール、脂肪分の高い食事、スパイシーな食事などは胃痙攣のリスクを増加させる可能性があります。

 

薬物の影響: 一部の薬物は胃の筋肉の動きに影響を及ぼし、胃痙攣を引き起こす可能性があります。特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や一部の抗生物質、抗うつ薬などは胃に負担をかける可能性があります。

 

胃腸の病気: 胃痙攣は胃腸の病気、例えば胃潰瘍や胃炎、胃がんなどによっても引き起こされることがあります。これらの病気は胃の組織を損傷し、それが胃痙攣を引き起こす可能性があります。

 

神経系の病気: 一部の神経系の病気や神経、筋の病気、例えばパーキンソン病や多発性硬化症(MS)は、胃の筋肉の動きを制御する神経を影響を及ぼし、胃痙攣を引き起こす可能性があります。神経系の異常が胃の筋肉の協調性を損ない、不規則な収縮や痙攣を引き起こすことが考えられます。

 

ホルモン変動: 特に女性では、月経周期中のホルモンレベルの変動が胃痙攣を引き起こす可能性があります。特にプロゲステロンとエストロゲンのレベルが高まる時期に胃の問題が増加する傾向があります。

 

運動後の胃痙攣: 運動直後に大量の食事を摂取すると、血液が消化器官から筋肉へ移動し、これにより胃痙攣が引き起こされることがあります。また、高強度の運動は胃の血流を減少させ、胃の筋肉の働きを阻害することがあります。

 

以上が主な胃痙攣の原因です。ただし、これらの原因は全てに当てはまるわけではありません。胃痙攣の原因は個々の健康状態、ライフスタイル、遺伝的要因などにより異なります。

胃痙攣の特徴は急に激しく胃が痛むこと

胃痙攣は病名ではなく、症状です。胃痙攣では、激しい胃の痛みや悪心、嘔吐などが起きます。

 

胃痙攣の特徴は急に激しく胃が痛むことです。症状が長く続く、吐血などの症状がある、という場合は注意が必要です。

胃痙攣が起こった際、原因を調べる時、まず初めに行われる手軽なものは腹部エコーです。
 
腹部エコーでは、疼痛などがなく継時的にその場ですぐに腹腔の中を観察することができます。腹水があるかどうか見ることで重篤な疾患と鑑別して原因を探すことができます。
 
胃痙攣の原因を調べるために1番有効な方法は、胃カメラです。
 
胃カメラは、胃がんなどの病気が疑われる時、確定するためにも良い方法です。腹部エコーに比べて疼痛があり、事前に胃の中を空にするなどの準備が必要です。

胃痙攣は、胃の筋肉が不規則に収縮する状態を指します。これにより、一連の症状が引き起こされる可能性があります。以下では、胃痙攣によく見られる症状について詳細に説明します。

 

胃痛: 胃痙攣の最も一般的な症状は、胃痛です。胃痙攣の際には、胃の筋肉が不規則に収縮し、その結果、強い痛みが生じることがあります。痛みはしばしば鈍い痛みで、胃の中心部または上部に集中します。痛みは一過性のものであることもありますが、長時間続くこともあります。

 

満腹感: 胃痙攣は、食事の直後でもないにもかかわらず、胃が満たされているかのような感覚を引き起こすことがあります。これは、胃の筋肉が適切にリラックスしないため、食物が胃を通過するのが難しくなるからです。

 

消化不良: 胃の筋肉の異常な収縮は、食物の胃から腸への移動を遅らせ、これにより消化不良を引き起こすことがあります。これは、腹部の不快感、胃酸逆流、胸焼け、嘔吐などの形で現れることがあります。

 

食欲不振: 胃痙攣による痛みや不快感は、食事に対する欲求を減少させることがあります。食欲不振は特に痛みが慢性化した場合や、胃痙攣が頻繁に起こる場合に見られます。

 

体重減少: 長期的な胃痙攣は、食事量の減少や消化不良により体重減少を引き起こすことがあります。これは、特に症状が慢性化し、食欲不振が続いた場合に起こります。

 

不安や恐怖: 胃痙攣の症状はしばしば不安や恐怖を引き起こします。胃痛や消化不良は日常生活に影響を及ぼすことがあり、これが精神的ストレスを引き起こすことがあります。特に未診断の場合や症状が慢性化する場合には、これらの感情が増大することがあります。

 

便秘または下痢: 胃痙攣は胃の動きに影響を及ぼすだけでなく、腸の動きにも影響を及ぼす可能性があります。これは、便秘や下痢といった消化器系の他の問題を引き起こす可能性があります。

これらが胃痙攣の主な症状ですが人により症状は異なります。一部では症状が比較的軽微で、他の人では重度の症状を経験する可能性があります。症状の程度は、胃痙攣の原因や個々の体質により異なります。

ブスコパンやストロカイン、漢方などの薬を使って症状を抑える

胃痙攣が起こった時には、ブスコパンやストロカイン、漢方などの薬を使って症状を抑えます。過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなどで胃痙攣が起こっている場合や原因不明の胃痙攣の場合は、このような薬だけで改善することも多いです。

 

痛みを抑えるために、自分の判断で市販の痛み止めを使った場合、反対に症状が悪くなることもあります。必ず病院にいきましょう。

胃痙攣の原因となっている病気が明らかになっている場合、原因となっている疾患に合わせて改善を行います。

 

アニサキス症の場合は、胃カメラでアニサキスを取り除いて改善を行います。胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の場合は、胃酸を抑える薬を使う、胃がんの場合は胃がんの状態に合わせて内視鏡や手術、抗がん剤などを使って改善を行い、胆石症の場合は、薬や内視鏡で胆石を摘出することで改善を行うのです。

胃痙攣は不快な症状を引き起こすことがありますが、幸いなことに、様々な改善法が存在します。以下に、胃痙攣を対処するための一般的な改善法を詳細に説明します。

 

ライフスタイルの変化: 胃痙攣の初期段階では、ライフスタイルの変更が非常に有効な改善法であることがわかっています。飲食の改善、適度な運動、ストレス管理がこれに当たります。特に、カフェインやアルコール、辛い食品、脂肪分の多い食品などを控えることで、胃痙攣の症状が軽減されることが多いです。

 

薬: 一部では、筋肉弛緩剤や鎮痛剤が処方されることがあります。これらの薬物は、胃の筋肉をリラックスさせ、痛みを軽減することで胃痙攣の症状を和らげます。ただし、これらの薬物は医師の指導のもとで適切に使用する必要があります。

 

心理的な介入: ストレスや不安が胃痙攣の一因である場合、心理的な介入は非常に効果的な方法となる可能性があります。この方法はストレスを管理し、リラクゼーションテクニックを学ぶのを助けます。特にCBTは、慢性的な胃痙攣に対して有効な方法として知られています。

 

代替法: 一部では、ヨガや瞑想、アクパンクチャー、マッサージなどの代替法が有効であると報告されています。これらの方法は全体的なリラクゼーションを促進し、ストレスを軽減することで胃痙攣の症状を和らげる可能性があります。

 

栄養: 栄養士やダイエチシャンと働き、食事計画を立てることも胃痙攣の改善法として考えられます。食物が胃を通過する速度を制御するため、食事の内容やタイミングを調整することで症状を管理することが可能です。高繊維食品、食物酵素の補給、食事の小分けなどが一部です。

 

物理的な方法: 特定の体操やストレッチングが胃痙攣に有効であることが示されています。これらは胃の筋肉を弛緩させ、胃の動きを改善し、症状を和らげることがあります。物理療法士や医師の指導の下で、これらのエクササイズを安全に行うことが重要です。

以上が一般的な胃痙攣の改善法ですが、個々の症状や胃痙攣の原因により、改善法は異なります。そのため、改善法を選択する際には専門家と相談し、適切な計画を立てることが重要です。

 

また、いくつかの方法を組み合わせることで、より効果的な結果を得ることが可能です。例えば、薬と心理的な方法を組み合わせたり、ライフスタイルの変更と代替法を組み合わせたりすることがあります。

胃痙攣が起こった時に注意すること

胃痙攣が起こってしまった時は、食事に注意が必要です。できるだけ柔らかくて胃に優しいものを食べるようにしましょう。

 

胃痙攣が起きるということは、胃に対して何かの負担がかかっているということです。胃が炎症を起こしている可能性や圧迫されている可能性も十分にあります。

 

そのため、できるだけ負担をかけないように胃に優しい食事を心がけることが大切です。

刺激になるものはできるだけ避けることも大切です。

 

食事をする際の調味料などにも注意してください。スパイスのような辛い調味料はできるだけ避けるようにしましょう。辛いものと同じく、酸味の強いものやカフェインなどの刺激物にも注意してください。

 

脂っこいものや塩分が多いものも控えることをお勧めします。アルコールを飲む場合は、適量にして飲み過ぎないようにすることが大事です。

胃痙攣に効果的なツボ

膈兪

・巨闕

・肝兪

・胆兪

・脾兪

・胃兪

・不容

・中脘

・合谷

・足三里

・三陰交

膈兪

膈兪の膈は胸とお腹を分けるという意味があり横隔膜のことを指しています。膈兪の兪は注ぐ、めぐるという意味があります。膈兪は、横隔膜に活動エネルギーが注ぐ場所という意味のツボなのです。

 

膈兪は、横隔膜の変調を調整する働きがあります。横隔膜の変調を調整するということによって胃痙攣に対して改善が期待できるのです。さらに、しゃっくりを止める効果も期待できます。

 

他にも、気管支喘息や喘息、嚥下困難、吐血や胃酸過多症、手足のしびれや感覚異常の改善にも使われます。

巨闕

巨闕は、胸焼けや吐き気、食欲不振などの胃の不調を和らげる効果があります。胸焼けを感じたときや胃の不快を感じたとき、胸から胃の辺りをさする行動をすることが多いと思います。

 

巨闕は、さすっている近くであるみぞおちの下にあるツボです。胃の不調だけではなく、他にもストレスや疲れ、肩こりなどにも効果的であると言われています。

肝兪

肝兪は、精神を司るツボと言われており、ストレスを解消する働きがあります。イライラした時や怒りがおさまらない時など気持ちがたかぶっているとき、気持ちを静めてくれるのです。

 

さらに、疲れている時に肝兪を刺激することで疲れが和らぐ効果も期待できます。

中見出し

膈兪

膈兪は、両方の肩甲骨の一番下を結んだ線上で、背骨から3cm程外側にあるツボです。

 

背中は手が届きにくいため、押すときはソフトボールなどを使って押すと押しやすいです。仰向けになり、ベッドと背中の間にボールを入れてゆっくりと押しましょう。

巨闕

巨闕は、巨闕はみぞおちから指二本分くらい下がったところにあるツボです。

 

胸の不快感がある時は、手の平で優しく押すことがおすすめです。押すときはゆっくりと深い呼吸を意識すると、リラックス効果が高まりより効果的です。お灸もおすすめです。

肝兪

肝兪は、肩甲骨の下のラインから指3本分下の背骨から指2本分外側にあります。

 

自分では押しにくいため、家族やパートナーなど他の人に押してもらうことをお勧めします。押してもらう側は、椅子や畳に座り、膝を抱えて体を前かがみにし、 押す側は相手の背中に両方の手の平をつき、左右同時に押します。

胃痙攣の改善例

胃痙攣の改善方法は、個々の症状、生活スタイル、ストレスレベルなど、個々の状況によって異なります。以下に、胃痙攣の治療の実例を紹介します。

 

ライフスタイルの変更: 『The American Journal of Gastroenterology』に掲載された研究によると、飲食の改善、適度な運動、ストレス管理の3つのライフスタイルの変更は胃痙攣の症状の軽減に有効であると報告されています(Shah et al., 2018)。この研究では、辛い食品やアルコール、カフェイン、過度の脂肪食を避けると、多くの患者が症状の改善を報告しています。

 

薬: "Gastroenterology"の論文では、筋肉弛緩剤と抗スパスモディック薬が胃痙攣の症状を和らげるのに効果的であると結論づけられています(Chang et al., 2018)。これらの薬物は胃の筋肉をリラックスさせ、痙攣を軽減します。ただし、これらの薬物は医師の指導のもとで適切に使用する必要があります。

 

心理的介入: "Clinical Gastroenterology and Hepatology"の研究によれば、CBTは胃痙攣の症状を軽減する有効な手段であると示されています(Lackner et al., 2018)。CBTは、ストレスや不安を管理するための技術を提供します。

 

代替法: "Journal of Clinical Gastroenterology"に掲載された研究によれば、ヨガや瞑想が胃痙攣の症状の管理に有効であると示されています(Schumann et al., 2017)。これらのテクニックは、ストレスを軽減し、全体的なリラクゼーションを促進します。

 

改善法は人によって異なり、個々のニーズに合わせてカスタマイズされる必要があります。

 

栄養法: 栄養士との協働が胃痙攣の症状を改善するという事例が、"Nutrition in Clinical Practice"に掲載されています(Austin et al., 2018)。特定の食物が症状を誘発する場合、栄養士が作成する個別化された食事プランが効果的です。また、食事のタイミングや食べ方を変更することも、食事と痙攣の間の関連性を軽減するのに役立ちます。

 

物理法: 特定のストレッチングエクササイズが胃痙攣の症状を軽減するという事例が、"Physical Therapy in Sport"に掲載されています(Simons et al., 2019)。これらのエクササイズは胃の筋肉の緊張を和らげ、胃の動きを改善し、痙攣の頻度と強度を減らすのに役立つとされています。

 

以上のように、様々な方法がありますが、個々の症状や体調により、適切な改善法は変わります。

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