貨幣状皮膚炎の鍼灸【原因・定義・症状】

☆本記事の内容

• 貨幣状皮膚炎とは
• 貨幣状皮膚炎の原因
• 貨幣状皮膚炎の症状
• 貨幣状皮膚炎の改善方法
• 貨幣状皮膚炎のまとめ

目次

• 貨幣状湿疹は、境界線のはっきりした湿疹がたくさんできる病気
• 乾燥や虫刺され、かぶれなどがきっかけで発症することが多い
• 貨幣状皮膚炎の症状は、強いかゆみのある湿疹ができること
• 貨幣状湿疹の基本的な改善方法は、ステロイド外用剤を使うこと
• 適切に改善を行わなければ悪くなることも多い
• 貨幣状皮膚炎に効果的なツボ
• 貨幣状皮膚炎の改善例

貨幣状湿疹は、境界線のはっきりした湿疹がたくさんできる病気です。貨幣状湿疹でできる湿疹は、直径1～5cm程度の比較的大きな円の形をしています。

貨幣状湿疹でできる湿疹には、強いかゆみがあります。さらに、掻くことで湿疹が広がっていきます。湿疹ができやすい場所は、腕や脚、腹部の周りや臀部などです。

特に、乾燥する季節である冬に発症することが多いです。

貨幣状皮膚炎（Nummular Dermatitis）は、一般的な皮膚の病気の一つであり、円形や貨幣状の発疹が特徴的な病気です。この皮膚炎は、かゆみや炎症を伴い、しばしば慢性的な経過をたどることがあります。原因は複雑で、遺伝的要因や環境要因、アレルギー反応などが関与していると考えられています。以下に、貨幣状皮膚炎の原因について詳しく説明します。

皮膚バリアの障害:

貨幣状皮膚炎の発症には、皮膚バリアの障害が関与していると考えられています。皮膚は本来、外部からの刺激や病原体を防ぐバリアとして機能していますが、さまざまな要因によりバリア機能が低下すると、外部刺激に対する感受性が高まり、炎症が引き起こされます。貨幣状皮膚炎では、特に皮脂腺の機能低下が関与するとされています。

アレルギー反応:

貨幣状皮膚炎の一部の症例では、アレルギー反応が原因となることがあります。特定のアレルゲンに対する過敏反応が引き起こされ、皮膚の炎症が生じることが考えられます。一般的なアレルゲンとしては、花粉、ダニ、動物の毛などが挙げられますが、個人差があります。

乾燥:

皮膚が乾燥することも、貨幣状皮膚炎の原因として挙げられます。特に寒冷地や乾燥した気候の地域に住んでいる人や、冬季に炎症が悪化することが多いです。乾燥により皮膚のバリア機能が低下し、刺激物質が侵入しやすくなることで、皮膚炎が発症する可能性が高まります。

ストレス:

ストレスは皮膚疾患に対して影響を及ぼす要因の一つです。貨幣状皮膚炎もストレスがトリガーとなって発症することがあります。ストレスにより自律神経のバランスが崩れ、免疫システムが影響を受けることで皮膚炎が悪化するとされています。

遺伝的要因:

貨幣状皮膚炎は遺伝的な要因も関与していると考えられています。家族歴に貨幣状皮膚炎がある場合、同様の病気が発症するリスクが高まることがあります。遺伝子の変異が皮膚のバリア機能に影響を及ぼすことで、貨幣状皮膚炎が発症する可能性が考えられています。

免疫系の異常:

貨幣状皮膚炎の一部の症例では、免疫系の異常が原因とされることがあります。自己免疫反応により、健康な細胞が攻撃され、皮膚炎が引き起こされる可能性が考えられます。ただし、免疫異常による貨幣状皮膚炎は比較的まれなケースとされています。

紫外線曝露:

紫外線は皮膚に対してダメージを与える可能性があります。一部の貨幣状皮膚炎では、紫外線曝露が炎症を引き起こす要因となることが考えられています。特に紫外線A（UVA）が皮膚の炎症を悪化させるとされています。

これらの原因が複合的に絡み合い、貨幣状皮膚炎が発症するとされています。ただし、個々によって原因が異なるため、適切な改善を行うためには詳しく調べて判断することが重要となります。また、適切な予防策やケアを行うことで、貨幣状皮膚炎の症状を軽減させることがあります。

貨幣状皮膚炎（Nummular Dermatitis）は、円形または貨幣状の皮疹が特徴的な皮膚の病気であり、しばしばかゆみを伴います。この症状は非常に不快であり、日常生活に多くの制約をもたらすことがあります。

貨幣状皮疹の発症:

貨幣状皮膚炎は、円形または楕円形の皮疹が皮膚表面に現れることから名前がつけられました。これらの発疹はしばしば直径1cmから4cm程度で、縁がやや盛り上がっていることが特徴的です。色は赤褐色から黄褐色で、周囲には軽度の炎症が見られることがあります。症状が重い場合は、数十個から数百個の発疹が同時に現れることがあります。

かゆみと炎症:

貨幣状皮膚炎は、しばしば激しいかゆみを伴います。発疹が現れると同時に、周囲の皮膚が赤く腫れることがあり、かゆみが増強します。かゆみによって皮膚を掻くことで、炎症が悪化することがあります。このような場合、発疹の周囲が湿疹や水疱で覆われることがあります。

対称性のある皮疹:

貨幣状皮膚炎の皮疹は一般的に対称性を持ちます。すなわち、左右対称の部位に同じような位置に発疹が現れることがあります。両足や両手、胸部などがよく見られる部位です。

慢性的な経過:

貨幣状皮膚炎は一般的に慢性的な経過をたどることがあります。つまり、発疹が長期間にわたって持続することがあり、再発や症状の悪化が見られる場合もあります。特にかゆみによって発疹を掻いてしまうと、新たな皮疹が発生することがあるため、注意が必要です。

乾燥や剥離:

貨幣状皮膚炎の皮疹が現れる部位は、しばしば乾燥していることがあります。皮膚のバリア機能が低下するため、水分が保持されにくくなります。そのため、発疹が乾燥し、かさぶたや皮膚の剥離が見られることがあります。

感染のリスク:

かゆみによって発疹を掻いてしまうと、皮膚の表面が傷つき、細菌や真菌の感染のリスクが高まります。感染が起こると、皮疹が悪化し、炎症が増強することがあります。

精神的な影響:

貨幣状皮膚炎は、激しいかゆみや炎症によって患者の生活に影響を及ぼすことがあります。かゆみによる不眠やイライラ、皮膚の見た目によるコンプレックスなど、精神的な負担が大きくなることがあります。

これらの症状によって、貨幣状皮膚炎は非常に辛い病気となることがあります。

貨幣状湿疹の基本的な改善方法は、ステロイド外用剤を使うことです。貨幣状湿疹の中には、真菌による感染症など他の皮膚の病気との判別が難しいこともあります。そのような場合は、病変部の組織を調べることもあります。

貨幣状湿疹は、虫刺されやかぶれを掻くことがきっかけで起こることも多いです。虫刺されやかぶれなどが起こったときは、充分な強さのステロイド外用剤を塗り、掻かないようにすることが非常に重要になります。

貨幣状皮膚炎（Nummular Dermatitis）の改善法は、症状の重症度や原因、個人の特性によって異なります。一般的に、貨幣状皮膚炎の改善には症状に対する対処と原因の改善の両方を含みます。

保湿:

貨幣状皮膚炎の改善には、皮膚の乾燥を改善する保湿が重要です。乾燥した皮膚は炎症を悪化させる要因となりますので、保湿剤や保湿クリームを定期的に塗布して皮膚を潤すことが推奨されます。特に入浴後や手を洗った後に保湿を行うことで、水分を閉じ込めることができます。

トピカルステロイド薬の使用:

炎症やかゆみを抑えるために、トピカルステロイド薬が処方されることがあります。ただし、ステロイド薬は長期間の使用や誤った使用により副作用が生じることがあるため、必ず医師の指導のもとで使用することが重要です。低強度のステロイド薬から始め、症状が軽減された場合は徐々に使用頻度を減らすことが行われます。

カルシネリン阻害薬の使用:

一部の貨幣状皮膚炎では、カルシネリン阻害薬（タクロリムスやピメクロリムス）が使用されることがあります。これらの薬剤はステロイド薬とは異なる作用機序で炎症を抑えるため、ステロイド薬に対する耐性がある場合や、ステロイド薬による副作用が懸念される場合に選択されることがあります。

ビタミン法:

ビタミン剤（特にビタミンD誘導体）が炎症の抑制や皮膚の健康維持に役立つとされています。ビタミン剤の摂取によって、症状の軽減が期待される場合があります。

抗生物質の使用:

皮膚の感染が疑われる場合には、抗生物質の使用が考慮されることがあります。細菌感染が発症や再発の要因となることがあるため、感染の有無を確認し、必要に応じて抗生物質を処方することが行われます。

抗ヒスタミン薬の使用:

かゆみを緩和するために、抗ヒスタミン薬が使用されることがあります。かゆみによる掻破を防ぐために、かゆみの強い場合には、医師に相談して抗ヒスタミン薬の使用が検討されることがあります。

光線法:

UVB光線法やPUVA法（光線法に光敏剤を併用するもの）は、貨幣状皮膚炎の一部に対して有効とされることがあります。ただし、日光感受性があるため、日焼け止めの使用など十分な注意が必要です。

生活習慣の改善:

貨幣状皮膚炎は、過度なストレスや乾燥などが症状を悪化させることがあります。適切な睡眠やストレス管理、健康的な食生活、適度な運動など、健康的な生活習慣の改善が症状の軽減につながることがあります。

改善方法の選択は個々の症状や状態によって異なります。そのため、皮膚科専門医の指導のもとで適切な改善プランが立てられることが重要です。

多くの貨幣状湿疹は適切に改善を行うことで、数週間で症状の改善がみられます。しかし、適切に改善を行わなければ悪くなることも多いです。そのため、なかなか改善が見られない場合は、きちんと病院に行くことが大事です。

貨幣状湿疹は、虫刺されやかぶれを掻くことがきっかけになることが多いです。そのため、貨幣状湿疹を予防するためには、虫刺されやかぶれなどに対して、炎症を抑えるためにステロイド外用剤を使い、掻かないことが重要です。

・肩髎

・曲池

・三陰交

肩髎は、汗疹や蕁麻疹や湿疹、毛嚢炎などに効果的なツボです。皮膚に起きたトラブルに対して有効なツボのです。

そのため、皮膚に症状が現れる貨幣状皮膚炎にも効果が期待できます。他にも、肩こりや四十肩や五十肩などに使われることもあります。

曲池は、東洋医学で邪気が溜まりやすい場所であるといわれています。健康的な肌にする効果があるとされているため、貨幣状皮膚炎にも効果が期待できます。他にも肌荒れやにきび、吹き出物、乾燥肌などに有効です。

肌に現れる問題以外にも、ひじの痛み、テニス肘、腱鞘炎、腕の筋肉痛、頭痛などに対しても効果的です。

三陰交は、体の冷えを取り除く効果のあるツボです。さらに、肌の調子を整える効果もあると言われています。

冷えを取り除くことから、女性特有の病気によく使われるツボで、 生理痛や生理不順、更年期障害などに使われることが多いです。

肩髎は、肩峰の後下方で、肩髃のツボの後ろにあります。探すときは、腕を水平に上げて、肩関節にできる2つのくぼみの中で、後ろのくぼみを探しましょう。

反対側の手で肩をつかんで人差し指と中指と薬指の指先でツボを押さえたまま、肘をまわす方法で刺激をすることもお勧めです。

曲池の場所は、腕を直角に曲げたとき、肘にできるシワの外側の端です。

押すときは、親指の腹を使います。お灸で温める方法も非常に効果的です。

三陰交は、足にあるツボです。ふくらはぎの内側の骨の際にあります。

押すときは、ゆっくりと息を吐きながら押します。離すときに息を吸いましょう。押すだけではなく、お灸をすることもお勧めです。