公開日:2021年 3月23日
更新日:2024年12月19日
本日は前庭神経炎について解説させていただきます。
☆本記事の内容
銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。
このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。
前庭神経炎の原因は、ウイルスに感染することだと言われていますがはっきりした詳しい原因はわかっていません。何かの原因で、内耳から脳へ情報を伝える前庭神経に障害が起き、めまいが起きると考えられています。
多くの人は発症する前に風邪の症状があることから、ウイルスに感染することが原因であると言われています。しかし、はっきりとわかっていないのが現状なのです。
前庭神経炎の場合でおこるめまいは、脳卒中などが原因となっておこるめまいとは違います。
脳卒中などが原因の場合、意識障害や構音障害、四肢麻痺などの症状もめまいと合わせて起こります。しかし、前庭神経炎の場合、意識障害や構音障害、四肢麻痺などの症状は起こりません。
前庭神経炎は、命に危険が及ぶような病気ではないのです。
・ウイルス感染
前庭神経炎の原因となるウイルスは、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、風疹ウイルス、帯状疱疹ウイルスなどです。
・免疫反応の異常
感染に対する免疫反応で自己免疫反応が起きたり免疫系が誤って神経を攻撃する交差反応が起きたりすることが原因となることがあります。
・血流の異常
一部のケースでは前庭神経への血流が血管炎や循環不全などで低下することが要因となることもあります。
・ストレスや疲労
ストレスや身体的な疲労がきっかけで免疫力が低下したり交感神経が活性化したりすることが原因になることもあります。
・その他の要因
頭部や耳への外傷、アレルギー、一部の薬剤の影響などが原因として考えられています。
前庭神経炎の症状は、突然の激しい回転性のめまいや吐き気、嘔吐です。突然の激しいめまいは数日間続きます。めまいを発症する前に風邪のような症状があることも多いです。
めまいや吐き気、嘔吐には耳鳴りや難聴などの症状が合わせて起こる病気もありますが、前庭神経炎の場合は耳鳴りや難聴などの症状はありません。
前庭神経炎と同じようにめまいや吐き気、嘔吐が主に症状として現れる病気に、良性発作性頭位めまい症とメニエール病があります。どちらも比較的発症している人数が多い病気です。しかし、この3つの病気にはそれぞれ特徴があります。
良性発作性頭位めまい症は安静にしていることでめまいや吐き気が段々落ち着き、軽くなります。しかし、前庭神経炎は安静にしていてもめまいや吐き気が落ち着くことはありません。
一般的に前庭神経炎は数日間にわたって強いめまいや吐き気が続く病気です。
メニエール病は、前庭神経炎と同じように安静にしていてもめまいや吐き気は落ち着かず、数日間にわたってめまいが続きます。ただし、前庭神経炎はメニエール病で起こる症状の耳鳴りや難聴などが現れることはありません。
・めまい
突然発症する強い回転性めまいが最も代表的な症状です。めまいは「周囲がぐるぐる回る」「自分が回転しているように感じる」といった感覚を伴い、数時間から数日間続くことがありますが、症状は徐々に改善します。頭や体を動かすと症状が悪化することが多いです。
・バランスの崩れ
体のバランスを保つのが難しくなり、立ち上がったり歩いたりするとふらつき、転倒する危険性があります。
・悪心・嘔吐
強いめまいによって悪心や嘔吐を伴うことが一般的です。
・頭の重さや違和感
一部では、耳や頭の奥に重さや圧迫感を感じることがあります。
前庭神経炎では、鎮静剤や制吐剤、血流改善薬や抗めまい薬などを使ってめまいや吐き気を抑えます。神経の炎症はステロイド剤で抑えます。吐き気や嘔吐がひどく、経口での摂取ができない場合は、点滴をして水分を補給することもあります。
めまいが激しい場合は、日常生活を送ることが難しいこともあります。その場合は、入院して改善を行うこともあります。
めまいが改善しても体がふらついたり不安定な感じが続くこともあります。その場合、リハビリが必要なこともあります。リハビリで平衡感覚を取り戻すのです。
仕事など社会に復帰するまでには改善を行ってから約1~2週かかることが多いです。急に頭を動かした時動揺感が後遺症として残ることもありますが、一般的には再発することはありません。
多くの場合は、約1~3ヶ月で完全に回復すると言われています。
・薬
抗めまい薬:ジフェンヒドラミンやプロクロルペラジンなどの抗ヒスタミン薬が使用され、めまいや吐き気を抑える効果があります。
制吐薬:メトクロプラミドやオンダンセトロンなどが嘔吐や悪心を軽減します。
ステロイド薬:プレドニゾロンなどの経口ステロイド薬が、前庭神経の炎症を抑えるために使用される場合があります。
抗ウイルス薬:ヘルペスウイルスが疑われる場合、アシクロビルなどの抗ウイルス薬が処方されることがあります。
鎮痛薬:頭痛や耳の違和感が伴う場合、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどが処方されます。
・前庭リハビリテーション
バランストレーニングや頭の動きのトレーニング、視覚トレーニング、歩行訓練などを行います。
・点滴・水分補給
悪心や嘔吐が強い場合、十分な水分補給が困難になるため点滴による電解質補給や水分補給が必要になる場合があります。
前庭神経炎は、数年にわたってふらつきが続くこともあります。その場合、ふらつきを改善するためには、リハビリが必要になります。
代表的なリハビリには、顔の前で左右に親指を動かして目で追うものや顔の前で固定した親指を見続けながら左右に頭を左右に動かすものなどがあります。
慢性的なめまいがある場合や年齢を重ねることでふらつきの症状がある場合にも、この方法は効果的です。日頃から行うと、転んで怪我をすることなどの予防につながるため習慣にすると良いでしょう。
・視線固定練習
壁に貼った固定した目標を見つめ、頭をゆっくりと左右、上下に動かします。
動かしている間も目が目標に固定されるように意識します。
1回1~2分、1日3~5回行います。
・VORのトレーニング
視線固定練習と同様に目標を見つめながら頭を動かしますが、動きを少し速くします。めまいが軽く感じる程度のスピードで行います。
・静的バランストレーニング
両足を揃えて直立し、目を開けた状態で、安定した場所に立ちます。目を閉じて同じ姿勢を保ち足を前後に揃えたり片足立ちに挑戦したりしましょう。
1回30秒~1分、1日2~3セット行います。
・動的バランストレーニング
一直線上に足を揃えるように歩き、頭を左右に振りながら、または目を閉じた状態で歩行を試みましょう。不安定な地面の上で歩行練習を行います。
・ 頭の回転運動
椅子に座り、頭をゆっくり左右に振ります。上下に頭を動かしめまいを感じる範囲内で無理せず繰り返します。
10~20回を1日2~3セット行います。
・視覚と頭の運動の組み合わせ
目標を前方に固定し、指を見ながら頭を動かします。頭を動かしながら、目の焦点を維持する練習をします。
・ウォーキングトレーニング
ゆっくりと歩行しながら、頭を上下左右に動かします。不安定な場所での歩行を徐々に行います。
・聴宮
・内関
・翳風
聴宮はめまいに効果を発揮するツボです。聴宮の深部には、三半規管や前庭神経があるため前庭神経炎にも効果が期待できます。
他にも聴宮は耳鳴りや難聴に効果的で、耳鳴りの特効穴とも言われています。
内関は、自律神経を調整する効果があるツボです。そのため、めまいに効果を発揮します。他にも、吐き気や乗り物酔いにも効果があると言われているツボです。
自律神経を整えてくれるため、心を落ち着かせてくれる効果もあります。
翳風は内耳の機能を高める効果があるツボです。そのため、刺激をすることで三半規管に対して働きかけてくれ、めまいに効果が期待できます。
他にも高血圧による倦怠感や頭痛、難聴や肩こりなどにも効果があると言われているツボです。
聴宮は耳の前にあるツボです。口を開いたときに耳の前にできるくぼんでいる場所にあります。
人差し指の腹を使って口をあけたままゆっくり押しましょう。お灸を行うことも効果的です。
内関は、手首の内側に位置します。手首の横じわから指3本分下にあるくぼみにツボがあります。
押すときは親指で適度な強さで押しましょう。優しく円を描くようにマッサージしても良いです。
翳風は耳たぶのすぐ後ろのくぼんでいる場所にあります。指先で強く押すとあごのあたりに響くような感覚がすると思います。
押すときは左右同時に押しましょう。中指や人差し指で軽く押しながら円を描くようにマッサージする方法もおすすめです。