公開日:2021年 6月 2日
更新日:2022年 2月26日
本日は乳糖不耐症について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
乳糖不耐症の原因は、ラクターゼという消化酵素が欠乏していることです。
ラクターゼは、牛乳の中に含まれる乳糖を消化吸収するために分解する消化酵素です。ラクターゼの分泌が小腸で足りなくなったり欠乏したりすることによって乳糖が消化できなくなるのです。
乳糖不耐症は、体が乳糖という糖分を適切に消化できない状態を指します。乳糖は乳製品に自然に含まれている糖分で、乳糖を分解して体が吸収できる形にするためにはラクターゼという酵素が必要です。乳糖不耐症の主な原因は、このラクターゼの不足や欠如です。
乳糖不耐症の一般的な原因は次の3つに分けられます:
遺伝的要因: 乳糖不耐症は遺伝的な特徴として発生することがあります。これは一次的乳糖不耐症とも呼ばれ、特定の遺伝子の組み合わせにより生じます。この症状は通常、乳児期を終えると徐々に現れます。これはラクターゼ活性が乳児期にピークを迎え、その後少しずつ減少していくためです。
小腸の損傷: 二次的乳糖不耐症は、小腸が病気や外傷によって損傷を受け、ラクターゼの生産が阻害されると発生します。セリアック病や炎症性腸疾患などの慢性的な病状、あるいは一時的な腸の感染症などが原因となることがあります。
発育要因: いくつかの研究では、未熟児(早産児)は乳糖を分解する酵素が十分に発達していないため、一時的な乳糖不耐症を示すことがあると指摘しています。これは通常、小腸が成長し、ラクターゼの生成が増えるにつれて改善します。
これらの原因により、乳糖が小腸で適切に分解・吸収されず、そのまま大腸に到達します。大腸では乳糖が細菌によって発酵され、ガスや他の化学物質が生成されます。これが乳糖不耐症の一般的な症状(腹痛、腹部膨満感、ガス、下痢など)を引き起こします。
また、人種や民族によっても乳糖不耐症の発生率に差が見られます。アジア系やアフリカ系、南ヨーロッパ系、ネイティブアメリカンの成人では、乳糖不耐症が高い割合で見られます。これは、これらの集団が乳製品を含む食事を伝統的に摂取しないため、ラクターゼの活性が低下しやすいと考えられています。
さらに、加齢に伴う乳糖不耐症の発生も報告されています。これは、ラクターゼの生産が年齢とともに自然に低下するためです。しかし、これは個々の遺伝的要素、飲食習慣、全般的な健康状態などに大きく影響されます。
乳糖不耐症の症状は、下痢や腹部の膨満、おなら、腹部のけいれん痛、吐き気、酸性便などです。乳児の場合、体重がなかなか増えないという症状が現れることもあります。
乳糖不耐症の症状は、人によって大きく差があります。少しであれば飲むことができてもたくさんの量を飲むと症状が現れるという人やホットミルクは飲むことができても冷たいミルクを飲むと症状が現れる人もいます。
乳糖不耐症の症状は、消化器系に主に現れ、人によってその程度は異なります。症状は乳糖を摂取した後、通常30分から2時間以内に発生します。また、症状の強さは摂取した乳糖の量や体が乳糖をどれだけ吸収できるかによっても左右されます。
以下に乳糖不耐症の主な症状を列挙します:
腹痛:乳糖が小腸で適切に消化・吸収されないと、大腸で細菌によって発酵されます。これが腹痛を引き起こす主な原因です。
腹部膨満感:未消化の乳糖が大腸で発酵すると、ガスが発生します。これが腹部膨満感を引き起こします。
ガス:乳糖の発酵により生成されるガスは、放屁として体外に排出されます。
下痢:乳糖は水を引きつける性質があります。そのため、大腸に到達した乳糖は水を引きつけ、液体の便を引き起こします。
吐き気:吐き気や嘔吐は、乳糖不耐症の症状として珍しくはありません。これは特に大量の乳製品を摂取した場合に発生する可能性があります。
これらの症状は他の消化器系の病気とも共通しているため、症状だけから乳糖不耐症を判断することは難しい場合があります。乳糖不耐症を疑う場合は、専門家に相談し、適切なテストを受けることが重要です。
乳糖不耐症の改善方法は、乳糖を避けることと、ラクターゼのサプリメントを使うことです。
乳糖不耐症はは、食事を見直すことで症状をコントロールすることができます。乳糖を含む食べものを控えるようにしましょう。主に乳製品を摂らないようにすることで症状をコントロールすることができます。
ヨーグルトには乳酸桿菌が産生するラクターゼが天然で含まれているため、ヨーグルトを摂ることができる人が多いです。さらに、テーズも摂ることができる人は多いです。これは、チーズに含まれる乳糖の量は牛乳より少ないためです。
乳製品の摂取を控えて症状をコントロールする場合は、カルシウムが足りなくなりやすいため、カルシウムのサプリメントを摂ることが大事です。
乳糖不耐症の改善は主にライフスタイルの変更、特に飲食習慣の見直しによって行われます。以下、乳糖不耐症の改善法について詳しく説明します。
飲食習慣の変更:乳糖不耐症の主な改善法は、乳糖を含む食品の摂取を制限することです。これには乳製品だけでなく、乳糖を含む加工食品も含まれます。また、一部の乳糖不耐症の人は、乳製品を他の食事と一緒に摂取することで症状を軽減できることがあります。乳製品の摂取を減らすと、カルシウムやビタミンDなどの栄養素が不足する可能性があるため、その他の食品やサプリメントからこれらの栄養素を補うことが重要です。
乳糖分解酵素の摂取:市販の乳糖分解酵素(ラクターゼ)サプリメントを使用することで、乳糖の消化を助け、症状を軽減することができます。これらのサプリメントは、乳製品を摂取する前に服用することで最も効果的です。
乳糖低減乳製品の利用:乳糖を事前に分解して含む乳製品もあります。これらの製品は乳糖不耐症の人にとってより消化しやすい選択肢となります。
栄養相談:乳糖不耐症の人は、栄養士や専門家と相談することで、乳糖を制限しつつ栄養バランスの良い食事を計画することが可能です。
薬物療法:乳糖不耐症の症状が重度で、他の改善方法で症状が改善しない場合、医師は薬を検討する場合があります。しかし、これは一般的な選択肢ではありません。
最後に、乳糖不耐症の改善方法は個々の症状や体の反応によります。全ての乳製品を避ける必要はなく、多くの人々は少量の乳糖を問題なく摂取できます。自分がどの程度の乳糖を耐えられるかを見つけるには試行錯誤が必要で、それは個々人の消化システムの違いによるものです。
症状を管理するためには、自分がどの食品をどの程度消化できるかを理解することが重要です。これは食事日記をつけることで助けることができます。食事日記には何をどの程度食べ、それに続くどのような症状が出たかを記録します。これにより、特定の食品が症状を引き起こすパターンを見つけることができます。
乳製品を排除または大幅に制限すると、カルシウム、ビタミンD、リボフラビン、タンパク質などの重要な栄養素が不足する可能性があります。そのため、これらの栄養素を他の食品から取得する方法を見つけることが重要です。カルシウムは、緑の葉物野菜、オレンジジュース、シリアル、豆類などから摂取することができます。また、ビタミンDはサプリメントや日光からも得ることができます。
乳糖不耐症の改善は、個々の体質や生活習慣に大きく依存します。自分自身で管理できる場合もありますが、それが難しい場合や、症状が続く場合は専門家に相談することが重要です。また、乳糖不耐症の症状は他の消化器系の病気の症状とも重なることがあるため、自分で判断せず、専門的な判断を受けることが推奨されます。
牛乳アレルギーも乳糖不耐症も牛乳を飲むと腹痛や下痢などの症状が出るという点は似ています。しかし、牛乳アレルギーは食物アレルギーのひとつで、原因となる食物を摂った後、アレルギー反応が起こり症状が現れます。
お腹がごろごろしにくい牛乳を飲んだとき、症状がでにくい場合は牛乳アレルギーではなく乳糖不耐症です。わからない場合や気になる症状がある場合は病院に行くことをお勧めします。
・天枢
・公孫
・合谷
天枢は、消化器系や泌尿器系の機能を促す効果があります。胃もたれや消化不良、食べすぎや飲みすぎのときにおすすめのツボです。
慢性の便秘や下痢にも効果的であるため、乳糖不耐症の症状が現れたとき、症状を軽くする効果が期待できます。
公孫は、脾経に属するツボで、消化器系に対する症状に効果的です。
中でも、嘔吐や胃のむかつき、胃の痛みや食欲不振に有効であるとされています。そのため、刺激をすることで乳糖不耐症の症状を軽くすることが期待できます。
他にノイローゼや倦怠感などの症状にも効果的です。
合谷は、疲れ目や肩こりなどの首から上の疲れに効果を発揮するツボです。さらに、自律神経の乱れを正しい状態にして気持ちを落ち着かせる効果もあります。
下痢や嘔吐、腹痛や月経痛、風邪など幅広い症状に対して有効であるとされているため、乳糖不耐症によって現れる症状の改善にも効果が期待できると言えます。
天枢の場所は、へそから指3本分外側に進んだところです。左右両側にあります。
押すときは、人差し指と中指と薬指の指の腹で押します。力加減は弱めの力で押しましょう。ゆっくりと呼吸をしながら押すことをお勧めします。
公孫の場所は、足の親指の内側にある出っ張っている骨の際のくぼみから足首に向かって親指1本分進んだところです。
押すときは親指の腹でゆっくり押します。押すだけではなく、お灸も効果的です。
合谷の場所は、親指と人差し指が分かれている部分のくぼみです。
押すときは、親指で少し痛みを感じるくらいの力加減で押します。ゆっくり押してゆっくり離すことがポイントです。
乳糖不耐症を発症している人に対して行った実際の改善の一例を以下に示します。
・40歳の女性
彼女は過去数ヶ月間、腹痛、ガス、腹部膨満感、下痢の症状に悩まされていました。これらの症状は主に食後に現れ、特に乳製品を飲食した後に強くなる傾向があり、乳糖不耐症であると判断しました。
まず、乳糖を多く含む食品を避けるようにアドバイスしました。また、カルシウムやビタミンDの不足を防ぐために、乳製品以外の食品からこれらの栄養素を摂取する方法についても説明しました。
さらに、彼女には乳糖分解酵素(ラクターゼ)のサプリメントの利用を勧めました。これらのサプリメントは、乳製品を飲食する前に服用することで、乳糖の消化を助け、症状を軽減することができます。
彼女はこれらのアドバイスを実践し、数週間後のフォローアップ時には症状が大幅に改善していました。彼女は乳糖を制限する飲食習慣の変更により、症状を管理できるようになったのです。その結果、彼女の日常生活の質が向上し、特に食事後の不快感が軽減されたと報告していました。
また、彼女は乳製品以外から必要な栄養素を摂取するための新たな食事メニューを見つけることができました。例えば、カルシウムはアーモンドミルクや緑の葉物野菜から、ビタミンDは日光浴やサプリメントから取得するようになりました。
彼女は、初めて乳製品を摂取する際にはラクターゼサプリメントを服用するという方法も試しました。これにより、彼女は少量の乳製品を摂取した場合でも症状を抑制することができ、その生活の選択肢が広がりました。
このケーススタディは、乳糖不耐症の判断と改善がどのように行われるかを示しています。まず、症状と食事パターンを詳しく聞き、乳糖不耐症の可能性があると思われる場合には、呼気水素テストなどを行います。乳糖不耐症であると確定したら、乳糖の制限、乳糖分解酵素の補給、必要な栄養素の補給などの改善法を検討します。